大串博志政務調査会長記者会見

2017年3月7日(火)11時31分~11時51分
編集・発行/民進党政務調査会

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=7_SooC2zcP8


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○民進党のエネルギー政策 当面の論点を取りまとめ

【政調会長】
 きょう私から報告するべきことは、一つはエネルギー環境調査会の取りまとめであります。きょうのエネルギー環境調査会で、皆さんには先ほどのブリーフィングでお配りしたと思いますが、当面の論点ということで、まとまりました。
 再エネや省エネをしっかり進めていくことを明らかにしつつ、これを踏まえて、原子力政策に関しては、「原発依存からの脱却が前倒しで実現可能となるよう、来る総選挙に向けて検討を進める」。その際には、いろいろな検討の課題がございます。例えば核燃料サイクルをどうするか。あるいは、立地県に与える影響、これは雇用も含めてどうするか。あるいは、技術のあり方をどう考えるのかとか、廃炉等々はこれからも続いていくわけですから、原子力に通じた技術及び人材をどう確保していくか。あるいは、国際的なエネルギー環境がどうなっていくのか。さらには、日米原子力協定を含む、核をめぐる国際関係をどう対応していくのか。こういったいろいろな課題がございます。こうしたことをきちんと検証していきながら、それらの検証を踏まえた上で、「原発ゼロ目標を実現するための基本的施策を示す『原発ゼロ基本法案(仮称)』を国会に提出」していこうということで、当面の論点ということでまとめることができました。
 これをベースに、今週はここまでですが、3月12日の党大会以降、エネルギー環境調査会においてはさらなる議論を進めていただきたいと思っています。3月12日に関しては、蓮舫代表からいろいろな話があるのかと思いますが、これまでいつも蓮舫代表も言ってきたように、「人への投資」、教育の無償化、こういった柱と、あとエネルギー政策は非常に重要な柱だと蓮舫代表は言ってきました。こういった観点からの発言はあろうかと思いますが、いずれにしてもこれから3月12日以降、しっかり調査会では議論していただくということでございます。

○参院予算委集中審議 電力量の推移について

【政調会長】
 なお、きのうの参議院予算委員会の場で、蓮舫代表が質疑を行ったパネルに関して、世耕経産大臣から、事実関係が間違っていますという指摘がありました。解説を加えておきますと、お手元に紙(「電力量の推移」)を1部届けておりますが、発電量の推移なのですが、一つが「自家発電含み」、もう一つが「自家発電除き」です。当然のように、2010年と2015年を比べるのであれば、同じベースで比べるべきところであります。
 ちなみにエネルギー環境調査会で議論してきた流れにおいては、「自家発電除き」の数字で1100億kwh以上発電量が落ちてきている、それだけ省エネが進んでいる、といったことを紹介しながら議論をしてきました。
 ところが、きのう使っていたパネルは、これは内部的なミスで、2010年の数字としては「自家発電含み」、これは革新的エネルギー・環境戦略を私達がつくったときに2010年の実績として置いた数字です。自家発電含みなので、これは実は非常に想定的なところがありますが、当時、2010年はこういう数字だということで置いた。これと、2015年においては「自家発電除き」の数字と比べてしまったものですから、減り過ぎのように見せかけるために違ったベースの数字を使っていたのではないかという疑念を呼ぶような形になっていたのはあるかなと思いますので、そこは間違いでありました。私達のミスです。
 ただ、いずれにしてもこの「自家発電含み」のベースでも、推計が入るので「?」というところも入れていますが、これも減ってきてはいます。特に「自家発電除き」のところでは如実に、(10064億kwhから)8777億kwhまで落ちてきているのです。実はこの落ち方は、革新的エネルギー・環境戦略の時に、今後どれだけエネルギーの発電量が減っていくかということを想定した時に、「2030年までに1100億kwh以上の削減」をしていこうとつくった目標だったのですね、当時。それを、この2010年から2015年の間にもう既に優に達成しているということは、「自家発電含み」(=1100億kwh減)だろうが、「自家発電除き」(=1287億kwh減)だろうが大体見て取れるので、トレンドとしてはそうなってきていることは間違いないと思います。
 こういう流れになってきているにもかかわらず、安倍政権においては発電量がこれから増えるという前提を置いています。そういった中でエネルギー政策を議論するというのはいかがなものかという論点もあるということを、きのう蓮舫さんも言っていたところでありますので、事実関係としてはそういうことだったということを申し上げておきたいと思います。

○安全保障技術研究推進制度の予算増について

【政調会長】
 最後に一つ。私、非常に気になる点なのですが、昨日、北朝鮮が弾道ミサイル4発発射、3発が(日本の)EEZ内に落下しました。北朝鮮のミサイル開発が、極めて懸念しなければならない新たな段階に入りつつあるという感覚を私も共有します。これに関して、国際的な輪を広げて、各国協調のもとに極めて強い対応をとっていかなければならないというのは、私達も思うところでございます。
 一方で、日本学術会議が軍事研究に関して、政府からお金をもらって研究するということに関して極めて慎重な声明、これまでとってきた声明と同じ考え方なのですね、きのう取りまとめをしました。
 今回、2年前から始まった、防衛省における競争的資金を用いた軍備の研究に資するという意味での研究予算(安全保障技術研究推進制度)、来年度予算で一挙に増えています。これに関しては非常に精査が必要ではないかなと私達思っていまして、これはどこかの場所を捉えてきちんと議論していきたいと思っています。


■質疑

○民進党のエネルギー政策 当面の論点について

【テレビ朝日・村上記者】
 目標を実現するための基本法案をいずれ国会に出すということだが、具体的に法案の条文をどうするかとか、そういった議論は党大会以降のエネルギー環境調査会で行うのか。

【政調会長】
 そうです。
 エネルギー環境調査会において、一足飛びに条文という議論にはまだならないだろうなと思います。先ほど申しましたように、グリーンエネルギー革命の進展がどのくらい進んでいくのか、省エネ・再エネの進展がどのくらい進んでいくのかというのを、まずは紙(当面の論点)の1枚目にも書きましたように、これからきちっと検証していかなければならないですし、そういった前提に基づきながら、さらには2ページ目の中ほどにも書いたような、核燃料サイクルをどうするかというバックエンドの問題とか、あるいは立地自治体との問題とか、国際的なエネルギー情勢をどう考えるかとか、そういった関連する課題にもかなりの時間を割いて議論をしなければならんと思います。
 そういった大まかな方向を議論しながら、その暁に一定程度の収れんが出てきたところで、法案をどうしようかという議論になっていくという順番だろうと思います。

【TBS・牧野記者】
 その法案の中に、(当面の論点の中で)「十分検討する」と書かれている項目、使用済み核燃料の問題とか日米原子力協定の問題とか、そういったものも含めて書き込むということか。

【政調会長】
 ご案内のように、原子力政策は非常に難しい論点が多いです。この間も言いましたが、今の政府でさえ確定的に結論を出せていない論点がたくさんあります。例えば核燃料サイクルをどうするかという問題に関して、政府は「もんじゅ」を推進してきたわけですが、今回「もんじゅ」はやらないとなった。新たな方法を探すと言っているけれども、それが何なのか、実現可能なのか。「これから頑張ってやっていきます」と言っているけれども、どういうふうに実現可能なのかという、固まり切った答えというのは政府でさえ出せていないのです。
 そういったたぐいの話も多くありますので、どこまで具体的な結論を出せるかというと、方向性をまずきちんと出していくことが大切だろうと思いますので、その議論をまずやっていくということだと思います。
 とにかく、「原発ゼロ目標を実現するための基本的施策を示す『原発ゼロ基本法案(仮称)』を国会に提出する」という一定の方向性を今回出せたのは、これまでではなかったことではないかと思いますので、党内いろいろな議論のある中で多くの皆さんの意見を承り、知恵もいただきながら一定の方向性を出せたというのは非常に、厳しい議論ではありましたが、党として成熟した議論ができたのではないかと思います。

【TBS・牧野記者】
 「原発依存からの脱却」と書いてあるが、これは「原発からの脱却」ではなくて「依存」が入っている理由というのはどうなのか。

【政調会長】
 なぜそういう書き方をしたのかというと、2012年の革新的エネルギー・環境戦略、8ページのところに、「グリーンエネルギー革命が加速すると、原発依存からの脱却も前倒しで実現可能となる」という文章が既にそこに埋め込まれています。それを私達としてはしっかり踏まえて取り組んでいきたいということを新たに示すためにも、そういうふうに書いているところです。

【TBS・牧野記者】
 2012年の時点ではいろいろな妥協があって、その文章がまとめられたと思っているが、この「原発に依存する状態から脱却する」だと、依然としてとして原発はあるという前提のように聞こえるが。

【政調会長】
 私達は基本的には「原発ゼロ」を目標としていることには変わりはありません。それは革新的エネルギー・環境戦略の中にも「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」と書かれていることからしても明らかです。それが前倒しでできるように、ということで書いているということなのです。方向性が「原発ゼロ」であることは間違いないです。

【TBS・牧野記者】
 「依存しない」というのは、あるけれども、それに頼らないと。使うことが前提に入っているのではないかという懸念が。

【政調会長】
 ありません。「原発ゼロ」を目指すという方向に変わりはありません。

【TBS・牧野記者】
 それは「依存」を取らなくていいのか。

【政調会長】
 革新的エネルギー・環境戦略にも幾つかの書かれ方があって、最初に書かれていることは、「原発に依存しない社会の一日も早い実現」と書かれています。原発依存からの1日も早い脱却をしていくために具体的にはということで3項目が書かれていて、1項目目が、40年廃炉制を厳格に適用する。2番目が、厳しい安全基準をクリアしたもののみ再稼働する。3番目が、新増設を行わない。こういう三つの論点を書いた上で、これらを行う中で、「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」と具体的に書いています。それが私達の目標であることには変わりありません。

【TBS・牧野記者】
 2012年にまとめた文書だと、例えば2040年代・50年年代も(原発が)あるという解釈ができると捉えている人もいて、それを踏まえるとなかなか、決意が示せるのか。

【政調会長】
 2012年に示したものは、「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」という決意を、閣議決定という形で示しました。
 今般、それを、法案につくっていくということをみんなで取りまとめたということです。法案をつくっていくというのは、ある意味、国会議員としてできる一番きちっとした意思表示であり、かつ具体的な歩の進め方であると思っています。
 大切なことは、先ほど申しましたように、エネルギー政策に関しては全ての答えを今100パーセント出し切って走っていくという姿には、自民党ですら、与党ですらなっていない。大切なのは「どっちの方向を向いているのか」ということであって、政府・与党が原発に関しては20から25パーセントと言っている中で、私達は今のところ「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」という考え方のもとに、さらにその前倒しも検討し、それらの結果も踏まえた上で法案化していくということにしているわけですから、方向性がより明らかに表れているというところはきちんとご理解をいただきたいと思います。