江田憲司代表代行記者会見

2016年11月4日(金)14時01分~14時22分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=-zzhMTkvoh8


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○パリ協定の批准遅れについて

【代表代行】
 まず冒頭、本日、パリ協定が発効いたしました。
 来週からはモロッコにおいてCOP22(第22回国連気候変動枠組み条約締約国会議)がスタートするというのに、日本はオブザーバー参加、発言権がないというていたらく。これは国際的には政府の大失態だと思います。一番の理由は、見通しを誤って、この国会においてパリ協定よりもTPP協定を優先したという安倍政権の判断の間違いが大もとですから、本当に情けない限りだと思います。
 ご承知のように、1997年、京都議定書を橋本政権下で取りまとめた時は、まさにこの地球温暖化問題を主導する立場として、議長国として国際的な評価は極めて高かった。日本が国際貢献するにふさわしい、平和国家日本として地球規模のグローバルな貢献をする、それにふさわしい課題として、その問題に取り組んだ国としての評価は高かったにもかかわらず、これでこの国際的評価は地に落ちたということでありまして、当時、京都議定書に携わった一人としても大変失望しております。

○山本農水大臣の不適切発言 TPP特別委員会審議について

【代表代行】
 山本大臣発言は、そのおごり高ぶる、緩み切った安倍政権、政府・与党の象徴的な出来事で、我々民進党としては断固、こういう極めて不適当な発言をした、国民をなめ切ったというか、国会をなめ切っている、こうした発言をされた方の辞任を引き続き強く求めていきたいと思っております。


■質疑

○パリ協定の批准遅れについて

【「FACTA」・宮嶋記者】
 パリ協定の批准の遅れが大失態だというのはまさにそのとおりだと思うが、これは米中が電撃的に同時に批准し、その後、EUも遅ればせながらついていった。これはやはり官邸の失態なのか、基本的に外務省・環境省の情報力がないのか。まさに官邸におられたことがある江田さんの分析をお聞きしたい。どこの失態なのか。

【代表代行】
 明らかに官邸の失態です。今の外交は安倍官邸主導ですから。このTPPとの優先順位をどうつけるか、さらには北方領土問題、あるいは拉致問題、これは外務省を手下(てか)として官邸が高度な政治判断のもとに進めていると私は理解しておりまして、まさにこれは官邸の大失態だと思います。やはり目先の政局的な、政治的な利害に目を奪われて、世界の大きな流れ、潮流を見誤ったことについて厳しく糾弾されるべきだと思います。
 何度も言いますように、日本というのは平和国家として軍事的貢献はしない、そのかわりにこういうグローバルな地球的課題について積極的に貢献する。その一番の、トップ・アジェンダがこの地球温暖化問題だったはずなのです。そしてそれを、これまで歴代政権、「全て」とは言いませんが、主導してきた。そういった評価もこれで完全に失われて、国際舞台では嘲笑されているという状況です。
 こういうことについて、もう少し世論、国民も認識されるべきではないかと思います。報道に惑わされることなく、やはりこういう問題についてもう少し関心を持っていただいて、そこに注目していただくことが必要だと思います。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 もちろん官邸の責任なのだが、TPPを一丁目一番地で押している経産省が、ある意味で官邸をハイジャックしているようなところがあって、それで環境省や外務省は、自分達の価値観から言えば、合議制なわけだから、もっと討論すればこんな批准が遅れることにはならなかったのではないかと。旧通産省におられた江田さんに私が伺いたかったのはそこだ。要するに環境省・外務省ももう少し声を上げるべきで、それが足りないような今のわけのわからん「官邸主導」についてどうご覧になるか伺いたい。

【代表代行】
 私が政務秘書官をやっている時も「通産帝国論」とまで言われました。ただ、やはりこれは政治家たる、日本のトップリーダーたる安倍総理の決断次第なんです。
 確かに、今の安倍官邸、私の先輩・後輩が結構おります。その方々は、経産省の利害を代弁しているような人も一部いるかもしれませんが、しかし、そういうことも含めたさまざまな官邸スタッフの意見を聞いて、先ほど申し上げたような政策の優先順位を決めていくのも総理大臣なので、ここは言いわけできませんから。中身のいろいろなメカニズムでいろいろな批評は外からできますが、これはやはり総理大臣たるものが最終的に決断をする、その責任は総理大臣がとるということですから。
 じゃあ私が通産出身の首席秘書官だったから通産省の利益を代弁したかというと、当時さんざんやられましたが、私はスパッと42歳で辞めたように、むしろ通産省には厳しかったのです。橋本行革で、私は通産省の解体論をやっていました。通産省というのはもう時代の使命をほとんど失った省庁なんだと。残っているのは資源エネルギー庁と、特許庁と、弱い者の立場に立つ中小企業対策程度ではないかと。そうであれば経済企画庁を母体にして経済省をつくるべきだ、むしろ通産省は解体すべきだということを、当時、私は橋本総理に進言していたぐらいです。
 しかし、一方で通産から出向してきているメンバーは、また戻る人達は、通産省の利益を代弁したことも事実なので、そういうことも踏まえた上で申し上げると、今の安倍官邸でもそういうメカニズムはあると思いますが、しかし、最終的には総理が決断して判断されたことについては、やはり総理大臣が責任を持つ、という以上のことはありません。
 これは本当に国際的に日本の評価をおとしめる大失態だということを、国民もあまりよくわかっていないのではないかと思います。やはりメディアに左右されますから、世論は。とにかく我々が9月の時点で、実はこういう事態になっているのだと、批准が予測以上に進んでもう発効する寸前になっているのだと、これは今イの一番でやらないと来週から始まるCOP22に間に合わないんだという話をして、やっとメディアの方々も取り上げていただくようになって、ここに至っているわけです。都政ばかりに注目を集めているのもいいかもしれませんが、少しこういう問題も、もう少し早くやれば政府の危機意識も違ってきたと思いますが、しかしそれも政府の責任転嫁の理由にはなりませんので、これはやはり安倍官邸の責任です。
 「化石大賞」をまたもらうのではないですか。この分野における不名誉な「化石大賞」。石炭火力を40基以上ボンボン動かすのでしょう。「化石大賞」ですね、先んじて安倍総理に差し上げたいと思います。

○山本農水大臣の不適切発言 TPP特別委員会審議について

【NHK・一由記者】
 山本農水大臣の発言の件で、民進党などが辞任を求めていることに対して、政府・与党からは今のところ反応がないという状況だ。事態は流動的で何とも言えないが、こうした状況がこのまま続くと、民進党としてはどこまで行くべきだとお考えか。

【代表代行】
 再度にわたる極めて不穏当な発言、国会や国民をなめ切ったというか、おごり高ぶる象徴的な発言をしても、任命権者たる安倍総理が辞任させないということは、やはりこれは「お友達」なのではないですか。安倍さんの「お友達」の山本さんだからクビ切らないと思われてもしようがないと思います。
 それからこれを見ていると、1回目にそういう発言をされた。これも大変問題ですが、それに対して「しっかり厳重注意をした」。しかし、2度目もああいう形で軽口をたたく、“冗談”を言う。ということになれば、「厳重注意」をしたほうも本気ではなかったと理解せざるを得ません。なあなあで済ましておけば、国会は3分の2以上占めているのだから運営は進んでいくだろうという、はなからたかをくくったような態度でやっているということでしょう。だからこれはひとり山本大臣だけの責任ではなくて、任命権者が「しっかり注意をした」と言いながら、実際問題、全く本人には効いていなかったという、そういう事例ですから、本当に大問題だと思います。
 だから、(自民党の)小此木国対委員長代理からも、「民進党の気持ちもわからないではない」という極めて異例な発言が、与党の国対幹部から出るのではありませんか。それは我々、今まで政界に少しでもいた人間からすれば、そう思いますよ。
 こんなことに対してけじめもつけられないで、今日の午後、TPP特別委員会を強行採決するんだなんて、あり得ないでしょう。やりたいならば、どうぞおやりなさいと。国民の注目の場で、こういった山本大臣の問題についても全くけじめをつけず、数のおごりで強行採決してみなさいよ、ということです。我々は断じて許しませんよ、ということです。

○日銀「物価上昇2%」目標時期・5度目の延期について

【共同通信・下山記者】
 一昨日、日銀が2%の物価目標をまた先送りした。次のめどとして「2018年度ごろ」ということを言っているが、こうたびたび先送りしてくる中で、「2018年度」という数字を示すことについて、代行は現実味があると思っていらっしゃるか伺いたい。

【代表代行】
 あれは黒田総裁の任期(2018年4月8日まで)の後ですよね。無責任極まりないというか、実際問題、実現を放棄したということでしょう。
 私、この前の予算委員会でも、これはこれまでの日銀の金融政策の大きな方針転換だと申し上げました。日銀総裁としては絶対にそれは建前上認められないということでしたが、もう金融市場のその後の推移を見ましても、実際上もう諦めたと、それを正直におっしゃったのではないですか。
 何度も申し上げますように、この量的緩和、大胆な金融緩和は、もとはと言えば私が「みんなの党」を結党した2009年に提唱した政策です。当時は珍説・奇説の類いだと相当批判されましたが、そういうものから申し上げますと、これは期待感に働きかける政策でしかないのです。量的緩和というのは、将来物価が上がるだろう、実質金利が下がるだろう。そうすると消費者は今のうちに買い物をしていこうとか、実質金利が下がるのだろうからお金を借りて設備投資をしていこうだとか、そういった期待感に働きかける政策だったのです。その期待感が今、全くなくなっているわけですから、幾らこれから80兆、何十兆、量的緩和したって、市場は反応しません。ですから、これはもう失敗に帰しているわけです。
 もっと言うと、その時にも申し上げたのですが、黒田総裁は気の毒だと。確かに1発目の金融緩和、カンフル剤を打って、円安にもなって、輸出企業中心に収益が上がって株も上がった。その効果はあった。だからカンフル剤で一時的に体がシャキッとした、実はそれを狙っていたわけですが、カンフル剤でシャキッとした間に体質改善、必要であれば手術、構造改革をしなければいけなかったのです。具体的には「第3の矢」の規制改革等の成長戦略。それを全く怠けてきたものですから、その間にカンフル剤の効き目がなくなってきて、“痛み”までが出てきたのが現状だと思います。
 だから、これからは日銀総裁が逆立ちしても物価目標は達成できないし、安倍政権が成長戦略をサボっている以上、残念ながら景気はよくなるどころかどんどん悪くなっていくと思います。そういう意味で私は、アベノミクスの限界を今ヒットしている、露呈していると申し上げているわけです。

○野党連携について

【共同通信・下山記者】
 自由党の小沢代表が先週来、野田佳彦幹事長と2度にわたって会談を行った。短期間で続けて会うことにいろいろ憶測が出ているが、一時期は犬猿の仲とされた二人がそうした形で、友情が戻るのかわからないが、そうした形の会談をすることについて率直な受け止め、所感を伺いたい。

【代表代行】
 いいんじゃないでしょうか。そんな個人的な好き嫌い、恩讐を超えて、やはり野党連携のあり方というものをしっかり探っていかなければならないということでは思いは共通しているわけです。
 その中で、野党の中では比較的政策が近いというか、民主党政権では一緒にやったことのある人も多い。あるいは、社民党さんも同じく民主党政権で政権を組んだ。そういう方々と、幹部同士、野党連携のあり方を探っていくのは当然のことだと思います。

【朝日新聞・中崎記者】
 野党連携について伺いたい。本日、毎日新聞の報道で、共産党が17選挙区での一本化を民進党側に提案しているという報道があった。事実関係と、受け止めについて伺いたい。

【代表代行】
 私自身は承知しておりません。したがいまして、何とも申し上げられません。
 共産党が、それぞれご自身の思いを持つことは当然だと思いますから、具体的にそういうことがあるのであれば、また幹部の中でも調整というか協議が進められていくと思います。ただ、今の時点で私は承知しておりません。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 今日の産経さんの小池さんのインタビューを見ても、共産党側の主張はクリアだなと思う。一方、民進党は、野党共闘について主体性がどこにあるのかなというくらい、なぜ小沢さんとだけ2回夜会わないといけないのかよくわからないところもある。江田さんはいつも発言はクリアだが、野党共闘について民進党は主体性が足りないのではないかという見方について、どうお答えになるか。

【代表代行】
 足りないかどうかはよくわかりませんが、民進党が主導しなければならないという点については、おっしゃるとおりだと思います。野党連携を主導するのはあくまでも野党第一党の民進党であるべきだと。その役割をしっかり果たしていく。その一環として、野田幹事長と小沢代表が会われたと私は理解しています。おそらく今度は社民党でしょうし、その後、共産党という形で、まずしっかりとお互いの立場、意見、相違点等々を確認しながら、いずれ野党幹事長・書記局長会談は開かれるものだろうと私は理解しています。