大串博志政務調査会長記者会見

2016年12月19日(月)16時01分~16時21分
編集・発行/民進党政務調査会

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
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■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○臨時国会における政策立案活動を振り返って

【政調会長】
 先週土曜日に臨時国会が終わったことを受けて、総括的なことを申し上げさせていただきますと、この国会、非常に強硬な国会運営が与党において目立った非常に遺憾なものではありましたが、私達としてはそれに対して物言うべきものは物を言い、批判だけではなく提案もしていくという態度で臨みました。
 「反対ばかりの野党」と言われがちですが、ぜひぜひご理解いただきたいのは、今回、閣法で成立した法律案は24本あります。私達は、この24本のうち20本、率にして83%賛成しているのです。こうやって是々非々で、賛成すべきは賛成し、しかし、考え方が違うものはどうしても違うということで反対し、対案を示すなどしていくということでやって、この率はその他の国会の時にも大体同じような率だと思います。ですので、「反対ばかりではないか」というのは事実とは違うと私は思っていまして、この点はお伝えさせていただければと思います。
 さらには今国会、引き続きいろいろな提案もしていこうということで、我々は独自の議員立法も提出させていただきました。ちなみに今回、新規の閣法、政府提出法案は19本。それに対して、私達が議員立法として提出した法案、これは委員長提案として与野党で話し合ってまとめたものもありますので、こういったものを合わせて、民進党が提出した、もしくは委員長提案として出した法案は全部で23本あるのです。これは政府提出法案より多い数です。こういった政策活動をしている。ちょっと目を広げまして、継続審査のものも合わせると、政府提出は全部で30本。このベースで言うと、民進党が提出した、あるいは委員長提案を行った議員立法は合わせて69本あるのです。(政府の)倍以上を私達は出しているのです。
 こういったこともかみ合わせて考えていただくと、いかに積極的に提案活動をしているかというこの一端もお見知りおきいただけるのではないかと思います。

○牛・豚マルキン事業改正の議員立法「畜産農家の経営体質強化に関する法案」について

【政調会長】
 ちなみに、そういった中で与党のほうからいろいろな動きが聞こえてきました。農業に関してなのですが、牛・豚の畜産経営安定対策事業というのがあります。「マルキン事業」と言われるのですが、これは(肉用)牛あるいは豚を飼って産出されている方々に対して、収益といいますか、コストに対して実入りが今年は少なかった、価格が下がったりして、これだけコストがかかったけれども実入りが減ってしまった、損を出していると。こういう年の場合に、その損を出した部分に関して補填するという制度なのです。
 その補填する率に関して、これまでは損を出した分の8割を補填するとなっているのです。こういったものを、実はTPPの対策関連事業として、政府はこの点、8割補填を9割補填とするとか、あるいは、例えば牛マルキンの財源は「農家1:国3」の割合でお金を出して基金をつくって財源としているのです。ところが豚マルキンに関しては農家負担が重くて、「農家1:国1」と。こんな感じに牛と豚で不均衡があったのです。今回、政府提案として、この8割から9割に補填額を上げる、あるいは豚の農家拠出の割合を下げて、牛と同じく「農家1:国3」にすると。こういったことを政府はTPP対策事業として、しかもこれまでこれは予算事業としてやられていたのですが、法制化してこれを行うと。政府はTPP関連事業として今回法制化したのです。
 実はこれは、私達何度も委員会でも言いましたが、もともとあった議論なのです。別にTPPに限った話ではなくて、もともと与野党の国会論戦の中で、「法制化すべき」、あるいは「補填率を上げるべき」、あるいは「豚の農家負担を下げるべき」というような議論があって、ある意味、TPPがなくてもやらなければいけないようなことを、今回法制化したにすぎないのです。
 ところが、政府の法律は、TPPが発効した時にこのような制度改正を行うという法律になっていたのです。私達はこれはおかしいということで、TPP発効の時にこのような制度改正が行われるのではなくて、(TPP発効とは切り離して法律の)公布の日にこの制度をスタートすると。つまり、もともと問題点として指摘されていたものなので、公布の時にスタートするという議員立法(畜産物の価格安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案)を前国会のうちから出していたのです。ところがこの議員立法は今回、TPP特別委員会が事実上閉じられるわけで、これは廃案になってしまったのです。
 そうこうしているうちに、先週金曜日あたりの報道を見ると、与党の側が来国会において議員立法で、私達が出した議員立法と全く同じもの、つまりこの制度がスタートするのをTPP発効時ではなくて公布の日に発効させるという議員立法を、与党がつくろうとしているという報道がなされました。私達は国会の中で、私達の議員立法のほうを議論すべきだと何度も言ったにもかかわらず、全く受け合わないで、国会が終わって私達の案が廃案になった後、議員立法で与党側が私達の法案と全く同じものを出してこようとする。これは全く理解できない動きであります。
 こういうふうに、いかに私達、すぐれた内容の議員立法を出してきたかということをご理解いただけたらなと思う次第でございます。

○米軍機オスプレイの飛行再開について

【政調会長】
 今日午後に米海兵隊オスプレイが飛行再開になりました。先週火曜日の、「墜落事故」だと私達は思っていますが、墜落事故の徹底した原因究明も、あるいは十分な情報開示もなされない中で、なし崩し的に米海兵隊オスプレイの飛行再開が行われるのは到底容認できるものではありません。沖縄県民の気持ちに寄り添うということとは全くかけ離れた、沖縄県民の皆さんの心を踏みにじるような時期尚早な判断であって、到底容認できるものではありません。
 これらは政府に対して私達もいろいろな場で強く物申していきたいと思っておりますし、政府は徹底した原因究明と、それに基づく説明責任を十分かつ早急に果たすべきだと思っています。

○IR実施法に関する議論を開始

【政調会長】
 もう一つ、カジノ、IR法案ですが、国会は終わりましたが、私達、内閣部門会議における議論を再開したいと思っています。具体的には明後日・水曜日の午前11時になると思いますが、内閣部門を招集して、政府、内閣官房の担当室がございますが、そこから実施法をどのようにつくろうとしているのかということのヒアリングを行おうと思っています。
 というのは、ギャンブル依存症対策も含めた対策が必要と言われていますが、ややもすると――もちろん私達はギャンブル依存症対策も必要だと思っています。しかし、このIR法案に関する論点はそれだけではありません。ギャンブル依存症対策が不十分だということのほかにも、例えば賭博罪の違法性阻却、「違法ではない」と言えるだけの内容をどうやって備えるのかという点も全く不透明です。さらには入場料等々の収益金を公益目的に使うと言われていますが、公益目的にどれだけのものが一体どういうふうに使われるのかといった点も明らかではありませんでしたし、経済効果も明らかではない。あるいは、外国人に利用を限るといった制度的な担保等々も明らかではありません。こういった、ギャンブル依存症対策のみをすればいいかのごとき雰囲気が漂いかねない中で、そうではなくて、これは他の大きな論点も含んでいるんだということを明らかにするためにも、明後日・水曜日、11時になると思いますが、内閣部門の会議をスタートしたいと思っています。
 さらに、もちろんギャンブル依存症対策に関するいろいろな案も私達は考えていて、議員においては、例えば小西洋之さんのように、個人的にではありますが依存症対策の法律案を自分でつくったりしている人もいます。他にも初鹿明博議員や高井崇志議員のように、長年ギャンブル依存症対策に取り組んでこられた方もいらっしゃいます。こういった点も議論しながら、幅広い議論の中からIR法案、「カジノ法案」の問題点を指摘していきたいと思っています。


■質疑

○牛・豚マルキン事業改正の議員立法について

【日本農業新聞・玉井記者】
 先ほどの畜産の関係のことだが、与党のほうは来年の通常国会に議員立法を提出したいということだが、民進党としてはどういうふうに対応される予定か。

【政調会長】
 (与党の対応は)非常に片腹痛い対応なので。私達の法案は、先ほど申しましたように、今回継続審議にしてほしかったのです。ところが、それをするためには法律の所管替え、つまり特別委員会でしたから、そこから農水委員会などに所管替えをした上で継続手続をとらなければいけないのですが、それが与党との話し合いの中で許されませんでした。だから廃案になっってしまったのです。非常に歯がゆい思いをしています。
 ですから、与党がもしこういうふうな考え方を持っているのであれば、私達が出して廃案になった法律を、もう一回私達が出してもいいので、それに乗ってきてくださいというようなことも持ちかけていくのも一つの手ではないかと思っています。いろいろなやり方は考えていきたいと思っていますし、あくまでも与党が、自分達は「TPP発効時」という法律をつくって出しておきながら、後から議員立法で私達の法案をまねるようなことはあってはならない。旗印をはっきりしていきたいと思っています。

○自衛隊によるオスプレイ導入・佐賀空港への配備計画について

【西日本新聞・豊福記者】
 オスプレイの関係だが、政調会長の地元の佐賀空港にオスプレイの配備計画があるが、今回の事故を受けた後でも防衛省は、南西地域の防衛の観点から予定どおりの配備計画を進める意向を示している。その点に関して、今回の米軍の対応も踏まえて、お考えをお聞きしたい。

【政調会長】
 今回の事故は米海兵隊オスプレイの飛行に関するものでありましたが、ご案内のように自衛隊においてもオスプレイを導入しようとしています。具体的には佐賀空港に17機のオスプレイを導入しようという考え方がある。これに関しては佐賀県との話し合いが続いているものと理解しています。
 今回の事故を踏まえて、オスプレイの安全性に対する国民の皆さんの関心度は高まったのではないかと思いますので、米海兵隊のみならず自衛隊のオスプレイに関しても、これを導入しようとするからには、その安全性等々に関する十分な説明責任を政府が果たす必要がより高まったのではないか、懸念を払拭する必要がより高まったのではないかと思いますので、その旨、防衛省、自衛隊の取り組みをしっかり見守っていきたいと思っています。

○世論調査の結果について

【産経新聞・豊田記者】
 弊社とFNNの合同世論調査で、内閣支持率が前回調査より2.3ポイント減の55.6%となった一方で、民進党の政党支持率が0.6ポイント増の9.2%となった。それぞれ臨時国会での対応や日ロ首脳会談などが影響していると思うが、内閣支持率が下がって民進党の支持率が若干上昇した理由について政調会長はどのように分析されるか。

【政調会長】
 一つには、安倍政権の今回の国会における、「強行採決の3連続」とも言えるような、TPP、「年金カット法案」、そしてIR法案と、非常に強硬な国会運営に代表されるような、国民の声を無視したような政権運営に対する批判の声が上がったのと、それに対して私達、TPPや「年金カット法案」、IR法案、それぞれに関して論陣を張っていったわけですが、それに対する一定の評価があったのではないかなと思われます。
 あわせて、先般、日ロ首脳会談もありました。あれだけ国民の期待感を高めたふうにしておきながら、結果として、領土問題に関しては前より後退したと思われるような結果になっております。具体的には、プーチン大統領の口から、記者会見の場で、1956年の日ソ共同宣言における2島引き渡し、この「引き渡し」の内容は決まっていないというような言葉が出ること自体、以前の領土問題に関する相手方の立場より後退していると言わざるを得ない。そういう結果を招来してしまった、これは外交面の大失策だと私は思っているのですが、こういった点にも批判の声が上がったのではないかという感じはします。

○IR実施法案について

【TBS・永沼記者】
 「カジノ法案」、この後閣法となっていく中で、民進党としてカジノについて賛成の議員さんもいて、反対の議員さんもいる。これは政調としてどういうふうに調整していくか。民進党として、カジノそのものに反対だと言っていくのか、それともこういう条件になれば認めてもいいと言っていくのか。そのあたりはどのように調整されていくか、会長の考えを伺いたい。

【政調会長】
 IR法案に限らず、いろいろな法案において、党内においてはいろいろな考え方があります。それを最終的に、議論の結果一つの立場にまとめていくというのが政調の仕事であり、私の役割だと思っています。今回のIR法案に関しても、いろいろな立場がありましたが、議論の結果、最終的にはこの内容のIR法案には反対であるということを部門でまとめ、NC(次の内閣)でもまとめ、結果として衆参の採決行動において1人の造反者もいなかったということは事実として確認していただきたいと思います。
 その上で、今後出てくるのは実施法です。どういう実施法になるのか、私達はまだよくわかりません。ですので、予断を持ってお答えするのは避けたいと思いますが、やはり一つ一つの実施法に対して、部門の中でも指摘された、ギャンブル依存症対策が十分な形になっているのかとか、賭博罪の違法性阻却の措置、対応が十分とられているのかとか、あるいは収益の使い道とか、かなり多岐に及ぶ実施法になるのではないかなと思っていますので、それら一つ一つが国民の信を得るに足りるものかというのは、非常に厳しい視線からチェックしていくという段階に移っていくのではないかと思っています。あくまでも一つ一つの法律の中身をきちんとチェックしていきたいと思っています。