参院本会議で31日、「日・米物品役務相互提供協定」(日米ACSA)、「日・豪物品役務相互提供協定」(日豪ACSA)、「日・英物品役務相互提供協定」(日英ACSA)――の3協定承認案が審議入りし、民進党・新緑風会を代表して小西洋之議員が質問に立った。

 物品役務相互提供協定は、日本との間で物資や役務の相互利用を行う枠組みを定める2国間協定。日・米物品役務相互提供協定では、安保法制成立を受けて、自衛隊による米軍への後方支援を拡大する。

 小西議員は、(1)ACSAが適用される、安全保障法制での存立危機事態と安倍総理の覚悟(2)他国の武力行使との一体化とこれまでの自衛隊の実経験(3)核兵器の他国への提供(4)稲田防衛大臣の虚偽答弁(5)ACSAが日米関係やアジア太平洋地域に与える影響――等を取り上げ、安倍総理らの見解をただした。

 特に、日米ACSAと安保法制の関係について小西議員は、「民進党は、本ACSAが担保する人道支援などを措置するPKO(国連平和維持活動)法改正案、周辺事態法改正案などを国会提出するとともに、日米ACSAに関しては違憲の存立危機事態が明記されていること等から反対を決定している」と表明。ACSAが適用される、安保法制の重要影響事態等では、かつての「後方地域」や「非戦闘地域」の概念を捨て去り、「重要影響事態法」や「国際平和支援法」で「現に戦闘行為が行われている現場」以外では支援が可能とされていることにも違憲論点が存在すると述べ、「戦闘現場の真横などでの弾薬提供や発進準備中の戦闘機への給油等の活動が、兵站どころか『一体化した武力行使そのもの』であることは軍事の常識だと考える」と指摘した。

 また、南スーダンPKOの陸上自衛隊部隊が昨年7月の南スーダンの首都ジュバでの大規模戦闘の状況を記録した日報で「激しい戦闘」と報告されていたにもかかわらず、稲田防衛大臣が「戦闘行為」でなく「武力衝突」だと事実と異なる答弁を行っていたことをあらためて問題視。「ACSA等の運用で7月のジュバのような事態の際にも自衛隊がどこかの国の軍隊に弾薬を提供しても、『戦闘行為の現場』ではないとの認識に基づき、自衛隊が武力攻撃を受けることはあり得ないと考えるのか」と迫った。

 安倍総理は、「ジュバを含め南スーダンでPKO参加5原則は満たされており、戦闘行為が発生したとは考えていない。南スーダンPKOのみならず平和安全法制のもとでの自衛隊の活動については他国の武力行使と一体化することを防ぐ仕組みが設けられている。そのうえで、自衛隊の活動する地域の情勢を不断に注視し適切に判断を行っていく」と強弁。小西議員は、「『戦闘行為』を意図的に『武力衝突』と言い換えるような内閣の下での自衛隊の新たな海外派遣は、将来必ず自衛隊員と国民の生命を危険にさらし、国を誤ることとなるものと確信する。『現に戦闘行為が行われている現場』以外で支援可能という違憲の法論理を捨て、安保法制を廃止することが必須と考える」と主張した。