笠浩史国会対策委員長代理は26日午前、国会内で記者会見を開き、TPP(環太平洋経済連携協定)承認案について「28日の強行採決は当然ないと思っている」と述べた。

 TPPの審議をめぐっては、山本農林水産大臣による強行採決の可能性に触れる発言にはじまり、与党による地方公聴会開催をめぐる強行議決、委員長職権での参考人質疑の開催など政府・与党のおごりが露呈している。特に25日の参考人質疑の開催は、佐藤衆院議院運営委員長の裁定により、当初与党が強行して行う予定だった地方公聴会を26日に開くことで与野党が合意したその日の午後に、塩谷委員長が職権で決定。民進党はこうした与党の強行姿勢に猛抗議してきており、25日の質疑も退席した。

 26日から民進党が審議に出席した背景を問われ、笠国対委員長代理は、「TPPにはまだいろいろな論点や問題点がある。われわれは、参考人などの意見を聞きながら充実した審議をしていくことが国民の皆さんへの責任を果たしていくことだと思っており、それを与党側に求めてきた。与党の幹部からも『28日にも採決を』という発言も出ており、これについては厳しく対応してきた」などとこれまでの経緯を説明。そのうえで、佐藤衆院議院運営委員長が与党の強行な議院運営に対して異論を唱えたこと、与野党が27日に参考人質疑と集中審議、28日午前に一般質疑を行うことで合意したことなどから、「環境が整った」と述べた。

 与党が画策しているとの見方も残る28日の強行採決については、「当然ないと思っている。常識的な判断が働かれるだろう」と発言。「採決の環境が整うかは今後の審議次第。集中審議や、参考人質疑、中央公聴会といった特別委員会を設置した時のいろいろな合意事項がある。まだまだ問題はあり、充実した審議を求めていく」とけん制した。

 山本農水大臣の辞任については、「大臣の資質が大きく問われている」とあらためて指摘。「集中審議のなかでも厳しく追及していく。大臣自身がしっかりと受け止めていただくなかで判断をされることだ」と述べた。