大串博志政務調査会長記者会見

2017年1月17日(火)11時34分〜12時03分
編集・発行/民進党政務調査会

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=spaQJLpOL60


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○阪神・淡路大震災から22年に当たって

【政調会長】
 冒頭、今日で阪神・淡路大震災から22年でございます。
 私も当時大蔵省にいて、もう朝一から非常に大きな地震の対応に追われたのを記憶しているのですが、あらためて、亡くなられた方々のご冥福を祈りながら、被害を受けられた方々が新しい人生を紡いでいかれることに対して支援をしっかりしていかなければならないなと思いますし、災害のない日本をつくっていくということに対する決意を再認識したところであります。

○予算審議について

【政調会長】
 いよいよ20日から国会が始まります。冒頭、代表質問等々があって、私も代表質問に立つ予定にはなっているのですが、その後、政府のほうからは補正予算の審議等々の話があります。
 まず冒頭は補正予算ということなのだと思いますが、今回の補正予算は、ご案内のように、税収が1.7兆円、見通しから減収しているという、私達から見るとまさにアベノミクスが失敗を露呈したということのある意味で具体化みたいな補正予算なので、その点も含めながら、アベノミクス全体の失敗という大きな論点も示しながら、かつ補正予算の内容の問題についてもしっかり議論できるようにしていきたいと思います。その後の予算審議等々もありますので、安倍政権が一体我が国をどこに向かわせようとしているのかということも含めた大きな議論をしていきたいと思います。

○「共謀罪」新設・組織犯罪処罰法改正案について

【政調会長】
 そういう中で、今国会どういう論点が上ってくるのかというのは、これから政府からどういう法案が上がってくるのか見極めながら対応をよく考えていきたいと思いますが、仄聞するに、「共謀罪」に関しては今国会に法案を出してくると言われています。
 報道ベースで見る限りにおいては、「テロ等準備罪」ということで、前の「共謀罪」とは違うんだと、昨日菅官房長官も言っています。はたしてそうか、という思いが私達にはあります。
 というのは、報道等で見ると、廃案になった前法案とは違う内容ということで、例えば(適用対象を)「団体」というものを「組織的犯罪集団」に限るとか、あるいは単なる「共謀」ではなくて「準備行為」等に限るとか、そういったことがあるので、テロに対するものなのだと。こういうことのように説明として見えますが、ご案内のように、今言った二つの絞りは、前回廃案になった時の与野党協議、私達民主党(当時)のほうからも修正の提案をしました。その修正の提案を受けて与党側からも考え方として示されていた内容でもありますので、当時とどこが違うのだろう、というのが正直言って私の感想であります。
 かつ、対象犯罪が、当初676等々と言われていて、これも前回と同じ。今日の報道で、300ぐらい、半分ぐらいに削ると言われていますが、対象犯罪を削ればそれでよいというものではないのですね。というのは、先ほど申しましたように「組織的犯罪集団」とは何かとか、あるいは「準備行為」とは何かとか、この辺の定義があいまいなままだと、いろいろなことが「共謀罪」の中で罪になってしまう可能性がある。
 おそらく、政府の資料等を見ると、この「準備行為」というところに関しては、単なる話し合いをして合意をしただけではなくて、話し合いをして合意したものを受けて、そのうちの一人がそれを「推進するための行為」を行うというような法文の書き方になるのではないかなとあらためて思うのですが、「推進するための行為」とは、法文としては極めて範囲があいまいだと思います。
 例えば、昨日もテレビでやっていましたが、話し合いをして「こういったことをやろう」となって、「わかった」と。別れた後にキャッシュディスペンサーでお金をおろしたと。それは自分のお金かもしれない。自分のお金と、いろいろな行為を行うことに対するお金が混交していた場合に、じゃあそれも「推進するための行為」に入るのかとか、この「推進する」という言葉だけで絞れるのか。
 だから「準備行為」ということの定義は本当に十分な絞りになっているのかという、この辺がやはり一番大きな論点だと思うのです。
 もう一つ重要な論点を言いますと、前回の時もそうだったのですが、この条約ですが、もともと反社会的な国際的な集団、よく言われるのはマフィアとか、こういった人達の国際的な動きがかなり多いので、こういったものを止めていかなければならないというような問題意識から起こり、その後、9.11が起こって、テロの問題も大きくクローズアップされていく中で、この条約を推進していくことはテロにも対処する力を持つのだと、こういうようなことが言われて、そういう流れにあります。
 よって、条約の中にはもともと、国内法を整備する目的として、「金銭的利益その他の物質的利益を得ること」を目的としてかくかくしかじかの犯罪行為を行う、という限定がついているのです。ところが、さきに出された「共謀罪」の法案には、こういう限定が全くなく、かなり幅広く、金銭や物質的な利益を得る目的以外の犯罪にも及ぶようなことになっていた。こういった点も、本当に今回の「テロ等準備罪」になるのだったらどうなるのかというところに疑問があります。
 というのは、本当に菅官房長官の言うように「テロ等準備罪」になるのだったら、「金銭的利益その他の物質的利益を得ること」以外の目的のためにテロリストの皆さんは動くのではないのでしょうか。例えば宗教上の思惑、あるいはいろいろな精神的な不満、こういったものがあるがゆえにテロ行為を働こうという向きもあるのではないでしょうか。そうすると、条約の目的とする「金銭的利益その他の物質的利益」を得ようとする集団に対して、それを抑止するためにこの法律をつくるということとは、ちょっと説明が合致しないのではないかなと、逆に私は思うのです。非常に無理くりにやっている感が否めないので、よくよく私達としてはチェックしていきたいと思います。
 政府から法案が出てきていないので、何ら私達としてその段階でやることはないのですが、一応、政調としても党全体で、過去の議論のあり方、そしてどこまで何が行っていたか、先ほど申し上げましたように「組織的犯罪集団」あるいは「準備行為」に限るとかいったことが、前の廃案になった議論の中でも、そこまで議論としてあったのだと。それでもだめだったのだといったようなことなど、党内で過去の議論の経緯を共有すべきだと思いまして、国会が始まって皆さんが上がってこられたら早々にそういう場も法務部門を中心に持ってもらいたいということで指示は出しています。国対でのヒアリングは予算委員会に向けた議論用に行われていますが、あれはあれで国対用の議論として、党全体として過去の議論を共有することをやっていきたいと思っています。

○IR法案について

【政調会長】
 もう一つはカジノ、IR法案ですが、政府側でもギャンブル依存症対策に関するいろいろな議論をしているようでありますが、私達はギャンブル依存症対策だけをとればIR・カジノの問題が回避されるとは全く思っていません。ご案内のように、賭博罪、違法となっているものをどうやって違法でなくしていくことができるのか、違法性阻却の問題。あるいは経済的効果があるのかといった問題。あるいはマネーロンダリングに利用されるのではないかという問題等々、ギャンブル依存症対策以外にも多端な論点があります。
 こういった論点も含めてしっかり議論していく場を、政府側も1年を目途に実施法を議論していかなければならないのでしょうから、私達も受け皿が必要です。幅広い領域に達しますので、内閣部門だけで受けるというのは非常に難しい問題で、何がしかの場を設けて、国会が始まったら議論できる受け皿をつくっていきたいと思っています。

○安倍政権の外交姿勢について

【政調会長】
 あと外交ですね。これも今国会において非常に大きな論点になっていこうかと思います。
 この辺は代表質問などでも野田さんと私のほうで少し分担しながらやっていくことになると思いますが、はたして安倍政権における外交が効果を上げてきたのだろうかと。特にトランプ氏が今回(米国大統領に)就任し、非常に不透明・不確定な要素が、今、皆さんの心の中にあると思われる中で、対アメリカの関係のみならず、対アジア、対ロシアの関係においても、安倍外交というのは成果を上げてきているのかという論点なども、きちっと国会の中で追及していけるような態勢をとっていきたいと思います。


■質疑

○生前退位をめぐる議論について(1)

【読売新聞・重松記者】
 陛下の退位のことについて伺いたい。昨日、衆参議長の会合で、19日の会派会合が発表されたが、例えば個別ヒアリングとか、全会派集まっての協議とか、静かな環境で結論を出すという目的に達するためにはどのような協議の形が望ましいとお考えか。

【政調会長】
 一応、我が党としてのその段階での考え方を年末にまとめました。まとめて、常任幹事会に報告したところなのですが、この問題に関しては、今おっしゃったように、国民統合の象徴たる陛下の身分に関わることなので、国民全体に開かれた形で、国民全体が理解をしていただけるような環境下、そして静かな環境下で議論することが望ましいというのは、そのとおりだと思います。
 「国民統合の象徴」という観点からして、国民の皆さんが理解していただくということを考えると、やはり国民の代表たる国会の中できちんと開かれた議論が行われることが大切だろうと思いますので、政府のほうは政府のほうで有識者会議を行い取りまとめを行うのでしょうけれども、有識者の皆さんがどのくらい国民を代表しているのかという声もおそらくあるでしょうから、国民の代表たる国会の場できちんとした議論ができるような取り計らいを、一応昨日、衆参正副議長のところでやっていただいたということでしょうから、これを受けて、日程感も示されていることでございますので、この日程感を承りながら、私達の中でも議論していきたいと思っています。
 私達の党の中では、長浜博行さんを中心とした場(皇位検討委員会)がありますので、そこを中心とした議論をやっていただきながら、最終的に法案になる時には政調の場にも返ってくることになりますので、例えば次回、24日が今国会での第1回目のNC(次の内閣)になると思いますが、その場で長浜委員長のほうから、年末に取りまとめた考え方をNCに報告だけしておいてもらうと。こういった形を党内でもとりながら、取り回しをこれからしていくというような流れになっていると思います。これは基本的には政調というよりも長浜委員長を中心にやって、法案が出てきた際に政調で受け止める。こんな形になると思います。

○「働き方改革」について

【日本経済新聞・根本記者】
 「働き方改革」で伺いたいが、政府が年末に同一労働同一賃金のガイドラインをまとめたが、それに対する評価をお聞きしたい。

【政調会長】
 それは私、冒頭発言で述べなければいけなかったですね。
 今国会、どのような所信表明演説を総理がやってくるかまだわからないのですが、おそらく「1億総活躍」、あるいはその中で「働き方改革」というのは大きな目玉として言ってこられるのではないかなと思います。
 そういった中で、ところが、言葉ではそう言うけれども、実際にやろうとしていることに関して言うと、長時間労働規制、あるいは同一労働同一賃金に関しても、3月末に行動計画を出すというのみであって、その後法案が出てくるのかどうかすら定かではないという点に関して言うと、非常に、口先だけではないかという感じがします。
 一方で、私達が「残業代ゼロ法案」と言っている、逆に労働状況を厳しくしかねない法律に関しては、相変わらず、過去から続けて今国会に提出した形になっているので、相矛盾しているなと思っています。
 すなわち、「働き方改革」をもってして働く人達に安心をもたらすような口ぶりで言っているけれども、実際にやろうとしていることは全く逆ではないかというような感想を持っているので、本当にやるのだったら私達の長時間労働規制法案を、議員立法ですが、国会の場で、与党として真摯に向き合って審議していただきたいと思います。

○生前退位をめぐる議論について(2)

【毎日新聞・葛西記者】
 天皇陛下の退位について、政府・自民党は特例法で行うと主張している。民進党は皇室典範改正という論点をまとめたが、世論調査では結構、特例法への国民の理解も進んでいるように最近の調査では見える。代表も、政局にはしないとおっしゃっているが、あくまで皇室典範改正にこだわるのか、それとも、例えば今後典範改正を行うという確約があるとか、特例法を皇室典範に附則を付けるとか盛り込むとか、そういうことで解消は可能なのか。政調会長の考えを伺いたい。

【政調会長】
 今、予断を持っているわけではありません。我が党としての当面のスタンスを考えるという意味において、この間、年末に取りまとめをしました。それを持った上で、先ほど言ったように「国民統合の象徴」たる陛下の身分に関することなので、やはり国民の皆さんが全体納得できる、政局的な議論ではない静かな環境下での議論の上、一定の結論が得られるというのが望ましいのはもう間違いのないことなので、いろいろな議論にお骨折りをいただいている衆参両議長・副議長のもとでの議論に参画しながら、しかし考えることは述べつつやっていきたいと思いますが、やはり基本的に政局的になってほしくはない議論の進め方になってほしいなと思いますし、私達もそういう立場から臨みたいと思います。

○「共謀罪」新設・組織犯罪処罰法改正案について(1)

【産経新聞・松本記者】
 冒頭でおっしゃった、「共謀罪」に関する過去の議論の経緯を共有する場というのは、具体的にどのような場をイメージしていらっしゃるか。

【政調会長】
 法務部門です。法務部門で、これは有田芳生ネクスト法務大臣にも既にお願いしていますが、国会が始まったところで法務部門会議を開いてもらって、過去どういう経緯があったかということを、全議員上がってきますから、その場で一回おさらいをしてもらう場が必要かなと思います。

○北方対策プロジェクトチームについて

【北海道新聞・金子記者】
 日ロ外交の関係で伺いたいが、昨年末ごろに、日ロ首脳会談があるのに合わせて、民進党政調の中にもプロジェクトチームを立ち上げたと思うが、その後の議論の進捗状況や、もし議論が進んでいないとすればどういった背景があるのかお聞きしたい。

【政調会長】
 北方問題に関するPTを立ち上げました。これは、安倍総理の日ロ首脳会談に向けた動きがあった後、これは実は以前にもあったPTなのですが、この問題に関与される元島民の皆さん、あるいは地元の皆さん方の熱い思いというのがあるのですね。そこを受け止める場として、やはりPTがあったほうが望ましいという判断から、去年の秋にPTを立ち上げました。
 その上で、基本的には北方領土の返還に向けての声を上げていく、あるいは運動する時の母体としていきたいと思いますし、さらには元島民の皆さんの高齢化も進んでいる中で、いろいろな支援策。今回、相互交流をより高めるというようなことも、前回の日ロ首脳会談のプレス向け発表の中にありましたが、それが今後煮詰められていくのでしょう。そういった中で、どういうふうになっていくのかというあたりをきちんとフォローアップしながら、言うべきことは言っていくというような母体として活用していきたいと思っています。

【北海道新聞・金子記者】
 現在の進捗状況についてはいかがか。

【政調会長】
 基本的には、そこで議論を行うというよりも、例えば日ロ会談の議論をそこで一旦受け止めてもらって、例えば私達はステートメントをあの時に出しましたが、ステートメントに関してどういう物言いをしていくかみたいなものを、そのPTからも意見をいただいたりしています。そういった活動をしていくことになると思います。

○「共謀罪」新設・組織犯罪処罰法改正案について(2)

【NHK・関口記者】
 「共謀罪」に関連して、政調会長のお話では、その要件の部分で、範囲があいまいな部分がまだ残されているのではないかと。もちろんまだ法案は出ていないが、そういう指摘があった。一方で、昨日のヒアリングの中では、そもそも現行法で条約批准に対応できるのではないかという意見もあった。民進党のスタートとしては、対象をちゃんと明確にしていくべきだというところなのか、それともあくまで現行法での対応を検討していくべきということを打ち出していくのか伺いたい。

【政調会長】
 前回の民主党時の議論は、最終的な結論としては、この条約の中に、国内法に基づいてその犯罪行為、合意の推進にかかる行為を行った場合にのみ罰することができると、そういう法の立て付けでも結構だと、条約には書いています。「国内法に従って」という一節があるのですね。
 ここはどういう意味かというと、ものすごく幅広く、「犯罪行為の合意をしただけで罰するということでいいんですよ」という国もひょっとしたらあるかもしれない。一方、国によっては、「いやいや、合意しただけで犯罪とするのはやはりよくなかろう」という国もあるかもしれない。よって、国内法の考え方に従って、合意した上でかくかくしかじかのような場合にはこれを犯罪とする、という立て付けにしていいという意味の一節がそこに入っているのです。
 ここをとらまえて、私達民主党(当時)としては前回の時には、我が国刑法体系の中でかなり広範に「予備罪」「幇助」「共謀共同正犯」、こういったものが入っています。これをもって条約の批准のベースとなり得るのではないかという考え方を示しました。当時は民主党だったので、そのベースがありました。今度、民進党になっているので、もう一回この点はきちんと議論しなければいかんだろうなと思っています。
 ただ、当時、民主党として議論した到達点は、私は当時、法務委員会にいたのですが、かなり詰めた議論もしましたので、やはり私自身も「国内法に従って」という条約の一文がある以上、国として単なる合意だけではなくて、こうこうかくかくしかじかのところがあった場合に犯罪とする、という絞りをかけていいということであれば、日本刑法体系の中で幅広く「予備罪」「幇助犯」「共謀共同正犯」みたいなものが措定されていることをもってして、条約の批准において不足しないのではないかという思いも今でももちろんあります。だからこの点も含めてもう一回、先ほど申しました法務部門での確認作業も含めてきちんとやっていかなければならないと思います。

○生前退位をめぐる議論について(3)

【読売新聞・重松記者】
 退位の件だが、先ほど「政局的になってほしくない議論の進め方」ということだったが、大串会長が想定される議論の進め方はどのようなものをお考えか。衆参議長の下で協議の形として個別ヒアリングとか、全会派集まって議論するというような形なのか。どのようなものが望ましいとお考えか。

【政調会長】
 せっかく衆参の正副議長がイニシアチブをとられて、昨日・16日に枠組みを提示された話なので、その進め方に対して私達が予断を持って「こうしてほしい」「ああしてほしい」ということを、今私が特定の考え方を持っているわけではありません。
 ただ、先ほども申したように、皇室のあり方、天皇陛下のあり方に関わる大きな課題なので、やはり静かな環境下で結論に至れるような、そういう進め方であってほしいなと、政局的にならないような進め方であってほしいなとは思います。

○「共謀罪」新設・組織犯罪処罰法改正案について(3)

【東京新聞・我那覇記者】
 「共謀罪」の関連で、合意することによって犯罪として見られるということになると、かなり監視の目が強まるのではないか、そういう社会が到来するのではないかと懸念する声があるが、会長としてどうお感じになっているか。

【政調会長】
 「共謀罪」は、皆さんも政府の資料を見られていると思うので、私が言うまでもないことだとは思いますが、これは外務省の資料ですが、「合意」を行うこと、これを第一義的に犯罪としなさいと。こういうのが条約の書き方なのですが、当然、これに関して法案をつくったところ、前回においては「合意」だけだと、それこそ単に集まって「これは問題ではないか」という話をしただけで犯罪になってしまうおそれが拭えなかったということで廃案になった。過去3回廃案になったということからしても、「合意」だけということを前提とすると、これは相当幅広い解釈になるというのは引き続きあるだろうなと思います。
 一方で、さらに、この「合意することであって、国内法上求められる時は、その合意の参加者の一人による当該合意の内容を推進するための行為を伴い」という、これがあるので、ここに根拠を持って、例えば合意した後に「推進するための行為」をした場合に罰するというふうに限定しようということが今言われているのだと思いますが、これも「推進するための行為」ということがもし仮に法律上にこういう法文になったとしたら相当幅広い、これでもかなり幅広いものではないかなというおそれがあるということを先ほど申し上げた次第であります。
 「合意」ということだけだとすると、もってのほかなほど幅広いものになり得るのではないかなという感じがします。

○IR法案について

東京新聞・我那覇記者】
 先ほどカジノの関係で、議論できる受け皿を設けたいとおっしゃったが、具体的にどういうふうなことをお考えか。

【政調会長】
 IR法案に関しては基本的には前国会までは内閣部門でやってきましたが、ご案内のように厚労とか文科とかかなり幅広い対象の部門にまたがることなので、PT形式にならざるを得ないかなという感じもしています。そういった場をつくっていくということだと思います。

○「共謀罪」新設・組織犯罪処罰法改正案について(4)

【東京新聞・我那覇記者】
 「合意すること」と、そこには「合意」があったことを確認する必要があるのだろうと。となると何らかの、監視という言い方が適切なのか、見なければいけないということへの懸念から、要するに監視社会の到来という、ちょっと漠然とした話だが、そういう声もある。その点についてはいかがお考えか。

【政調会長】
 犯罪に関しては構成要件の定めが、「合意」だけとか緩過ぎると、これは警察権の濫用につながる可能性があるというのは、もう一般的な世の中にあるおそれだと思います。それが警察権の濫用につながるおそれがあると、「監視されているんじゃないか」というおそれを世の中的に呼び起こし、かつ、いろいろな社会的な声を萎縮させてしまうという、まさに権力の濫用に対するおそれみたいなものがはびこる社会になってしまうのではないかなという感じがするものですから、やはり構成要件はきちんとしておかなければならないというのが大原則だと思います。