細野豪志代表代行記者会見

2016年11月30日(水)14時00分~14時21分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=sGNP0P13HzY


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○延長国会における重要テーマの審議について

【代表代行】
 国会が延長されました。
 その中で、内閣委員会ですが、理事会が開催されまして、委員会の開催、そしてIR法案の審議入りが強行される形になっております。IR(統合型リゾート)の問題については、与党内でもまださまざまな意見があると承知しておりまして、こういった形で委員会が開催されることについては我々は認められないということで、内閣委員会は欠席しております。
 ただ、さまざまな他の分野については私どもも、延長そのものは非常に問題が多いという考え方ではありますが、それぞれの議論についてはしっかりと応じていくというスタンスで、今、臨んでいるところです。
 特に我々が求めていますのは予算委員会の集中審議です。外交でもさまざまな重要案件が出てきておりますので、やはり総理から直接聞くべきことが数多くございますので、その審議が内閣委員会を正常化するということを考えた時の前提になってくるとも思っております。
 参議院では、TPPの集中審議、これを数日行うかどうかで国対間でさまざまな協議が続けられていると承知をしております。これは参議院ですので、しっかりと(参議院)国対委員長を中心に与野党で協議をしていただくということだと思いますが、特に党首討論につきましては、今国会、衆議院も含めて1回も開かれておりませんので、少なくとも国会のあり方としてもしっかりとやっていかなければ、国会を開いていることの意味そのものが問われることになると思いますので、党としても強く求めていきたいと思います。

○「政策アップグレード検討会」の取り組みについて

【代表代行】
 現在、次の総選挙に向けて民進党で検討しております「政策アップグレード検討会」ですが、これまで3回総会を行い、明日(12月1日)、4回目の総会を行います。そこで、党内で幅広い意見をいただくという意味で、たたき台をあらためて提示し、幅広い皆さんから意見をいただいて、総選挙の可能性は常にありますので、その時には目玉政策としてしっかりと打ち出していく。仮に総選挙がなかった場合についても、民進党の一番根幹になる政策として、これからの日本社会の10年後、20年後を見据えて、党内でさらにその議論を深めていくことを進めたいと思っております。


■質疑

○外交問題の審議について

【読売新聞・上村記者】
 冒頭発言に関連して。外交問題に関係して予算委の集中をというお話だったが、具体的にどういうテーマで質疑をしていきたいとお考えか。

【代表代行】
 外交は、これは少なくとも議論しなければなりません。APECもありましたし、その間、日ロについても首脳会談が行われています。さらにはトランプ次期アメリカ大統領との会談、これは一つの大きな柱になると思います。
 内政においては、年金も含めた社会保障、経済、ここは必須でしょう。
 国会は延長したわけですから、総理にはそういった議論については堂々と応じていただく必要があると思います。

【読売新聞・上村記者】
 外交関係だと、総理とトランプさんの会談とか、北方領土へのミサイル配備だとか、こういったこともテーマにしていくと。

【代表代行】
 当然それは入ってくると思います。日ロも首脳会談をやっていますので。
 延長されたのは12月14日まで、15日からは(日ロ)首脳会談です。ここは国民が非常に注目しているところですから、どういうスタンスで臨むのか、そのあたりは国会で審議する必要があると思います。

○IR推進法案の審議入りについて

【日本経済新聞・林記者】
 IR法案に関連して、今朝の二幹二国(幹事長・国対委員長会談)で自民党は、2日の委員会採決、6日の衆院通過を検討していると公明党に伝えているが、こうした突然過ぎるというか早過ぎるIR法案の審議についてはどう思われるか。

【代表代行】
 職権で委員会を立てているわけです。その流れの中で、(12月)2日には採決するというのは、これは運営としては極めて強引だと思います。公明党の井上幹事長も、「幅広い(野党の)合意」が必要だということをはっきり言われているわけですから、これは与党の中でもそれだけさまざまな意見があるものを、強引にやるということは許されないと思います。

【日本経済新聞・林記者】
 民進党はまだ党の対応が決まっていなくて、党内の協議、議論もまだ進んでいないわけだが、執行部は比較的慎重な姿勢を示している一方で、民進党の議連は審議を進めてほしいとおっしゃっている。細野さんは政調会長を務めたことがある経験から、今後、党がどうしていくのが望ましいとお考えになるか。

【代表代行】
 大串博志政調会長がいろいろご苦労されながら、今、党内での議論の場を設けているところですので、しっかりそういう議論をしてもらいたいと思います。
 国会のあり方そのものについて我々は異論はいろいろありますが、法案の中身についてはしっかり議論する必要がありますので、早急に議論の場が設定されるものと承知しています。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 細野さんは海外でカジノをやったことがあるか伺いたい。
 それから、カジノの消極派というのに、随分深さというか、度合いがいろいろあると思う。ご自身はおそらく慎重派なのだと思うが、「やはりやってもいいな」と思われるのか、小さいお子さんもおられるが、子どもの顔などを見て「やはりカジノってどうなのだろうな」と思われるのか。どういう種類の消極派なのか伺いたい。もしかしたら積極派ですか?

【代表代行】
 カジノは、何度かやったことはあります。ただ、個人的にやったことがあるかどうかという問題と、この時期に日本でやるかどうかというのは、別問題です。
 ですから、そこは国民的な理解がないものをやるのは、特にこういう種の問題というのは難しいというか、やるべきではないと、そういう考えです。

○臨時国会を振り返って

【毎日新聞・樋口記者】
 延長がなければ今日が国会の会期末だったが、蓮舫代表のもとで初めての国会ということで、代表選の時に細野さんは「提案路線」に共感されて応援されたという経緯もあるかと思うが、この「提案路線」について、この国会、どう評価されるか。もし足りない部分があったとすればどんなところなのか教えていただきたい。

【代表代行】
 幾つか重要な提案はできたとは思います。例えば自衛隊員の安全に関する法律(自衛隊員救急救命法案)を出したりしましたので、ある程度は役割を果たせたのではないかと思います。
 あとは、いわゆる国民の関心のある中核的な問題でどこまで提案できるのかというのは、来年以降の課題という部分もあると思います。
 具体的には、やはり経済政策です。今、アベノミクスが相当行き詰まっていますから、それに対して民進党としてどういう政策を提案できるのか。
 あとは憲法。さまざまな議論が憲法審査会で出ていますので、それはいいことだと思うのですが、民進党としてさらに踏み込んで提案していくべき部分もあると思います。
 ですから、「提案路線」は踏み出したけれどもまだ道半ば、という感じではないでしょうか。

○福島第一原発事故・処理費用の増大について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 5年ぐらい前、細野さんが原発担当大臣だった時に、この1F事故での国家の損害総額は幾らかと伺ったら、政府が見積もっているのは、たしか5.4兆とか5.5兆円とおっしゃっていた。5年たって、20兆円(超)。それが正式に出たかはわからないが、私は20兆円では足りないのじゃないかと思っているぐらいだ。あの当時の民主党政権の被害総額の見積もりというのはやはり過小評価というか、その当時の経産省が隠していたのだと、国民的にはそうとしか理解できないぐらいのギャップだ。当時の原発担当大臣もやられた細野さんとして、この20兆円規模の1Fの損失というのは、もう一回本当に国民に説明しないとおかしいのではないかと私は思っているが、その辺はどんなふうにご覧になっているか。

【代表代行】
 主に3種類あるわけです。  つまり「除染」とか「中間貯蔵」の固まり、ここについては当時、私、環境大臣も兼務していましたので、できるだけ数字をしっかり出そうということで精査をしましたが、想定どおりにはなかなかいっていないところであって、若干拡大しているところがあると思います。見積もりが甘かった部分があると言われれば、確かにその部分はありますが、何しろ本当に全くやったことがないことにチャレンジしましたので、ある程度水膨れするところはあり得るかなと思っていましたので、そこも含めて国民の皆さんにしっかり説明する必要があると思います。
 あとは「賠償」の金額と「廃炉」の部分については、これは確かに当時は主に経産省でやっていて、直接私が深く関与したということではありません。廃炉の部分は半分ぐらいは私も関与したという感じですが。
 ですから、隠していたというところまでは言いませんが、見積もりが甘かったという意味ではご指摘は当たっている部分があると思います。
 重要なのは、今のスキームでやれるのかどうかというところは、そろそろ深刻な状況になってきていると思います。ですから、東電があって、そこでやるのを政府がサポートするという形で、本当にやり切れるのかどうかですね。

○連合との関係について

【共同通信・野見山記者】
 衆院選に関して、連合が今、方針を策定作業中のようだが、一部報道では、共産党との共闘・連携はあり得ないとか、目先の勝利を目的にした共闘は理解が得られないとか、そういった内容になる模様だ。そうした連合の方針や共闘のあり方についてはいかがお考えか。

【代表代行】
 私は私でいろいろ思うところがあるのですが、ただ、そこは今、野田佳彦幹事長がご苦労されながら調整をしていますので、まずは幹事長のところでいろいろ考えておられるのを見守りたいと思います。

○党首討論について

【TBS・永沼記者】
 QT(党首討論)だが、蓮舫さんと安倍総理ということで、どういうような論戦を期待されるか。

【代表代行】
 予算委員会ですとどうしても他の閣僚も出てきますし、正面衝突というよりは若干、「大勢対1」になる。それはそれで何でも聞けるという意味では醍醐味があるのですが、やはり「1対1」になりますと、政治家としての、例えば政策の深さももちろんだし、あとは人としての度量の深さとか、さらには格みたいなものもおのずと見えます。そういう意味では相手の安倍総理はもう4年やられているわけですから、そこにチャンレンジするというのは相当大変なことだと思います。ですから、1回目ですから、しっかりと蓮舫代表として、巨大与党の総裁でもあり総理でもある安倍総理に正面から正々堂々と臨むという姿を見たいなと思います。
 当然何回かやることになりますので、その中でしっかり存在感を示すことができれば、おのずと党全体を活性化することにもつながると考えています。

○生前退位をめぐる議論について

【読売新聞・上村記者】
 天皇陛下の退位について、政府の有識者会議のこれまでの議論に対する評価と、政府のほうで検討している特例法での対応についての所感をお聞きしたい。

【代表代行】
 非常に気になっています。秋篠宮様が会見もされていますが、やはり陛下や皇族の皆様のお気持ちについては本当に我々が重く受け止めるべきだと思います。もちろん国政に対してのご発言はされないということではありますが、これはやはり人としての、いわゆる基本的人権にかかわるような問題だと思うのです。もう年齢も相当のご高齢になられて、どのような人生を生きていかれるかという。例えば個別の法律とか、国の行く末、方向性とかとは、性格が違うと思うのです。そういったことについて、やはりご家族としていろいろ話し合われたことについて、もっと政府は正面から受け止めるべきだと思います。
 ですから、あるべき天皇像、これは国民と寄り添う天皇像なのだと。すなわちそれは、ご高齢になられてなかなかもう外に出られないというような状況になれば果たせない、というのが今上陛下がつくられてきた天皇像だと思うのです。それを守っていきたいし、次へつないでいきたいという思いを持っておられるわけです。その天皇像を否定するようなことというのは、もちろん陛下の思いもありますが、それ以上に国民も望んでいないと思います。
 だからこそ、特別立法というやり方は、これは本筋ではない。陛下の個人的な思いをどうするかということではなくて、あるべき天皇像をどう見るかという議論をすべきなのに、それがなされていない。
 もう一つ申し上げるならば、やはり最低限、女性宮家の問題は議論しなければ、本当に皇統が途絶える可能性があります。お若い男子皇族が悠仁親王しかおられないというこの深刻な事態を、保守派はどう考えているのか。天皇家なり天皇制度を本当に大事にしているならば、この問題に正面から向き合わない保守政党たる自民党は一体何なのかと、強く思います。
 これまで、「静かな環境」での議論ということで、私もできるだけ発言については控えてまいりましたが、そろそろ、このまま置いておくと保守側が本当に日本の天皇制度をそれこそ追い込むことになりかねないという、非常に強い危惧を持っています。民進党としてやはり考え方をしっかりまとめて、政府・与党に対してそれを我々として突きつけていくぐらいのことをしなければ、彼らは動かないのではないですか。
 ですから、こういう私の考えは野田幹事長にもお伝えをしてありますが、党としてもそろそろ動くべき時期が来ていると思います。

【読売新聞・上村記者】
 政府に突きつけるということは、そうすると法案提出前での各党協議であったり、法案提出後の、「静かな環境」と言われるが論戦も辞さずという、そういう運び方か。

【代表代行】
 「静かな環境」が一番望ましいとは思います。ただ、「静かな環境」で、本来あるべき道が見えてこないのであれば、いろいろな道がある、ということです。