政令指定都市市議会の民進党所属議員らでつくる指定都市政策協議会(森敏明会長=横浜市議)は10日、東京都内で今年度1回目の研修会を開いた。

 第1部では元宮城県知事で現在は神奈川大学特別招聘教授の浅野史郎氏が「政令市議会議員の果たすべき役割――地方議員は首長・行政のチェック機能を果たしているか」と題し講演した。

 「議会の役割は政策策定機能と市長(行政)のチェック機能をしっかりと働かせることであり、政策策定機能を強化することは住民からの要望、不満を聞き出すことから始まる。そのためには地元の人たちへの『御用聞き』から始まり、住民や団体との意見交換、意見聴取の場を設定、運営を行わなければならない。それらの意見を議会内の議員同士が議論を重ね、議員提案の政策条例を成立させ、具体的政策の実行を首長に要請する。これらのことを通じ、住民が『参加』の意義を実感し、議会活動に関心を持ち、ひいては議会の活性化につながる」「市長(行政)のチェック機能を果たすことも重要だが、それは議会のメインの役割ではなく、対案を出すことが大切。議会の立場は首長への対抗意識を持ち、いい意味でのライバル関係であることが議会と首長の理想の関係であり、善政競争を進めていかなくてはならない」などと浅野氏は語った。

前幹事長である枝野幸男衆議院議員

前幹事長の枝野幸男衆院議員

 第2部では民進党の前幹事長の枝野幸男衆院議員が講師を務め、「国会における論点と地方政治の関わりについて」と題し講演した。

 枝野議員は、「民進党が批判を受ける理由のひとつに『なんでも反対、建設的な提案がない』と言われるが、実態は違い、国会で成立している法律の中で約半分が全会一致、7割から8割はわれわれも賛成して成立している。与野党が激しく論戦をするのは多くて年間5本くらいの法案。与野党が協力をして法律を作っているものも多い。このような現状をしっかりと国民に伝えて行く必要がある」と述べた。

 枝野議員はまた、現在国会で問題となっている財務省の森友学園への国有地売り払いに係る書類や南スーダンのPKOに関する日報の廃棄・隠ぺい、安倍昭恵夫人の選挙応援や海外視察、講演活動への国家公務員の同行などの問題を取り上げ、「権力の私的乱用や公私混同だ」と批判した。

 「地方議員の皆さんには自分の得意とする分野や、取り組まれている分野のスペシャリストになっていただき、その分野に有権者を引きつけてもらいたい。本部としても地方の現状に即した個別の政策を提案していき、党が掲げる大きな方向性の中で各自の持ち味を出してもらうことで皆さんの地方での活動と本部での活動をリンクさせていきたい」と枝野議員はしめくくった。