江田憲司代表代行記者会見

2016年12月9日(金)16時00分~16時38分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=hN2myX82nBQ


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○IR推進法案・横浜市への誘致について

【代表代行】
 まず「カジノ法案」でございますが、現在、参議院で審議中ということで、ぜひ民進党の参議院の皆さんには、採決阻止・廃案に向けてしっかり頑張っていただきたいと思っております。
 参考人質疑は設定されたようですが、やはりこれは地域、誘致する自治体等に極めて関係する問題でもございますので、中央だけではなくて地方の公聴会、特に取り沙汰されている、私の地元の横浜でもぜひ地方公聴会を開いていただきたい。「反対」の声が根強い、このカジノ問題、急に審議入りということで、私もいろいろな機会に賛否を聞いておりますが、ほとんどの横浜市民は「反対だ」と。にもかかわらず菅官長官、地元財界、もしかしたら市長、一体となって横浜にカジノを誘致しようとしている。私は断固反対でございます。
 横浜の街は、カジノに頼らなくても魅力は幾らでもある、本当にすばらしい街だと思っていまして、それを山下埠頭、本牧かどうか知りませんが、土地まで用意してカジノを誘致するようなことがあれば、それは容易に闇金融・反社会的勢力の資金源になることは火を見るよりも明らかです。加えてギャンブル依存症。さらには小さいお子さんをお持ちの、特に女性の皆さんは「反対」です。
 来年夏、横浜市長選がございます。仮に現横浜市長がカジノ誘致を推進されるのであれば、市長を替えていかなければいけないと思っております。それほどの問題で、これだけではありませんが、大きな争点になると思います。横浜の街を守るという観点からも、この「カジノ法案」はぜひ廃案にしていただきたいと思っております。

○「ダレノミクスプロジェクト」TPP関連予算について

【代表代行】
 それからTPPの承認案・関連法案が今日、参議院で成立したということですが、そのTPP関連予算、対策予算について、私が座長を務めております税金のムダ遣い解消プロジェクト「ダレノ(誰の)ミクスプロジェクト」が、先般この問題を取り上げました。
 27年補正、28年本予算、28年補正と、合計1兆2000億円になんなんとするTPP関連予算が各省庁に計上されておりまして、ご承知のようにTPP発効の見込みが全くないわけでありますので、この関連予算の扱いをどうするか、TPP発効を前提として計上している予算はないのか、しっかり精査して、そうでなくてもお金がないわけですから。消費増税も先送りをして、例えば総合合算制度4000億円は先送り、低年金者に月々5000円給付する5600億円の予算も先送りという中で、この不要不急のTPP関連予算を計上しているということは言語道断ですから、この問題については引き続きこの1兆2000億円に上るTPP予算の中身を精査して、無駄な予算計上についてはしっかりと削減していく作業を進めてまいりたいと思います。

○「ダレノミクスプロジェクト」東京五輪予算について

【代表代行】
 それから、この「ダレノ(誰の)ミクスプロジェクト」では、オリンピック・パラリンピック関連予算についても取り上げました。
 ご承知のように、9月には都政改革本部が、全ての経費を合わせると3兆円を超えるだろうという試算を出し、一方で先般の4者協議では2兆円を下回るという数字も出ておりまして、この1兆円以上の乖離は一体何なんだと。一体、具体的な積算はしているのか。こういうふうにオリンピック・パラリンピックの経費の見積もりが大幅にアップ・アンド・ダウンするというのは考えられないことであります。
 これは国税、国がどこまで負担するのかという問題とも深く関係する話であり、政府からヒアリングした限りでは、オリンピック・パラリンピック経費のうち、新国立競技場の整備費は国が負担するが、その他の経費については基本的に国は負担しないと。仮に赤字が出ても、それは大会組織委員会と東京都が負担する問題、ということは明確に言っておりましたので、そういう前提であればそういう前提で、おそらく4者協議の結果、具体的な経費積算、それから国と、組織委員会、東京都の経費の分担関係が明らかになると思いますので、その上で、またこのオリンピック・パラリンピック関係予算、経費についても、この税金のムダ遣い解消プロジェクトで引き続き精査していきたいと思います。
 今まで小池東京都知事の方針は、情報公開、透明性を高めるというところでやってこられたのですが、この4者協議だけは水面下で、伏魔殿。我々から見ると中で何がやられているか全くわからない。ヒアリングした政府関係者も、当然「4者」の中には国も入っているにもかかわらず、何を聞いても「わからない」「わからない」の一点張りではお話にならない。これは国税にせよ都税にせよ税金でございますので、しっかりその点は精査していきたいと思っております。


■質疑

○地方へのIRの誘致について

【フリーランス・横田記者】
 IR(統合型リゾート)の関係で、昨日、横浜の副市長がIR推進議連の総会に出て、法案成立ぜひ頑張ってくださいと推進派議員の前でおっしゃっていた。IRを推進している自治体の方が何人かいらっしゃって、北海道とか大阪とか長崎の自治体関係者があいさつした。
 横浜に限らず、長崎とか大阪とか北海道とか、小池百合子知事もIRは観光振興にプラスだと言っているので、来年夏の都議選も含めて、地方選挙、あるいは衆院選でも可能かと思うが、横浜市長選以外でカジノ問題・IR問題を争点にして選挙を戦うべきだとお考えか。

【代表代行】
 そこまで頭がまだ行っていませんが、それぞれ地域については実情があると思います。推進するのかしないのか、自治体によっても違うと思いますし。首長には、推進派もいれば、懐疑派、慎重派、反対派もいると思いますから。
 横浜市長の場合は、まだ明確に推進するとはおっしゃっていない。臨海部の活性化には有効な手段だとおっしゃりながら、一方でギャンブル依存症、マネーロンダリング、反社会的勢力の資金源、青少年への影響等々の問題をしっかり国側は説明してほしいといった類いの発言をされております。
 ただ、そういう副市長の発言があるのであれば、今後「推進」になるのかもしれません。「推進」になるのでしょうね。であれば、これは大きな争点になります。これだけではありませんが、来年夏の横浜市長選ではこれは大きな争点になるので、推進されるのであれば、私は「反対」の立場から「反対」の候補者を擁立していくことになろうかと思います。
 それから国政選挙、これはいつあるかわかりません。衆院選挙でもこの問題は国民の関心が極めて高い問題で、先ほど申し上げた問題点について、私も推進派から話を聞いても納得できないところばかりなので、それは国民の皆さんはもっとそうなので、これも大きな争点の一つになるだろうと思います。

【フリーランス・横田記者】
 大阪都構想の時に橋下徹さんがカジノ・IRについて、観光振興にプラスになるとおっしゃりながら、ただ、外国人に制限する、外国人が対象だとおっしゃっていた。それであれば外国人観光客を増やすというメリットは多少あるかと思うが、今回の法案には、外国人に制限する、日本人の入場を禁止するというところが抜け落ちている。この状態で行くと、アメリカなどのようにIR施設が値引き競争して周りのホテル・レストランが潰れていくという、地域経済を破壊する弊害が出てくる。外国人に制限することが抜けたことについてはどうお考えか。

【代表代行】
 個別具体的な問題というより、たぶんそれを指摘すると、「これはプログラム法なので、実施法の段階でしっかりそれは議論して結論を出したい」という答えが返ってくるのでしょうから、その以前の問題として、もっと基本論について、この問題についてはまだ全く審議不十分。国民の皆さんの多くは理解されていないわけで、むしろその弊害を心配されている、私もそうだ。そういう問題だと思いますよ。

【フリーランス・横田記者】
 橋下さんが考えを変えられたとか。

【代表代行】
 それは知りません。

【NHK・一由記者】
 先ほど横浜市長選の話題に代行は触れられたが、これは林市長の対応によっては対抗馬を、ということだったが、代行ご自身が出る選択肢も含まれるのか。

【代表代行】
 いや(笑い)。  横浜市長、今まで私は、横浜市民でありながら、日々生活を横浜市でしていても、何をしているかようわからん。しかし、ここまで大きな問題について、仮に推進するということであれば、大多数の市民は「反対」なので、その民意を受けた候補者を立てるべくこれからやっていきたいと思いますが、私は国政一辺倒で。今まで実は「横浜市長選に出てくれ」という話も何度もありましたが、私は一貫して「国政一本でやります」というところで来たので、出るつもりはありません。
 私が出るまでもなく、いい候補者がおります。私の頭の中にも2、3人、今おりますから。衆議院や参議院では出たくないけれども、横浜市、全国最大規模の首長であれば出たいという人は何人か心当たりはいますので、知名度の高い人も含めて、しっかり考えていきたい。
 それほどの問題ですよ、横浜の街を守るかどうかという。あんなきれいな港町で、横浜というのは観光資源がいっぱいあるのです。カジノなんかやったら本当に闇金がはびこって、それが反社会的勢力の資金源になるのでしょう。火を見るより明らかです。港町というのはそういう特性があるのです。神戸港にしろ横浜港にしろ、きれいな表の顔と裏の顔があるのですから。そんなところにカジノなんか誘致しちゃったら、飛んで火に入る夏の虫じゃないですか。そう私は横浜市民として思うので、これは大きな争点です。
 もっと別のテーマもあります。中学校の給食化というのも、みんなの党以来うちの県議・市議が訴えている。横浜市は中学校では給食がないんです。だから若いお母さん方は本当に大変なんです。特に共働きのお母さんは、給食がないから朝5時、6時に起きて弁当をつくって、仕事に行く。それは大変なんです。そうしたら、何かわけのわからん前の市長が、「いや、お母さんの愛情弁当を持っていくことが家庭の絆を深めるから、だめだ」と言って、わけのわからん理屈で給食化していないのです。そういった給食化とか、いいテーマで首長選ができると思います。
 ちなみに今検討中の「政策アップグレード検討会」でも、こういう中学校の給食を無償化しようという方向で検討しています。うちの党の方針にも合っているということです。

○IR推進法案の審議について

【産経新聞・水内記者】
 参議院の内閣委員会の委員長は難波奨二さんで、民進党がポストを握っている。「廃案を目指す」とおっしゃったが、難波さんの対応がかなり今後の鍵を握ってくると思う。採決をまずすべきかどうなのかということと、与党のほうは、もし難波さんが慎重な姿勢をしている時は、「中間報告」という形で(本会議にかける)というような話も一部聞こえてくるが、そういった動き自体をどう思われるか。

【代表代行】
 臨時の執行役員会を開いて参議院の幹部の皆さんともしっかり腹合わせをした、その統一方針で対応していただけるものだと思います。蓮舫代表も申し上げているとおり、これはもう採決阻止、廃案に追い込むというのが、衆参ともの幹部、党の一致した方針でございます。
 それから「中間報告」なるものがあるそうですが、(本会議で)それをやるのは誰なのでしょう。それは我が民進党の内閣委員長が本会議場に出て、やるわけです。ということにならないですから、中間報告ということはないと思っています。

【朝日新聞・松井記者】
 今、参院でまさに審議中ではあるが、もし参院で与党側が強硬なやり方、委員長解任なり中間報告の動議を出してきた場合に、党として衆参で腹合わせをした上で例えば内閣不信任案や問責決議案を出すことについては、どのようにお考えか。

【代表代行】
 全ての方策・手段は留保しています。自民党がどう出るかまだわかりません。月曜の夕方にはまた執行役員会がございまして、臨機応変に自民党・与党の出方を見きわめながら、しっかりと執行部で腹合わせをして一致した対応をしていきたい。あらゆる手段は、今現在、否定するものではありません。

【時事通信・岸本記者】
 細かい点の確認だが、内閣委員長が中間報告をやることにはならないという認識を示されたが、それはもう執行役員会で合意したのか。

【代表代行】
 いや、これは国会手続上の事務的な話です。
 本会議場に出て中間報告を担当するのは担当委員長です。その後、急に議長が、動議を出て、「今の中間報告を受けて採決しましょう」という手続ができるらしいのですが、その前提の、まずうちの内閣委員長が、こういう状況の党の方針のもとで、おめおめと本会議場に出て中間報告をすることはないでしょう。
 だから、それをやるならば、自民党が(委員長の)首をすげ替えるということになるのでしょう。そこまで自民党が、これだけ批判も強い、問題点も多い法案について強行してくるのか。強行するなら、してごらんなさいと。しっかり首をかけて抵抗します。こういうことでしょう。

【読売新聞・重松記者】
 国会対応についてだが、「あらゆる手段を否定するものではない」ということだったが、仮に内閣不信任案を出すと解散を誘発するおそれもあるのではないかという指摘もあるが、この点はいかがか。

【代表代行】
 解散云々で決めることはありません。どういう対応をする場合でも、解散があるからやめようとか、やろうとか、そういう配慮は一切ございません。

○党首討論について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 民進党を結成して初めて選挙で選ばれた女性代表がQT(党首討論)だったわけだが、この内容、江田さんも蓮舫さんを応援したお仲間ではあるが、どういう評価、どういうふうにご覧になったか伺いたい。

【代表代行】
 蓮舫さんらしく丁々発止、よくやられたなと思いまして、代表にもそう伝えました。まずカジノから入って、議論の組み立ても流れも非常によかったと思います。
 途中で安倍さんがあれだけやじに反応したということは、よかったのでしょうかね。いつもながらの時間浪費策であまり印象はよくなかったのだろうと思います。
 ですから党首討論1回目としては、なかなかいい議論の組み立てと、やはりテレビ育ちというのもあって、間髪入れず、言葉もしっかりエッジの利いた、丁々発止の討論だと思いまして、所期の目的は達成できたのではないかと思います。
 こういうのは、とにかく毎月1回やることになっているのですから、本当にやっていただきたいと思います。

○「韓国大統領弾劾訴追案可決」「プーチン露大統領来日」について

【NHK・一由記者】
 外交の話だが、先ほど韓国の国会で朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾決議が可決され、大統領の職務停止となり韓国の政情も混迷の度合いを深めている。代行はこれをどのようにご覧になっているかということと、日本またはアジア全体への影響とか、そのあたりはどうご覧になっているか。

【代表代行】
 それは他国の大統領の弾劾問題ですから、私はコメントする立場にはございません。
 ただ、これは外交ですから、いろいろな約束、協定、そういったものはぜひ、そういう事態になってもしっかり守っていただきたい。これは政権が替わろうがどうしようが、やはり国際約束なので、そういうところについてはしっかり守っていただきたいなと思います。
 それで思い出しますが、プーチン大統領が来週来日されるということで、北方領土(返還)交渉をやられると思いますが、これはゆめゆめ国益に反するようなことはしないでいただきたいと思います。
 「クラスノヤルスク合意」、これは1997年秋、エリツィン・橋本、首脳同士で「2000年までに平和条約を締結するよう全力を尽くす」ことに合意した。この合意は、“戦後最も北方領土返還が近づいた日”と評価されている合意ですが、いろいろな事情が絡むのですね。ただ、これはエリツィン大統領のほうから切り出して、むしろ日本側が驚くような形で、クラスノヤルスクのエニセイ川の川下りの船の中で合意をしたわけです。
 その後、報じられているように「川奈提案」ということで、択捉島とウルップ島の間に(最終的な)国境線を引くと。それを合意すれば、施政権は当面ロシアに預けてもいいのだというような提案でしたが、残念ながら橋本総理もその3ヵ月後に参院選の敗北を受けて退陣。エリツィン大統領も、当時から相当体調が、我々から見ても悪くて、結局エリツィン大統領も前後して退陣。  結局、これは首脳外交でしかなし遂げられないのがこの領土交渉・領土問題でございますので、プーチン大統領と安倍総理が何度も会談を、二人きりの会談も含めて重ねられて、信頼関係を樹立されてきたことは私も率直に評価をいたしますが、残念ながら私が見ていても、来週、来日されて、経済協力だけの食い逃げに終わる可能性が非常に高いと見ております。
 本当に領土問題については、日ソ共同宣言・1956年から累次の先人の努力・経緯・合意がございますので、簡単に言えば、北方2島先行返還で済むのであればもっと前の段階で合意できたかもしれないような話です。北方4島の帰属問題をしっかり、平和条約を結ぶ前提として、その対象とするというのは当然のこととしてやっていただきたいと思いますが、残念ながらロシア側は、平和条約の中には領土問題は含まないという立場もあるやに聞いております。
 日ソ共同宣言、1956年に合意した中身を見ると、平和条約締結後に歯舞・色丹を引き渡す(「歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。ただし、これらの諸島は、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする」)と書いてあるわけで、これを形式文言解釈すると、歯舞・色丹を引き渡すのは平和条約締結後でいいので、必ずしも平和条約に領土問題は含まないという解釈もできるというのがロシア側の立場だと思います。歯舞・色丹の領有権は引き渡さない、物理的な専有だけを引き渡すのだというのもロシアの立場だと聞いておりますし、その引き渡す期限も、いついつまでと決めるのは難しいとも聞いております。
 この問題は、一朝一夕ではいきません。それから首脳同士の信頼関係がなければ、解決できません。ですから、我々外野席が何を言ってもだめです。安倍・プーチン会談に任せるしかありませんが、そこはこれまでの先人の努力・経緯・合意等をしっかり踏まえていただいて、ゆめゆめ国益に反しない形でやっていただくことを強く望んでいるところでございます。

○TPP関連法案・承認案の採決について

【東京新聞・我那覇記者】
 今日の参院本会議でTPP承認案・関連法案の採決があったが、この中で、今日欠席届は出されていないが、柳田稔さんが反対票も賛成票も投じていない。この事情は耳にされているか。党としては「反対」の立場だったと思うが。

【代表代行】
 いや、全く存じ上げませんでした。

【東京新聞・我那覇記者】
 お聞きになる考えはあるか。

【代表代行】
 それは参議院執行部で、欠席届が出ていないのだったら、どういう事情かというのは聞いているのではないですか。そちらに聞いていただければと思います。

○「福島第一原発事故処理費用の拡大」「原発・エネルギー政策」について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 江田さんは経産省(旧通産省)出身なので伺いたいが、2011年の年末、1Fの処理費用は大体5.5兆円。3年後、これが11兆円台。6年目になったら20兆円を越えている。資源エネルギー庁が、少なくともここ3年間で11兆円から20兆円になるという、これはまさに情報を、隠蔽したかどうかは知らないが、非常に無責任な、本来、資源エネルギー行政を歪めているのは今の当局ではないか、こういう問題を本来国会でしっかりやっていただかなければいかん、行政庁としてこんなことがあっていいのかと私は思うが、いかがか。

【代表代行】
 まあ、原発推進ですから、資源エネルギー庁は。だから、余りに早期に彼らにとって過大な見積もりが、仮にそれが正しいものでも、出したくないという思いはあるのでしょう。いずれ時がたてば風化するだろう、風化した段階で積み上げた数字がまた肥大化するのならば出せばいいのだろう、みたいな発想はないとは言えないと思います。
 これは原発コストにも響いてくる話でして、今、たしか原発(の発電コスト)は政府の直近の試算で1キロワットアワー当たり8.9円でしょうが、とてもそれではおさまらないですよ、本当に。この廃炉、賠償、除染を中心とした費用というのは、今発表された21兆ですか、それにもとどまらないのではないかと私は思います。だからこそ原発というのはなくしていくということなのですね。コスト面でも引き合わないのではないかというのが、みんなの党、維新の党時代から出してきた考えです。
 これはまさに、賠償額、除染費用、廃炉費用が、とにかくどんどん、行けば行くほど単価が上がっていくわけなので、その試算も実は我々はしているのですが、当時の我々の考えでは2020年には原発のコストは最新鋭の高効率ガスタービンの天然ガス火力を上回るという試算まで出して、維新の党はこれは正式な見解として、原発は市場原理によって淘汰されるだろうと。要はコスト的に言っても市場競争に勝てない。電力会社も、コスト面で原発よりも例えば高効率のガスタービンの天然ガスを選んでいくだろうという形で、「フェードアウト」という言葉を当時、橋下さんと僕と相談して打ち出したわけです。
 コスト面だけではないですよ、原発は。でも、このコスト面でも、もう既存の火力発電所にもかなわないぐらいにかさんでいくのではないかということを、今回の試算というものは暗に示しているのではないかと思います。
 電力会社の隠蔽体質もひどいんです。僕は26、27歳の時にエネルギー庁の原発担当係長になって、当時、島根原発とか柏崎刈羽原発の公開ヒアリング、原発設置許可の前の地元の意見を聞くヒアリングを、もうデモ隊がいっぱい囲んでいますから、当日入ろうとしても入れないので、体育館の裏部屋のマットに寝て泊まってやっていた覚えがありますが、その当時ももう日本原電の事故隠しというのがあって、毎週毎週新しい事実が月曜の朝に出てくる。私がヒアリングをして報告書をまとめても、また新しい事故隠しの現状が出てくる。私は、身にしみて日本原電の事故隠しの体質というのは体験したということもございます。
 いずれにせよ、原発推進という立場にある方は、コスト面も含めて、もう不都合な事実は隠すという性向にあることは事実でしょうけれども、ただ、今回のがその結果かどうかは、私も政府の中におりませんので、よくわかりません。

【フリーランス・横田記者】
 今おっしゃった維新時代の原発政策のほうが、今の民進党の原発政策よりはるかにわかりやすい。この前の新潟県知事選での米山さんの当選を受けて、民進党としてももっと原発政策をわかりやすく、新潟県知事選の再来になるような、争点にできるような政策に進化させた上で野党で共闘する政策協議をするのがいいのではないかと思うが、その進捗はどうなっているかお聞きしたい。

【代表代行】
 これはご承知のように、新潟県知事選を受け、翌日の執行役員会でも議論をし、玄葉光一郎さんをヘッドとするエネルギー環境調査会が発足し、原発コストの問題について大学の先生からヒアリングをしています。
 民進党の原発政策は、ご承知のように「2030年代原発ゼロ」。これをなるべく前倒しにできないか、その深掘りも含めて工程表をしっかり、わかりやすくつくっていく。原発再稼働は避難計画が現に原子力規制委員会の審査対象になっていない以上、避難計画について国が責任を持つ実効性のあるものでなければならないという今の民進党の政策からしても、現行の仕組みのもとでの原発再稼働には反対をしていくということを、次の衆院選に向けてもっと歯切れよく、わかりやすく発信できるように、今、エネルギー環境調査会のほうで検討していただいている。問題意識は共有しております。

【フリーランス・横田記者】
 米山知事と意見交換されていないか。天然ガスの話、泉田知事時代にロシアと新潟をパイプラインで結んで、天然ガスの最新鋭の火力発電所を立ち上げて、送電線を使って東京に運べば、柏崎刈羽の廃炉も可能だという構想もあると聞いているが、その辺について何か米山知事と意見交換等をされていれば教えていただきたい。

【代表代行】
 当選後、何回か直接お会いしておりますが、そういう具体的な話はしておりません。ただ、米山知事が選挙戦中に訴えた原発政策がブレることはないと思っています、どこかの知事と違って。

【朝日新聞・松井記者】
 今日、ちょうど今、市民団体が幾つか、4野党に対して原発政策を含めて政策要望をしているが、民進党としては、4野党共同で市民団体と幾つか政策を合意して、次期衆院選に備えた共通政策としてまとめていく中に原発政策も入れるべきだとお考えか。

【代表代行】
 そこまで先走ってお答えすべきではないと思いますが、いずれにせよ市民団体の皆さんのご要望・意見はしっかりお聞きして、それで合意できるところは、市民団体との関係でお約束するとか、前回参議院選でもやったようなやり方というのを参考にして、衆院選でも対応していくということはあると思います。そのために今日もそういうお話を聞いた。
 うちは政党で別主体ですから、市民団体のおっしゃること全てを受け入れるわけにはいかないまでも、なるべく市民団体の皆さんと、我々としても意見は尊重して、いずれ来るべき衆院選でそういう方々とまた特定の共通政策的なものを合意するというのはあり得ると思います。