野田佳彦幹事長は10日午後、定例記者会見を国会内で開き、(1)長島昭久衆院議員の離党届提出(2)国会運営――等について発言した。

 同日午前、衆院比例代表東京ブロック選出の長島議員(東京21区)が離党届を提出したことには、「正式に受理をしたという形ではないが本人の意見を聞き、預かるというか、置いていったという形になっているので、対応については今日の執行役員会で議論をし、場合によっては明日の常任幹事会にいろいろお諮りをする段取りになっていくことになるかと思う」とコメントした。

 長島議員からは冒頭、「居場所がなくなってしまったことが最大の理由だ」との発言があり、その最大の原因は何かと尋ねたところ、長島議員のブログなどにもあるように「野党共闘、野党連携などの方針についていけないこと」だったことから、野田幹事長は「これついては前執行部からの方針であり、参院選もこの方針のもとで戦い、『できる限りの準備を行うこと』は党大会でも方針を確認しており、今に始まったことではないのではないか。なんで今なのか」と問うたが、長島議員からは明快な答えがなかったと述べた。

 「国会の最中であり、何かの事案で造反をして離党をするということは過去にもあったかもしれないが、そうでもないなかで明快なタイミングの理由が分からないのが一番腑(ふ)に落ちない。文部科学委員会の筆頭理事であり、これから天下りの問題もしっかり審議してもらわなければいけないし、都議選の直前でもある。加えて土曜日には同僚議員の地元で党員・サポーター集会が開かれ彼が講師になっていた。この苦しい、厳しい時に党員・サポーターを集めて頑張っていこうという会で講師までやるつもりだった人がなんでこの時期にということを申し上げたが、ただ『すみませんでした』という言葉以外なかった」「私からは、『離党とするということでは済まないのではないか。比例復活をして当選をしているので議員辞職が筋ではないか』と申し上げたが、長島議員は『自分の努力で8万票以上積み上げてきたのでそのつもりはない』と言っていた」などと長島議員とのやり取りを振り返り、「なぜこの時期にということが分からない形で離党を決意をしたことは、極めて納得がいかない」と指摘した。

 7月の東京都議選との関連については、東京都連の松原仁会長に対して自らの選挙区内の候補者が都民ファーストに行くという理由で離党した責任を取るために都連幹事長を辞職を表明していることにも触れ、「今度自ら離党することは、その話との一貫性がなくなり真意はよく分からない。ただ間違いなく都議選への影響は出てくるので、都議候補が離党する以上にいろいろな影響が出るかもしれないので、速やかな対応を決めていかなければいけない」と述べた。

 与党の内部事情で運営が混乱していた衆院法務委員会については、同日の民進党と自民党の国会対策委員長会談で12日に民法改正案の審議から再開することで合意したことを受け、「まずは昨年から積み上げてきた民法改正についてしっかりと結論を出すことが大事であり、昨年来与野党で協議してきた修正案についても与党にはしっかりと受けてもらいたいと考える」と表明。すでに与野党間でおおむね約束をしていた天下りの問題の集中審議に加え、米国のシリア攻撃問題なども踏まえ、「あらためて集中審議を速やかに行うよう強く求めていく」と述べた。

 米国によるシリア軍攻撃をめぐり日本政府が「化学兵器の拡散と使用を防止するために責任を果たそうとする米国の決意を支持する」と表明したことには、「化学兵器の使用を絶対許さないと米国を含めて国際社会が強い決意で臨むというのは、一般論として誰も反対する話ではない」としたうえで、「59発のミサイルを撃ち込んだ根拠や、本当に効果があるのかどうかは国際社会にもいろいろ意見はあると思う。化学兵器を使ったのはどこかという話などを含めて集中審議で議論するということだ」と述べた。