野田佳彦幹事長は17日午後、定例記者会見を国会内で開き、(1)北朝鮮に対する安倍総理の危機管理対応(2)山本地方創生大臣の問題発言――等に関して見解を述べるとともに、記者団の質問に答えた。

 北朝鮮が16日早朝にミサイルを発射し失敗に終わったと見られる件に関連して、「その前から安倍総理は随分とそのリスクを語っていた。アメリカも米原子力空母カール・ビンソンを急派するなどの態勢をとっていた。そのときに、これまでの危機感をあおる発言とは裏腹に、土曜日には桜を見る会を開き、そして土曜も日曜も公邸におらず私邸から通っていた。言ってきたことと実際の行動の危機管理の対応には随分と違いがある」「極めて奇異に映るし違和感を覚えた」と指摘した。

 山本地方創生大臣が滋賀県主催のセミナーで「一番がんなのは学芸員だ。普通の観光マインドが全くなく、この連中を一掃しないとだめ」などと発言した問題については、「本人は陳謝したようだが、学芸員という仕事に就いている皆さんを大変おとしめる発言だ。『がんである』という極めてセンシティブな表現や、『一掃する』という表現など、非常に問題の多い発言だ。極めて非常識な発言と受け止めており、厳しく反省を求める」と述べ、山本大臣の姿勢を非難した。

 安倍内閣の大臣の失言が続出しているが辞任までには追い込んでいない点をどう見るかとの記者の問いには、「(野党が)首を取る云々というよりも任命権者として辞めてもらったケースなど、政権として判断したことがわれわれの(政権の)ときはあった。残念ながら、大臣の資質に関わるような問題発言がここに来て続出しているが、ただただ(安倍総理が大臣を)守ろうとする姿勢ばかりが目立つ。これだけ異様な、異常な発言が続くのは政権としては緩みがあると言わざるを得ない。委員会等でも厳しく追及していく」と語った。

 共謀罪法案の対象犯罪数を615から277に絞ったと政府が説明していることについて、17日午前中に開かれた衆院決算行政監視委員会で質問に立った山尾志桜里議員が、以前は個別にカウントしていたものを今回は複数まとめてカウントしている例があるとして対象犯罪数の数え方の根拠をただしたところ、金田勝年法務大臣が「数え方に一定のルールはない」と答弁。このことについての受け止めを記者から問われ、野田幹事長は「驚くべき発言をした。ルールがないということになると、どんどん対象が広がるということ。聞き捨てならない話だ」と厳しく批判した。