安住淳代表代行記者会見

2016年11月18日(金)15時00分~15時15分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=Mw9Dnw8yufs


■質疑

■冒頭発言

【代表代行】
 私からは特段ありません


■質疑

○安倍総理とトランプ次期アメリカ大統領の会談について

【テレビ朝日・原記者】
 日本時間の今朝、安倍総理がアメリカのトランプ次期大統領と会談した。「信頼できる指導者だ」と強調する一方で、TPPや日米同盟などについて話したのかなど、その会談の内容は明らかにされていない。民進党は予算委員会の集中審議を求めていると思うが、この総理の対応について一言お願いしたい。

【代表代行】
 トランプ次期大統領のどこが信頼に足る部分なのか、私も聞きたいし、国民の皆さんも聞きたいと思うのです。大統領選挙の時のいろいろな発言を聞いていて、この人は信頼できると思う国民は少ないと思う、むしろ懸念を表明している人が多いのだから。でも、我が国の首相は1時間ちょっと会っただけで、この人は大変信頼できるとおっしゃった以上、どこが信頼できるとか国民に説明する責任があると思います。
 そもそも、オバマ現大統領、そして今のホワイトハウスやアメリカ政府を飛び越す形で次期大統領に会う、意気込みは評価しますが、しかし、会うということは大体何の意味があるのか。「世界で最初に会う」なんていうことが本当に正しい外交姿勢なのか、私は極めて疑問です。
 もう少し、どういうスタッフで、どういう陣容で、対日・対アジア関係の陣容を整えてくるのか見定めた上で、どこからコンタクトをとっていくかということをやるという、時間的な深みのある外交を我が国の歴代政権はやってきた。当選してすぐ1週間後に飛んでいくというのは、大変失礼ですが朝貢外交でもやっているつもりではないかと思っていますので、私は評価いたしません。
 その分、直接会った以上、それも秘密裏に会って会談の内容も明らかにしないなんていうことは、あちらはまだオフィシャルな立場ではありませんから済まされますが、我が国の首相は公務として行っている以上、しっかりと説明責任を果たしてもらわなければならないと思います。

【フリーランス・上出記者】
 トランプ氏と官邸などのコンタクトに関して、あまりオフィシャルには言えないが、いろいろな方に、トランプ氏とのパイプがないかどうかということを聞き回っていて、全くそういう気配のなさそうな政治担当のOBなどにも官邸から電話が来たそうだ。びっくりしちゃったと。相当あたふたしていたということだ。あたふたしていないという反対の情報もあるが。やはり(大統領選挙前の9月に)クリントンさんだけに会ったという失点回復をしようとする余り、先ほどおっしゃった朝貢外交というか、追従の度合いがますます深まってしまうのではないかという心配もある。それについてもし独自の分析があったら、それも含めてお聞きしたい。

【代表代行】
 今年に入りましてから、イギリスの国民投票、そしてパリ協定、さらに言えばアメリカの大統領選挙の、言ってみれば読み間違え。今ご指摘にあったとおり、日本外交の触覚がおかしいのではないかと思う。それに基づいて右往左往して大あわてしているというのが、今の官邸の姿ではないかと私も思います。
 戦後、現大統領がいらっしゃる、任期がまだ3ヵ月近くある中で、1週間前に当選した大統領に、「ペルーに行くついでだから、ちょっと寄ってごあいさつさせてほしい」なんて言って自宅を訪ねていくというのは、あまり聞いたことのない異例な話です。何のためにそういうことをやったのかを聞かせてもらわないと、日本とアメリカは極めて重要な関係ですが、実は現大統領に対しても失礼な行為かもしれません。逆の立場で考えたら、もし我が国で政権交代、次期首相のところに現首相を飛び越えて他の国の首相がとにかく自宅に会いに行ったら、異様なことでしょう。戦略的なことが何かあるのかということで言えば、そういう実務家を交えた話ではなくて、要するに名刺交換に行ったか、「私は安倍です。よろしく」みたいな話なんだと、推測するしかないのですが。
 先ほど言ったように、一国の首相として、これは個人対個人の関係をはるかに超えた、合衆国大統領と日本の首相の関係というのは、体系立ったものをしっかり捉えた上で、その上で話し合うべきものだと思います、日米安保もTPPも。しかし、そうしたことをやらないで、とにかくまず会いましょうというのがどういう思考回路から来ているのかは、安倍首相は国民にしっかりと説明する責任があるということを私は申し上げている。

【朝日新聞・松井記者】
 安倍総理は行く前に、貿易、安全保障についても忌憚のない意見交換をしたいという考えを表明されていた。しかし、その中身は一切明らかにしていない。となると、今、TPPが国会でまさに審議中だが、情報開示しないことがTPPの審議に与える影響についてはどのように見ていらっしゃるか。

【代表代行】
 トランプ次期大統領の側は、まだ大統領ではありませんから、プライベートな立場で、どうも写真を見ると、ご家族を含めて自宅でプライベートにお会いしているということですから、「表敬訪問を受けた」ということなのだと思うのです。そういうことであれば、次期大統領の側から「お話しする義務がない」と言われればそれまでなのですが、安倍首相は全くそういう立場で行ったのではないのだから、説明責任があるのではないかと私は申し上げているのです。私費で、予約して飛んでいって、会いに行ったのだったら、私は何も別にそんなことは言わないですよ。全くそうではないでしょう。
 まるで「全世界に先駆けて会いました!」みたいな、一部メディアも大騒ぎしていますが、本当にそんなことは自慢する話なのか。各国の首脳はたぶん冷静に分析しているのだと思います。今どういう顔ぶれで、どういう体制になって、どういう考え方を持って対日路線や、アジア、またヨーロッパの国々は、新政権が自分の国に対してどういうアプローチをしてくるか見極めた上で会うのが、本来のオーソドックスな外交のやり方ではないですか、ということです。それを逸脱して、無理に日程をとって、日本を離れて会いに行っているわけだから、なぜそういうことをして、そこでどういう会話をしたか、説明する義務があるのではないかということです。

○野党連携について

【フリーランス・上出記者】
 野党共闘の関係で伺いたい。共産党が中央委員会総会をやり、志位さんの一連の発言があり、非常に民進党にもエールを送っている。極端な話だが、安倍政権に反対する一部のメディアは「民進党は民意が見えないのではないか。はっきり言って第2自民党のようだ」と、特に原発再稼働に関して、そう言うメディアもある。そういう中で、蓮舫さんの昨日の会見でも、そんな簡単なことではなくて、エネルギー政策は基本だから党内でじっくり話し合うと。ただ、「じっくり」にも限度があると思うが、解散風が少し弱まっているとはいえ、そういう問題、国民にはもっとわかりやすくしたほうがいいと思う。「シンプル」ということを蓮舫さんは言っているが、「全野党対安倍政権」が一番シンプルなので、なるべくそういう枠組みをつくるという方向で動かれたほうがいいというのが民意かと思うが、その辺は安住さんはどのように受け止めているか。今のスピード感を含めて。

【代表代行】
 原発に限らず、できるだけ政策責任者で寄っていく努力をしようということだと思う。一致点があるわけではないんです。ゾーンの問題です。許容できる幅の中にみんながおさまっていけば、当然選挙は一本化して、そして市民団体を含めてスイッチが入ってくれば必ずいい勝負ができると私は思っています。
 ですから、そこに行くプロセスは、やはり丁寧にやっていかないといけないと思います。なぜかと言えば、それは共産党と違って我が党は政権も担っていましたし、私も含めて現に閣僚だった人もたくさんいて、税と社会保障の一体改革などで言えば、私は消費税は必要だと思ってやった人間ですから、だから財源論を無視してとにかく福祉を充実すると言われたって「はい、わかりました」とはならないのです。
 そういう意味では原発の問題もそうなのですが、我々は、ゼロにすべきだ、そうしないとやっぱり社会は進歩しないとは思っているけれども、その過渡的なものとしては「即廃止」という共産党の皆さんとはちょっと考え方は違うれども、許容されるゾーンの範囲におさまるのだったらば、やはりいろいろな話し合いはできていくと思うのです。
 今、玄葉光一郎エネルギー環境調査会長のところでそういう議論が始まっていますから、そこでの推移を見守りたいと私は思いますし、同時並行的に選挙の棲み分け、協力もやっていくべきだと思っています。それが、国民の皆さんにはっきり見える形で選挙をやって、わかりやすい選択肢を示すというのが我々の義務だと思っております。

【フリーランス・上出記者】
 まさに許容範囲だと思うが、一般的に見て、以前の共産党に比べれば非常に物わかりがいいというか、相当妥協してきているのではないかと思う。即政権交代が可能だったらもっとあれだが、とりあえず安倍政権を減らす、野党の数を多くするという点からいくと、かなり許容範囲の中にもう入ってきているような提言を向こうはしていると思うが、その辺はいかがか。

【代表代行】
 そうですね、国会の開会式、陛下がおいでになっているところに(共産党が)出席しましたし、かなり山からおりてきてくれているなという感じはあるが、そういう点ではお願いしたいこともまだたくさんあるので、お互いそこは話し合いをしながら、お互いの立場を理解しつつ、しかし、一緒に応援をしてもらえるゾーンにおさまれればいいなと思っております。

【NHK・黒川記者】
 共産党との関連で、7中総(日本共産党第7回中央委員会総会)で志位委員長が、野党連合政権を目指しましょうという呼びかけをしていきますということをおっしゃった。この野党連合政権について代表代行の考え方をお聞きしたい。

【代表代行】
 政権を取るというのは、現実的には相当大変なことなので、過半数を取って、なおかつ、できれば参議院も過半数をとるということだから、そうした点から言えば、共産党の志はいいのだけれども、現実的にはやはり民進党が中心となった政策や考え方や、選挙を通してやっていくしかないと思う。ですから、お互いがそれぞれ「うちの連合政権構想が正しいんだ」とやり出したら、それはなかなか、すぐ一緒にというのは難しくなる可能性もあります。
 共産党のお立場としてのお訴えは十分理解しますが、やはり現実的には野党第一党で、衆参で150人議席を持っている我が党が、どういう政策を打ち出して自民党とまず対峙をするかということは、我が党にとっても国民にとってもやはり関心事だと思う。
 そういう中で、共産党の皆さんと折り合えるところ、協力し合えるところが出てくればベストだし、今、現に政権を担うということは、例えば自衛隊の問題やさまざまな問題について本当に折り合っていくというのはかなり大変なことですから、そういう努力を共産党の皆さんもこれからなさるのだとは思いますが、現時点での「野党連合政権」構想というのは共産党の構想ではあるけれども、なかなか野党全体がそれを共有するという立場にはないということは共産党の皆さんも十分わかった上で心意気を述べているのだと思います。