江田憲司代表代行記者会見

2016年11月11日(金)14時03分~14時42分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=6Dkab1XIDXw


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○「ダレノ(誰の)ミクスプロジェクト」の活動について

【代表代行】
 私が座長を務めます「ダレノ(誰の)ミクスプロジェクト」、来週2回にわたって開催をいたします。いよいよ豊洲問題に切り込もうと思っております。
来週の火曜・11月15日の16時からは、まず会計検査院からのヒアリングを行います。ご承知のように先般、会計検査院が史上2番目の規模と言われる1兆2189億円のムダ遣いを指摘したということですので、その中身につきましてプロジェクトメンバーでヒアリングをいたします。
その最大の焦点は、そこで指摘されている、預金保険機構に1兆円超の剰余金があることが判明したと、これを国庫返納させるべく、我々もしっかり取り組んでまいりたいと思います。そういう趣旨で、それに限らず、指摘をされた史上2番目のムダ遣いの中身についてヒアリングをしようということです。
 続きまして、来週水曜日・11月16日10時半からは、豊洲市場の問題につきまして賛成・反対両側からの卸業者の皆様にご出席をいただいて、現状、問題点、ご要望等々についてヒアリングをさせていただきたいと思います。
 ご案内のように、この卸売市場につきましては農水大臣の認可が必要ですので、当然国政レベル、国会議員のレベルでも重大な関心を持って取り組んでいくべき問題だと考えております。
 特に土壌汚染、「食の安全」という、国民が大きな懸念を有しているところで、これにつきまして卸売市場法の認可基準等を改正する必要があるのかないのか、議員立法で提出することも視野に入れて検討を進めたいと思います。
 この「ダレノ(誰の)ミクスプロジェクト」というのは税金のムダ遣いの解消プロジェクトですが、その設立趣意書にも、特にこの豊洲問題、オリンピック・パラリンピック問題につきましては深掘り調査を行うことを明記しておりますので、その第1弾としてこの豊洲市場の問題についてもしっかりと取り組んでいきたい。こういう趣旨です。
豊洲の問題で土壌汚染、「食の安全性」という問題はもちろんあるのですが、私が聞くところによると、結局、豊洲市場というのが、その中に入って働く方々、卸業者の皆さんのニーズに全く合致していない点が多々あるということです。
 これは一部報道もされておりますが、例えば1店舗当たりの面積が極めて狭い。築地よりも狭いような状況の中でひしめくような状態になる。
 電源のキャパが少ないものですから、例えば煮アワビとか煮アナゴをつくれるような電源が完備されていない。
 それから荷重制限があって、通常の冷凍庫を搬入しただけで床が抜け落ちるというような問題もあって、これは未確認情報ですが、賛成・推進派の某社が冷凍庫を実際に搬入したところ床が抜け落ちたということが最近あったようでございますので、こういった事実関係についても(ダレノミクスプロジェクトで)しっかりと精査をしていきたいと思います。通常の冷凍庫を搬入しただけで床が抜け落ちるということは、何らかの地盤との関係があるのではないかと。あまり先走って言いたくないですが、地盤沈下とか、要は水平になっていないとか、過重があるところに一点に集中的に荷重がかかるがゆえに床が抜ける、そういうことも推測されますので、まず、豊洲市場というのが今の築地の代替機能を本当に果たせるのかという面からもしっかり検討していきたいと思います。
 ご承知のように大田市場というのがございまして、かなり広範なキャパ、能力を持つところでございます。大田市場は1989年にオープンしたのですが、当時は築地ブランドが極めて隆々とした時代で、水産関係の皆さんを中心に、大田市場には移らないという意向が強かったらしいので、今は、水産も一部入っていますが、青果、野菜と花の市場になっておりますが、私が聞いているのでは、最近もう豊洲ブランドが地に落ちて、仮に豊洲に入ったとしても、もう取引停止を求められている社も結構出ているようでして、既に賛成派の人達の中にも豊洲に移るのではなくて大田市場に移ろうという動きがあるようです。
 一方、豊洲については、そういう意味で本当に卸売市場としての機能が果たせるのか。問題点が多々指摘されている中で、既に他の用途に転用されるのではないかという話も、具体的な転用先の名前も含めて卸業者の皆様の間の話題に上っているということも聞いております。小池知事が4段階のフェイズで、段階を追って、この豊洲問題についての収束プロセスを先般の記者会見で示されたようですが、そのプロセスを経て、一体それは予定どおり豊洲に移転されるのか。それとも豊洲を諦めて、第3の候補、別の候補地に行くのかということも不透明な中で、ご承知のように豊洲市場の管理のために日々500万円内外の税金が費やされている。一方で、移る前提で既に設備投資をしている卸業者の皆様の、これは長引けば長引くほど補償額もどんどんかさんでいくわけで、これも全て税金です。
 要は、そういう意味では環境アセスメント、いろいろな安全問題の検証、使い勝手のよさ・悪さの検証というのは必要なのですが、日延べすればするほど税金がかさんでいくということもしっかり念頭に置きながら、我々としても卸売市場の認可、農水大臣の認可という観点から、しっかり取り組んでいかなければいかんと思っております。


■質疑

○「ダレノミクスプロジェクト」・豊洲新市場問題について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 「ダレノミクス」の大きなテーマは二つ。これはどなたか、主査というのか、何か役割分担をしてやるのか伺いたい。

【代表代行】
 「ダレノミクスプロジェクト」は分担を決めており、基本的には省庁ごとに20人弱の主査に割り当てておりますが、この豊洲問題につきましては担当は東京都選出の初鹿明博衆議院議員として、来週水曜日のヒアリングも初鹿さんにお願いして設定したものです。その結果、議員立法が必要だということになった時の担当も初鹿議員ということになるのだろうと思います。

【東京新聞・我那覇記者】
 豊洲のプロジェクトチームの関係だが、議員立法も視野に入れているというお話だったが、今のところのスケジュール感はあるか伺いたい。

【代表代行】
 豊洲に行こうとしていた卸業者の皆さん、もともと豊洲には反対だった卸業者の皆さん、何社かに来ていただいて、まずは現状、問題点、要望等々についてお聞きするということからスタートさせたいと思います。
 ただ、そうは言っても、先ほど言いましたように、1日延びるごとに多額の税金が費やされていくという事態ですから、スピード感を持って議員立法についてもその案文づくりを進めてまいりたい。おそらく、水曜日の時に要綱めいたものは出せるように、そこでたたき台を議論できるようにしていきたいと思いますし、火曜日・水曜日と連日やります場はマスコミフルオープンでやらせていただきたいと思っております。

【東京新聞・我那覇記者】
 予断を持って言うのはよくないかもしれないが、現状で、先ほどおっしゃっていた農水大臣の認可に関わる法律の部分で、こういったところが切り込める、あるいは変える必要があるかもしれないと想定されていることはあるか伺いたい。

【代表代行】
 卸売市場法というのを見ていただくと、その認可基準の中に、土壌汚染とか「食の安全」についての基準が書かれていないのです。書かれてあるのは、卸売市場法の第4条2項のところに認可基準が列挙されており、そこに安全絡みで関係すると思われるような獏とした規定として近代的な卸売市場の立地に関するもの(「近代的な卸売市場の立地並びに施設の種類、規模、配置及び構造に関する基本的指標」)としか書かれていないのです。認可基準。
 したがいまして、今の法律上の認可基準からは、今議論されている、懸念されているような「食の安全」とか土壌汚染というものが認可の(審査)対象になっているかどうかが不明確なものですから、やるとすればここに「食の安全」とか土壌汚染等々の観点からしっかり対策が講じられているものと、文言は別としてしっかり明定する必要があると私どもは思っているのです。それを明定することで、その関連の認可申請書類もそれに符合した、対応したような、しっかりとした安全担保のための申請書類が上がってくる。それに基づいて農水大臣が審査をして認可するというプロセスになっていきます。
 卸売市場というのが、いわゆる経済的側面、事業の継続性・安定性の基準しかないところに、今回のような「食の安全」、土壌汚染等々を含む、国民が一番懸念している安全基準というものがない。少なくとも明定されていない。ここを明らかにするという意味での議員立法というのは一つ考えられるかなと思っております。

○トランプ氏当選・TPP審議について

【朝日新聞・松井記者】
 ムダ遣い撲滅の観点から見て、TPPの審議だが、衆院を通過して今日から参院に審議の場が移ったわけだが、トランプ氏が(米国)大統領に当選したことでそもそも発効の見通しが非常に不透明となっている中で、貴重な国会審議の時間を発効の見通しが非常に不透明なTPPに割くことについて、江田代行としてはどのように見ているか。

【代表代行】
 ご指摘のように、国会審議にも多額の税金がかかるわけで、端的に言えば国政の優先順位、国会審議の優先順位を安倍政権は完全に間違っているということだと思います。そういう、極めて不透明となっているTPPを優先審議するよりも、優先して審議すべき事項は山ほどあると思います。
 そういう意味で、今日も参議院で審議がスタートいたしましたので、我々としてもそれは今、多勢に無勢な国会の中で審議拒否をするということはあまり理解も得られませんから、しっかり中身の審議を進めてまいりたいと思いますが、徒労感というか、これを審議して何のためになるのかと。そこで莫大な審議時間が取られ、総理の時間も取られ、我々の時間も取られるわけですから完全に国会審議の優先順位を間違っている。パリ協定については言うまでもなく。今回の秋の国会は本当におかしな国会だと思います。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 江田さんは貿易摩擦が激しかった頃、通商の現場におられた。その当時のトランプ氏の対日強硬というのはかなり有名なわけだが、そういう純粋経済人のような米大統領が出てきたことを、江田さん的にはどういうふうに受け止めているか伺いたい。

【代表代行】
 言われているように、やはりトランプ氏は通商摩擦当時の日本というイメージでまだ止まっていると思う。そこはしっかり、当時とは構造的にも貿易赤字的にも、あといろいろな意味での自由化の進捗度合いも含めて随分違うのだということをよくご説明しなければいかんと思います。
 ただ、いろいろな意味でこれから政権移行チームの動きというものを見きわめていかなければいかんのですが、一つ確実に言えることは、トランプ政権下のアメリカは内向きで保護主義的な動きになっていくのだろうなと。ですから、日本としてはしっかりそこに対して対応していかないと、拡大均衡どころか貿易や経済の縮小均衡に世界経済が陥ってしまう、そういった危険すら感じられますので、そこはしっかり、17日ですか、安倍総理が早速トランプ次期大統領と会談されるようですから、そこについての意見交換をしてきていただきたいと思います。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 TPPの推進、これは米国で得体の知れない大統領が出てきても我が国は微動だにしないと、左右されないと、我が信じる道を行くと、逆にそういうふうに安倍政権は考えて推進しているという、そういうポジティブな受け止め方もあるのではないかと思う。それは自信なのか過信なのかわからないが、得体のしれない大統領が出てきたのを奇貨として、安倍さんは一歩前に進んだのかなと思うが、一歩、対米追従ではない独自の路線を行くという、そういう印象が私などにはあるが、その辺はどうご覧になるか。

【代表代行】
 もし仮にそうだとすれば、残された安倍さんの道は、トランプさんに翻意を促してTPPを推進の立場に転じさせることしかないのではないですか。もし今おっしゃったような、まさに対米追従ではなく、安倍さんがむしろ前向きに一歩進んだという評価をされるのであれば、安倍さんに残された唯一の道は「トランプさん、『君子豹変す』ですよ」と。「TPP推進で」ということで具体的にTPP推進に転じさせれば、私も、安倍総理とTPPに対する立場は違いますが、それは一つの外交手腕というか、対米従属ではない一つの、安倍さん側に立った政治的な成果であるという評価もできようかと思いますが、そういうことが本当に起こるのでしょうか。

○新たな日米ACSAについて

【フリーランス・宮崎記者】
 今国会、条約案件は3件あり、TPP、パリ協定、もう一つは日米ACSA(日・米物品役務相互提供協定)の新条約がある。今ある条約は「周辺事態」で日本自衛隊が米軍に水や油を後方支援した場合の決済のやり方などだが、新しい条約は「重要影響事態」で、弾薬の提供も含めて、その場合の決済は日本円なのかとか、そういったことを定めた条約がかかっている。ひょっとするとこの国会で承認されなければ、アメリカの政権が代わる前には発効しないと思うが、この日米ACSAに関して今後どういった考え方で党として取り組まれるか。

【代表代行】
 我々とは基本的に考えが異なる「重要影響事態法」、それに伴うACSAですから、その中身については徹底的に、問題点の指摘を含め審議を尽くしていきたいと思います。
 ただ、この問題につきましても、一体トランプ新政権が、駐留米軍の問題、日米軍事同盟の問題等々について、まず基本的なスタンスがどうなのか、大変不透明なところがございますから、それも見きわめた上でやっていけばいい話だ。ましてや、こういった問題点を多々含むような協定ですから、我々としても中身は十分精査をしてまいりたいと思います。

【フリーランス・宮崎記者】
 確認だが、徹底審議とおっしゃったかと思うが、その審議の前でしっかりと精査をしたいという意味合いも含めてか。

【代表代行】
 もちろんです。ACSAは橋本政権で、前のガイドラインの見直しに伴って、私も直接携わらせていただきました。その中身は極めて複雑精緻、軍事的な専門知識も要るものですから、そういう問題についてもしっかりと精査していかなければいかんと思います。

○日印原子力協定について

【時事通信・島矢記者】
 原発の問題について伺いたい。インドの首相が来日され、原子力協定を結ぶ方向になっている。安倍政権は、国内では原発再稼働を進め、一方で国外に原発を輸出するという政策を進めているが、代行としてどういうふうにご覧になっているか。

【代表代行】
 この原子力協定というのは、原発輸出だけに焦点が当てられがちですが、その中身は、いろいろな技術協力であるとか、核物質の管理であるとか、多岐にわたっておりますので、一概にこれを頭から否定するという立場ではございません。
 ただ、ご承知のようにインドにつきましては過去に核実験もやっておりますし、NPT(核兵器不拡散条約)やCTBT(包括的核実験禁止条約)にも加盟していないという中で、我が民進党としてはやはり慎重に対応していかなければいかん問題だと思っております。
 政府はそういう形で今日これから署名をされるのでしょうが、おそらく次期通常国会あたりに政府としてこの協定案、批准に向けた議論があるのでしょうから、そこでしっかりと、具体的にどういう協定の文言になっているのか。安倍総理は今年1月の岡田代表の(予算委員会での)質問への回答で、仮にインドが核実験を行った場合、日本からの協力は停止する旨を明言されたわけですが、それがどういうふうにこの協定で担保されているのかという問題も含めて、来年の通常国会に出てきた段階でしっかりとこれは精査をしなければいかんと思いますし、党内の議論もそれを目標にしっかりと進めてまいりたいと思います。

○生前退位をめぐる議論について

【読売新聞・重松記者】
 生前退位について伺いたい。党内に皇位検討委員会が設けられていて、この問題は非常に慎重さが求められるものだと思うが、どのような党内議論と取りまとめを期待されるかが一点。
 もう一点は、対応として特例法や皇室典範改正といったものが考えられると思うが、どのような形が望ましいとお考えか。

【代表代行】
 以前聞かれた時に、あまり予断を持って私の意見を申し上げることは控えさせていただきたいと申し上げました。長浜博行議員をヘッドにした我が党の皇位検討委員会でしっかりと、多角的観点から、天皇陛下のご意思も尊重しながら、主体的に立法府や政府が決めていくべきものだろうと思っています。
 皇室典範の改正、特例法での対処、それぞれ利害得失があると思います。そういう意味ではいろいろな、多角的観点から慎重に検討を進めていただきたい。
 いずれにせよこの問題は、事柄の性質上、政争に陥っては絶対にいけない。国民の総意に基づく象徴たる天皇の身分に関わる問題ですから、そこは国民の総意に基づいて、与野党とも一致する形で、いい解決策が見つかればと思っています。

○鶴保沖縄担当大臣発言について

【TBS・永沼記者】
 鶴保沖縄・北方担当大臣が、「『土人』発言は必ずしも差別とは断定できない」と。これに関する発言も撤回しないと今日おっしゃっているが、それについて党としてどのような対応をすべきか伺いたい。

【代表代行】
 どうして撤回されないのか、全く理解できません。既に沖縄の方々から、そういう発言を通じて鶴保大臣との信頼関係が完全になくなっていると思います。そういう中で、沖縄担当大臣の職責が全うできるはずもございませんから、一刻も早くお辞めになるのが筋ではないでしょうか。
 特に、沖縄問題についての過去のさまざまな歴史・経緯を頭に置いている大臣であれば、「土人」発言を擁護するなんていうことはあり得ないですよ。論外です。
 一番大事なことは、結局、沖縄担当大臣でありながら沖縄県民からは総スカンになっているという状況では、とても沖縄担当大臣の職責は果たせませんので、即刻安倍大臣はクビにすべきだと思います。それをしないと、任命権者の安倍総理までが、それでいいんだ、沖縄との向き合い方はこれでいいのだと。そうでなくても、私、この場でも何度も言いましたように、安倍政権というのは根本的に沖縄との向き合い方が間違っている。安倍総理自らが真摯に沖縄に向き合って、この基地問題を解決していこうという姿勢が見られない。表向き、形式的には会っておられるようだけれども、基本的には菅官房長官に全部任せて、しかもそれで訴訟合戦を経て今があって、それは沖縄のいろいろな支配・被支配の歴史、いろいろな基地問題の経緯等々を考えれば、やはり向き合い方としては、私に言わせれば全く足りないと言わざるを得ないところに、こんな言語道断な沖縄担当大臣を任命しているということは、これは一人大臣の問題ではなくて、安倍総理に跳ね返ってくる問題です。一刻も早く交代させたらいいのではないでしょうか。

【TBS・永沼記者】
 辞任を求めていくと。

【代表代行】
 もちろんです。

【東京新聞・我那覇記者】
 辞任を求めていくというお話だが、山本農水大臣の場合は不信任案を出したりしたが、そういう具体的な手続を考えているか伺いたい。

【代表代行】
 これからの推移を見きわめたいと思います。

○野党連携について

【共同通信・下山記者】
 共産党との関係について伺いたいが、政権構想をめぐって蓮舫代表は、綱領や政策が異なる政党とは連立は組まないという発言を繰り返している。これについて、代行ご自身は同じご見解なのかどうかということと、代行自身は共産党の綱領を今までお読みになったことがあるか伺いたい。

【代表代行】
 まず、さらっと読んだことはありますが、熱心に読んだことはありません。
 そもそも共産党とは、綱領というか、政治理念・基本政策を異にする政党ですから。そういう政党とは政権は組まないという方針は、前岡田代表、現蓮舫代表、私、完全に一致しております。

【共同通信・下山記者】
 そういった政党と次期衆院選での何がしかの共闘を考える時に、他の野党から共産党に対して、綱領や、あるいは党名を変えるべきだというような声もあるが、それについて何かお考えはあるか。

【代表代行】
 それは失礼ではないですか、他党が。しっかり矜持と誇りを持って共産党が策定された綱領や基本政策でしょうから、それに対して、評論家はああだこうだ言えるでしょうけれども、私みたいな立場にある他党の、特に役員・幹部がああだこうだ言うのは失礼だと思います。

【朝日新聞・松井記者】
 連合の神津会長が記者会見で、共産党との連携について、共産党と手を組んで左に旋回するのは多くが歓迎することとは思えない、という発言をされた。共産党と民進党との関係をめぐって連合はたびたび、最近特に懸念を示している。江田代行は最近、各地方に出向いて地方の連合と意見交換を重ねたり、地方の連合の意見も吸収していると思うが、それを踏まえて、こうした声にどういうふうに向き合うべきとお考えか。

【代表代行】
 もっとお互いにそういうことを言い合えばいいと思います。忌憚なく、オープンに。何も、あれ言っちゃいかん、これ言っちゃいかんとお互いに制約するのはやめて。ですから、神津会長がそういうご見識を示されているというのは、そういうことで受け止めさせていただくということです。
 連合といっても産別で考え方は違います。例えば原発について言えば、電力総連は確かに、何とか原発を動かしてほしい、推進という立場なのかもしれませんが、一方で自治労や日教組は「即ゼロ」です。
 ですから、皆さんも民進党と連合、支持・応援団体との関係を論ずる時には、ぜひ自民党と経団連との関係も論じていただきたい。経団連も、丸ごと自民党を支援しているわけではないですよ。丸ごと自民党の基本政策に賛同しているわけではないでしょう。経団連にもいろいろな業界団体があって、いろいろな思いがある。連合の中にもいろいろな産別の団体がある。
 そういう意味で、私が地方に行って、先週・愛媛、今週は宮城、その前は島根に行って感じることは、まさにそういうことです。例えば島根に行った時に、島根はご承知のように島根原発があるのですが、その県連と意見交換をしている中でも、やはり自治労出身か(自治労が)支援をされている地方議員の人は「原発はなくしてくれ」と僕の前で言うし、一方で電力総連に支援されている議員からは「やっぱり原発は何とか動かしてほしい」という意見を聞く。それはそれでいいと僕は思うのですね。いいと思うのです。
 政党と支持母体との関係というのは、別主体ですから、何度も言いますが、政策が100%一致するということはむしろ気味が悪いことです。公明党だって、創価学会の婦人部はあの違憲の安保法制に大反対ですよ、本音は。だけど、公明党は公明党なりに政党として、公明党なりに国益を考えて安倍政権に歩調を合わせたのでしょうから。自民党であれ公明党であれ民進党であれ、支持母体というか応援団体との関係はそういう関係だと私は思っています。
 たしか蓮舫代表もおっしゃっていたと思いますが、民進党について言えば、連合のおっしゃるいろいろなご意見、政策提言は極力尊重すると。しかし、我が民進党と連合の意見が合わないところは、民進党が主体的に国益に照らして、民進党は「こうあるべきだ」と思って政策を選択していく、こういうことではないか。
 ですから、端的に言えば、政党と応援部隊・支持母体とは8割方向性が一致すればいいのではないですか。100%一致するというのは、気色悪いですよね、別主体・別組織ですから。そういう中での応用動作だと、私は言うのです。
 何度も言いますように、私がいた橋本龍太郎政権というのは自社さ政権ですから。55年体制で「水と油」だった、先鋭に対立した自民党と社会党が、選挙協力どころか政権を一緒に組んだわけです。我々は、「組まない」と言っている。そういう、政権をとるならばなりふり構わずやるような自民党を相手に政権を狙おうかという政党ですから。
 皆さんにぜひご理解いただきたいのは、もう一回言いますが、政治理念や基本政策が一致しない政党とは政権を組まないと。我々はかつての自民党と違って「組まない」と言っているのですから、それ以上のことは選挙戦術、応用動作の問題です。それを今、野党4党の幹事長・書記局長会談で今後具体化していくということです。