野田佳彦幹事長記者会見

2016年11月7日(月)15時00分~15時31分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=uv948kbBl3Q


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○衆議院TPP特別委員会における強行採決について

【幹事長】
 先週の金曜日、TPPの特別委員会で、我々の反対を押し切り強行採決に至ったことは極めて遺憾に思います。強行採決ありきのような発言をずっと農水大臣がしてまいりましたが、結果的には彼の言ったとおりの強行採決に至りました。その責任は極めて重大だと私は思います。
 明日火曜日は衆議院の本会議でありますが、このTPPの採決を行うような本会議には強く反対していきたいと思います。国会を正常化するかどうか、できるかどうか、衆議院の正常化はあくまで与党に今は球があると思います。正常化するためのどういう提案をしてくるのかは、ちょうどこの時間帯(この会見中)、15時から議運の理事会が開かれると思いますので、そこで我々は先ほど申し上げたような姿勢をしっかりと主張するとともに、与党がどういう提案をしてくるかを注視していきたいと思います。


■質疑

○TPP承認案・関連法案の審議について

【朝日新聞・松井記者】
 TPPをめぐってはここ数時間に与野党でやりとりがいろいろあり状況は流動的だとは思うが、それを踏まえた上で、山本農水大臣の不信任案の取り扱いについて、今時点で民進党としてはどのようにお考えか。

【幹事長】
 出処進退(を決めるの)はあくまで本人だと思います。先ほども申し上げたとおり、ここまで国会が不正常になった原因は山本農水大臣の一連の発言でありますので、そのことを重く受け止めてもらわなければなりません。
 もしご本人がそういう決断をされないのならば、他の野党とも連携をしながら我々も厳しく対応しなければいけないだろうと思いますが、とにもかくにも今は議運の理事会の動向を見ていきたいと思います。

【読売新聞・藤原記者】
 昨日幹事長は岐阜で講演された際に、山本農水大臣の任命権者である安倍総理の責任も重いと指摘された。今後の国会審議を通じて安倍総理の責任についてはどういうふうに追及していくお考えか。

【幹事長】
 たしか1回目の農水大臣の失言、佐藤議運委員長に強行採決を期待しているような発言をした失言がありました。あの前日、たしか安倍総理は国会の答弁で自民党の文化について触れて、強行採決ありきという文化はない(「我が党において、今まで結党以来、強行採決をしようと考えたことはない」)とおっしゃっていた。その翌日に、その総理の発言を覆すようなことを農水大臣はおっしゃっている。
 加えて、短い時間の間にまた似たような失言をしたということ。これは当然、任命権者としてどう考えるかということは、国会のさまざまな場面場面で追及しなければいけないだろうと思います。

【フリーランス・横田記者】
 1日夜の山本大臣の失言が出て今回の事態に至ったが、その直前には「2日・委員会採決、4日・本会議採決」で与野党合意していて、それに対して民進党の現場はかなり強く反発していた。今はさておき、少し前まではTPPに対する姿勢が弱腰だったのではないかという声もあるが、それに対する反論・見解を伺いたい。

【幹事長】
 4日の本会議というのはパリ協定があります。COP22の会議が今日から始まるわけですから、その辺を見通して、パリ協定を速やかに国会で仕上げるということの責任を感じていたということであって、ここでまさか特別委員会での強行採決なんぞ起こるとは思ってもいませんで、自民党内の国対と議長や議運委員長との連携のなさが結果的にことを起こしているわけであり、我々はパリ協定などは本会議で通してもいいという判断からやっていました。
 国益を考えた対応をしてきたにもかかわらずこういう事態になったわけですから、それは厳しくこれからは指摘していかなければいけない、対峙していかなければいけない。

【フリーランス・横田記者】
 1日の夕刊の時点で、山井国対委員長が2日の委員会採決と4日の本会議採決を与野党で合意したことに対して、篠原孝さん初め特別委員会の現場が反発したと。その時点での対応がちょっと問題ではなかったのかという点についてはいかがか。

【幹事長】
 自然成立をまず阻むということの中でのその時の判断だったと思いますが、もう今はその時をはるかに超えた事態になっていると思います。

【NHK・山枡記者】
 国会の審議日程について、今、不正常の状況だが、議運で正常となるための提案がどうあるか、ということを冒頭でおっしゃっていた。昨日幹事長は、TPP特委の採決は不正常の中でやられたものだから、やり直しを求める、ということをおっしゃっていたと思うが、この点は今後どうなっていくか伺いたい。

【幹事長】
 どういう形で委員会を立て直し本会議にしていくのかは、これからの知恵の問題だと思いますが、まずは先ほど来申し上げているような、農水大臣がどうされるかというところが問われている。その前に、そういう具体的な審議の話をする段階ではないのではないかと思います。一番障害になっている不正常の理由は山本農水大臣でありますから、この問題が除去されない限り、いろいろなやり方というのはできないと思います。

【NHK・山枡記者】
 今回のTPP特委の対応をめぐって4野党が国会審議で、欠席するというか足並みをそろえた。4野党が足並みをそろえた対応をとったことが今後の4野党の選挙協力に与える影響に関して、幹事長はどういうふうにご覧になっているか。

【幹事長】
 プラスだと思います。国会の中でやはり足並みをそろえて対応することが、地域の現場で汗をかく時にも同一性が増すことにつながっていく、そういう期待を持ちたいと思います。

【朝日新聞・松井記者】
 TPP特の関連で伺いたいが、党内の一部には徹底的に抗戦すべき、闘うべきだということをおっしゃる議員と、一方で、審議は議論することが一番大事なので、日程闘争よりも審議の充実、より具体的な中身のある議論をすることを優先したほうがいいのではないかという声もある。そういった両方の声に対して幹事長としてはどのようにお考えか。

【幹事長】
 基本的には議論したいのですよ、みんな。同じですよ、そこは。
 ただ、議論したい、そのためには前提で情報開示をするとか、きちっと試算を出してくるとか、あるいは関係閣僚が不用意な発言をしないとか、そういう環境が必要ではないですか。環境が壊されているから、残念ながら強い態度で臨まなければいけないと思う議員も出てくるという状況ですので、根っこは全部同じです。

【朝日新聞・松井記者】
 今開かれていた議運の理事会で、与党側から、明日の本会議での採決は延期するという提案があったそうだ。それに対して、例えば10日での本会議採決については、民進党としてはどのように臨まれるか。

【幹事長】
 正式に報告を受けてから判断したいと思います。

【朝日新聞・松井記者】
 本会議での採決延期を与党側が提案してきた場合に、あくまで山本農水大臣の辞任を求め、そうでなければ不信任案を提出するという考えに変わりはないという理解でよろしいか。

【幹事長】
 正確な報告は受けていないので、結論ありきでは答えられませんが、もしそういう形で延期をした上でも、山本大臣が残っているままでは、大きな障害は残ったままであるという認識は変わらないと思います。

○今臨時国会の会期延長論について

【産経新聞・豊田記者】
 TPPの承認案と関連法案の衆院通過がずれ込んできていることで、与党内に今国会会期の大幅延長論が出始めているが、幹事長は延長の是非についてどうお考えか。

【幹事長】
 基本的には延長を前提とした国会審議はあってはいけないのです。定められた会期の中で丁寧な審議を尽くして結論を出すというのが国会のあるべき姿だと思います。安直な延長論を、我々は「はい、そうですか」と言うわけにはいきません。

○野党連携について

【北海道新聞・金子記者】
 野党共闘に関して伺いたい。先週、共産党から民進党に対して17選挙区での一本化の提案があったと一部報道があった。こういったことも踏まえて、現在の野党での小選挙区での一本化の調整状況などは11月に入ってどのような形で進んでいるか伺いたい。

【幹事長】
 まず、17云々という事実は私は承知していません。
 さまざまなレベルで、幹事長レベル・選対委員長レベルで各党と「できる限りの協力」についての実務的な議論はやってはいます。それ以上申し上げられません。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 小沢さんと2度会食されて、やはりこれはエンジンがかかってきたと見てよろしいのか。
 その前提として、やはり解散があり得るし、もしかしたら年内というような早いこともあり得るという認識でエンジンをかけておられるのか。
 三つ目は、その場合、その選挙は幹事長としては「準備万端」とは言わないが「望むところ」ということなのか。その3点を伺いたい。

【幹事長】
 小沢自由党代表とお会いしていることも含めて、それはいつ解散があってもおかしくないという認識の中で、野党連携を具体的に実務的に進めていく上で、お会いをし相談をしている。
 これはいつになるかはわかりませんが、(質問で解散が)「年内」というお言葉もありましたが、最短でもそういうこともあり得ますので、この協議を加速していきたいと思います。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 アクセルを踏んでおられると思うが、やはり野党は数が増えるには総選挙は「望むところ」ということなのか。その辺も含めて、臨時国会が延長されれば年内ということも十分にあると私は思うが、そういう意味で幹事長としてはどういう檄を飛ばしておられるのか伺いたい。

【幹事長】
 解散権は総理にありますので、望む・望まないではなく、解散を仕掛けてこられたらいつでも受けて立てるように、立ち遅れないようにすることが我々の最低限の役割だと思っていますので、そのための準備を怠りなくやっているということです。

【フリーランス・上出記者】
 メディアの試算では、これまでの票をもとにすると、4野党共闘では40議席以上、もし全野党だったら80以上というのが出ている。当然、そういう数字が出てきて、そういうことをやらない手はないということは誰でも考えると思う。ただ、政権構想ということになるとあれだが、最低限の協定ができて、そして衆議院で最大限の協力ができる、それが実現できるかできないか、幹事長は何が一番のポイントだと思われるか。そういう方向に行こうと思っていることを前提に聞いているがいかがか。連合の問題なども前お聞きしたいが、伺いたい。

【幹事長】
 いろいろなメディアが、この間は産経新聞にも試算が出てきています。大変、参考になります。勉強させていただいております。
 ですから、今、野党4党で協議をしていますが、その協議を加速化して、最大限議席獲得できるように努力していきたいと思います。

【朝日新聞・松井記者】
 選挙の候補者調整を含めて、4野党の幹事長・書記局長会談を近いうちに開かれるのではないかと思うが、その見通しと、今回重ねての会談になるが、あらためて今回の会談をどのように位置づけているか伺いたい。

【幹事長】
 できれば今週中にやりたいのです。ただ、国会の状況がこういう情勢なので、どのタイミングで4野党の幹事長・書記局長会談の日程をとるか、今、ちょっと調整をしている段階です。はかっている段階です、今。やりたいと思います。
 その位置づけというのは、国会での共闘をさらに強くしていく内容でなくてはいけないと思うし、先ほど来出ている「できる限りの協力」の協議を加速させるという意味でも大事な局面だと思っています。

【IWJ・城石記者】
 先日の衆議院補選では、取材をした東京10区の鈴木候補の支援者の方から、民進党の選挙協力に対する姿勢に落胆したという声を聞いた。先日、小沢代表と会談したということは、今度の衆院選に関しては、それとはまた違った対応が見られると有権者は期待していいのかお聞きしたい。

【幹事長】
 単純比較はできません。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 野田元総理はやはり筋を通す方だから、短期間に2度小沢さんと会うというのはやはりよほどのことだと私は思っている。これは単に「己を空しうして」やっているのか、それとも野田元総理は少し変わったのか。その先には志位さんとか、そこはわからないが。ただ、「ニュー・野田元総理」ということなのか、少し心境が変わったのかどうか伺いたい。

【幹事長】
 幹事長という立場でありますので、幹事長の職責として一生懸命お務めしているということです。

【フリーランス・堀田記者】
 2012年の総選挙で野田さんは負けた。小沢さんの日本未来の党も大惨敗した。小沢さんはその時に、長くついていたSPさんがつかない状況だ。政治家として、選挙で負けたということの話は2日間であったか。

【幹事長】
 心境の話ですか。やっていません。

○富山市議会補欠選挙の結果について

【フリーランス・安積記者】
 昨日、富山市議補選があった。政務活動費の流用問題について問われたが、この結果についてどう思われているかということと、地方議員の政務活動費の使途について、2年前の兵庫県議の問題から結構全国的にこれについては問題視されているが、ちょこちょこ出てくる。これについて党としてはどういう姿勢を示されるのか伺いたい。

【幹事長】
 富山の選挙については、我々は1人も候補者を出すことができませんでした。それは民進党においても残念ながら政務活動費で不祥事があったから、不正があったからであります。そのことは猛省しなければいけないと思います。深い反省の上に立って、次の選挙ではきちっと候補者が立てられるように、信頼回復に努めていきたいと思います。
 富山のような事態にならないように、組織委員長名で47都道府県連については通達を出して、政務活動費の適切な運用・執行を促しているところであります。

○新潟県柏崎市長選挙について

【東京新聞・我那覇記者】
 13日告示・20日投開票の新潟県柏崎市長選で、県知事選に引き続き原発再稼働が争点になってくると思われる。今、一部条件付きで再稼働容認派の方と、再稼働反対を表明している候補者がいるが、社民・共産は再稼働反対の方を応援するようだ。民進党としてはどういう対応をとるのか、国政レベルというか党本部レベルで何らかの関与を考えているか、考えをお聞きしたい。

【幹事長】
 結論から言うと、党本部が関与するということはありません。柏崎だけではなく、一般市の首長選挙の推薦あるいは対応は、地元総支部が基本的に対応を決める。それを県連に上げて、県連が判断をする。その手続に沿って、新潟県第2区総支部と新潟県連が対応されると思います。

○原発・エネルギー政策について

【フリーランス・横田記者】
 4日に小泉元総理が新潟で講演して、米山知事と意気投合しながら、あらためて野党統一候補が原発を(争点に)掲げれば与党に勝てると。囲み取材では、原発政策を次期総選挙の争点にするべきだという小泉さんの答えだった。前もお聞きしたが、2回の小沢さんとの会談を受けて、原発を争点にしようというお話は出たのか。

【幹事長】
 出ていません。

【フリーランス・横田記者】
 小泉元総理は、5年7ヵ月ほとんど原発稼働なしで電力不足になっていないので、「原発ゼロ」は即時実現できるのだと言って、全国講演行脚をしている。同時に、総理時代に原発が安くてクリーンで安全だというのはうそだった、だまされたということで、その過ちを悔い反省して「原発ゼロ」の、正反対の主張をしている。
 野田総理も大飯原発再稼働を総理時代に進め、同じ思いをしているのではないか。実は原発再稼働なしでも電力不足にならなかった。あれを再稼働しなければ当時の民主党の議員も落選することを避けられたかもしれない、そう思っているのではないかと思うが、再稼働に関する総理時代の取り組みについての総括というか、思いを伺いたい。

【幹事長】
 再稼働、2基やりました。関西の電力需給が非常に心配な時で、甲子園もある、ロンドンオリンピックもあるという時に、極めて深刻な状況の中での判断であって、間違っていたとは思っていません。

【フリーランス・横田記者】
 当時、大阪の橋下徹さんのブレーンだった古賀茂明さんや飯田哲也さんは「大阪府市エネルギー戦略会議」を立ち上げて、再稼働なしでも電力不足にはならないというシミュレーションをして計画を出したにもかかわらず、野田政権は再稼働をして、ふたをあけてみたら、再稼働しなくても電力が足りたという結果になった。当時は経産官僚の方にいろいろ言われて危機感をあおられた面はあるかと思うが、今振り返ってみると、あの経産官僚の、今の今井(尚哉)総理秘書官を含めて、原子力ムラの人にだまされたとか、もう一回当時の主張を検証しようとか、そういうお考えはないか。

【幹事長】
 ありません。
 予備率が3%ぐらいという危機的な状況もありました。結果的にはよかったのです、結果的には。だけど危険な状況であったことは間違いありませんので、その万が一に備えての対応であります。その中で、関西広域連合も最後は理解をされました。そういう前提の中で進めたことでありますので、間違っていたとは私は思っていません。

【フリーランス・横田記者】
 現在から見てどうか。

【幹事長】
 それは今お答えしたとおりです。あの当時(の判断)は、間違っていないと思います。

○日本とミャンマーの協力関係について

【フリーランス・上出記者】
 ビルマ(ミャンマー)からアウン・サン・スー・チーさんが来られた。蓮舫さんと一緒に野田幹事長も(会談に)同席されたということだ。私はアジア担当特派員として26年前の大勝利の時などに直接スー・チーさんに取材して大変思い入れもあるので伺いたいが、残念ながら日本政府の対応が軍政の時よりも落ちている。日本の企業もやりにくくなっている。政権が代わったことの混乱もあると思うが、今、腰が引けている状態だ。これに対してスー・チーさんは特に反発はしていないが、当然、きちんと進むことを望んでいると思う。その(会談の)席ではそういう話は出なかったと思うが、民進党としてはミャンマーに対して政府がちょっと弱腰になったりしているのをプッシュするといった考えはあるか。

【幹事長】
 私はそれこそテイン・セイン政権の時に、欧米各国がまだ迷っている時に、ミャンマーとの交流強化に踏み切っています。そして債務の問題も帳消しにする判断をしたのです。それはミャンマーにおける少数民族の和解であるとか、あるいは民主化など、期待を込めての対応でありました。その気持ちは今も変わりません。実際に今、アウン・サン・スー・チー氏が国家最高顧問になり外務大臣になり、その流れが加速することを期待しています。
 その上で、経済の協力も必要ならば、それはやってしかるべきだろうと思うし、だからと言って日・ミャンマー(の協力関係)が後退しているとも言えないのではないか。この間も大規模な資金協力を決めています。それは我々も基本的には評価していますし、私どもは今、野党になりましたが、与党・野党関係なくミャンマーとの関係強化はこれからも努めていきたいと思います。