大串博志政務調査会長記者会見

2017年4月11日(火)11時36分~11時53分
編集・発行/民進党政務調査会

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=pQv-sqwpSJ0


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○「共謀罪」法案の審議入りに当たって

【政調会長】
 「共謀罪」については、いよいよ審議入りすることになりました。大きな法案なので、しっかり議論していきたいと思います。「共謀罪」に関する本部(「共謀罪」対策本部)も立ち上げましたので、党全体として運動のライン、幹事長ライン、それから広報のラインなどとも協調しながら、しっかり国民世論を喚起し、議論をしていきたいと思います。
 私自身としては、法案の審議に入ってくると、これまでの予算委員会審議等々での議論とは局面が変わってくると思っています。というのは、これまで成案が出てから議論すると法務大臣が言っていたことに関して、ことごとく法務大臣は答えざるを得なくなります。実際に成案が出ているわけですから。私達のほうから、実際に40項目に及ぶ、具体的な問いかけも投げています。これらに関して、これまでは、成案が出てから答えるということだったけれども、もう成案は出ているわけだから、きちんと法務大臣に答えてもらわなければなりません。具体的な事例も含めて、答えてもらわなければならない。こういった中で、国民の皆さんの関心も喚起できるのではないかと思うし、そういう中でこの「共謀罪」の本質的な問題点をしっかり突いていきたいと思います。

○中東情勢・朝鮮半島情勢等、安全保障環境の変化を注視

【政調会長】
 安全保障環境が大きく動いているのはご存じのとおり。シリアに対するアメリカの空撃があり、この極東においても、オーストラリアに行こうとしていた(米海軍)第1空母打撃群がこのアジア方面に向かってきているというような状況の中で、北朝鮮を含めた極東アジアの安全保障環境についてやはり緊張感を持って見ておかなければならないと思っています。
 シリアへの空爆に関しても、これが中東の安定や、あるいは中東におけるISILを含めた過激派組織の動き、あるいはロシアとの関係等々、どのような影響を与えるのかということも注視していかなければなりません。もちろん化学兵器を使うという試みに関しては、日本としてきちんと戦っていかなければならない、絶対にこれを許してはならないことは考えを同一にするところでありますが、今回の空爆に関して、安倍総理が「この米国政府の決意を(日本政府は)支持する」と言ったあたり、どういった根拠があったのか、どういうような背景があったのかといったことは、きちんと検証していかなければならないと思っています。
 そういったことが、今後、もしアジアで何か起こったときにも、同盟国としてどういう情報交換をしながら、事が進んでいるのかを検証していきながら進めることにもつながると思っているので、この辺は非常に注目していきたいと思っています。

○将来推計人口について

【政調会長】
 最後に、人口動態の調査(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」平成29年推計)が出まして、2053年には1億人を切るという見通しが示されました。こういった人口減少が極めて大きな問題となっていることは論をまたないところであって、現政権のこの問題に対する取り組みは緩いのではないかという気がしています。
 私達は「人への投資」ということを大きく掲げていますが、この問題の核心はまさにここにあって、人口が減少するという社会を安閑として政治の世界で見ているわけにはいかない。政治の責任として、予算の使い方にしても、政治・政策のあり方に関しても大きく転換して、「人への投資」を行っていくことによって人口減少を少しでも食い止め、社会保障や子ども・子育て等々が支えられるような形をつくっていく。これが結果として日本経済全体の発展にもつながると思います。私達がもともと掲げていた問題意識なり政策の正しさを、今後もしっかり訴えていくきっかけとしたいと思います。


■質疑

○「共謀罪」法案について

【共同通信・野見山記者】
 「共謀罪」について伺いたい。今後、全国各地でキャンペーンを展開するということを対策本部で言われていたが、ビラの作成や、集会、街頭(活動)等、具体的に検討されていることはあるか。

【政調会長】
 具体的にはビラをつくりました。それから各地方における総支部長や、あるいは地方議員の皆さんがワンボイスでこの問題点を言っていけるような、問題点を明らかにしたテキストもつくって送り届けています。これによって、法案の問題点をみんなが同じ認識で語れるような形をベースとしてつくっていくのが政調の仕事だと思っています。
 今後、市民の皆様との共同というのもまたあります。6日に日比谷の野音での「共謀罪」に関する大運動がありました。今後も、また市民連合の皆さん、市民の皆さんとも共同して訴えていく場も持ちたいと思っていますし、持てるのではないかと思っています。そういう場などでも具体的に言っていきたいと思っています。

○長島議員の離党表明について

【時事通信・大塚記者】
 長島議員が昨日、離党届を提出して、執行部は除籍処分という方針で臨むようだが、見解があればお聞きしたい。

【政調会長】
 長島さんの離党は非常に残念だったと思っています。
 いろいろな理由を述べられていましたが、例えば、安保法制に関する党内の議論が自分としては非常に残念で、今回のきっかけになったのだ、と言われていましたが、安保法制の議論に関しては極めて長い間、安全保障調査会において、長島さんも役員に入ってもらって、党内いろいろな意見がありますので非常に激しい議論を経た上で結論を出して、それに基づいて国会での対応を決めていったわけです。
 実際に安全保障特別委員会の場では、私は長妻昭筆頭理事のもとで次席役の仕事をして、いろいろな国会での戦いの差配に携わったわけですが、長島さんもメンバーの一人として、「この場ではこういう質問をしてください」「この場ではこういう攻め方をしましょう」「この場ではこういうことを明らかにしていきましょう」「最終的にはこの問題点を明らかにしていきましょう」と、我が党の合意をした考え方に基づいて国会の中で質疑も多々やってもらったわけです。その質疑を経て、あのような強行採決という形になったわけです。
 ですから過去の、バラバラと言われた反省を踏まえて、その観点からするといろいろな考え方がぶつかる非常に難しい案件であった安保法制に関しても、熟議の結果まとまって対応したというのがその当時の経過だったものですから、それを今になって、あの時、自分としては納得がいかなかったと言うのは、問題の蒸し返し以外の何物でもないし、一体今ごろ何を言っているんだろうという感じがしてなりません。
 だから、それが本当に本質的な理由なのかというのは極めて疑わしいと思っていますので、そういった説明の中で離党されたのは非常に残念だなという感じはしています。

【時事通信・大塚記者】
 長島議員が昨日の会見で離党の理由に挙げたのが、民進党の基本政策が共産党の影響を受けているのではないかという点であったが、そういう事実はあるのか。

【政調会長】
 私達の政策を、(他の)野党との関係で曲げられるということはないと思っています。というのは、今回の党大会の運動方針でも掲げました、私達の政策をまず旗として掲げて、その上で、政策の一致を確認して、そういう中で他の野党と協力していくということを書いた党大会の決定事項を、見ていただいていると思います。まず私達の旗を掲げるということが第一に来ている。そういった形でやってきています。
 まずは民進党の政策を、政調、NC(次の内閣)でつくって、それを他の野党に投げかけてみて、他の野党がどう言うかということでやってきているので、私達の政策が共産党を含め(他の)野党の皆さんとの話し合いの中で曲げられていることはないと思っています。

【朝日新聞・中崎記者】
 東京都議会議員選挙が3ヵ月後に控えていて、長島さんは都連の幹事長というお立場でもあったので、都議選への影響も懸念されるし、来るべき衆院選も控えており、党全体への影響も小さくないという指摘もある。この影響を少しでも小さくするために、その後会見した松原仁都連会長も、政策面での党としてのブラッシュアップが一番大事だと発言されていたが、政調として、この難局を乗り越えていくためにアイデアがあれば伺いたい。

【政調会長】
 あくまでも党としての政策をアップグレードして、党の政策の旗をきちんと立てるということが第一だと、常々思っています。その上で、他の野党の皆さんがその政策の一致するところでどう協力するかという話が次に続いてくる話だと思いますので、政調としてはあくまでも政策のアップグレードを常日ごろから図っていくことが一番大事だと思っています。
 そういった意味でエネルギー政策も果敢にアップグレード、チャンレジしているわけでありますし、今、安保環境が非常に厳しいという中で、安全保障に関しても、先ほど申しましたように非常に強い問題意識から、どう日々対応していくかということも、外務・防衛部門会議の中での議論も始まっています。例えば、外務・防衛部門の中で今ずっと有識者に来ていただいて、私達の新しい外交・防衛政策がどうあるべきかという議論も始めてもらっているのです。こういったところも強化していかなければならないと思っていますので、一つ一つの政策をアップグレードし強化していくことをまず行ってきたし、今後も行っていくということだと思います。

○憲法改正をめぐる議論について

【朝日新聞・中崎記者】
 先ほど社民党の又市幹事長が会見の中で、ちょうど(長島議員の離党表明と)タイミングを同じくして細野豪志代表代行の憲法私案も出たこともあって、民進党内がバラバラの印象を与えることは野党共闘に影響を与えるという懸念も示された。野党からもそういう懸念が出る中で、そういった懸念を払拭するためには何が重要だと思われるか。

【政調会長】
 もともと民主党・民進党というのは割と自由闊達に意見の表出がある文化を持っていると私は思っています。だから細野さんも、代表代行という立場ではありますが、一議員としてこういうことを考えているという意見の表出をしたのだと思います。
 個々人がどういう意見を持っているかというのは大切なことなので、これを受け止めながら、党としては憲法調査会という場所がありますので、そういった場に議論が盛り込まれていくのだろうと思います。そういった中で、全議員の中で「憲法はどうあるべきか」という議論が進んでいく一助になればいいと思っています。最終的にはきちんとまとまっていく姿をつくっていけるのではないかと私は思っています。

○東京都議会議員選挙について

【東京新聞・我那覇記者】
 政調には直接関係しないが、都連会長でもあった長島さんが離党し、きのう野田佳彦幹事長は会見で、都議選に影響が出ることは間違いないとおっしゃった。足元では民進党の都議の公認候補者の離党も相次いでいるわけだが、7月の都議選に向けて、こういった党の現状に危機感などを政調会長として抱いているか。お考えがあればお聞きしたい。

【政調会長】
 都議選は非常に大事な選挙です。これは党大会でもあえて申し上げたとおり。党として本部も立ち上げて、全党挙げて頑張っていかなければならないという態勢もつくっています。
 一方で、小池都知事の非常に高い人気のある中で、厳しい戦いに直面しているのも事実だと思います。ただ、やはり選挙ですから、あと3ヵ月、やれることは全てやり切るということだと思うのですね。小池知事の人気の中で厳しい状況であるということは胸に置きながらも、やはり党を挙げて全力で戦っていくという姿勢で最後まで臨んでいくというのが一番大切なことだと思っています。

○大阪万博誘致の閣議了解について

【NHK・黒川記者】
 政府はきょうの閣議で、大阪万博の立候補を閣議了解した。これについて、党として、政調としての受け止めと、対応を確認で伺いたい。

【政調会長】
 各地域においてイニシアチブを持って、万博など、いろいろな国際的な事業・行事に手を挙げていこうという動きが、地方ごとにあることに関しては、私達は基本的には地域主権の党ですから、地域での自主性を重んじていくという点において、そういう元気な声が上がるのはいいことだろうと思います。
 ただ一方で、それが一部の都市だけに限らないで、今極めて厳しい状況にある地方部の町、地域等々にも、どう国全体の力を及ぼしていくかという視点もあわせて大切だと思うのですね。ですから大阪万博というものが大阪に力を与える、それを求めて大阪というところが果敢に手を挙げる、これ自体は否定するものではないですが、国全体として見ると、大都市部以外の地方部も含めた均衡ある発展をどうつくっていくかというのが極めて大切です。特に大都市部と地方部の格差のある中で、それをどう穴埋めしていくかという目線も、別途必要なのだろうと私は思います。