大串博志政務調査会長記者会見

2016年10月18日(火)11時34分~11時49分
編集・発行/民進党政務調査会

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=A1VjrUKUjs4


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○TPP批准承認案について

【政調会長】
 国会も始まって、10月も18日になりました。
 TPPの審議が本格的に衆議院のほうで始まっていますが、相変わらず政府からの説明は情報の開示が非常に限られた中での審議となっていることは非常に遺憾です。SBS米の問題に関しても、「国内産米の価格に影響を与えていない」という説明(の根拠)が、国会の中でも全く出てこない。こういった中で議論がどれだけ進むのかというと、私は非常に疑問に思われて仕方がありません。
 一方で与党側から伝わってくる空気は、一刻も早く上げていきたいというような話でございまして、国内的な説明が全くなされない中で協定案だけ時間を区切って上げようとするかのごときやり方は、極めて問題が大きいのではないかという感じがしております。

○パリ協定批准承認案について

【政調会長】
 一方でパリ協定に関して言うと、いかに政府がこのパリ協定の国際的な批准の過程を見誤ったかということも明らかになってきています。
 本来であれば、国際的な議論をリードするという面においては、いろいろな面があります。一方で、環境問題に関して日本はこれまで一貫して国際社会の中ではリード役でありまして、そもそも今回のCOPの議論は、京都議定書の中で日本が主導した議論が今に及んでいるということでございますので、この中で今回、パリ協定という、やっと成った協定の批准を日本が見誤って後手に回っている。11月の頭からの締約国会議には、ほぼ間違いなくオブザーバーとしてしか参加できない状況になっていることも、極めてゆゆしき課題だと思っています。

○年金制度改革法案について

【政調会長】
 一方で、年金の問題が大きく国会の中でも取り沙汰されています。
 昨日、政府のほうから、私達が「年金カット法案」と呼んでいるこの法案が実施された場合には、現段階において過去の数字を前提とすると、国民年金・基礎年金だけですが、年金の受給が3%現役世代においては少なくなる、減額されるという試算が発表されました。
 一方で、将来世代は7%基礎年金が増えるということも付け加えた資料になっていますが、この内容を子細に分析してみると驚くべきことが明らかになっていて、現役世代の3%減ということに関しては、この影響が少なく見積もられる方向の仮定を勝手に置かれている。一方で、「将来世代には7%増になるんですよ」と売り文句を言っているのですが、何と、将来世代の方々は7%増と言われていますが、7%増の前提は、この「年金カット法案」がこれから一度も発動されない前提で数十年後に7%増になるということですので、何のための法律なのか、何の説明なのかということを疑わざるを得ない。
 つまり、減額は少なく見せて、増額は目いっぱい大きく見せようという、極めて歪んだ説明のあり方がもうありありで、そもそも現在の年金が「100年安心」だということを言い募ってきている政府の説明自身のクレディビリティ(信頼性)を欠いていると思います。
 私も予算委員会で取り上げましたが、今、政府が出している財政検証の中では、最も低いシナリオでも、所得代替率5割を確保するためには今後ずっと賃金上昇率はプラス2%、3%、4%、この領域で進むことが前提とされていまして、この賃金上昇率がマイナスの時に年金支給をカットしますよという法律は全く論理矛盾している。今の年金が、ほぼ見積もりどおりにいかないということを政府自身が認めざるを得なくなってきているのではないかという感じがしますので、こういった点をさらに明らかにしていきたいと思っているところでございます。


■質疑

○新潟県知事選挙の結果について

【共同通信・野見山記者】
 先日の新潟県知事選に関して。米山さんが当選されたことで、今度の衆院2補選や次期衆院選に向けた野党共闘のあり方にさらに何らかの影響があるのか伺いたい

【政調会長】
 補欠選挙に向けては枠組みを既に決めて戦っております。これをあと5日間、戦い切るということに尽きると思っています。

○原発・エネルギー政策について

【共同通信・野宮山記者】
 (新潟県知事選の結果が)党内の原発政策についても今後新たな議論をする契機となるか伺いたい。

【政調会長】
 党内の原発政策に関することでありますが、基本的に私達は(民主党政権時代に決定された)「革新的エネルギー・環境戦略」の中で、党としての考え方をまとめています。「2030年代に原発稼働ゼロが可能となるよう、あらゆる政策資源を投入する」という考え方を決めていて、これに向けて工程表をきっちりつくって、工程表もかなり詰めているところではありますが、やっていくということになっています。これ自身はさらに前に進めていきたいと思っています。
 というのは、よく言われるのが、「2030年代に原発稼働ゼロが可能となるよう、あらゆる政策資源を投入する」ということ、これがどのように現実味を帯びていくかということが大切で、「工程表をつくる」と私達は言っていました。意外と、この工程表が知られていないのですね。
 これは私達が与党から野党になった後も、党のエネルギー・環境調査会で極めて厳密に議論をしてきています。そういった中で、2030年代ゼロに向けて、大体の筋道が描けるようなところまで、工程表も具体的な政策とともにまとめられてきています。
 意外とこれが党内ですら情報共有されていないというのが現状でありまして、こういったこともきちんと、まずは党内、そして党の外にも知ってもらうことで、私達の2030年代原発ゼロに向けた取り組みがリアリティーのあるものなんだということをしっかり訴えていけるように、あるいは表していけるようにしたいと思います。

【TBS・牧野記者】
 工程表だが、いつごろ発表するお考えか。

【政調会長】
 いつ発表というか、これまでの体制でまとめているものがあります。まず、これを党内でもしっかり知られるように――今回、新しい体制になりますので、玄葉光一郎エネルギー・環境調査会長のもとになりますので、こういったことを党内でももう一回レビューする。もう、ここまでうちは来ているんだ、リアリティーのある形で工程表をつくっているんだということを調査会の場の中できちんとレビューして、もう一回再認識することから始めなければならんかなと思っています。
 それに加えて、技術の進歩等々を踏まえながらさらに深掘りをしていくことになろうと思われますので、これはぜひ、またエネルギー・環境調査会が開かれましたら皆さんも見ていただけたらと思いますが、まずは足元で、これまでの到達点をきちんと確認するということだと思います。

○代表の日本国籍選択手続について

【読売新聞・中田記者】
 蓮舫代表の二重国籍問題に関して、金田法務大臣が今日の閣議後の記者会見で、「一般論として」という前置きではあるが、「国籍選択義務の期限後に義務を履行したとしても、それまでの間は国籍法上の義務には違反していたことになる」と述べた。国籍法では22歳になるまでに国籍を選択しなければいけないということになっているが、蓮舫代表の国籍選択が今月だったということで、その間のことを指摘していると思う。この点について政調会長の意見を伺いたい。

【政調会長】
 蓮舫代表は、これまでの説明でも一貫して申し上げているように、17歳の時に届け出によって日本国籍を取りましたと。その時に、父親とともに台湾の事務所に行って、台湾国籍を抜くという手続を完了したという理解でいたと。そういう中で、ほぼ30年間になりますが、来ていると。当時、国籍を抜けたと思っていたものが、実際、今回ネット上でもいろいろ話題になったことからもう一回確認してみたら、国籍を抜けていないことがわかったという点、この点に関しては、蓮舫代表は自分のあやふやな記憶に基づいて行動していたことに関してお詫び申し上げるということを申し上げているところであります。
 一方で、そういう(台湾)国籍が実は抜けていなかったということであったので、あわせて国籍を抜く手続をやってきて、それが9月に完了したということの事情はご存じのところと思います。
 一方で、国籍法14条第2項においては、国籍を二つ持っている人、日本国籍以外の籍を持っている方に関しては、それをなくす方法として二つのことが書かれていて、14条第2項の前段で、まず他国籍から抜けるという方法が一つありますということが書かれていて、後段で、他国籍を抜けるという手続でない場合には「選択の宣言」というものをしてくださいということが書かれています。  今申し上げましたように、蓮舫代表の場合には17歳の時に国籍を抜けたという理解でいたものですから、「選択の宣言」ということには当然論理的にいかないわけです。
 「選択の宣言」は、結局、今年10月7日に完了したことになるわけですが、これはなぜかというと、9月に台湾の籍を抜けましたという証明書をもらって、これを届けようとしたところ、これは受理できないという法務省からの意見があって、受理されない場合にはどうしたらいいのですか?というこちらからの問い合わせに対して、指導として、台湾の方の場合には14条2項後段の「選択の宣言」のほうをお勧めしていますと言われましたので、「選択の宣言」のほうを行わせていただいた。
 一方で、「選択の宣言」をした人に関して言うと、国籍法16条で、「選択の宣言」をした後、できるだけ早く実際に他国籍を抜けるようにしてください、努力をしてくださいということが書かれているので、この努力はどうしたらいいんですか?と問うたところ、法務省のほうからは、台湾籍の方の場合には台湾籍を抜けるということをやっていただけば、この努力は果たしたこととみなしますという紙(書面)もいただきましたので、そこまできちっと法務省の皆さんと調整したことを受けて、10月7日に全て手続を完了して、法務省との関係でも「選択の宣言」をしたということになります。
 そういった経緯でありまして、今おっしゃったように、確かに22歳になる時までに二つの国籍がないような状況にしなければならない。それ以降、それをやっていなかったわけでありますが、蓮舫代表の場合には17歳の時にもともと国籍を抜けていると思っていたのが、事実として違っていたと。そこの事実確認の甘さに関してはお詫びしているとおりでございまして、そこは認めた上で、新たに手続をし直したということでございます。

○年金制度改革法案について

【政調会長】
 年金は、ぜひよろしくお願いします。これ、本当にひどい計算ですよ。将来世代は7%増えますよと言いながら、一回もこの「年金カット法案」を発動されない前提ですからね。発動されないのに、なんでこの法案を出してくるんだという、極めて大きな矛盾がありますので、ぜひこれも今後追ってください。よろしくお願いします。