大串博志政務調査会長は4日午前、定例記者会見を国会内で開き、(1)「共謀罪」法案の衆院での審議入り(2)教育勅語の政府答弁書――等について発言した。

 自民、公明の両党の国会対策委員長が3日、いわゆる共謀罪(「組織犯罪処罰法改正案」)を6日の衆院本会議で審議入りすることを決めたことを受け、「法務委員会では継続のものも含め他に重要な案件があるなかで、それを飛び越えるような形で共謀罪の審議を強引に進めようとするのは極めて遺憾な動きだ」とけん制。「2年前に国会に提出され前国会から審議に入った120年ぶりに債権関係の規定を改める民法改正案や、性犯罪の厳罰化を柱とする刑法改正案といった、社会経済全体に大きい影響がある、被害者団体の皆さんをはじめ今日的なニーズの大きい法案を吹っ飛ばすかのごとく共謀罪の審議をするのは極めて遺憾だ。民法改正や刑法改正の国会での議論は適切に行うべきだとしっかり求めていく」などと述べた。

 政府が教育勅語を「憲法などに反しないような形で教材として用いることまでは否定されない」とする答弁書を閣議決定したことについて、「安倍政権の戦前回帰の動きを如実に表すものではないか。教育勅語は戦後衆参両院で排除・失効の確認を決議した経緯があるもので、安倍政権であらためて肯定していく動きは戦前回帰以外の何ものでもないという感がある」と問題視。「憲法や教育基本法に抵触しなければいいとあるが、これが具体的にどういう意味なのかを国会で論議しなければならない。そこがあいまいなままでは教育勅語がなし崩し的に教育現場に蘇ることになりかねない」と指摘した。

 政府が3日、韓国・釜山の慰安婦少女像設置への対抗措置として一時帰国させている長嶺安政駐韓大使らを約3カ月ぶりに帰任させることを決めたことには、2015年12月に日韓両政府が従軍慰安婦問題を「最終的かつ不可逆的に解決させること」で合意したことに民進党はこれまで「最終的かつ不可逆的な合意になるのかどうか」を国会等で事実確認をしてきた経緯にも触れ、「10億円の拠出がなされ、日本側として合意に基づきやるべきことはやってきたなかで、韓国側は所期の履行状況になっているとは言い難いと思う。そうしたなかで大使等の一時帰国という強い措置を示したというのはあり得ることではあるが、今回どういう見通しのもとで大使らが帰任することになったのかは不明確な気がする。大使の一時帰国はどういう目的で行い、どういう成果を生んだのかは政府にきちんと説明してもらわなければいけない」と述べた。