野田佳彦幹事長記者会見

2016年11月28日(月)15時00分~15時28分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=X1_GTaScez4


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○衆議院厚労委員会における「年金カット法案」の強行採決について

【幹事長】
 先週の金曜日、「年金カット法案」の強行採決が残念ながら行われてしまいました。極めて遺憾なことであります。重要広範議案であるにもかかわらず、審議時間はまだ20時間にも満たない状況で、老後の生活に大きく関わるテーマをこういう強引なやり方で決めてしまうというのは、言語道断であります。
 その流れで、明日・火曜日、衆議院本会議の定例日でありますが、この「年金カット法案」の採決をする動きがあります。これに関連しては、今日、与党の中でも会期延長の動きなどもあり、加えて、それに対応して野党国対委員長会談も開催しますので、明日の本会議における我々の行動の仕方はそこで具体的には決めていくことになりますが、「強行採決は許されない」という意思表示はきちんとしていかなければいけないと思います。具体については国対委員長間で、野党間で調整したいと思います。


■質疑

○「年金カット法案」の審議について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 厚労委では柚木道義さんと総理が大バトルというか、非常に見せ場が多かったとは思うが、国民の目から見たらどっちもどっちというか、民進党も「対案路線」とおっしゃっていたわけだが、「田舎のプロレス」という言葉はおかしいが、ああいう形でこれから衆議院の本会議、参議院、延長、そういうふうにやっていくことで本当に国民が民進党についてくると幹事長はお考えになるか。年金だからもう少し静かに議論すべきではないか、と多くの国民は思っているのではないかと私は思うが、その辺を伺いたい。

【幹事長】
 いや、静かに、建設的な議論をしたいのですよ、我々は。だから、もっと議論したかったのです。それを19時間程度で打ち切ることのほうが問題ではないですか。その問題を遮るには、方法が限られておりますので、その中で一生懸命、柚木議員ほかが頑張った。
 「田舎のプロレス」と言われると、また私も違う方向の長い話をしなければいけなくなってしまいますから、それは今日はやめておきますが、限られた中で、我々は精いっぱいきちっと審議することを要求している。そのことはぜひご理解をいただきたい。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 (国会の)長期延長が視野に入ってくると、残りは「年金国会」みたいなことになるのか。あるいは今、国対レベルでいろいろ共闘されているが、これは幹事長や代表も含めて年金問題をやはり野党共闘の柱にしていくような動きになっていくのかどうか。その辺を、この年金の扱いの問題を、幹事長のお考えを伺いたい。

【幹事長】
 みんなもう会期延長前提の話をされていますが、当然のことながら、これまでも年金の問題は重要な課題として位置づけて全力で頑張ってきましたが、そこで、まだ衆議院で審議できるようにまず全力で頑張るということです。まだその後のことに言及する段階ではありませんが、年金については我々はとても重要視しているテーマでありますので、いつ何時でも力を抜かないでやっていきたいと思います。

○臨時国会の会期延長について

【北海道新聞・金子記者】
 会期延長について伺いたい。おそらく今日のうちに正式に与党側からどれくらいの会期延長をするかというような決定があって、野党としての対応も考えられると思うが、今現在、この会期延長に関しての民進党の考え方をあらためて伺いたい。

【幹事長】
 会期延長というのは、反対です。定められた会期の中で審議を尽くして結論を得るというのが原則です。その立場は変わりません。しかも、不届き千万だと思うのは、報道ベースで恐縮ですが、会期延長2回あることにも言及している(与党)幹部がいますね。何を考えているのだと、バカにするなと思います。

【朝日新聞・松井記者】
 先ほど行われた与党の二幹二国(幹事長・国対委員長会談)で、14日までの延長の方針が確認をされ、公表された。延長については、そもそもすべきでないということをおっしゃっていったが、14日という日程は、おそらく下旬までのさらなる、2回目の延長も視野に入れた対応と思われる。あらためて、この14日という日付の意味について、民進党としてはどのようにお考えか。

【幹事長】
 正式には、この後、(与党)党首会談もあり、その上で議長に申し入れをします。そこまでちゃんと見届けてからコメントしたいと思います。

○解散総選挙について

【産経新聞・山本記者】
 与党内にも、会期延長に絡んで、早期解散の声や、早期解散を警戒する、くすぶっているような観もあるが、解散について現状どういう考えをお持ちか。

【幹事長】
 解散権は総理にありますので、いつどういう段階で、どういう大義のもとで解散をされるのかわかりませんが、いつあってもおかしくないようにきちんと準備をするのが我々野党の最大限の役割だと思いますので粛々と、与党内でどんな議論があるかは承知しておりませんが、我々はしっかり準備をしていくということに尽きると思います。

【朝日新聞・松井記者】
 解散に絡んでの質問だが、今、党内の憲法調査会で、解散権を縛ることを憲法改正の項目として議論する必要があるのではないかという声が、枝野会長を中心に出ている。これは党としてもそのような見解だという理解でよろしいか。この件について今後何か党内で議論していく予定はあるか。

【幹事長】
 党としてまだ何かを、憲法の中でどの箇所を変えたらいいかと決めているわけではありませんが、その中で、いろいろ活発な議論の中で、一つの考え方として示されたのではないかと思います。
 背景としては、最近、2年置きくらいの単位で解散する、あるいはされる可能性があるという中で、恣意的に権力行使をされているのではないかと思う人が出てきてもおかしくないわけですから、その中で、議論としては一つのテーマだろうとは思います。

○生前退位をめぐる議論について

【日本経済新聞・林記者】
 陛下の生前退位について伺いたい。幹事長は昨日、通常国会で法案が提出される前に各党の意見を聴く機会を設けるべきだとおっしゃった。来年の通常国会までとすると時間がかなり限られているが、具体的にいつから始めるべきだとお考えか。

【幹事長】
 いつからということはありませんが、いきなり有識者会議が考え方をまとめて、それを踏まえて法案を提出するとなると、今、ヒアリングをしている段階でも随分、陛下のお気持ちを忖度(そんたく)するところから離れてバラバラの意見が出ていますから、それをまとめるのは容易なことではないと思っています。そういうことを避けるためには、法案を提出する前にきちっと政党間の協議もうまく整えていかなければいけないのではないかという思いを、この前も申し上げました。
 いつからどうするかということはおのずと、法案を提出する前でありますので、時間は年内ですよね。

【日本経済新聞・林記者】
 各党の意見を聴く場では、どこまで踏み込んでというか、例えば時期的なものや内容的な論点を含めて、どういった内容の意見を聴くべきとお考えか。

【幹事長】
 我々は今、党内で皇位検討委員会をやっていますし、そこで考え方をまとめます。有識者会議の動きを横目に見ながら、党としての意見をまとめていきたいと思いますが、私どもはいつでもオーケーです。他の党はわかりません。

【読売新聞・藤原記者】
 枝野幸男憲法調査会長は、退位について憲法審査会の中で議論すべきだという考えを何度か述べられているが、これは民進党としての考え方なのか。

【幹事長】
 党としての考え方は、今、長浜博行委員長のもとで検討している皇位検討委員会で考え方を整理してまとめていきたいと思いますが、一方で、憲法と関わるテーマでもありますので、憲法調査会の中でしかるべき議論をしても、もちろん構わないと私は思います。  例えば、皇位継承に関わることは憲法2条に規定されていますよね、「皇室典範の定めるところにより」と。それは非常に重たいことだと思うのです。法律に委ねている部分はいろいろあります。国民の要件、いわゆる国籍に関わること。あるいは、公務員の不法行為があった時の賠償、これも国家賠償法等の法律に委ねています。選挙に関わること。あるいは勤労条件に関わること。憲法に「法律の定める」と書いてあるのはいっぱいあるけれども、わざわざ皇位継承のことだけは「皇室典範の定めるところにより」と書いてある。
 ということは、天皇の即位あるいは退位に関わることは、やはり憲法論からの議論はあってしかるべきで、内閣法制局は随分簡単に「特別法で問題ない」と言っていますが、天皇の即位や退位に関わることは1%でも2%でも違憲の疑いの(持たれる)法律でやってはいけないと私は思います。そういう議論を憲法調査会でしてもいいのではないでしょうか。

【読売新聞・藤原記者】
 幹事長はこの退位の議論に関しては常々「静かに議論すべきだ」というご意見を繰り返しているが、憲法審査会は基本的に公開で、見える形で議論しているが、ここで各党が各党の立場にのっとっていろいろ意見を開示した場合に、それは「静かな議論」にならない懸念もあるのではないかと思うが、その点はいかがか。

【幹事長】
 いずれ国会で議論しなければいけない、法案が出てきた時に。「静かな議論」というのは、あまりかんかんがくがく、相手の揚げ足を取ったり、ということは「静かでない議論」だと思います。しかるべき意見は、やはり言わなければいけない時には言うべきだと思います。
 ちょっと今、「静かな議論」というのがあまりにも制約論になってしまっていて、有識者会議がまとめるのをずっと待っているみたいな状況というのは、「国民の総意に基く」象徴天皇制のあり方の議論として本当にいいのかどうか。あまりにも、ちょっと抑制的になっているし、それが結局、政府のさばきの中で、コントロールの中で、本当の議論ができなくなってしまってはよくないと思いますので、大騒ぎをすることではありませんが、粛々と議論を述べて、しかるべき場で言うということはあってしかるべきではないかと思っています。

○北方領土返還交渉・日ロ経済協力について

【フリーランス・横田記者】
 12月15日の日ロ首脳会談に関連して、北方領土問題で、日ロ経済協力が先行して食い逃げされるのではないかと。具体的なプロジェクトとしてシベリア鉄道の北海道延伸1兆円とガスパイプライン7000億円が出ている。国会が延長される可能性が高いということで、民進党としてこれをチェックして対案を出すお考えはあるか。

【幹事長】
 日ロの協議でまず何よりも大事なことは、北方4島の帰属をしっかり確認することが前提で平和条約に結びつく議論になるわけですから、その基本中の基本は押さえていかなければいけないだろう。その基本を押さえないで、ただ前のめりに経済協力だけというやり方は、やり方として疑問でありますが、中身についてはやはりこれから精査しなければいけないと思います。

○IR推進法案について

【産経新聞・山本記者】
 IR法案だが、今国会中に審議入りをして、採決まで行く可能性があるかと思うが、その際に、党内いろいろご意見があるかと思うが、党として意見をきちんとまとめられるのか、それとも党議拘束を外すのか、そのあたりについて伺いたい。

【幹事長】
 今、会期はまだ延長されていない。この会期中に全ての審議は終えて、終わらないものはやはりそのままだというのが基本的な原則だと思います。会期延長を前提とした議論はできません。その意味では、IR法案が審議に入るということは現実的にはあり得ないと思います。
 その上で、一般論で言うならば、審議に入ったものについては、採決までの間に党としての対応を決めるというのが一般論です。そしてどんなテーマでも、基本的には党議拘束を外すということは考えません。

○新ACSA承認案について

【時事通信・岸本記者】
 国会対応について、ACSA(日・米物品役務相互提供協定)法案に関して、党の対応の仕方、どう考えているか。

【幹事長】
 党の対応、基本的には認める方向だと思います。ただ審議日程がどうなっているか、ちょっと把握しておりません。

【フリーランス・横田記者】
 IR法案について、サービス値引き合戦をして、IR周辺のレストラン・ホテル等に悪影響を与えると。ギャンブル依存症の上客、収益性の高いお客さんを引き込むために値引きサービスをして、周辺が寂れるという現象が海外で起きている。民進党としてそういう問題点を洗い出して安倍政権・安倍自民党との対決法案にするという準備をされる考えはないか。

【幹事長】
 対決するとか賛成するとかという以前に、この議論は急ぐべきではないと。この国会中、会期延長しないという前提で今申し上げてきましたが、どちらにしろ急いで議論するテーマではないと思います。
 論点は今言い出したら切りがありませんよ、これ。依存症の問題を含めて。その不安を解消するためには、もし議論するのだったら相当なしっかりとした議論が党内でも必要になりますし、国会の中でも必要になると思います。

○党勢回復に向けて

【日本経済新聞・林記者】
 週末の世論調査では、年金を初めTPPや南スーダンPKOの「駆けつけ警護」など政策課題では必ずしも国民の賛成は多くないにもかかわらず、内閣支持率は60%前後で相変わらず高い。これは野党第1党である民進党が受け皿になっていないのではないかという指摘があるが、幹事長はどう分析されるか。

【幹事長】
 数字は、結果としてはやはり厳粛に受け止めなければいけないと思います。
 ただ、個別のテーマでは反対が強い、そういう状況があるけれども、野党の支持率は上がらなかったということはこれまでもよくある。ただ一方で、個別の法案とかで反対が多い、それをやろうとしている時には内閣の支持率も下がった。
 今回そうなっていないのは、要因は二つあるのではないか。外的な要因で円安・株高という状況が生まれていることと、もう一つは、安倍総理が頻繁に、トランプ氏も含めて各国の首脳と会ったりしている。そういう動きが一定の評価にもしかするとつながっているのだろうと思います。ここは私、たださなければいけないところだと思います。誰かと会っても、成果を上げているわけではなくて、むしろ失態と思えるようなことが続いているのです。そこは国会の中でしっかりと追及していくことによって評価が変わると思います。その意味では、予算の集中審議などを実現することによって、その正体というものをしっかり明らかにするのが我々の役割だと思っております。

【フリーランス・安積記者】
 民進党、まだ支持率も全然上がらなくて、なかなか浮上しないわけだが、幹事長が総理になられた時、代表選に出られた時、あの時、赤坂の料亭で前原さんとお話をされて、結局は(代表選挙に)出られるということで前原さんが途中で支援をやめたという経緯があったが、(野田幹事長は)藤井裕久先生にその料亭の4階に連れていかれて、「総理になる部屋」と呼ばれた部屋に入れられた。その料亭はもうないわけだが。その話を聞いた時に、ちょっと雰囲気が変わったなという感じがした。そういった波というか流れというのが政治では多々あると思うが、幹事長としては、あの時の感想と、ああいうふうな逆転というか、何か目に見えない力が動くようなものをこれからつくっていかれるような、そういった期待というのはあるか。

【幹事長】
 藤井先生に連れていっていただいたお店で一杯飲んだ時に、そこの女将さんから、「普段はお見せしない。人を入れない」というお部屋に連れていっていただいて、「ここは歴代総理が使われた」云々という話を聞いた時に、非常に身の引き締まる思いがして、ある種の天命を感じました。その時の代表選挙は、どちらかというと急に劣勢になった時だったのですが、諦めないでしっかりと頑張り抜いていくならば、ある種の天命みたいなものは切り開くことができる、運命というのは切り開くことができるのではないかということを、今のお話をいただいて思い出してきました。
 私は、民進党の役割は、やはりきちっと二大政党を目指して、自民党ではない立ち位置をしっかりと言い続けることによって、もう一回二大政党として国民に信用される政党としての運命を、本来は持っていると思います。そのきっかけをどう掴むかだと思いますが、それは奇策ではなくて、まず諦めない気持ちで、みんなで団結して頑張ることなのだろうと思います。
 いいご質問をいただきまして、ありがとうございました。

○衆議院山形3区・阿部氏の推薦決定について

【フリーランス・堀田記者】
 山形3区、阿部寿一さんにかわったが、推薦が公認になるということはないか。とてもすばらしい人です、阿部さんは。

【幹事長】
 ご本人のご意向も踏まえて、無所属で戦う、その上で我々としては推薦をするということで合意をしました。彼にとって戦いやすいやり方を選び、その上で必勝を期したいと思います。「打倒自民党」の極めて有力な候補だと思いますので、我々も、推薦でありますが一生懸命応援したいと思います。

【フリーランス・堀田記者】
 阿部さんが、推薦でいいと言ったのか。公認ということは求めていなかったわけか。

【幹事長】
 求めていらっしゃいません。「推薦」ということで、お互い合意していますので。

【産経新聞・山本記者】
 山形3区のような、公認の内定がいても差しかえるという形は、今後、他の選挙区でも十分あり得るのか。もしくは、それの準備はもうしているのか。

【幹事長】
 より強い候補者を見つけることができるならば、擁立することができるならば、それは可能性としては今後もあり得ると思います。

○野党連携・市民との連携について

【フリーランス・横田記者】
 土曜日に市民連合の集会があって、野田幹事長に対する評価が否定的なところから肯定的なところに変わっていて、野党共闘にだいぶ前向きになったと山口二郎教授がおっしゃった。市民連合との会合・会談を通してお考えがどう変わったのかということと、市民連合に対するお考えというか感想等を伺いたい。

【幹事長】
 私はこの間、初めて市民連合の皆さんとの会合に出席しました。やはり真剣にこの国を考えていらっしゃるし、それぞれの運動に懸命に取り組まれているという、その基本的な姿勢。ある種これまで知らなかった人達との交流でありましたが、政党人ではありますが、こういう皆さんのお力添えもどうしても必要だなということを強く感じました。そんなに活発な議論をその場でしたわけではないのですが、真剣に受け止めたという姿勢を逆に感じていただいたならば、スタートとしてはいいファーストコンタクトだったのかなと思います。より信頼感が深まるように努力をしていきたいと思います。
 あまりいろいろなことを言ってすぐに評価されるタイプではないものですから、スタートとしては逆によかったのかなと思います。ありがとうございます。