大串博志政務調査会長記者会見

2017年2月28日(火)12時02分~12時24分
編集・発行/民進党政務調査会

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=ppPf0_EDPsk


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○来年度予算案の衆議院通過について

【政調会長】
 昨日、来年度予算案が衆議院を通過しました。「共謀罪」や天下り、あるいはPKOの日報問題など、予算にかかわる案件も多々ある中で、いろいろな問いに関して十分な答えがないまま、問題の隠ぺい、幕引きをするがごとき強行的な運営で終わったことは極めて遺憾だったと思います。
 特に終盤においては国有地の値引き払い下げの問題がありました。これもまさに国の予算に大きく絡む問題であるにもかかわらず、途中で議論を打ち切るような形になったことは、本当に大きな問題だと思います。
 これには強く抗議しながら、また参議院での議論が今日の午後から始まりますので、参議院でもしっかり追及すべく、政調としてもいろいろな分析をした上で臨んでいきたいと思います。

○森友学園への国有地売却問題について

【政調会長】
 特に国有地の値引き払い下げの問題は、日に日に異常な構図が浮かび上がってきていると思わざるを得ません。
 そもそも、この大幅値引きに至った経緯も明らかでないし、汚染土壌があるということで値引きされているわけですが、その交渉の記録も残っていない。さらには、汚染土壌を撤去したはずであるにもかかわらず、それが敷地内に「仮置き」されているというのか、また埋め戻したみたいな話になっている。これは一体どうなっているのかと思わざるを得ません。
 そこに安倍総理のご夫人が名誉校長として名を連ねており、教育の内容に関しても、昨日、文科大臣からも「適切ではない」という発言もあったところでございます。
 こういったところをさらに国会の中で追及していきたいと思います。

○国際組織犯罪防止条約・「共謀罪」について

【政調会長】
 さらには、「共謀罪」に関して、対象罪種を二百数十に絞り込むといった報道もありました。国会提出に向けて与党内の議論が続くのだと思いますが、対象罪種が600から300弱に削られたらそれで良いというものではないと私達は思っています。
 そもそも国際条約を締結するために包括的な国内法の整備をすることが本当に必要なのかという問いにはまだ答えられていません。さらに言うと、テロを防止するためにこの法律をつくるのであれば、そもそも条約の目的とは一致しないことになります。テロを防止することは私達も必要だと考えますが、であれば、個別の法律を一つ一つ、変えるべき点を変えていけばいいのではないのかというのが私達の考えでございます。与党協議を経て政府案も次第に明らかになっていくのだと思いますが、きちんと言うべきことを言っていきたいと思います。
 特に「組織的犯罪集団」に関して、集団の目的が一変した場合には普通の団体も「組織的犯罪集団」になるということで、それまで全く普通の団体も「組織的犯罪集団」になり得るということが昨日わかったところでございます。また、いわゆる共謀の際、意識合わせのツールとして、SNSにおける意思疎通も含めて共謀に当たり得るということもわかったわけですから、市民生活に与える影響は極めて大きいと思います。
 こういった論点はさらに議論していきたいと思っています。

○政治分野における男女共同参画法案 与野党合同で再提出方針

【政調会長】
 今日のNC(次の内閣)で報告され、おそらくNCでは問題なく通ると思いますが、選挙に関して、略称「男女の候補者数均等法案」、いわゆる理念法でございますが、「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律案」が、与野党の協議が整う方向になってきています。
 もともと、ご案内のように我が党が男女「同数」とする法案を昨年の通常国会で出していました。与党側では、これはなかなかのめない、男女「均衡」でどうかと言っていたのですが、「均衡」だと全然効力を発揮しないので、私達はそれを蹴っていたわけであります。そこで、与党のほうで数の「均等」でどうかということで話がまとまってきていると承りました。
 法律的なチェックも含めて見ると、「同数」と、数を「均等」にするということは法律的には同義であるということの確認も取れましたので、与野党を通じてこの法律の成立に向けて努力するという方向に今なろうとしています。
 今日のNCでこの法案の審査が通ればになりますが、それぞれの法案を一旦おろして、与野党でもう一回新しく法案を出し直した上で、超党派で通していける土壌をつくっていくことになると思います。
 これは私達が男女「同数」を高々と掲げて、与党が最初に言っていた「均衡」というところで折れないで、政治分野における男女共同参画の推進に向けて一生懸命努力してきたことがやっと実ってきたなと思っていますので、非常に感慨深く思っています。一部に、与党案に野党が乗る、みたいな報道がありましたが、これは全く違います。もともと私達がやっていた考え方にやっと与党が近づいてきたということで、一旦みんなで法律をおろした上で、超党派で出し直すということでございます。やっとここまで来られて、そういう議論をリードすることができてよかったなと思っています。
 こういった動きが今週の動きでございますので、また今週以降、参議院の審議に合わせて、しっかりとした政策議論もしていきたいと思います。


■質疑

○クオータ制導入関連2法案について

【時事通信・大塚記者】
 政治分野における男女共同参画推進法案だが、形としては民進党が歩み寄ったと受け取れると思うが、それでも成立させる意義はどこにあるのか。もう一つは共同提案した他の野党との調整は終わっているのか伺いたい。

【政調会長】
 私達が歩み寄ったのではなくて、与党がやっと私達についてくるようになってきている、ということだと思います。
 私達が「同数」ということを強く掲げた当時の、去年の春の段階の議論もいろいろあったのです。「同数」とまで掲げていかがなものかという声もありました、強硬過ぎないかという声もあったけれども、「いやいや、違う」と。ここは男女「同数」に向けて頑張るんだという態度を示すことが大事だということで、私達は非常に強い態度をとったわけです。
 それでやっと与党がそれに追いついてきているのが現状だと思います。先ほど申しましたように、法律的なチェックも受けましたが、「同数」ということと数を「均等」にするということは法律的な意味としては同義であると。ということならば、私達もそれはのむことができるということです。
 与野党を通じて、できるだけ幅広い合意を得て成立を図れるように、今いろいろな話し合いはしているところです。

【日本経済新聞・林記者】
 民進党は、公選法改正案も出していて、比例名簿で「男・女・男・女……」というのを出していると思うが、これについては、自民党はなかなか厳しいのかなという見方が強い。一方で、今、民進党の(女性)候補者は12%くらいに留まると思うが、この同数を目指していくに当たって、今後具体的にどういう手続を踏んでいくのか、お考えを伺いたい。

【政調会長】
 まずは先ほど申し上げた理念法でこういった成果を出していくと同時に、公選法、具体的な手続を定めた法案に関しては旗をおろさず、私達の考え方をしっかり示していきたいと思います。ここは与党と大きく違うところだと自負もしています。ただ、なかなか審議入りさせてもらえないので、つらいところだなと思っています。そういった中でも女性の候補を増やしていけるようにできるだけ私達も積極的に取り組んでいくというのが、目の前でやれることだと思っています。
 先ほど常任幹事会でもありましたが、衆議院広島3区・塩村文夏さんの擁立を決めました。こういった一つ一つ、国政だけではなくて地方議会も含めて、女性の候補を一人ひとり増やしていくという地道な作業は続けていきたいと思います。

○原発・エネルギー政策について①

【産経新聞・松本記者】
 蓮舫代表が「2030年・原発ゼロ」の党大会での表明を断念する考えを示されたが、政策責任者としてどのように評価されるかお聞きしたい。

【政調会長】
 いろいろな報道がありました。繰り返し申しますが、「断念」とかそういう報道もありましたが、基本的なスタンスとしては何かを決め打ちして議論しているわけではないというのが私達の現状でございます。その議論した先にどこまで、3月12日の段階で言えるものがあるのかということを見出していこうというスタンスです。それには変わりはありませんので、そのことはあえて申し上げておきたいと思います。

○国際組織犯罪防止条約・「共謀罪」について

【NHK・黒川記者】
 「共謀罪」の話だが、きょう自民・公明で与党協議があり、あらためて政府・自民党側は来月10日に閣議決定したいと。公明党は、もう少し党内で議論したいという方向になったようだ。そもそも、まず10日に閣議決定したいというその考え方について政調会長はどのように考えていらっしゃるか。

【政調会長】
 非常に日程ありきの拙速な印象があります。
 国会の中で、法案も出ていないにもかかわらず、国民的な関心も非常に強い法案だということで、あれだけの議論がありました。そもそも条約を締結するのにこの包括的な国内法が必要なのか、という入り口の論点にすら十分答えられていない現状にあります。そういう中にもかかわらず、まさに日にちありき、日程ありきで、こういう国民の一般生活に影響を与え得るような大きな法律に関して拙速に決めていこうというのは、極めて理解できない。もう言語道断な進め方だなと。与党協議のあり方、法律のつくり方自体が極めて拙速だと思います。

【朝日新聞・松井記者】
 「共謀罪」に関して、冒頭の発言でもあったとおり、一つ一つの個別の法律で埋めていけばいいのではないかということを民進党は考えているが、となると、対案として個別に複数の穴を埋めるための法案提出を民進党として行うお考えか。

【政調会長】
 今のところ私達は、「対案」という意味での法律案というよりも、まだ法律も出てきていませんから、対する考え方を取りまとめたというのが前々回のNCでの結果でした。
 それは今申し上げましたとおり、条約を締結するために包括的な国内法の整備は必要ないのではないかと。もしテロも含めた対応が必要であれば、個別に予備罪や共謀罪等で必要なところを埋めていくことをまず考えるべきではないかという、対案というか、相手に対峙する考え方をまず示したということでございます。
 これに対して向こうがどう反応してくるかをまず見守りたいと思います。それでも法律を出してくるのかどうか、それを見守っていきたいと思います。その上での議論ですね。

○女性候補を増やす取り組みについて

【朝日新聞・松井記者】
 女性の候補者を増やす法案だが、これまで民進党は、例えば地方議員の選挙の際に女性の候補により手厚く資金配分をするとか、具体的な取り組みをしてきた過去があると思う。今後、女性候補者を増やすために、理念法だけだとどうしても限りがあると思うので、具体的にどうやっていくお考えか。

【政調会長】
 そこは私ののりを越えるところがあります。ただ、これは地方の皆さんと、全国幹事会・政策責任者・選挙実務者会議等々を大体3ヵ月に1度ほどやっています。そういった中でも実は毎回、繰り返し地方のほうから、女性候補の支援に向けて、これまで党としてやってきている支援に対してできるだけ手厚くやってほしいという要望もあります。例えば、発掘のために党本部みずから乗り込んでいって地方議員の発掘に手をかすとか、あるいはいろいろな選挙のやり方に関しても党本部も関わって支援してほしいとか、そういった声もあります。これまでも実はやってきていることなのですが、こういったことを丹念にこれからもさらに強めてやっていくことになるのではないかと思いますが、実際に法律を受けてどうやっていくかは党内でもよく議論していきたいと思います。

○憲法審査会での議論について

【テレビ朝日・村上記者】
 憲法審査会について伺いたい。自民党は改憲項目の絞り込みの環境整備を図っていて、来月にも開きたい考えを示しているが、民進党としては開催時期や議論の内容を含めてどのような進め方が望ましいとお考えか。

【政調会長】
 議論をすること自体、私達が、これを止めようとか後ろ向きになろうとかしているわけではありません。日程に関しても、この間、直近のところで合わなかった理由は、向こう側の理由もあったと聞いていますし、日程が入るところでは入っていくことになるだろうと思っています。
 その中で、与党側で仮に憲法改正項目をまず議論しようという意向があるとすると、私達としては、まず、そもそも憲法に関する考え方を議論するところから始めようというラインで今議論に臨んでいると思います。
 そもそも自民党の改憲草案をおろす・おろさないというところから始まった議論は何だったかというと、そもそも憲法というものをどう捉えるかというところの認識の違いから議論しないと、その後の生産的な議論にはならないだろうということだと思います。まずその辺の議論はしっかりやっていかなければならんと思います。

○原発・エネルギー政策について②

【朝日新聞・松井記者】
 「原発ゼロ」のことで伺いたいが、3月12日までの議論の過程をその場で発表するというのはわかるが、一方で党内には、明確にもっとしっかりと「2030年・原発ゼロ」、場合によってはさらに前倒ししてもいいから、とにかく意気込みというか気概のようなものを、旗印になるようなものをちゃんと示してほしいという声が複数上がっている。ただ一方で、ちゃんとした行程表がないのにそういうものを打ち出すのはいかがなものかという声も当然党内にはある。その両方の声に対して、政調会長としてどのように考えているか。

【政調会長】
 政策は基本的には、野党とはいえ第1党でありますので、実現可能性があるものでないといかんと思います。そういった意味で、党内できちんと議論した上で、これならみんなで実現可能性のあるものとして掲げられるものになっていなければいかんと思います。
 繰り返しになりますが、革新的エネルギー・環境戦略を4年前につくりましたが、これ約1年にわたる本当に綿密な議論の上にでき上がった、非常にいろいろな考え方が極めて難しいバランスの上に成り立つ、その時点での、ある意味議論が尽くされてでき上がったものなので、これをちょっとでも議論を変えていくということは、もともと難しいものではあったのです。相当詰めて議論しましたから、それをいきなり何の理由もなく変えるのは難しいことではあるのです。
 ただ、その後4年間、時間もたっていますので、その後の状況変化もあります。正直言って党内には、4年前のものを全くさわらなくていいのではないかという意見の方ももちろんいらっしゃいます。もっともっと見直すべきだという方もいらっしゃいます。そういった議論のある中で少しでも、4年間の変化を受けて、私達政策を担当する政治家として、より現実に即して、私達が考えていることをより明らかに示していけるような形に持っていければいいのではないかなと思っています。
 これは繰り返しになりますが、少し前に進めるだけでも大変な作業です。何がしかの成果を出していきたいと思っています。

【日本経済新聞・林記者】
 蓮舫代表は、年限ではなく内容だとおっしゃっている一方で、野田幹事長は、国会議員の皆さんがいる今国会中に結論を出せればいいという意向を示している。2012年当時でも核燃サイクルやコストの問題についてはなかなか結論が出せなかったと思うが、今、大串政調会長は「何がしかの成果を出したい」とおっしゃったが、この部分について今国会中に結論が出せる見通しはあるか。

【政調会長】
 核燃サイクルや、あるいはコストの問題、こういったものに関して、どこまで議論できるか、結論を出せるかということはやってみないとわからないと思います。
 一つ申し上げておきたいのは、原発政策を考える際に、「こっちの方向で行こう」という、この方向性は極めて大事だと思っていまして、与党は与党で「こっちへ行こう」という方向があります。エネルギー基本計画があって、一定の割合で原発を考えていらっしゃいます。ただ、これでさえ、議論として全て説明し切れていない中で走っている論点は実はたくさんあると私は思っているのです。
 というのは、アメリカとの原子力協定の改定期が来年来ます。その際に、核燃サイクルというものが今「もんじゅ」しかない中で、何がしかの核燃サイクルをやっていくというのが今の政府のスタンスです。その「何がしか」とは何なのかと。来年のアメリカとの原子力協定の改定期までに確定的なものが出るのでしょうか。なかなか難しいのではないかと私は思うのです。そういった今の政府・与党の政策でも、原子力政策というのは完全に全ての政策の穴が閉じた状況で進んでいるものではありません。
 あるいは、使用済み核燃料の最終処分の問題についてもしかりです。NUMO(原子力発電環境整備機構)において最終処分地の候補地を探していこう、候補となり得るところを、まずはNUMOが指摘するところから始めようというのが、去年の12月末までのところでしたが、12月末までにそれが行われなかったということになっています。これもまだ穴が閉じていない。こういった状況で原子力政策は政府・与党においても走っている。
 そういう中で、政党としての意思を示すということがものすごく大切だと思うのです。もちろん一定のフィージビリティ、実現可能性はやはり求められるので必要だと思いますが、その中で、ここまで決められること、そして今後検討を要することというのを仕分けしながら、その上で一定の方向性をその都度その都度、現状に応じてよくよく見直していくことが大切なのだろうと思っています。