大串博志政務調査会長記者会見

2016年10月4日(火)13時30分~14時00分
編集・発行/民進党政務調査会

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=mPXido2QIZY


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○大隅良典氏のノーベル医学・生理学賞受賞について

【政調会長】
 まず、今回ノーベル賞、医学・生理学の分野で大隅良典先生のすばらしい業績が世界的に認められて、「オートファジー」という機能に着目された研究でノーベル賞を受賞されたことは、すばらしい。日本としての誇りだと思います。もとより科学技術の世界でも、基礎研究から実証へと続く中で、今回、基礎研究の部分での大変大きな成果でございますが、科学技術は日本の柱だと思います。
 私達もいろいろな政策提言を行う中で、科学技術に関してもいろいろ後押しできるような提言も行ってまいりたいと思っていますし、実際に民主党政権の時には科学技術の予算を、メリハリを持ってつけられるようにするというような取り組みも積極的に行ってきました。いわゆる科学技術の司令塔をつくっていくという検討も世界標準でやっていこうということで、例えば科学技術顧問みたいなものをつくっていく。これはイギリスでも行われています。こういうことも、私達、政権時代には行ってまいりました。
 こういった私達の蓄積も踏まえながら、さらなる科学技術政策の進展に向けて提言をしていければと思います。

○予算委員会審議について

【政調会長】
 国会での論戦が進んでいますが、いろいろ現政権の抱える問題点がかなり明らかになってきているのではないかと思います。
 アベノミクスの成果を問われて、総理は繰り返し、いつも最終的には「民主党政権の時には」と、民主党政権の非難をして自分をカバーするという答弁が繰り返され、それがパターンになってきていることがかなり明らかになってきています。実際、アベノミクスが成果を出していないということは、先般の日銀短観を見てもDI(業況判断指数)が伸び悩んでいます。こういったことからももう明らかではないかと思われますので、こういった論議も深めていきたいと思います。
 年金の問題、GPIFにおける(株式投資への)運用割合の上昇から、これが10兆円の損につながったということに加えて、今回、年金の法案を出してこられようとしている。その中身を見ると、将来試算も全くなしに、非常に場当たり的にデフレ調整をかなり深く行うという年金の改定法案になっています。
 何が問題かというと、もちろん世代間の公平を保つようないわゆる調整を年金の仕組みの中で行うことは、極めて大切だと私達も思っています。しかし、それは年金の将来に対する信頼性を確保できる形でやっていかなければならないと思っています。というのは、平成16年改正の時にマクロ経済スライドを入れ、同時に料率の上限を入れる。これをもって「100年安心」の年金になると。所得代替率は5割。これをもって安定するということを将来の見通しを示すという意味で胸を張って出したのが平成16年改正でありました。ところがその後、今回のことなんか特にそうですが、将来の年金推計も全くない中で非常に場当たり的に調整を行おうとしているところが、どう考えても年金の将来不安をあおることにつながっていると思います。
 本来であれば、2年前の財政検証の時にあわせて提言すべきでした。そうすれば必ず年金財政の将来推計のところに反映されますから。今回、厚労大臣との間で、推計を行のかどうかと、今日も総理との間でも行いましたが、こんな議論なくして一体化してできたはずですね。それを全くせずに、年金財政計算の途中の段階でポンと出してくるというのは、いかにも年金の安定性あるいは安心感に関して無頓着な政府の姿が見て取れると思います。この辺は今後も厳しく追及していくべきだと思っています。
 TPPに関する、SBS米のことに関しても、政府の説明は極めてたどたどしくなっています。何らかの資料を、今度、調査結果として出してくるということになっていますが、これが本当に客観性を持つものなのか。すなわち、単なる業者の聞き取りみたいなものではなくて、本当にSBS米が国産米と遜色のないレベルで流通している実態があったのかということを客観的に示す資料になっているのかという点は、私達は厳しくチェックしていきたいと思っています。
 北方領土の交渉に関しても、昨日、前原誠司議員が極めていい質問をされたと思います。「四島の帰属の問題を解決」というこれまでの合意の内容のまさにコアについて、昨日の岸田外務大臣の答弁は極めて不確かなものであったと思います。もともとこれまでの政府答弁を総合すれば、「四島の帰属」というのは「四島の日本への帰属」であると理解されているのが通常だと思います。それを、今になって非常に不確かなものとしていくことについては、本当に我が国の国益を守る姿があるのかと疑念を持たざるを得ないと思っています。
 こういった論点などもしっかり掘り下げていきたいですし、もちろん今回、議論したような、補正予算の審議なので、補正予算の本質の論点、無駄な公共事業が多い点、あるいは今日は被災地のことも階猛議員が取り上げてくれましたが、今回の大雨・豪雨災害に対する備えが今回の補正予算には全く入っていない点。あるいはTPPの対策予算は入っていますが、今申し上げたように、SBSの関係で本当にそれが十分なものなのかという点が、影響試算との関係で、その土台が崩れているといった点等々を考えると、この補正予算はとても賛成できるたぐいのものではないと思いますので、厳しく議論を続けていきたいと思っています。

○政務調査会の活動方針について

【政調会長】
 最後に、今日、NC(「次の内閣」)をまた行いますが、スピード感を持って政調も動かしていきたいと思っています。
 先週のNCで、NCの体制を固めました。昨日は第1回を開いて、補正予算に対する対応の一任を受けました。今日は各部門に対して、政策のアップグレード――私、就任の記者会見の時にも言いましたが、民進党の政策を今一度アップグレードするということを各部門に対して指示を出していきたいと思っています。これもスピードを持ってやらなければならないので、今国会中には少なくとも中間報告ぐらいは出せるような形で取りまとめをしてもらうべく作業してもらうように、各部門に指示を出していきたいと思っています。
 こういった形で、「提案型」の蓮舫体制なので、政策提言をどんどんできるように、もちろん、今国会におけるいろいろな法案対応においても、対案を提示していくということを一つの旨としてやっていきたいと思いますが、それに留まらず、各部門の基本政策においても、アップグレードを図るようにスピード感を持ってやっていきたいと思いますので、この場でお伝えしておきたいと思います。


■質疑

○TPPについて

【日本経済新聞・宮坂記者】
 冒頭、SBS米の問題等含めてTPPのことを話題にされた。今国会で出されているTPP協定案について、民進党としては賛成できないという立場だと思うが、これについて伺いたい。
 まずコメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖・甘味資源作物という重要5項目について、「聖域の確保」という国会決議が守れていないということだと思うが、具体的にどの品目や項目がどのような理由で聖域を守れていないと考えているか。
 また、各項目について、聖域とはどのような水準とお考えか。
 また、「守れた」という立場をとっている政府の説明責任、政府の立場をどうお考えか。それぞれ伺いたい。

【政調会長】
 いわゆる重要5項目に関して言うと、聖域として守れているという水準ではないと言いますか、農林水産委員会の決議を見てもらうと、「再生産」ができるよう頑張りなさい、結果を出しなさいと書いています。
 (協定案が)再生産ができる形になっているかというと、まずコメに関して言うと、7.8万トンのSBS米の最大枠(拡大)が設けられています。これに関しては、先ほど申しましたように、「SBS米は国産米と価格において大差ない」というのがこれまでの説明でしたが、その土台が崩れているという点において、もうアウトだと思っています。もう一つ政府が言っていたのは、「備蓄米として一定期間買うので、国内流通米の価格に影響を与えることはありません」と言っていましたが、これも説明としては底が抜けていて、ご案内のように一旦政府が買い付けたとしても、その後にまた流通させますから、そこで必ず価格が下がる圧力になっていくのではないかということに対する答えは、今のところ全くありません。加えて、予算はどうするのかという問いに関しては、「これから検討する」という答えだけだったので、全く再生産できるレベルを保障しているものではないと思っています。
 麦に関しても、これはあまり国会の議論に出てきていませんが、麦のマークアップ(事実上の関税である「輸入差益」)を半分にすると。ご案内のように、麦の国家貿易によるマークアップによる財源は、これまで農林水産予算の重要財源でした。すなわち、減反を行ってこれを促進する、減反をした人に対する補助金。特に最近は、減反をして、大豆とかではなくて、戦略作物である飼料米やWCS(稲発酵粗飼料)用稲を作ってください、それには高い補助金を出しますよとしたのですが、これの財源として極めて大きな柱を占めていたのが麦のマークアップです。これが半分になるということになると、これまで減反を促進してきたことに対する財源がなくなるではないかということに対する答えが必要なのですが、政府は全く言っていません。かつ、2年後には減反政策がなくなります。減反政策がなくなって、それでも大丈夫だと政府が言ってきた理由は、まさに「主食用米から戦略作物たる飼料米等々に助成を強めて誘導するから、主食米の価格は下がらない」という点なので、その答弁とも矛盾を来します。こういった問題が残っているので、麦に関しても全く及第点には行かないと思っています。
 畜産に関しては言うに及ばす。牛の関税はだいたい4分の1、豚の関税は10分の1。極めて大きなレベルの低減がなされます。にもかかわらず、とられる策は、マルキン(肥育牛1頭当たりの粗収益(枝肉価格等)が生産コストを下回った場合に、生産者と国の積立金から差額の8割を補塡金として交付する補助事業(「肉用牛肥育経営安定特別対策事業」)。この間も申し上げましたが、今回、マルキンを強化するという法案もセットになっていますが、これは実はTPPの議論の前から出ていた話です。TPPの議論の前から出ていた話を今ごろ言われても、全くTPP対策ではない。しかもマルキンの問題点はどこにあるかというと、所得を9割(現行8割、TPP対策で9割)方補償するというのがいわゆるマルキンの所得補填の考え方ですが、これは過去の所得の9割を補償するというものなので、過去の所得がだんだん下がっていくと、だんだんその所得補償するレベルが下がっていくわけです。これはマルキンの問題点として長く言われていましたが、この点に関しては全く手がついていません。こういうことも踏まえると、再生産ができるようなところまで持っていっているとはとても思えないということであります。
 では、どの水準が再生産を確保する水準かというと、これはご案内のように関税、そしてセーフガードを組み合わせた形になります。関税以外の、その他の輸入割当等々もありますが、これらを組み合わせたものになりますので、一概に関税がどのレベルだったら再生産になると言えるものではないと思っていますが、その説明責任は一義的に政府が負わなければならないと思います。ところが、政府は農林水産委員会決議を守ったと思われますか?という国会での問いに対して、「それは一義的に国会がご判断されることだと思います」という答弁を繰り返しているので、政府は説明責任すら果たしていないと断ぜざるを得ないと思っています。

【日本経済新聞・宮坂記者】
 一方で、攻めるべき分野ということで自動車などのことも質問等でも出されている。自動車等の攻めるべき分野が攻め切れていないという趣旨だと思うが、どういったことでそういう判断をされたのかという点について伺いたい。

【政調会長】
 ご案内のように、自動車に関しては部品が関税即時撤廃になっているからいいだろうという言われ方をされていますが、とんでもないことだと思っています。と言いますのは、本体に関しては15年間塩漬け、トラックに関しては25年間。もうほとんど、今回の貿易交渉において「自動車に関してはさわりません」というのが今回の交渉結果だと思っています。
 なぜかと言うと、今回のTPPの前にいろいろなラウンドがありましたが、15年、25年あいて貿易交渉をやることはないですね。大体10年とか、数年置きに貿易交渉をやりましょうと、世界的なラウンド交渉が始まります。だから15年、25年という単位でこれはもうさわりませんという交渉をしているということは、結果が出ているということは、「今回の合意においてはこの関税はさわりませんよ」と言っているに等しいのです。それがだめだと私達は申し上げているのが一つ。
 もう一つは、「成果あり」と政府が胸を張ったので、私達としては繰り返し経済産業省に対して、これで自動車部品、あるいは自動車製品の輸出がどれだけ増えるのかということを資料として出してくださいと、再三申し上げてきました。ところが、これに関して、政府のほうからの答えはまだありません。このように、政府自体がどのようにプラスがあるのかということを説明できない以上、攻めるべきところは攻め切ったというふうに言うことは絶対にできないと私は思っています。

○「政策のアップグレード」政調活動について

【共同通信・野見山記者】
 「政策のアップグレード」ということだが、これは蓮舫代表の対案路線を具体化していくという位置づけなのか。
 あと年末年始に衆院解散総選挙も取り沙汰されているが、「スピード感を持ってやる」ということはそういうことも背景にというか、仮にそうなれば公約等に反映されていくような位置づけにもなるのか。

【政調会長】
 蓮舫代表は「提案路線・対案路線」ということを打ち出しています。それを担保するには、いい政策がなければならない。就任時の記者会見でも申し上げましたが、私達政党をデパートに例えるならば、良い商品がないとお客さんは来てくださらないわけですから、良い商品をとにかくつくり出していくというのは常に大きな課題だと思っていますし、特に「提案型」を標榜する以上は、政策にスピード感を持って磨きをかけるということは、いずれの政治状況においても大切なことだなと思って、やる次第であります。

【日本経済新聞・宮坂記者】
 政策のアップグレードの話で、指示を出すに当たって、特にどういう観点からの充実を求めていくお考えか。

【政調会長】
 これはもちろん全部門に求めますので、私自身は全部門で自分達の持っている政策ツールを総ざらいするぐらいの気持ちでやっていただきたいと思っています。これはどこの部分が重要で、どこの部分が重要でないとかは、ありません。どこもきっちり、自分達の持っている政策が時代に合っているか、時代を先取りしているかという観点から見てほしいと思っています。
 と言いますのは、民主党にしても旧維新にしても、野党ですから、時代を先取りする形で提案できるような政策を作ってきたと私は思うのですね。自負もあります。民主党政権の時にそのうちで実現したものもあれば、財源が不足する等々でできなかったことももちろんあります。ただ、ワンクール経た中で、さらに次の世代に向けて時代を先取りするような政策は何かということを、各部門でしっかり見据えてほしいと思います。
 ただ、一方で蓮舫代表のもとで「人への投資」を通じて「安心の好循環社会」をつくっていくという大きな題目を掲げています。こういった、私達の生活を良くしながら、安心感を保ちながら経済成長をつくっていく、この大きなアベノミクスとの対立軸のところにおいては、特にこの対立軸が明らかになるような政策群を構築できればなと思います。

○ノーベル平和賞について

【共同通信・野見山記者】
 今週金曜日にノーベル平和賞が発表される予定で、憲法9条が候補に挙がっている。この状況について所感を伺いたい。

【政調会長】
 憲法9条というか、「9条の会」も挙がっていると聞いていますが。
 これは世界的な平和に対する希求の気持ちの表れだと思いますし、私達日本において言えば去年の安保法制の、憲法違反の中での強行的な採決があって、これに対して国民の皆さんの世論及び運動として「平和を守っていこう」ということが大きくうねりとして高まったことの反映ではないかなと思われます。「平和」ということを一つの軸として抱いている憲法を持っている私達としては、そのことが国際的な注目を集めることはよいことだなと私は思っています。(ノーベル平和賞を)取ってほしいなと思っています。

○東京五輪関連予算について

【産経新聞・山本記者】
 昨日、小川淳也議員が予算委員会で、五輪予算の肥大化の件で質問された。補正の賛成が(審議・採決の)前提条件だということもおっしゃった。この五輪の関係で、小池都知事が今進めていることに対して、蓮舫さんも協力させてほしいというようなこともおっしゃっていたが、小池さんが今やっている五輪の政策の進め方とかスタンスに関しての印象や所感を伺いたい。

【政調会長】
 まず、これだけ大きなイベントを行っていく時に、どれだけのコストがかかり、それが納税者も含めた市民・住民の皆さんにどのようにベネフィットとして返っていくかということの説明責任を尽くすのは非常に大切なことだと私は思います。
 そういった中で、どれだけのコストがかかるのかということで国民の中にモヤモヤ感があるのを払拭していこうという取り組み自体は、税金を預かる者としてしかるべき態度だなと私は思います。
 一方で、年限と期限のあることでもあります。国際的なコミットメントを行っていることでもありますので、おそらく小池都知事もその辺のことは頭に置きながら、十分納税者の皆さん、あるいはオリンピック・パラリンピックに当事者として関わっていただいている皆さん、多くの皆さんに納得していただける姿とは何なのかというのは追求していかれると思いますので、それは納税者の立場を代表していこうという綱領を持つ私達としてはあり得える立場だと思います。

【産経新聞・山本記者】
 小池知事は今、五輪の費用を下げるという方向で努力していて、蓮舫代表も小池知事と会われた時に、協力できるところは協力させてほしいという趣旨のことをおっしゃった。民進党として何かしら協力する、例えば接触であるとか、政策責任者の大串さんのほうからアプローチだとか、そういったことは現状あるのかないのか、やろうとしているのか、そのあたりを伺いたい。

【政調会長】
 個人的に云々という話ではないと思っていて、私達は国会の場として国政の動きをチェックする立場の人間です。このオリンピック・パラリンピックの予算に関しては、最終的には国費にもはね返ってくる面がある。この面において、納税者の立場から、それが納税者の理解を得られるものかというものを厳しくチェックしていく立場が私達にはあります。
 こういった方向性が小池都知事の方向性と軌を一にしているのではないかと思われるものですから、私達は国会の場で、あるいはその周辺の場で、税金の使われ方という観点からやるべきことをやっていくことによって、いろいろな協力ができるのではないかなと思っています。

○蓮舫代表の台湾籍離脱について

【産経新聞・山本記者】
 昨日、日本維新の会が蓮舫代表について二重国籍の件で質問されていたが、どうやら彼らは戸籍謄本の公開を要求している。これについての所見を伺いたい。

【政調会長】
 プライベートな戸籍謄本を公開する必要が本当にあるのか、という感じはしています。
 というのは、私が想像するには、戸籍を開示せよという主張は――国籍法14条2項の後段、(外国の)国籍を離脱できない人に対しての措置として、「選択の宣言」というのがあります。すなわち、(外国の)国籍を抜けることができない方には、それ以外の二重国籍を廃していく方法として「選択の宣言」を行う。それはどういう意味かというと、日本国籍を取りますよ、他国籍は抜きますよ、という宣言をするということで対応していいですよという条項があります。引き続いて16条で、その場合には他国の国籍を抜ける努力をしてくださいねという、努力規定があります。この構造を見られて、14条2項の後段にある、日本国籍を取りますよ、他国籍を抜きますよという「宣言」をしたのであれば、実はこれは戸籍法上、戸籍に載ることになっていますので、それを確認するために「戸籍を明らかにせよ」と言われているのではないかと私は想像しています。
 しかし、法律をきちんと読んでもらえれば、蓮舫さんは初めから、17歳の時に他国籍を離脱したと理解をしていて、結果としてはそれが記憶違いであって、抜けていなかったがゆえに、今般、手続をし直すことによって他国籍を抜けたわけです。すなわち国籍法14条2項の前半の部分、つまり外国の国籍を持っている場合には、まず第1の方法として、外国の国籍を抜くという方法でそれを廃するという方法が出ているわけですから、14条2項の後段の「選択の宣言」ということは蓮舫さんの場合には当たらないのですね。
 ですから、質問がお門違いだと思いながら聞いていました。

○年金制度改革法案について

【東京新聞・我那覇記者】
 年金の関係で伺いたい。玉木雄一郎さんが昨日、質問の中で、「年金カット法案」を通すならば消費税率10%への引き上げの際に予定されていた低所得年金者への福祉的給付を予定どおり実施すべきと提案されていた。それに対して今日、総理が、これはもともと施行が平成33年で、消費税率引き上げが平成31年に予定されていることを念頭におっしゃったのだと思うが、「もともとセットでやるもので、それをよくご存じなかったのではないか」と、最後は断定的な口調でおっしゃっていたが、これに対する反論をお聞きしたい。

【政調会長】
 玉木さんはそう言っていましたが、今回の年金法案が先ほど述べたような年金の将来的な世代間の安定性を確保していくという理解を持ちながらも、平成16年改正で「100年安心」の制度になりましたと言って将来推計を示したこととの整合性を全く示さずに、その場限りのアドホックな調整を行おうとしていることによって、逆に将来の年金の安定性・信頼性をなくしているという点を問題視しているわけで、ここはしっかり追及していこうと思っています。
 さらに、いわゆる低年金者への最大5000円の積み増しに関して言うと、今回、消費税法案の30ヵ月引き延ばしになっています。これによって本当に平成33年に低年金者への最大5000円の積み増しが行われるのか、はっきりしていないと私は思っています。
 と言いますのは、私も代表質問の中で、本来消費税が今度の春に8%から10%に引き上げられれば予定されていた項目である四つを挙げて、どれを、いつからやっていくのかということを明確に答えてくださいと答弁を求めましたが、代表質問の答弁では、総理は答えませんでした。だから今日の答弁を聞いていて、私は「あれ?」と思いましたが、どちらかというとはっきりしていないものをはっきりしているかのごとく繕って言っているのではないかなという印象を受けましたので、さらに追及していかなければならないと思いました。