大串博志政務調査会長記者会見

2017年2月14日(火)10時41分〜11時02分
編集・発行/民進党政務調査会

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=7rStQbjId0s


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○日米首脳会談 安全保障問題・経済問題について

【政調会長】
 トランプ・安倍会談が行われて、今日も予算委員会でやっていますが、この結果、安全保障に関して日米関係の同盟が揺るぎないことがわかるという方向になったことはよかったと思います。
 一方で、野田幹事長もきのう言っていましたが、例えば入国制限問題に関して世界の首脳が「人権」や「自由」という基本的価値の観点から意見を言う中で、安倍総理がそれをきちんと言ったのかどうか。間合いを詰め過ぎていないかといったところは、これからもしっかり見ていかなければならないと思いますし、今後いろいろな議論が起こる時に十分な発言力を持ち得る立場にあるのか注視していかなければならないと思います。
 特に安全保障問題に関して、積極的平和主義の中で役割を拡大する駐留米軍に関する費用負担に関しても、これで言われることはない、終わった、と安倍総理は言っていますが、これは本当にそうか。すなわち別の形、「日本が役割を果たす」という言葉の中で防衛費増額を初め、いろいろな形での実質的な負担増加にならないか、といったあたりは確認していかなければならないと思っています。
 北朝鮮のミサイル発射、これは言語道断であり、私達も強く糾弾する声明を出しました。米国とも連携をとりながら厳しく対処していかなければならないと思いますが、そういったことを一つの口実とは言いませんが、前提としながら、一部報道もありましたが、防衛大綱を見直すとか、その他のいろいろな日米の取り決めを見直すといった中で、外には駐留米軍の負担を大きく求められたという形にはしないけれども、実質上それに代わる形で日本の負担が上がると。それによって、防衛費の増額も含めて、トランプ氏の存在・登場に名を借りた便乗的な形で、なし崩し的に、これまでの日本の防衛のあり方が水増しされてしまわないかといったあたりは、きちっと見ていかなければならないと思います。
 敵基地攻撃に関しても安倍総理、国会の中でちょっと踏み込んだ発言もしていました。
 あるいは防衛予算の中にある研究費予算、これが本当に民間研究の中立性を害しないものかといった議論も日本学術会議でも行われています。この予算が、ことしは6億円から約100億円と極めて急激に、国庫債務負担行為ですが、増えているわけです。
 こういった問題などはきちんと見ていかなければならない。これが一つです。
 もう一つが、経済の問題。麻生副総理とペンス副大統領の経済対話の中でこれをやってもらうとなりましたが、トランプ政権の経済チームがほとんど議会承認を得ておらず、立ち上がっていないということが非常に気になります。すなわち今回の場合には、トランプ氏として経済政策に関して有意なこと、政権として確定的なことを言える立場になかったのではないか。よって、この2人に「経済対話」という形で包括的に場をほぼ丸投げする形にするしかなかったのではないか。そういう意味ではこの経済問題は全くこれからの話であって、何がしかの理解を得られたというような話ではないのではないかと思うのです。この点の動きはよく見ていきたいと思っています。

○国会論戦 「天下り規制」「教育の無償化」法案の議員立法登録について

【政調会長】
 きょうの予算委員会の中では、南スーダンのPKOに関する日報の廃棄問題、報告が大臣に上がるのが1ヵ月も遅れるなんていうのはもう言語道断でありますし、天下りの問題に関しても、他の大学への再就職も判明するなど、これは非常に大きな問題であったことがより明らかになってきています。特にPKOの問題はきょう取り上げられることになると思いますし、こういった問題もさらに議論をしていきたいと思っています。
 ちなみに、この天下りあっせんの関係で、きょうのNC(次の内閣)で議員立法登録をしようと思っています。これは「国家公務員法の一部を改正する法律案」(仮称)でありまして、内容はまだ精査中でありますが、おおむねの方向性としては、第1次安倍政権で天下り規制が緩和されたことを、基本的に是正していくという内容です。
 第1次安倍政権の時の国家公務員法改正で、退職直後に利害関係のあった企業にも就職できる、ただ、あっせんはだめよという形になったわけですが、これが今回の温床だったと私は思っています。したがって、退職直後に利害関係のあるところ等に就職することは、やはりだめだと。今回の例を見ても、退職直後に就職しているケースが多々あるわけです。こういう内容も含む、あとはOBによるあっせん、あるいは罰則のあり方などの内容を含む議員立法をまずきょう登録して、早期に法案化していきたいと思っているところでございます。これはきょうのNCで理解が得られれば、ということです。
 もう一つ、きょうのNCで理解が得られれば。教育の無償化に関して、憲法の中の一項目として議論するというような話もありますが、私達は、憲法で教育無償化を書かなければできないものでは全くないと思っています。今の憲法においても、26条、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」と書かれています。こういったことをきちんとやるのであれば、教育の無償化は、法律をきちんと作っていけば政府の責任でできるんです。ということで、私達は昨年末に「民進党の経済政策」ということで教育の無償化を柱とする「人への投資」の政策をまとめましたが、これを具体化するために、きょうのNCで理解が得られれば、「学校等の授業料の無償化等推進法案」(仮称)ということで、教育の無償化法案をまず登録して、内容を詰めていきたいと思っているところです。
 こういった、もろもろたくさん内容の多い国会でございます。
 このほか、「共謀罪」に関してもまだまだ議論が尽きておりません。世論調査では「テロ」ということに限って理解が多いような数字も出てきていますが、私達はこの世論調査のあり方もよく見ていかなければならないと思っています。例えば「共謀罪」から構成要件を厳しくし、テロに対する法律をつくるということに関して、皆さんの考えはどうですか?と聞くと、割と賛成の意見が多くなるのはある意味、当然ではないかと思うのです。問題は、その構成要件が本当に厳しくなるのか、ということであって、そういった論点もかみ合わせた、世論の皆さんへの訴えもしていきたいと思いますし、皆さんの声も踏まえた議論もしていきたいと思っているところです。


■質疑

○日本型ベーシックインカム構想・税制改革法案について

【朝日新聞・中崎記者】
 ベーシックインカム構想について伺いたい。本日の税調と財務・金融部門の合同会議で、法案化に向けて審査に入っているということだが、そちらの進捗状況について伺いたい。

【政調会長】
 ベーシックインカム構想に関しては、今回、秋の税調からの答申の中で、給付付き税額控除に関して、勤労税額控除も含めたより具体的な内容が示されました。これを前回のNCにおいて、今回政府が出している税制改革法案への対案(「格差是正及び経済成長のために講ずべき給付付き税額控除の導入その他の税制上の措置に関する法律案」(仮称))として取りまとめるということで、前回、議員立法登録を(了承)していただきました。ほぼ法案の中身もできているので、これは私達の考え方として理解が得られれば、きょうのNCで法案の承認を得ていきたいと思っています。
 ベーシックインカムと本当になると、これは社会保障とどういう整合性を持つかというところまで含めて議論しなければならない、長期の、非常に大きな課題なので、今回提出するのは税における給付付き税額控除をもう少し具体化するということでございますので、その第一歩としてやっていきたいと思っています。

【朝日新聞・中崎記者】
 となると、法案提出についてはいつ頃までとか、めどは立っているのか。

【政調会長】
 きょう審査をしますので、きょう審査が終わってもし了解が得られれば、近日中に提出していきたいと思っています。

○原発・エネルギー政策のアップグレードについて

【北海道新聞・金子記者】
 エネルギー環境調査会の議論だが、今週16日・木曜日に党内協議という形で部門会議が設定されたが、こちらの狙いと、どういったことを話し合うかについて確認させていただきたい。

【政調会長】
 それを冒頭で言おうと思っていたのに言い忘れたなと思って、追加で申し上げようと思っていました。ありがとうございました。
 エネルギー環境調査会に関しては、調査会自体をこの木曜日の9時半に行おうと思っています。これに関しては、先般来いろいろな報道で出ておりましたが、この背景は、もともと各部門及び調査会に去年の秋から政策のアップグレードをお願いしていました。いろいろな部門から、中間報告を求めていたのがおおむね提出されてきました。ただ、エネルギー環境調査会は議論が重く、非常に課題が大きいので、時間がかかっていたという経緯があります。
 そういう中で私自身、次の節目はどの辺かなと考えた時に、3月12日の党大会というのは一つの節目と考えて、玄葉調査会長には一定の取りまとめをお願いしますと申し上げてきているところであります。これらを踏まえて、蓮舫代表なども、3月12日には一定のことが言えるようにしたいと発言した。そういう背景の話です。
 この間も申し上げましたように、繰り返しになりますが、これは党内の政策のアップグレードとして始めた話なので、4野党(の政策協議)とは全く関係のある話ではありません。これが一つ。
 報道でいろいろありましたが、何か決め打ちをして議論をしているというものではないので、これまでも秋からエネルギー環境調査会で議論し、いろいろなヒアリングや現地視察もやってきてもらっています。これらを踏まえて、一定の取りまとめをしてもらうよう、精力的な議論をするという意味で、これからやっていってもらうわけですが、方向性に関して何か予断を持っているわけではありません。
 このエネルギー環境問題は、私自身も民主党政権の最後の時に国家戦略担当の政務官として1年間、革新的エネルギー・環境戦略の取りまとめに携わりましたが、もう大変関係者も多く、多くの皆さんが関心を持っていらっしゃる内容なので、難しい問題です。簡単に結論を出せる話でもありません。ですから、予断を持っているわけでは全くなく、あくまでも私からは、「これまでの議論を踏まえた上での一定の取りまとめがどこまでできるか、やってみてください」というふうにお願いしている段階なので、決め打ちしているものでもないし、どこまで議論ができるかを見守りたいと思っています。
 いずれにしても簡単な問題ではないので、しっかり議論しながらやっていただきたいと思っています。
 支援団体の連合の皆さんにもいろいろな議論があります。私自身も、特にエネルギーに関係のある組織の皆さんのところには、トップの皆さんと、先週・今週にかけて直接お会いして話もしています。皆さんの意見をきちんと聞きながら、多くの皆さんが納得できるような一定の取りまとめがどこまで行けるかという議論になると思います。

【北海道新聞・金子記者】
 となると、16日の党内協議というのは、議員が集まって一定の党内の結論を出す場になるのか。どのような場になりそうか。

【政調会長】
 繰り返し申し上げますが、簡単な議論ではありません。1回集まって、「こうしましょうか、皆さん」「わかりました、はい」となるような議論では全くないので、私も予断を持っていません。
 ただ、これまで秋からずっとエネルギー環境調査会で、現下の状況を踏まえていろいろなヒアリングをやって、視察にも行ってもらっています。それらを踏まえて、今、どのような一定の取りまとめができるのか。これは皆さんの議論の中で、予断を持たず話し合いをしていただきたいと思っています。

○「学校等の授業料の無償化等推進法案」について

【共同通信・野見山記者】
 教育無償化の法案の内容は、去年取りまとめた、幼児期の教育から大学の授業料の大幅減免といったものを網羅的に包括する内容でいいのかという点と、憲法審査会はことしまだ再開していないが、教育無償化は改憲の項目やテーマにはならないという意思表示を早く示すという意味合いもあるのか伺いたい。

【政調会長】
 教育の無償化法案に関して、おおむね「民進党の経済政策」の時に取りまとめたものにラインは沿っているものだと思っています。
 教育の無償化を憲法の論点にという声も一部である中で、私達は、憲法改正をして教育無償化を書かなければ教育の無償化はできないものではないと思っています。繰り返しになりますが、現行憲法の中にも「法律の定めるところにより~ひとしく教育を受ける権利を有する」と書かれているわけですから、政府が責任を持って法律をつくっていけばできるということになっています。
 これはもう政府の責任でしっかりやっていくべき話であって、憲法を改正するというのはなかなか簡単な話ではありませんので、そういう領域にわざわざ持っていくことなく、目の前の法律をしっかり議論すればいいではないか、というような議論の提起をしていきたいと思っています。

【日本経済新聞・林記者】
 蓮舫代表は、教育無償化は憲法ではなく、一番の問題は財源だ、とおっしゃっているが、この法案の中には財源の部分まで書き込まれるのか。

【政調会長】
 財源に関しては、先般の「民進党の経済政策」を取りまとめた時に、あわせて書きました。例えば消費税の再引き上げの一部を使うとか、あるいは配偶者控除も含めた税の見直しを行っていくとか、あるいは予算の中の金利の想定を現実的なものにしていくというような予算の適正化とか、こういった財源を書きました。こういったことを背景に行っていきたいと思っています。
 普通の法律は、基本的にはその中に財源は書かないのです。

○天皇陛下の退位をめぐる議論について

【日本経済新聞・林記者】
 天皇陛下の退位について、自民党が主張している特例法での対応と、民進党が主張している皇室典範改正、どちらも「政争の具にはしたくない」という認識は一致していると思うが、高村自民党副総裁は、憲法との関係で皇室典範と特例法のつなぎの法的措置をとるとおっしゃっていて、おそらく皇室典範の附則に「退位は特例法で定める」という文言を書き込むことなどを念頭におっしゃっていると思うが、この案について政調会長はどうお考えになるか。

【政調会長】
 私達の考え方は12月にまとめました。これを常任幹事会でも報告し承認を得て、かつ、全議員の皆さん(の意見)も先週から聞かせ始めていただいております。私達の考え方も、このラインで報告していきたいと思っていますが、自民党さんがまとめられたと、きのう報道でありましたが、きのう野田佳彦幹事長も、まだ自民党さんから詳しく話を聞いていないとおっしゃっていました。どのようなことを考えていらっしゃるのか、よく議論していきたいと思っています。
 ただ、報道で見る限りにおいては、私達がやはり皇室典範を変えるのが筋だと思っていることとは隔たりがあるなという感じはしています。

【日本経済新聞・林記者】
 附則に特例法の規定を盛り込むということについては、いかがか。

【政調会長】
 「附則に盛り込む」というのが、どういうふうに盛り込まれるのか全く聞いてもいないので、今のところで判断しかねるなと思っています。
 あくまでも私達は皇室典範を見直していくのが筋ではないかと思っています。