大串博志政務調査会長記者会見

2016年11月15日(火)10時19分~10時29分
編集・発行/民進党政務調査会

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=QXG4PK2q0a0


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○南スーダンPKO・自衛隊員救急救命法案の提出について

【政調会長】
 今朝、南スーダンPKOに対する「駆けつけ警護」に関し、新任務付与の閣議決定が行われたと聞いています。
 この「駆けつけ警護」に関しては、我々もこれまで、昨年の安保法案の審議の際、あるいはそれ以降も予算委員会等々で、その正当性に関して、あるいは妥当性に関して議論をしてきたところでございますが、現在のジュバ付近の現大統領派と元第一副大統領派による衝突の状況を見ると、即座に「PKO5原則が守られていない」とは言いませんが、さはさりながら、相当用心して状況を見なければならない現状だというのはもう明らかだと思っています。
 こういった状況で、非常に危険な任務になるであろうがゆえに、私達が予算委員会等々で求めた、例えば第一線救急救命体制もしっかり整っていない中で新任務「駆けつけ警護」を付与することには、私達は反対です。この点は明らかにしておきたいと思います。
 こういう状況もあり、今日のNC(「次の内閣」)を通過すれば今日の夕刻にも、国会などでも私達が指摘した、自衛隊員の皆さんの第一線救急救命体制の強化に関する議員立法(「自衛隊員救急救命法案」)を提出して、私達の姿勢を示していきたいと思っています。

○後半国会の重要テーマ・長時間労働規制法案の再提出について

【政調会長】
 国会では、TPPが今参議院で審議されています。先週、トランプ大統領が選ばれた後にもかかわらず、衆議院の本会議で強行的にTPPを採決するというのは、もうあるまじきと言いますか、国際感覚を疑う与党のあり方に抗議を申し上げながら、参議院のほうではしっかりと問題点を指摘するという形で審議が進んでいるわけであります。
 それと並んで、衆議院のほうでは「年金カット法案」の審議が今後どうなるかというところが焦点になると思っています。
 ただ一方で、ご案内のように「年金カット法案」の法施行日は平成33年度です。まだ先です。今、厚労委員会でやるべきはこの問題だろうか。平成33年度から施行する内容を、今議論しなければならないのだろうかと思います。むしろ、高橋まつりさん、電通の新入社員の方が昨年過労自殺をされました。こういった問題に鑑みると、いわゆる長時間労働規制をもっと真剣に迅速に議論するべきではないかと思います。
 私達野党は昨国会で野党4党共同での長時間労働規制法案を出していますが、今回、高橋まつりさんのような事件があって、電通における管理体制の脆弱さ、問題点なども見えてきています。ですから、野党4党として前回出した法律をさらに強化して、罰則を強化した形でより実効性を高めるという形で、今日のNCを通ればですが、あえて出し直して、長時間労働規制をしっかり議論すべきだという点はこれからも申し上げていきたいと思っております。

○NPT非加盟国であるインドとの原子力協定調印について

【政調会長】
 最後に一つ付加いたしますと、日印原子力協定が先週金曜日に(両首脳により)サインされました。
この内容を見ると、(日本が結ぶ原子力協定として)初のNPT(核兵器不拡散条約)非加盟国との原子力協定です。やはり唯一の被爆国として「核なき世界」をリードすべき日本において、NPT非加盟国との原子力協定は非常に慎重に考える必要があると思います。
 これは民主党政権の時に、3.11の前に議論を始めたものであったのですが、当時もいろいろな議論があって、その時に私達は繰り返し、もしインドが核実験を行った場合には協定をストップすることをきちんと協定の中に書き込むということで、唯一の被爆国として核不拡散をリードする姿勢との折り合いをつけていくと申しておりました。
 今回の協定内容、これから精査していきたいと思いますし、国会に上がってくるのは今国会ではないのではないかと思っていますが、今ざっと見ると、協定に書かれているのは一般的な効力停止条項だけであって、協定以外の付属の文書(「見解及び了解に関する公文」)の中に、日本として、現在の「基礎」がなくなった場合には効力の停止を宣言するということを書き、それをインドも理解するということが付属文書に書かれている。これは何を意味するのかはっきりしないのです。
 インドは今、「核実験モラトリアム」を宣言しており、この「核実験モラトリアム」を行っているということが現在の両国間の「基礎」ということの位置づけなのだろうと思いますが、こういったこともあいまいにしか書かないで、しかも付属文書にしか書かないで原子力協定をNPT非加盟国と結ぶということは問題が大きいのではないかと私は思いますので、これも協定の中身をこれからしっかり精査していきたいと思っています。


■質疑

○「政策のアップグレード」について

【共同通信・野見山記者】
 「政策のアップグレード」について、中間報告の取りまとめに向けて、今月も残り半分となったが、部門会議からの集約及び中間報告のまとめの見通しと、衆院選公約の目玉(政策検討)の「政策アップグレード検討会」の今後の進め方もあわせて伺いたい。

【政調会長】
 各部門においては精力的に「政策のアップグレード」の議論を行ってもらっています。もともと部門への要望としては、今国会会期中には中間報告を紙で出せるようにということで行っていましたので、それはその方向でやっていただきたいと思っています。
 加えて、細野豪志代表代行らと一緒にやっている「政策アップグレード検討会」ですが、平場の議論を先々週と先週と2回行って、全議員の皆さんから意見を聞かせていただきました。その後、これについては一旦、皆さんの意見を承らせていただいて、「政策アップグレード検討会」幹事会の中で少しもませていただく時間をくださいということにしています。
 加えて、地方の皆さんからも意見を聞かせていただくこともしなければならないので、予定としては来週、21日・月曜日の夕刻にウェブ会議のシステムを通じて、各地方県連の皆さんからも大いに意見をいただきたいと思っております。
 こういったことを踏まえながら、少しずつ取りまとめに向けた動きを行っていきたいと思います。
 もともとこの目玉政策をつくっていくということに関して、蓮舫代表などとも話し合いながら、この間の第1回目の平場の会議の後のブリーフィングでも細野さんから言ってもらいましたが、「今月中を目標に」としながらやっています。意味するところは、ご案内のように、解散・総選挙も含めたいろいろな政治状況も見据えながら、タイミングの舵取りもしなければいかんものですから、今言ったような「今月中を目標に」という丸い言い方になっていますが、そういう状況であるということをご理解いただけたらと思います。

○政策面における野党の連携について

【読売新聞・工藤記者】
 冒頭話があったが、長時間労働規制の法案を出し直すということだが、野党4党共同提出ということは、共闘を広げるという意味が選挙の関連でもあると思うが、そういう位置づけもあるのか伺いたい。

【政調会長】
 野党4党は、この長時間労働規制法案を先国会で既に(共同で)出していました。
 そして政策面では今国会においても、長時間労働規制と、「残業代ゼロ法案」を阻止するという働き方に関する論点。それから「年金カット法案」を阻止するという点。それからTPPを阻止する。それから、先ほど私達のスタンスをはっきり申し上げた「駆けつけ警護」は反対。この4点は、4党間で考え方が一致するものとして認識しています。
 こういった考え方が一致する点は政策面でも、あるいは国会の中でも対応としてどんどん連携を強めていこうというのは、一般的にはあることだと思っています。