参院予算委員会で28日、2017年度政府予算に関する基本的質疑が行われ、民進党・新緑風会の2番手として小川勝也議員が質問に立ち、(1)日ロ首脳会談(2)豊洲市場移転(3)南スーダンPKO(4)天下り(5)大阪・豊中市の国有地の学校法人「森友学園」への払い下げ(6)JR北海道の経営立て直し――等の問題を取り上げた。

 小川議員は冒頭、昨年暮れに安倍総理とロシアのプーチン大統領との間で行った日ロ首脳会談を取り上げ、「その時に日本・北海道に向けたロシア軍のミサイル配備があって不愉快な思いをした」と述べるとともに、ロシア軍が北方領土と千島列島に新たな師団を配備するとの発表があった点を踏まえ、事実関係を岸田外務大臣に確認。岸田大臣は「地対艦ミサイルの択捉島および国後島への配備については、昨年11月24日及び25日、外交ルートを通じて抗議した」と答弁。新たな師団の配備については「クリル諸島に新たな師団を配備する」との発表を受け、ロシアでのクリル諸島とは北方4島及び千島列島を指すことから抗議した旨を語った。小川議員はロシア空軍に対する自衛隊戦闘機のスクランブル発進等が増えている実態等も踏まえ、「堂々と日本の立場を主張してほしい」と強く求めた。

 小川議員はまた、日ロ首脳会談の結果に関して「根室の方々は正直がっかりしたという印象」との見方を示したうえで、しかし、北方領土交渉は元々簡単なものではないので、領土問題が解決しないからといって経済協力は一切すべきではないとの考えはもっていないとして、世耕経済産業大臣が講演で行った北方4島の経済分野協力に関する発言の確認を求めた。世耕大臣は「わが国の公的立場を害さないということが大前提になる。岸田外務大臣を筆頭にどういう仕組みをつくるかの交渉が始まる。北方4島の経済活動はその交渉が整理されることを前提にプロジェクトが動いていく可能性がある。その際は北方4島は資材やインフラがないので、根室を中心とする道東地区が資材の供給元、観光拠点、漁業拠点としていろいろな役割を果たす可能性がある」と語った。こうした答弁を受けて小川議員は安倍総理に「領土交渉はがっかりした」と重ねて述べるとともに、重ねての落胆が広がらないよう、北方領土対策、対ロ交渉、北海道がその玄関口になる経済活動に決意をもって取り組むよう注文をつけた。

 JR北海道の経営悪化の問題については、NTTや郵政の民営化の場合と異なり、国鉄を6地域に分割して民営化したことに無理があったのではないかと指摘し、麻生大臣が2月8日の衆院予算委員会での答弁で「経営の分からない人が国鉄を分割民営化したからこうなった。JR北海道の問題は根本的なところに触らず行うのは無理がある」などと語っている点も踏まえ、鉄道が北海道にとって重要なインフラであるとの認識に立って国としての取り組みの重要性を指摘した。

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