大串博志政務調査会長は21日午後、定例記者会見を国会内で開き、(1)「共謀罪」法案の閣議決定(2)南スーダン日報問題――等について発言した。

 大串政調会長は、政府が同日午前の閣議でいわゆる共謀罪法案(テロ等準備罪を新設する「組織犯罪処罰法改正案」)を決定したことを受け、「私たちとしてはこれまで部門会議での議論を経て『次の内閣』(NC)でも確認している方向として、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)に関しては包括的な国内法を作らずとも締結はできる、もし政府が言うようにテロへの対策が必要であればそれに対する個別の法律整備をすればいいという考え方だ」とあらためて表明した。「『テロ等準備罪』と政府は言うが、テロ等という名前だけ借りて見せ掛けを作っているだけの話であり、内容は国民一般生活への包括的な権力の濫用の可能性が排除できない。『テロリスト集団』という言葉は当初与党協議で示された文案にはなく、取ってつけたように入れたもの。例示だということで何ら具体的に構成要件を絞るものにはなっていない」などと批判し、「賛成することはできない。しっかり反対し、廃案に追い込んでいきたい」と強調。国会での審議に当たっては、「TOC条約締結のために本当に必要なのかという、そもそも論から議論があるが、『組織的犯罪集団』は本当に一般の人を対象にしないのか、あるいは『準備行為』をどこまで絞り込むのかなど法律の当てはめについても、国民の皆さんに法律の問題点が分かるよう議論していきたい」と述べた。

 南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊の日報をめぐっては、防衛省がこれまで「破棄した」と説明していた陸自内で日報のデータが保管されていたことが明らかになったことで、稲田防衛大臣のシビリアンコントロールが防衛省、自衛隊にしっかり及んでいなかったのではないか、「破棄」するよう組織的な指示があったのはないかとの批判がある。大串政調会長は稲田大臣について、「大臣としての資質を疑う状況になっている。特別防衛監察を行っているのでコメントを差し控えたいというが、とんでもないことだ。国会での議論を避けようとする態度は明らかで、しっかりと国民に説明すべきだ」と問題視。

 政府が今国会での承認を目指している日米、日豪、日英の物品役務相互提供協定(ACSA)については、政調の幹部会ではすべて「反対」の方針を決定したと述べ、同日午後のNCで最終的に決定する考えを示した。

 大阪市の学校法人「森友学園」の問題をめぐり23日、籠池泰典理事長の証人喚問が実施されることには、「100万円の寄付があったかどうかという十目を集めている論点も確認しなければいけないが、本筋を忘れてはいけない」と指摘。「一番の本筋は、国有地の払い下げという国民の財産に関わる問題や、学校の認可という子どもの健全な教育に関わることに政治家などからあってはならない圧力、忖度(そんたく)があったのか。それによって行政がゆがめられることがあったのかどうかということであり、こうした点をしっかり事実確認していきたい」と述べた。