野田佳彦幹事長は5日午後、定例の記者会見を国会内で開き、カジノ法案の強引な採決などについて発言した。

 冒頭の発言で野田幹事長は、先週金曜日に衆院の内閣委員会で強引に採決が行われたカジノ法案について、「ギャンブル依存問題、資金洗浄問題、最大の問題は賭博合法化にかじを切るという大問題。これら論点がたくさんあるにも関わらず、わずか6時間で採決に至るとは、しかも議員立法の審議のあり方としてはあまりに異常だ」と与党の国会運営を批判した上で、「こういう状況にあることを極めて遺憾に思う。今回のことは官邸の肝いりではないか。アベノミクスが行き詰っている中、成長戦略の目玉としているのだから『カジノミクス』だ。賭博合法化を政府が正面から切り出すわけにはいかないので、議員立法案という隠れみのを使ったのだろう」と指摘し、異常事態を早期打開するために審議徹底を強く求めていくと述べた。

 今回のカジノ法案の採決で、公明党が自主投票になるなど、与党内で対応が割れたことへの感想を問われた野田幹事長は、「わが党にも推進の立場の人もいるが、その人たちも含めてこのような議論の仕方、結論の出し方は極めて異常であると一致している。基本的には自主投票や党議拘束を外すことは現時点で考えていない」と述べた上で、「公明党という党がこれだけ賛否が割れるということは考えられないことではないか。通常は一致結束する姿を常に見せてきた政党だが、その党がこのような状況になるということは、今回の異常さが表れている」と指摘した。

 日本維新の会の松井代表(大阪府知事)が同法案への民進党の対応を「バカな政党」などと批判したことについては、「自分たち(維新)が進める法案に対して異論や慎重姿勢をとることに対し、『バカ』という表現をすることは、あまりに品位がない、見識がない、狭量な意見だ。これ以上コメントする気はない」と突き放した。

 安倍総理の在職期間が戦後歴代4位となったことの感想を聞かれ、「私の政権は1年4カ月で、勉強になるところはあるが、結局は国民に負担感が出ることは先送りにするということだ。当面をうまく見せるのはうまいが、将来にかかる大事なことは逃げることが多い。それが長期安定政権の秘訣(ひけつ)なのかもしれない。長きを持って尊しとせず」と答えた。

 日ロ両国政府が北方4島で共同経済活動を検討しているとの報道があるとして、受けとめを問われた野田幹事長は、「過去にもあった話だが、大事なことは主権がどこにあるかという、基本中の基本を押さえた中での議論でなくてはならない。この基本を踏まえて今度の日ロ首脳会談に臨むべきだ。経済協力はいろいろな話が出ているが、安易な進め方をすると食い逃げされる可能性もある。一定の結果や経過は国会で丁寧に説明をするべきだ。進展することに期待するが基本は押さえて臨んでほしい」などと述べた。