蓮舫代表記者会見

2016年11月10日(木)17時30分~17時54分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=PCLhg1CGXlk


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○衆議院本会議でのTPP承認案・関連法案の強行採決について

【代表】
 先ほど衆議院の本会議でTPP(承認案)、そして関連法案が強行的に採決されました。非常に憤りを覚えています。
 昨日のトランプ新大統領選出のアメリカ大統領選の結果を受けて、誰もが思うことは、TPP自体は米国が批准しなければ発効しない仕組みになっているのに、なぜ我が国だけがこの批准を急ぐのか。それに対する明快な説明がないまま行き急いでいる姿勢というのは、なかなか理解ができません。
 国会というのは税金で運営されています。税金で運営されているのであれば、国益にかなう、国民が求める最優先事項を審議するべきです。それは今、TPPではなくて、長時間労働の是正ではないかとあらためて思います。

○玄海原発3・4号機の再稼働に向けた安全審査合格内定について

【代表】
 昨日、原子力規制委員会が九州電力玄海原発3・4号機の安全審査合格を内定しました。
 再稼働自体は来年の夏と聞いてはおりますが、これまでの鹿児島あるいは新潟の知事選の結果を見ましても、国民の原発再稼働に対する姿勢はそう積極的なものではないと私達は理解しております。なぜここまで次々と再稼働に向けた手続を進めているのか、やはりこれもなかなか理解ができません。
 再稼働をするのであれば、少なくとも福島の教訓を踏まえて、避難計画に国がもっと深く関与するべきだと思っていますので、この政府の姿勢は、私達は到底納得することができません。

○「『土人』は差別だとは断定できない」鶴保沖縄担当大臣発言について

【代表】
 鶴保沖縄・北方担当大臣が、「土人」発言を肯定する発言を繰り返していますが、これも理解ができません。同じ内閣で金田法務大臣・菅官房長官が、この「土人」発言を問題だとしているにもかかわらず、沖縄担当大臣だけが、問題ではないとする。閣内不一致でもありますし、沖縄に向き合う姿勢とは到底思えません。
 むしろ、これまでの自民党の長い政権でも、我々の時でも、沖縄の振興の予算と基地問題は切り離して考えてきましたが、それさえも一緒くたにしている大臣ですから、あらためて大臣の資質、この発言の軽さというのは、国会、さまざまな委員会で要所要所を問うていきたいと思っています。


■質疑

○TPP承認案・関連法案の審議について

【朝日新聞・中崎記者】
 TPPに関連して伺いたい。本日、先ほどの衆院本会議で可決され、明日から参院で審議されることになるが、民進党として参議院でのTPPの審議にどのような姿勢で取り組んでいかれるかということと、先ほど話があったが、米国の参加が見込めない、発効が厳しいという情勢の中で、民進党として一体何を議論していくか。2点伺いたい。

【代表】
 アメリカが批准しなければ発効しない。アメリカの次期大統領は「就任当日に脱退する」と明言しています。じゃあ、何を議論するのでしょうか。むしろ、私達はこのことを政府に確認をしたいし、国会を有限な資産の税金を使って運営していく中で、政府からは納得できる説明が当然あるものと思っておりますが、そこは引き続き確認をさせていただきたいと思います。私達は、やる意味さえもわかりません。

【朝日新聞・中崎記者】
 確認だが、審議拒否ということはなく、明日からの審議自体には応じていかれるということか。

【代表】
 今日の衆議院の強行的な手法には、これは到底納得できません。ただ、条約ですから、お尻がある話でもあります。また、国民の関心はむしろ、なんでTPPの審議を今、国会を開いて行うのかというところにあると思いますので、そうした民意も敏感に酌み取りながら参議院での運営は決めていきたいと思います。

【フリーランス・上出記者】
 一体何を議論していくのかということに絞って参議院ではやっていきたいということは、もうトランプ氏が当選してしまったので、いろいろな細かいことはそんなに追及しないで、その一点を中心にと、そう捉えてよろしいか。

【代表】
 もちろん大前提として、この政府が交わしてきたTPPの内容そのものに、例えば遺伝子組み換え食品であるとか、ホルモン剤の飼料の問題であるとか、いろいろなことが衆議院では明らかになりました。中身自体にも大きな問題があるし、政府から科学的根拠に立った答弁が十分に得られていない中で、衆議院で我々はなお、トランプ氏当選の結果が出る前は、引き続き継続審議を求めていたところを、国会の運営、議長あるいは議院運営委員長のあずかり知らないところで委員会を立てて、そして強行に採決した手法そのものもおかしいと申し上げてきました。
 さらに言えば、TPPはもう脱退すると言われている方が大統領に就任される見通しなわけですから、何のために議論を行うのかというこの確認から入らなければ、中身には進めないと思っています。

【朝日新聞・中崎記者】
 TPPの審議について伺いたい。本日、山本農水大臣の不信任案が否決されたということで、引き続き明日以降も山本大臣が答弁に立つことになるが、山本大臣に対する追及、この問題、不信任案は否決されたが、参院の論戦においてはどのように対応されるお考えか。

【代表】
 衆議院で不信任案が否決されたというのは一つの結果です。それは民主主義として、私達はそれをも否定するものではありません。ただ、大臣そのものの適格性、あるいは政・官・業の利益供与に関する発言を、息をするように自然にされた方ですから、そうした姿勢も含めて委員会で、つかさつかさで確認をさせていただくことになると思います。

○アメリカ大統領選挙の結果について

【フランスRTL放送・ルジャンドル記者】
 女性の政治家として、クリントン候補の敗北をどう思われるか伺いたい。

【代表】
 最もアメリカで「ガラスの天井」を壊す方だと思っていました。その部分では多くのアメリカの女性の方達が応援していた姿勢も見ていましたので、このことによって、引き続き手を挙げる女性が少なくならないことを期待します。

【フリーランス・上出記者】
 トランプさんは選挙中に言った政策を、具体的にこうするということをまだ明確に言っていないので今後どうなるかわからないが、一つの関心事は日本に対して、いわゆる「思いやり予算」、米軍駐留経費をもっと払えというようなニュアンスのことを言っていた。もし本当にこうなった場合、もう日本は十分に払っていると思うし、当然それについては説得力に欠けると思うが、これについての民進党としての姿勢、心構えみたいなものがあったらお聞きしたい。

【代表】
 まず大前提として、もう我が国の米軍の駐留経費の負担は十分だと思っています。ただ、その上でトランプ新大統領が選挙戦中に、100%負担を求めるというような発言を繰り返していたことも承知はしています。ただ実際にどういう提案をされてくるのか全くわかりませんので、これに対して今私が先走ってお答えする立場にはありません。

【テレビ朝日・延増記者】
 安倍総理が今日、トランプさんと電話会談をして、TPPが話題に上がらなかったということだ。17日に安倍総理がニューヨークに行って会談するが、これについての受け止めと、どういうことを求めたいか、何かあるかお聞きしたい。

【代表】
 安倍総理が(9月に)訪米された時にヒラリー・クリントンさんだけにお会いになったことには違和感を持っていましたので、その部分では素早いタイミングで、17日でもお会いをするという英断をされたのは、率直に評価をいたします。
 ただ、実際に何を話されるのか、あるいはどんな課題を提案されてくるのか、あるいは宿題を持ち帰ることになるのか注視をしたいと思います。

【フリーランス・横田記者】
 トランプさんは、負担増に応じない場合は在日米軍撤退もあり得るということを主張しており、今の辺野古の新基地建設が税金の無駄になるのではないか。つくったはいいが、米軍が撤退したらほとんど利用価値がなくなるということからすれば、まず凍結して、アメリカ政府の対応を見きわめると。その間に、自衛隊が肩代わりして緊急時だけ米軍に来ていただくような場合に、実際どれくらいかかって、抑止力が維持されるのかどうか、そういう比較検討を民進党もするといいのではないかと思うが、率直なご意見を伺いたい。

【代表】
 大切にしなければいけないのは、沖縄の皆様方に寄り添う姿勢だと思っております。ただ、今の政権は必ずしもそこは寄り添っていないし、担当大臣の不適切な発言等も含めて懸念をしています。
 ただ、トランプ次期大統領がこの沖縄に対してどのような姿勢で臨まれてくるのか、選挙戦中のある意味乱暴な発言は承知はしていますが、実際に大統領になられた時にどんな具体的な要望や提案や行動に移られるのか、そこを見てみないと、私どもから先走って「こういうふうにするべきだ」と言う立場にはないと思っております。

○農水大臣不信任案否決・今後の衆院運営について

【北海道新聞・金子記者】
 今日、衆院本会議での強行的な採決があり、現在、衆院のほうは委員会などが開かれない不正常な状況になっている。今日、山本農水大臣の不信任案を提出し、否決されたということで、衆院の今後の国会運営についてはどのように臨まれるか確認したい。

【代表】
 衆議院の国会運営は、また(他の)野党の皆様方とも連携を深めて歩調を合わせていかなければいけないと思っております。特に「年金カット法案」や、あるいは「働き方改革」、我々は長時間労働を規制すべきだという法案を提出しておりますので、国民が求めている課題については逃げずに向き合わなければいけないと思っています。ただ、今日、不信任案が否決されたことで、じゃあすぐさまそうした方向に転換するのかというと、それはまた国対間で丁寧な議論をしながら進めていくことになると思います。

【NHK・花岡記者】
 不信任が否決されたことについての受け止めを伺いたい。

【代表】
 大臣自らが立法府の議院運営委員長に「強行採決するかどうかは、この佐藤さんが決める」と軽口をたたいたり、あるいは謝った後にもかかわらず問題発言を繰り返す方が、本当に適格性があるのかどうなのか。それ(不信任案)を否決したのは自民党・公明党ですから、私達はその自公の否決した姿勢というのは国民の感覚とは離れていると思っています。
 ただ、数がありませんから、我々の思いが届かなかったことは極めて残念です。

【NHK・花岡記者】
 この間、今日予定されていた憲法審査会が17日・24日に延期された。また、延期されたことについて、与党側から、憲法審査会は政局と切り離して審議すべきだという批判の声もあったが、このことについて代表はどうお考えか。

【代表】
 与党、そして私達の筆頭幹事で、冷静な話し合いのもとに運営を決めていますので、政局の影響が特段あったとは思っていません。

【フリーランス・横田記者】
 山本大臣の不信任案に関連して。問題発言として、福島伸享さんの相手候補のパーティーに出て、JAの方々が農水省に行くといいことがあるのではないかと、口利き誘導、利益誘導発言をしている。この前の新潟県知事選でも二階さんが現地に入って、農業関係者を前にして、土地改良事業が増えたから自公推薦候補をよろしくと、同じような利益誘導発言をしている。こういう自民党のバラマキというか、体質については、今後追及して総選挙の争点にもしていくお考えと理解してよろしいか。

【代表】
 先輩たちが、そうした政・官・業の癒着やバラマキで業界とつながるということがないように政治改革を進めてきた。その改革の魂を守ってきているのは私達だと思っています。まさに民進党と自民党との大きな違いだと思いますので、ここは引き続き訴えていきたいと思います。

【読売新聞・佐藤記者】
 不信任決議案に関連して。日本維新の会は棄権という立場で、信任せず、さらに野党側にも同調しないという立場をとった。そのことについて、野党第一党の党首としてどのようにお感じか。

【代表】
 特段、関心ないです。

○原発・エネルギー政策について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 冒頭の玄海の話で、実際動いているのは二つだけだが、これで再稼働ゴーが10基できたことになる。福島の事故が起こって6年目に入るわけだが、今の政府が本当に民意というか、国民に話を聞いているのか疑問もある。民進党は蓮舫さんのもとで玄葉光一郎さんに「2030年代・原発ゼロ」の方針(工程表)を作らせるということだが、どんな形で国民の民意を聞こうとか、そういうことでどういうお考えがあるのか伺いたい。

【代表】
 「2030年代・原発(稼働)ゼロ」は、あの3.11を政権与党として経験した私達の絶対に譲れない大前提です。その部分ではやはり省エネルギー・再生エネルギー、そのことによって国際競争力を高めて、地産地消の、この国の雇用であるとか経済発展に寄与する、そうした工程表もこれまでまとめて作ってきました。玄葉エネルギー環境調査会長にも引き続き、国民に届く言葉で、どういう説明をさせていただくのが一番適切なのかは、今、まとめていただいております。
 少なくとも鹿児島や新潟の首長選挙で見た国民世論、6割を超える方達がやはり原発の稼働に対して消極的という部分は、大きな民意だと思っていますので、私達は常に民意に敏感な姿勢で打ち出していきたいと思っています。

【フリーランス・横田記者】
 今日発売の「週刊文春」に、民進党は原発ゼロを政策として決めようとしたが、野田佳彦幹事長が反対して、もめてまとめられなかったと。連合にも配慮したという記事が出ている。この事実関係を伺いたい。
 小泉元総理は全国講演行脚で、5年7ヵ月ほぼ原発ゼロだったと。だから先ほどおっしゃった民進党の今の原発政策を、より踏み込んで「原発即時ゼロ」を旗印として掲げるのは可能なのではないかと思うが、その辺についてはいかがか。

【代表】
 即時、明日からゼロというのは現実的ではないと、これまでも何度も申し上げています。
 ただ、今おっしゃった週刊誌の記事の事実もありません。私が言っている「2030年代・原発(稼働)ゼロ」、それに対して幹事長が反対を唱えるはずもない。

○野党連携について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 この10日くらいギクシャクした感じがあった連合とか共産党。昨日の幹事長・書記局長会談で、野党の真ん中に民進党がいるという形になったと、そういうふうに江田さんなんかもおっしゃっていたが、そういう形ができたとお考えになっているか伺いたい。

【代表】
 私自身は、ギクシャクしているとは必ずしも思っていませんでした。ただ、やはり野党との連携、その時に私達の旗をどこまで高々と掲げられるのか。あるいは連合との信頼関係、どこまでお互いの政策でわかり合うことができるのか。これはこれまでの財産もありますので、それをどういうふうに前に進めていくかという調整はあったと思いますが、そこは幹事長を中心にまとめてくださっていると思いますので、これから先、そういう懸念を抱かれることはないと思います。

○「働き方改革」について

【朝日新聞・中崎記者】
 冒頭でも働き方についてのご発言があった。昨日、国対のヒアリングで過労自殺をされた方の奥様の話や、電通のお嬢様を亡くされたお母様の話も聞かれた。今回、TPPではなくて「働き方改革」をもう少し議論すべきとおっしゃっており、野党としても(長時間労働規制)法案を出しているが、今後、国会の中で、TPPを進めていく政権に対してどのように迫っていくお考えか。

【代表】
 今の政権は、掲げてきたスローガンは全部賛成できます。「女性の活躍」あるいは「働き方改革」「地方創生」。ただ、言っていることとやっていることに随分落差があることは事実です。
 「輝く女性」は、具体的に輝かせる政策、税制の改革は全て棚上げされて、「一億総活躍」に包含されました。
 あるいは「地方創生」、これは結果としてはバラマキで終わっているという問題点指摘は、予算委員会の時にさせていただきました。
 あるいは「働き方改革」と言うのであれば、まさに長時間労働で娘さんが亡くなられた、あるいは最愛の人を失ってしまった方達の声に寄り添う、11月は強化月間(過重労働解消キャンペーン)にもかかわらず、TPPが最優先、あるいは「年金カット」が最優先。
 この姿勢は、スローガンとやっていることが違い過ぎると思いますので、私達は提案型で、引き続き声高に「働き方改革」を行うべきだと訴えていきたいと思います。

○民進党オープンフォーラム「近現代史研究会」について

【日本経済新聞・佐藤記者】
 先日開かれた民進党の「近現代史研究会」の件で伺いたい。この「近現代史研究会」でどのような歴史を学んでいくのか、歴史から何を学んで、民進党の政策づくりにどのように生かしていきたいとお考えか。

【代表】
 これはやはり我々の人生の先輩でもあり議員の先輩でもある藤井裕久先生の大変貴重な人脈あるいはご発案のもとで、我々議員のみならず、オープンフォーラムという形でたくさんの民間の方にも入っていただいて、研さんを積む場所として設置したものです。
 ですから、終わりもないですし、次から次へと新しいテーマを出して、私達が歴史から学ぶものをそれぞれがしっかりと学んでいく、まさにそういう場所だと思っていますので、引き続き大事な研究会だと思っています。

○IR推進法案について

【フリーランス・横田記者】
 IR法案について伺いたい。小池都知事は、カジノとIR(統合型リゾート)は別物だと、カジノは反対だがIRは推進だと会見でもおっしゃっているが、カジノはIRの面積のうち5%くらいで少ないが、収益の大半をカジノでたたき出していて、家族連れでIRに行ったら父親が大損してギャンブル依存症になる一方で、母親と子どもがテーマパークで楽しむというような、こういうビジネスモデルは不適切ではないかと思うが、蓮舫代表の考えを伺いたい。

【代表】
 カジノに関してはいろいろな声があることも承知しています。我が党内にも賛否それぞれのお立場の考え方があることも承知しています。
 ただ、私個人としましては、射幸心をあおる、あるいはギャンブル依存症の問題、この部分がもう少ししっかりとクリアにならなければ、国会で審議をする土俵というのが整わないのかなとは思っています。