大串博志政務調査会長は11日午前、政調役員会後に記者会見を開き、(1)2016年度第2次補正予算(2)今臨時国会の論点――等について発言した。

 同日参院本会議で採決が行われる今年度の第2次補正予算について、「アベノミクスの失敗を露呈したうえで、その失敗を糊塗するような内容としか思えない。効果がはっきりしない公共事業に対して多額の財政資金を投入し、そのために建設国債まで発行している。その一方で(対策費が盛り込まれている)TPP(環太平洋経済連携協定)に関する資料はまったく開示されているとは言えない状況だ。大雨や台風被害に関する予算も盛り込まれていない」などと指摘。「とても賛同できる内容ではない」とあらためて民進党のスタンスを明らかにしたうえで、こうした問題点について最後まで訴え続けていきたいと力を込めた。

 次に、今後の国会の論点として、TPPや南スーダン派遣部隊への「駆けつけ警護」任務の付与、年金問題等を列挙。TPPについては、民進党が再三にわたって要請している議論の前提となる情報の開示がないとして、特にSBS米の問題をめぐっては、7日に農林水産省からの報告はあったものの納得のいく説明ではなかったと述べた。「結論として農水省は『SBS米が国内米の価格を下げたという結果は見当たらなかった』と言うが、このことについて業者に対する質問はなく、単なる聞き取り調査であり『質問内容は教えられない』というものだ。かつ肝心な国内米への影響についても『聞いていない』ということであり、こんな調査ではとても納得できる情報が提供されたとは言えない」と政府の対応を厳しく批判。「こうしたなかで審議を強行するのであれば、国民の声を無視した強行的な運営だと言わざるを得えない」と断じた。

 11月から南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣される陸上自衛隊部隊に対し安全保障関連法により可能になった「駆けつけ警護」を新たな任務として付与するかどうかをめぐっては、稲田防衛大臣の首都・ジュバ訪問に言及。「非常に驚いたのは、滞在時間わずか7時間の、数カ所を選んだようにして回ったことをもって稲田大臣が『落ち着いているとみた』と発言していること。稲田大臣のジュバへの訪問は、任務を付与するための、極めて形式的なアリバイ作りだと言わざるを得ない」「7月には政府軍と反政府軍の大規模な紛争が起こっており、国もしくは国に準ずると該当するとも言える勢力がぶつかっている。それからわずか1、2カ月で検討が行われていることに対し、このような形式的な大臣の訪問で一体結論として何が得られるのだろうか。厳しく指摘していきたい」と語気を強めた。

 政府が同日の閣議で閣議決定したパリ協定の批准案には、「私たちは、地球温暖化対策はしっかりやっていくべきとのスタンスで臨んでいたので、協力すべきは協力していきたい」と表明。そのうえで、民進党の政調役員会でのヒアリングで外務省の担当局長が「こんなに早く国際的な環境が整うとは思わなかった」と答弁したことを明かし、「政府の動きは遅いくらいだと思っている。各国の動きを読み違えたのは明らかだ。今の安倍政権が地球温暖化に対していかに不熱心かを表す証左であり、政府のスタンスは厳しく問うていきたい」と述べた。

 年金問題については、政府が年金の受給資格を得るのに必要な保険料納付期間を25年から10年に短縮する年金機能強化法改正案法案と賃金・物価スライドを見直し年金受給額の引き下げを可能にする年金制度改革関連法案と、セットでの成立を目指していることを問題視。受給資格の要件緩和は評価する一方、年金カット法案は「聞けば聞くほどおかしな制度であり、年金の安定性や将来の安心を打ち砕く内容だ」として、しっかりと追及していく考えを示した。