大串博志政務調査会長記者会見

2017年3月21日(火)13時33分~13時46分
編集・発行/民進党政務調査会

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=MQpkdHm416o


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○「共謀罪」法案の閣議決定について

【政調会長】
 国会もいろいろな議論がありますが、まず「共謀罪」ですが、きょう閣議決定がされました。
 私達としては、これまで部門の議論を経てNC(次の内閣)でも確認している方向として、いわゆる「共謀罪」、TOC条約(国際組織犯罪防止条約)に関しては包括的な国内法をつくらずとも締結ができると。これまでの政府の説明を聞いていても、国内法を包括的に制定しなければこの条約を締結することができないものではないと私達は考えています。
 この点に立って、そもそもそういう立場でありますし、私達の刑法の中でもいろいろな予備罪や、あるいは共謀共同正犯的な罪状もある中で、もし政府が言うようにテロに対する対策が必要だというのであれば、それに対する個別の法律整備をすればいいという考えでございます。
 したがって、今回法律が出てきているわけですが、「テロ等準備罪」と政府は言いますが、これも「テロ等準備罪」という名前を借りて見せかけをつくっているだけの話であって、内容は、今言いましたように、極めて国民一般生活に包括的な権力の濫用の可能性が排除できないと思います。「テロリスト集団」という言葉は、当初与党協議の中で示された文案にはなかった。取ってつけたように「テロリスト集団」というのを入れましたが、これも例示だということなので、何ら具体的に構成要件を絞るものにはなっていない。この経過一事を見ても、「テロ等準備罪」とテロということを言っているのは見せかけにすぎないということがよく表れていると思います。
 したがって、依然として、私達から言わせれば、包括的な国内法たる今回出された政府の「共謀罪」に関しては賛成することはできないし、これまでの考え方を踏まえれば、しっかり反対し廃案に追い込んでいくということになると思いますので、これは国会の中での議論をしっかりしていきたいと思います。
 かてて加えて、先ほど申しましたようにそもそも論から私達は疑問があるわけですが、法律(案)が出てきたわけですから、国会で議論する際においては、いわゆる法律の当てはめの議論、すなわち、例えば「組織的犯罪集団」というのは本当に一般の人達を対象にしないということになるのか、不明確ではないか。一般の集団も対象になるというふうにこれも言われているわけですから、どこまで対象になるのかということとか、あるいは「準備行為」をやったときだけに絞ると言っていますが、「準備行為」をどれだけに絞るということなのか。この辺は国会の中で、当てはめの議論の中で、国民の皆さんにわかりやすくこの法律の問題点がわかるように議論していきたいと思っています。

○南スーダンPKO日報問題について

【政調会長】
 一つ付言させていただくと、日報が陸自の中でもあったと。それが隠されていたのではないかと。しかも、破棄する指示が組織的に行われていたのではないかという問題に関して、稲田大臣のシビリアンコントロール、内部統制が防衛省・自衛隊にしっかり及んでいなかったのではないかと。この点ですが、私達は極めて稲田大臣の大臣としての資質を疑う状況になっていると思っています。
 今、特別防衛監察を行っている、よってコメントを差し控えさせていただきたい、というのが一連の大臣からの答弁ですが、とんでもないと思っています。最近のいろいろな不祥事的なもの、例えば天下りの問題もそうでした、あるいは去年の甘利大臣の疑惑もそうでしたが、「調査をやっているので答えられない」、こういう言葉で国会の間をすり抜けようというような態度がありありで、そもそも特別防衛監察を行っているから何も言えないということはあり得ないわけで、しっかり国民に説明すべきだと思います。国民に説明しない態度すら、この稲田大臣の問題は極めて問題だなと思っています。

○日米・日豪・日英ACSA改定案に反対の方針を取りまとめ

【政調会長】
 ちなみに、この外務・防衛にかかわる案件で、日米・日豪・日英ACSA(物品役務相互提供協定)、これは今、国会で重要広範議案としてかかっていますが、これに関しては部門及び部門の役員会でもしっかり議論してもらっています。きょうのNCでも最終的な取り扱いを議論しますが、部門での平場及び役員会においてはいろいろな議論がありました。
 最終的には、論点を示した上で政調幹部会での扱いに一任する形になっていますが、先ほどの政調幹部会においては日米・日豪・日英とも反対という考え方を政調幹部会で私のほうからまとめました。きょうのNCで状況を報告し最終確定していきますが、今のところの状況はそういうところでございますので、付言させていただきたいと思います。


■質疑

○「共謀罪」法案について(1)

【朝日新聞・中崎記者】
 「共謀罪」について伺いたい。今、賛成することはできないし、反対で廃案に追い込むとおっしゃった。これまでも代表等、慎重な姿勢を繰り返し述べられているが、法文、成文が出てきたということで、法案が出てきた場合の対応も今後NCでということだと思うが、反対の姿勢を明確にしていくということでよろしいか。

【政調会長】
 もちろん法案の最終的な賛否はNCで決めることになります。
 さはさりながら、先ほど申しましたように、現段階での部門としての考え方、NCとしての考え方は、数週間前に紙で取りまとめて(「『共謀罪』創設法案に対する現時点における見解」)、その時には皆さんにもブリーフさせていただいたと思います。このTOC条約を締結するために包括的な国内法整備は要らない、テロを抑えるというためであれば個別の立法をすれば十分である、こういった考え方を取りまとめました。
 この考え方に照らせば、今回「共謀罪」法案が閣議決定されましたが、これを当然、賛成とすることはできないし、すなわち反対して廃案に追い込んでいくということになるのが自然だろうと思います。
 もちろん、細かい一つ一つの論点に関してはしっかり部門でもさらに法案の内容を見て議論し、さらなる問題点があるかないか明らかにし、最終的な組織決定はNCのほうでやっていきたいと思います。

【朝日新聞・中崎記者】
 「共謀罪」、3回廃案になって、かねてから国民的な関心も高い重要法案だと思うが、総理は今、外遊中で、その間での閣議決定に至ったということについて、政調会長としてのお考えを伺いたい。

【政調会長】
 そうですね、今回総理が外遊して、まだ帰っていない時期であるということもさることながら、この間の与党協議の中の経緯ですね。先ほど申しましたように、「テロ」という言葉がないじゃないかと周りから指摘されて、あらあら、という感じで「テロ」という言葉を後付けで入れたと。後付けで入れたけれども、結局それは例示でしたと。そんなていたらくな与党協議の中での議論で、私から言わせると、丁寧に議論をしているふりをしている。これも見せかけのような感じがしました。で、結局のところはきょう閣議決定ということで、こんな大きな法案を総理もいない中で閣議決定する。いかがなものかと思います。
 これは徹底的に議論して、廃案にしていくように頑張っていきたいと思います。

○森友学園問題 籠池理事長の証人喚問について

【テレビ朝日・村上記者】
 23日に国会で籠池氏の証人喚問が行われるが、民進党としては衆参それぞれでどのような観点でただしていくおつもりか。

【政調会長】
 もちろん、100万円の寄付があったのかどうかというような、耳目を集めている論点などもきちんと確認しなければならないとは思います。ただ、これも本筋を忘れてはいけない議論で、一番本筋の議論は、国有地の払い下げという国民の財産にかかわること、あるいは学校の認可という子ども達の健全な教育にかかわることに、政治家あるいはその他からのあってはいけない圧力なり、あるいは忖度(そんたく)みたいなものがあったのか、それによって行政が歪められることがあったのか、というような本筋のところに関する事実確認をしていきたいと思います。
 その過程の中で、例えば100万円の寄付があったのかどうか、あるいは夫人同士のメールが一定程度行われていたということだけれども、それが行政を歪めるような行為につながったのかどうか、といったあたりをきちんと事実確認していくことが大きな目的になろうかと思います。

○「共謀罪」法案について(2)

【共同通信・野見山記者】
 「共謀罪」について、金田大臣の答弁能力についてだが、今後、仮に法務委員会に舞台が移ったとしても、これまでのように大臣から真摯な答弁がなければ、問題点とか中身の深い議論もできないと思う。これまで大臣の辞任を要求されてきたが、この答弁能力を含めてお考えを伺いたい。

【政調会長】
 今回、「共謀罪」という法案自体、非常に大きな問題を含んでいる法律案だと思っています。かてて加えて、そのような大きな問題を含む法律案を国会に提出してくる以上、政府の側はよほど自信を持ってきちんと答えられなければならないと私は思います。
 そういった意味からすると、法律案が提出される前の議論においての金田大臣の、法律案をつくる上においての考え方あるいはスタンスに関する答弁は、二転三転、あるいは答弁拒否みたいなものもありましたので、極めてその資質に問題のあるものだったと思っています。
 法律案が一旦出た以上は、これまでとは質的に違った局面の議論にこれからはなります。これまでは、その法律のそもそも論みたいなものが多かったわけですね。もちろん、今後も法律のそもそも論、条約締結のために本当に必要なのかという議論もします。
 一方で、法律案が出てきた以上、この法律がどういうふうに当てはめられるのか、国民生活にどういうふうな適用になるのか、影響を与えるのかという、当てはめの議論は今後法律案が出てからにしてくださいと言って金田大臣がこれまで逃げ続けてきた論点を、真正面から議論していくことになります。
 その場において、どういう答弁になるのか。私は、国民の皆さんに、「テロ等」、「テロ」ということに限られた、限定された法律案になっていないのではないかという疑念を呼び起こすような答弁にしか政府の答弁はならないのではないかと思っていますので、その辺は明らかにしていきたいと思います。