大串博志政務調査会長記者会見(要旨)

2017年3月14日(火)11時42分〜11時57分
編集・発行/民進党政務調査会

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=0xpOz3o6EHk


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○森友学園問題・南スーダンPKO問題 稲田大臣は辞任に値する

【政調会長】
 まず冒頭に、森友学園の問題を初めとして政府の非常に不誠実な対応が続いています。いよいよ籠池理事長の参考人招致は不可避だと私は思っていますが、いまだに拒否し続けている態度はいかにもおかしい。
 さらには、稲田防衛大臣においては、昨日の答弁においても、籠池理事長らに対して、学園に対して、顧問弁護士であったことはないし、法律相談も受けていないと。関係を完全に否定したわけですが、一方で、きのう私達が示したように(森友学園の)訴訟代理人になっていることは紙上では明らかになっており、かつ、今般大阪地裁において(学園の代理人として)出廷までしていたことも明らかになっている。閣議後の記者会見を見ても、きのうの答弁は私の記憶においてこういうふうに言った、というようなことを言っていますが、国会答弁ってそんなに軽いものでしょうか。
 あれだけ強く否定しておきながら、それをさらに否定する。出廷していたという情報が出てきていることは、法律相談を受けていたということ以外の何物でもないのではないかという気がいたします。これだけ、国有地払い下げということ及び学校法人の運営に関する国の関与に対して、横から圧力がかかったのではないかという疑念が持たれている案件に関して、あれだけ関係性を否定しておきながら、実は関係性があったことを示す証拠が出てきている。
 この答弁の揺らぎ一事をもってしても、さらに加えて南スーダンPKOにおける突然の撤退の理由が、危険性を含めた状況の変化、安全性の変化に基づくものではない、治安状況によるものではないと言いながらも、施設整備活動の一区切りというのはいかにも取ってつけたような理由であって、これも治安情勢の悪化によるということを覆い隠そうとしているのではないかという、非常に隠蔽のような状況が見えます。
 こういったことからしても、稲田大臣の防衛大臣としての資質はなしと言わざるを得ないのではないかと思われる状況です。ですから私達は、この問題は、稲田防衛大臣に資格なし、辞任に値するという観点から、これからも厳しく国会においても政策面においても追及していきたいと思っています。
 なお、南スーダンPKOに関しては、私達のほうからもう数週間前に既に、シビリアンコントロールなしという観点において、このシビリアンコントロールが全く利いていない状況においてPKOを継続するというのはあり得ない、撤収すべしということを申し上げておいた。これが遅きに失した形で実現していることもつけ加えておきたいと思っています。

○時間外労働上限規制「月100時間未満」案について

【政調会長】
 こういった国会上の論点もありますが、政策上の論点もこれからいろいろきちんとやっていきたいと思っています。
 特に「働き方改革」に関して、昨日、総理から一定の裁定に向けた動きが出ていましたが、私達としては労使が真摯に話し合いを重ねて、長時間労働の規制に関して一定の合意に到達しつつあることは敬意を表したいと思います。
 ただ、最後の結果がどうなるかも含めて、詳細をこれから分析していかなければならないと思っていますが、(時間外労働の上限規制)月100時間、それに対して私達は慎重な態度をとってきました。その私達からすると、やはり100時間未満という形であっても「長い」と言わざるを得ないと思います。
 ただ、いずれにしても今後検討される長時間労働規制の全体像の詳細、あるいは既に国会に提出されている、長時間労働規制を強化する方向とは明らかに矛盾する「残業代ゼロ法案」、これとの関係がどうなるのか。長時間労働規制を強化するというのであれば、「残業代ゼロ法案」は撤回してもらわなければならんわけですが、これとの関係がどうなるかということも含めて、本当に実効性のある長時間労働規制となるかという観点から、きっちり精査していきたいと思っています。


■質疑

○天皇陛下の退位をめぐる議論について

【日本経済新聞・林記者】
 天皇陛下の退位について伺いたい。議長から15日と17日の全体会合の日程が示されたが、今後の党内手続はどういうスケジュールを描いていらっしゃるか。

【政調会長】
 議長のスケジュールを頭に置きながら、ただ与野党の考え方に隔たりがあって、これをどう調整していくかという論でもございますので、私達のほうだけで「党内をどうしていくか」という話ではなくて、与党のほうからもどのようなことが示されていくかを見きわめながら、タイミングを追いながら党内の意見集約はしていきたいと思っています。明日も、朝になりますか、平場の議論が予定されていますが、こういったものを踏まえながら、しかるべきタイミングで、状況が許せば、状況がそれを必要とすれば、適切な意思の集約を図っていきたいと思います。

○エネルギー政策のアップグレード・「原発ゼロ基本法案」について

【読売新聞・工藤記者】
 党大会での蓮舫代表の挨拶で、「原発ゼロ基本法案」提出に向けた話もあったが、その受け止めというか、今後の議論に向けた意気込み等々を伺いたい。

【政調会長】
 今回の党大会で、原発依存脱却を前倒しで実現可能となるよう、総選挙に向けて検討を進め、いろいろ重要な検討事項があります、経済への影響とか立地自治体への影響とか、あるいは国際的なエネルギー事情とか、こういったいろいろな重要な検討事項の検討結果を踏まえて、原発ゼロ目標を実現するための基本的施策を示す「原発ゼロ基本法案」を国会に提出するということを、蓮舫さんからもあらためて党大会で発言があったわけです。これからが大変なところで、これからエネルギー環境調査会においては、各般からのヒアリング等々も含めて精力的な議論を進めてもらって、責任のある考え方を示してもらえるように議論を進めてもらいたいと思っています。
 特に、衆議院議員総選挙に向けて検討を行うというふうにしていますが、国会開会中というのは議員さんが多くこの場にいて、議論を進めやすい時期でもありますから、少なくとも今国会中は非常に精力的にやってもらいたいと思います。

○日米ACSA改定案について

【時事通信・大塚記者】
 日米のACSA(物品役務相互提供協定)などの審議が始まるが、これへの対応と、こういう防衛大臣のもとでの国会審議にどう臨むか伺いたい。

【政調会長】
 日米ACSAに関しては、日米だけではなく日英、日豪もありますが、前回の安全保障法制の内容を色濃く踏襲する内容になっています。もちろん日米、日英、日豪、それぞれにおいて違いがありますので、全部一緒くたに評価することはできませんが、基本的な構造としては前回の安全保障法制における「存立危機事態」や、「周辺事態」を改めた「重要影響事態」等々を前提としたものになっているとか、あるいは日本がアメリカ軍等に対して後方支援をする際の基準が、それまでは(自衛隊の活動期間を通じて)戦闘が行われていない地域、「非戦闘地域」となっていたところを、「現に戦闘が行われていない地域」というふうに(自衛隊の活動ができない地域が)非常に限定されたがゆえに、戦闘に巻き込まれてしまう、(他国の軍事行動と)一体化するおそれが非常に多いという点で私達は安全保障法制に疑義を示してきたことが、反映された内容になっています。 そういう意味からすると非常に厳しい議論にならざるを得ないと私達は思っています。今、部門でも議論してもらっていますが、そういう声が基本的に多いと思っています。
 こういった中で、今おっしゃったように、シビリアンコントロールすら守られなかったと私達が評価したような大臣、さらには国会での答弁が極めて誠実性を欠く大臣、かつ教育勅語の問題を見ても、その思想的な背景も防衛大臣として資質を欠くと思われる大臣のもとでの審議というのは極めて難しいと私は思っています。そういう意味からも、大臣の任にあたわずということで、辞任を求めていく姿勢には変わりありません。

○教育の無償化について

【日本経済新聞・林記者】
 細野豪志代表代行は教育無償化を盛り込んだ憲法私案をつくろうとされていて、一方で党大会で蓮舫代表が改憲議論はごまかしのようだとおっしゃっている。このあたりは党の中で認識が割れているということなのか。

【政調会長】
 基本的には、政策をつくる立場として、教育無償化というものを経済政策の重要な柱として取りまとめた。それを実現していくためにどうしていくかということを考えたときに、これは法律化していくというのは当然のことですし、実際にこれを法律化して、これを実施できる財源を整え、制度化していくことで、実際に実現可能だと思っています。そういった意味で、教育無償化を実現できるような政策的・財政的バックグラウンドはきちんとつくっていこうと思っています。
 憲法に関しての議論は、党内でもいろいろ行われています。いろいろな人がいろいろな意見があるのは間違いないと思いますので、それはそれで議論があるものとしながらも、政策責任者としては、憲法改正という段取りを踏まなくても、この法律を、きちんと私達が提案するものを成立させてもらって、財源案についても実現させてもらえれば、実行可能であると申し上げたいと思います。

【日本経済新聞・林記者】
 その財源について、政府は、教育無償化には財源が足りないという主張をしていると思うが、そのあたりについて実際に財務省などとやりとりされたことはあるか。

【政調会長】
 私達、野党ですから、政府に何かお願いしなければならないことではないです。ただ、いろいろな仕組み、現状に関してのヒアリングは常日ごろからちゃんとやっています。
 その上で、12月にまとめた経済政策(「民進党の経済政策」)、「人への投資」の中では、教育の無償化に対しては最大で見積もって5兆円ぐらいだろうと。これを段階的に行うとしていますから、いきなり5兆円かかるわけではないのですが、最大で5兆円ぐらいと。それに対して、消費税を8%から10%に引き上げる際の1%分、これは3兆円弱あります。あるいは、所得税、資産課税。所得税に関しては、例えば配偶者控除の見直しとか、こういったものも含めたところで十分な財源は確保できていくと思っています。

○東京都議会議員選挙について

【テレビ朝日・村上記者】
 都議選に関して伺いたい。離党届を出した2人の処分に関しては都連の倫理委員会で協議するということだが、この対応に関しての政調会長の受け止めをお聞きしたい。

【政調会長】
 都議選に向けて、各候補、30人近く擁立してきています。それに対して、党籍を離脱する動きがあるのは存じています。でも、これに関してどう対応するか、基本的にはやはり都連のほうでまず一義的には対応していただきたいと思っています。
 一方で、都議選は、一昨日蓮舫さんが言ったように党としても極めて重要な戦いであって、国政にも影響が及び得る戦いだと思っています。国政と、どのような課題でどうリンクできるか、今のところまだはっきりはしないのですが、都議選にもいい風を送っていけるような政策の打ち出しをしていきたいなと思っています。