参院本会議で2日午前、民進党・新緑風会を代表して川合孝典議員が「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案」、いわゆる年金カット法案について、国民の将来不安を和らげる政策効果があるのかどうかという観点から質問した。

 川合議員はまず、日本の高齢者貧困率が先進国中でトップクラスにあり、さらに貧困高齢者が急速に生活保護に流れ、公的年金制度がその最大の役割である「最低保障機能」を果たせない事態が深刻化している問題を取り上げた。「低年金高齢者がこれ以上、生活保護に陥らないように公的年金制度を充実・整備することこそが、財政健全化の議論を進める上でも極めて重要だ」と述べ、この点について安倍総理の認識をただした。これに対して安倍総理は、「年金額の動向によって生活保護の受給者がどの程度変化するかを示すことは難しい」と述べ、質問に真正面から答えることを避けた。

 次に法改正後の年金額について安倍総理が「現在の年金受給者の年金額をカットすることで、将来受け取る年金額が増える」という趣旨の発言をしている問題について、衆院の審議で明らかになったように「マクロ経済スライドを発動することで将来世代の年金額が約30%減少する。堂々と高齢世代と現役世代で痛みを分かち合おうと国民に訴えるべきだ」と、安倍総理に国民に対して誠実な発言を強く求めた。安倍総理は、「将来世代の受け取る年金が増えるとは申し上げていない」等と述べるにとどめた。

 川合議員はこのほか、直近10年間だけで6年も賃金が下落しているにもかかわらず、なぜ厚生労働省は100年間賃金が上昇し続けることを前提にして年金額の影響試算を行ったのか、今回の法改正にあわせて年金生活者支援給付金を支給すべきではないか、なぜ他国に例のない年金積立金のハイリスク運用を行っているのか、2014年の投資比率見直し後の年金積立金の運用実績をどう評価しているか等についてただした。

 最後に川合議員は、「目先の財源にのみとらわれて公的年金制度のセーフティネット機能を低下させ、生活保護世帯の増加に拍車をかけかねない内容では、とても国民の将来不安は払しょく出来ない。本法案は、いったん取り下げて、現実に即した将来推計に基づき再検討すべきだ」と指摘し質問を終えた。

PDF「参院本会議川合孝典議員質問」参院本会議川合孝典議員質問

川合孝典議員が参院本会議でつ