大串博志政務調査会長記者会見

2017年2月21日(火)11時31分〜11時51分
編集・発行/民進党政務調査会

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=uAjahER6DdQ


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○拙速な衆院予算委審議打ち切りは絶対あってはならない

【政調会長】
 国会のは衆議院の予算委員会、今日は中央公聴会ですが、ここに至るまで色々と重要な論点がまだまだ議論されていないと思います。「共謀罪」の問題についても然り。さらには南スーダンPKOの日報問題、隠蔽があったのではないかといった問題も然り。天下りの問題についても十分な答えになっていない中で、他省庁に対しても文科省OBが斡旋をしたような報道もあります。拡がりを見せてきています。
 さらには新たな問題として、大阪府豊中市における国有地の売却が学校法人に対して格安で行われたのではないかという懸念、国有財産の売却の問題として本当に適切なのかといった論点も、これは予算に関することですから、きちんと議論せざるを得ない。
 そういう中で拙速な衆議院予算委員会の幕引き、審議打ち切りは絶対にあってはならないということはまず申し上げたいと思います。

○法務部門で「共謀罪」創設法案に対する見解を取りまとめ

【政調会長】
 そういった中で、幾つか政調の中でも動きがありまして、一つは「共謀罪」についてですが、これまでも法務部門で色々な議論をしてきました。その中で、部門の役員の間では一定の方向性が出ました。
 これを部門の全体の持ち回りとして諮っているところでありますが、基本ラインとして、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を締結するために、「共謀罪」のような包括的な国内担保法をつくることは無用であるということが一点。これも国会の中でもいろいろな議論がありましたが、わが国の刑法においては、未遂、予備、共謀等認められている罪もありますし、この国会でもリファーされましたが、TOC条約の立法ガイドに照らせば、条約の趣旨は現在の国内法でも十分満たしていると思われます。よって、包括的な「共謀罪」をつくることは無用であるということが一つ。
 これを裏返して言うと、今政府は「テロ等準備罪」と言っていますが、「共謀罪」のような、非常に構成要件が不明確で非常に包括的なものをつくることに関しては、絶対に反対であるということ。
 さらには私たちは、テロへの対策が必要だということは認めます。国として色々なことをやっていかなければならないものがあるとすると、これはやっていかなければならないことは認めます。それがあるとすれば、個別の法制を一つ一つ丹念に、必要最小限の範囲内で整備することで対応すべきだと思います。例えば、テロをなくすためにはこの共謀罪みたいなものが必要だと言いますが、逆に言うと、個人でテロを行おうとする人間をどう抑止するのかといったことは、今回すっぽりと抜け落ちているわけです。こういったことも含めて、本当にテロに対する対策が必要だということであれば、それは個別、必要最小限の法整備でやっていくべきです。
 こういった考え方が概ね法務部門の役員の間で共有されましたので、部門の中での持ち回りでの承認を求めようとしているところですので、大体まとまるのではないかと思っています。

○外防部門で、南スーダンPKO撤収について取りまとめ

【政調会長】
 もう一つが南スーダンですが、ご案内のように今回、稲田防衛大臣が省内すらグリップしていないという、シビリアンコントロールの問題も見えました。これに関して、昨日も民主党の外務・防衛部門が開かれまして、部門の結論としては、南スーダンPKO部隊については、これを撤収させるべきであるという結論に至りました。
 具体的には(以下、部門見解読み上げ)、わが党の外務・防衛部門会議においては、今般の南スーダンPKOをめぐる状況や国会審議、政府の対応を検討した結果、以下の論点を踏まえ、南スーダンPKOに派遣されている自衛隊を撤収させるべきとの結論に達した。
 すなわち、一番目に、南スーダンの情勢変化によりUNMISSのマンデートが派遣当初、これは民主党政権時代ですが、派遣当初の平和構築・国家建設から、住民保護・人権支援に変容し、現地に派遣されている自衛隊部隊に本来想定されている任務では対応が困難なこと。
 二番目に、国連は現地の厳しい治安状況が悪化の一途をたどっていると報告しており、さらに流動的となっていると考えられること。
 三番目に、シビリアンコントロールが十分機能していない状態で、南スーダンへの自衛隊PKO部隊が活動を継続するには重大なリスクがあること、などを踏まえ、自衛隊員の生命を守るために、同部隊の南スーダンからの撤収を求めるとともに、稲田大臣の辞任を求めるものである。
 こういった考え方を、昨日の部門でまとめました。
 これはNCにも報告したいと思っておりますが、これまでの国会での議論を踏まえると、極めて遺憾な状況が続いていると思います。こういった私たちのポジションを発信しながら、これからも国会の議論に臨んでいきたいと思っているところです。


■質疑

○予算に関わる問題山積の中での審議打ち切りは言語道断

【NHK・黒川記者】
 冒頭におっしゃった予算委員会のことだが、今朝行われた自民・公明のいわゆる二幹二国で、24日の金曜日はプレミアムフライデーということで採決は見送る。ただ、月内の採決はめざすという方針が確認された。これについて受け止めを伺いたい。

【政調会長】
 審議日程ありきで審議を打ち切るという態度がありありで、言語道断だと私は思います。先ほど申し上げたように、「共謀罪」の問題や、南スーダンPKOの問題、さらには予算に大きく関連する天下りの問題等々、まだまだ解明できていない問題が多い中です。さらには国有地の売却が不当売却ではないかと疑われる問題等、これも予算に大きく関連している。こういった問題がある中で、あるいはトランプ米国大統領の就任後の安倍総理との会談、外交問題としてトランプ政権にどう向かい合っていくのかといった問題。まだまだ議論されなければならない問題が多い中で、採決の時期ありきで国会審議を打ち切るというのは、いかにも強権的な国会運営手法にほかならず、言語道断だと申し上げたいと思います。

○部門で時々の論点へのスタンスを打ち出し、発信していく

【東京新聞・我那覇記者】
 南スーダンからの自衛隊撤収の関係だが、結論を出したということだが、今後、政府・与党に対して具体的にどう働きかけていかれるか。

【政調会長】
 これは部門として、これまでの国会審議も踏まえた上で色々な議論の上、結論を出されたということです。
 ただ、先ほど私が申し上げたような点は、これまでの国会議論の中でも、わが党からの質疑者が大いに論点としてきたところです。十分な答えが得られたとも思えません。引き続きこういった観点から、国会での論戦の中で政府に確認を求めて、追及していきたいということです。

【東京新聞・我那覇記者】
 これまで求めてきたことと、党として意思決定するということの違いというのはどういうようなイメージか。

【政調会長】
 今までの政調の部門会議でよくある意思決定というのは、法案に対する賛否、出てきた時にその賛否を決めるとか、こういったことは意思決定の場としてよくやっていたわけです。しかし、ある一定の事柄が動いている時に、これに対してわが党の現時点のスタンスがどうだということを部門で決めたりすることは、あまりなかったのですね。ただ、私が政調会長となって、このようなその時々における重要な論点に対して、その時、その時で部門でしっかり議論した上で、その時のスタンスとして結論を出していくのは非常に大切なことだと考えました。
 今回、「共謀罪」と南スーダンPKOに関しては、部門でのしっかりした議論を踏まえながら、一定のところで一定のスタンスを示していくことを考えていただきたいと、ずっと申し上げてきたところでした。こういった意見を取りまとめることによって、党としてワンボイスで発信していけるように打ち出していきたいと思います。

○天下り問題、政府全体の調査を促進させるよう国会で追及

【共同通信・野見山記者】
 天下り斡旋問題の中間報告で、新たに十数件が確認され、他大学にも拡がりを見せている。今回の中間報告の受け止めと、今後の全容解明に向けてお考えをお聞きしたい。

【政調会長】
 非常に切れ切れな調査結果の開示だと思っています。まず、本当に一生懸命調査をし、情報開示をしようとしているのか、非常に疑わしい。国会での答弁も、時間稼ぎをしようとしているのではないかと思わせる文科省の調査であり、全省庁の調査だと思います。ここはまず、文科省もそうですが、政府全体の調査を促進させるような追及を、国会の中でしっかりやっていきたいと思います。
 これは本当に予算に絡むことです。天下りというのは予算の流れに絡むことなので、まさに衆議院の予算委員会の審議中に、理事会協議事項になっているこういった色々な情報も早く開示して欲しいと思います。

○党大会メドにエネルギー環境調査会議論一定取りまとめを

【北海道新聞・金子記者】
 民進党が現在、エネルギー政策の検討をされていることに関して、連合傘下の一部から反発があったり、党内でも反発が拡がっているようにも見られるが、これに関しての現状の受け止めと、今後どのような形で議論を進めていくか、あらためて確認させていただきたい。

【政調会長】
 色々な報道が出ています。あたかも何か決め打ちをした議論が行われているのではないかというような受け取られ方も一部あるかもしれませんが、エネルギー環境調査会においては、何か決め打ちした上で議論しているものではありません。方向性について何かを決めて議論しているわけではない。ただ、事の経緯としては、各部門の政策のアップグレードをお願いした中で、エネルギー環境調査会に関しては時間がかかっていました。これは難しい案件なので、これは仕方がないことだと思います。
 ただ、昨年末までの各部門での一定のアップグレードの結果、中間報告を求めた中でそれが成らなかったので、次の節目としては3月12日、党大会というのを一つの節目として考えた上で、玄葉光一郎調査会長には私の方から、3月12日までを一つのメドとしてそこまでの議論の一定の取りまとめを行って下さいということをお願いした、という経緯の中での話です。先ほど申し上げたように、何か方向性を決め打ちして議論しているわけではなく、今まで議論してきたことの中の一定の取りまとめを、3月12日を一つのメドとして、そこまでの議論の取りまとめをして下さいと言っている話です。
 繰り返しになりますが、四野党連携等々の絡みのある話では全くなく、あくまでもわが党としての政策アップグレードの一環です。
 かつ、何らかの方向性を決め打ちして議論しているわけではないので、昨日もエネルギー環境調査会は視察に行っていましたが、今週も平場を開いて皆さんからの議論を受け付けていくことになると思います。こういった丁寧な議論を通じて、どのような考え方が示され得るのか、よくよく議論していきたいと思っています。  いずれにしても、民主党政権の最後に革新的エネルギー・環境戦略が決まり、それがわが党のベースにあって、その後4年間経っていますので、その後の状況も踏まえながら、政策的に何がどうあるべきなのかということを常に議論するのが政党としての役割だと思います。そういった中で、丹念な議論を調査会で行っていきたいと思います。
 難しい課題ではありますので、丁寧に、丹念に、慎重に、議論をしていきたいと思っています。

【TBS・牧野記者】
 関連だが、蓮舫代表は踏み込んだエネルギー政策ということの指示を出されていると思うが、踏み込むとはどのようなイメージか。脱原発・卒原発を打ち出したいということは、会見で言っていたと思う。いずれにしろ、代表が打ち出したいものがまずあって、指示が出ているという認識か、今おっしゃったようなボトムアップで上がってきたものを打ち出すのか。

【政調会長】
 先ほど言ったように、基本的に方向性を決め打ちして議論しているわけではありません。ただご案内のように、エネルギー政策はわが党の色々な政策の中でも非常に重要な政策であるという認識は、これはもちろんあります。よって、政策アップグレードの中でも取りまとめが遅れていたので、3月12日というメドを持ちながら、そこまでの一定の取りまとめをして下さいというお願いを、私からもしたわけです。重要な政策であるという認識はもちろんあります。
 ただ、非常に難しい課題でもありますので、決めつけで決められる話ではもちろんありません。関係者も多いし、色々な意見があります。党内にも色々な意見があります。そういう中で、丁寧な議論を通じた上で、どういうことが考えられるのかということは丹念に議論していきたいと思っています。

○教育無償化は法律をきちん定め、実行できる

【産経新聞・山本記者】
 細野豪志代表代行が、教育無償化で憲法改正に前向きなことを言っていた。政調会長は確か、改正は必要ないのではないかというスタンスだった気がするが、その辺りのご認識を改めて伺いたい。

【政調会長】
 色々な考え方はあると思います。憲法に関する考え方は、皆さんそれぞれお持ちです。少なくとも私がこの間申し上げたのは、教育無償化法案を私たちは用意しており、こういった一つ一つの法律をつくっていくことによって、教育無償化という、私たちが年末に示した人への投資の一つの大きな柱を実施していくことができる。これは事実なのですね。つまり憲法改正をどう考えるかの前に、法律をきちんと定めることによって教育無償化は実行できるということは事実なので、きちんと訴えていきたいと思います。かつ、私たちの重要な政策として法案化するわけですから、非常に重いことなので、きちんとアピールしていきたいと思います。