大串博志政務調査会長記者会見

2017年4月18日(火)11時30分~11時50分
編集・発行/民進党政務調査会

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=0tXK0n5UoS8


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○朝鮮半島にいる邦人の保護・退避について

【政調会長】
 私のほうから幾つか言及させていただきたいと思います。
 まず、安全保障環境が、日本周辺、特に大変厳しい状況になっているというような認識が総理から示されています。北朝鮮が再び挑発的な行為に出てくるのではないか、あるいはそれに対してアメリカがどう対応するのかという論点があり、国会での総理の答弁も極めて緊張感を高める方向の答弁ではないかと思います。例えば、北朝鮮がサリンを含む弾頭を着弾させる可能性があるということに具体的に触れるとか、あるいは圧力をかけていく必要があるとか、さらには、きょうの報道ですが、日本の領海内・領域内に北朝鮮からミサイルが着弾した時には武力攻撃切迫事態とするというような報道もあるなど、この最後のものは報道ですが、安倍総理自身の口から非常に緊張感が高いというような認識を示す声があります。
 その辺の認識は私達野党より総理のほうが情報をたくさん持っているのでしょうから、それは聞きます。聞いた上で、気になるのは、そこまで緊迫感が高まっているのであれば、朝鮮半島にいる、10万人に近いと言われる邦人の保護・退避に対して具体的な準備がなされているのか。こちらのほうに関しては、総理答弁は、これから検討するというような話になっていますが、それは順序が逆ではないかという感じがします。
 あれだけ総理が、今、この極東アジア情勢に対して緊迫感があるという認識を持っているのであれば、当然、邦人退避に関しては私達独自の国でもできることですから、具体的に考えられて「こういう方向で」というのがなければならないと思うのです。そういうことに関しては一向に具体的に聞こえない。
 そういう具体的な邦人退避に対する詰めが行われない中で、一方で総理が言葉だけで、圧力をかけるべきだとか、あるいはサリンが着弾する可能性があるとかいうような言葉で煽っているのであるとすると、国全体の安全という点からしていかがなものかと私は思います。
 ですから、この辺は国会の中でも、本当に邦人の身を、安全を守るというような取り組みがどの程度行われているのか、きちっと確認していかなければならないと思っています。

○ペンス米副大統領来日・日米経済対話について

【政調会長】
 さらには、この関係で、ペンス(米国)副大統領がきょう来られます。もちろん安全保障環境に関する意見交換も行われると思いますし、一方で日米の経済対話もきょうから行われることになっていますが、この辺に関しては、どこまで深入りするかということに関しては日本政府に対して一定の慎重な判断を求めたいと思います。
 というのは、トランプ政権において、例えばUSTR(米国通商代表部)代表に関してはまだ議会承認が得られていない。ということは、それの下の局長・審議官、数千人とも言われるポリティカルアポインティ(政治任用)に関して、多くはまだ着任していない状況だと思うのです。そういう中でアメリカとしてきちんとした考え方を私達に示せる段階に本当になっているか、私は疑問だと思うのです。そういった中で議論の内容に深入りしていくというのはいかがなものかと私達は思いますので、この日米の経済対話に関しては、特に2国間の貿易対話の側面等々に関しては慎重に臨むべきだと思います。

○公文書管理法改正案の立法化に着手

【政調会長】
 森友学園の問題について、私達のほうからこれに関していろいろ議論していますが、政策面の対応として、公文書管理法(公文書等の管理に関する法律)の改正を提案しようと思っています。
 1年未満の保存期間の文書に関して、今こういう議論の中で、明らかに重要性があると思われるにもかかわらず、いとも簡単に廃棄してしまっていて、資料がないと。資料がないがゆえに、国有財産の売却が適切に行われたのか、忖度(そんたく)はなかったのかという点に関して検証もできない。これはあり得ないことだと思うのです。公文書管理規則を盾にして、捨てていいじゃないかというのは、もうあってはならない話なので、公文書管理法を改正して文書の廃棄に関する行為をより強く規制する法案を提出していきたいと思っています。

○精神保健福祉法改正案について

【政調会長】
 今、厚生労働委員会で、参議院先議で議論が行われている、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案というものがあります。
 これに関して、相模原市の障害者施設に男性が乱入し多くの障害者の方々が傷つけられる、命を落とされるという非常に痛ましい事件がありました。多くの被害者を出す惨事となったことから、二度とこのような事件が発生しないように、この精神保健福祉法を改正すると安倍総理も施政方針演説で言い、厚労省もそのように説明してきました。先週後半になってコロッと説明が変わってきています。きょう私もきちっと説明を受けますが、相模原市の障害者支援施設の事件を二度と起こさないという意味でつくった法律ではない、という説明になっています。そうではなくて、この精神保健及び精神障害者福祉法を適切に改正するというような説明になっている。
 そもそも総理が国会で言ったことすら取り消してもらわなければならないぐらいの事態になっていると思いますので、これは厚生労働省からきちっと説明を受けた上で、法律の趣旨が、目的がそもそも変わっているのだったら、この法律自体が成り立たないではないかと、こういった議論になっていこうかと思います。


■質疑

○日印原子力協定承認案について

【時事通信・大塚記者】
 日本とインドの原子力協定だが、民進党の対応を伺いたい。

【政調会長】
 今、(外務・防衛・経済産業・環境・原子力)合同部門会議で議論をしています。先週ヒアリングを行い、若干の質疑を行った上で、きょうさらに議論を詰めさせていただきました。
 協定そのものの中に、インドが非NPT(核拡散防止条約)国としても、核実験を行ってきていた経緯に鑑み、核実験を行った際には協定を停止する、なくすということが、協定の中にしっかり盛られていなかったことを問題視する声は非常に多かったのではないかなと思っています。こういった点を受け止めながら、しかるべく結論を出していきたいと思っています。

【時事通信・大塚記者】
 国会での審議も始まっているが、その対応が決まらないのは、党内の賛否があるからなのか、それとも政府の説明を見きわめているのか。そこはどうか。

【政調会長】
 法案の審議が始まったらその瞬間に賛否を決めなければならない、というものではありません。法案の出口はまだ先だと思っていますので、党内の議論をきちんと尽くしてきたいと思っています。
 非NPT国で、かつ核実験を過去行ってきた国との原子力協定という極めて重要な話なので、きちっと党内の議論をしていきたいと思います。その上で結論を出して、一致団結して行動できるようにしていきたいと思っています。

【朝日新聞・中崎記者】
 日印原子力協定だが、合同部門会議では結論は今日は出ず、引き続きという形になったと思う。今日NC(次の内閣)もあって、そこではおそらく方向がまだということになると思うが、今後のスケジュールというか、審議入りしている段階であり、その点について伺いたい。

【政調会長】
 先ほど申しましたように、審議入りしたらすぐ結論を出さなければならないものでは全くありません。審議の状況を見据えながら、審議の中で出てきた事柄もしっかり受け止めた上で、しかるべき時に結論を出していくというのが私達のスタンスです。
 きょう2回目を行って、かなりいろいろな意見も出ました。先ほど申したような意見が出ましたので、国会の審議を見ながら、結論を出していくべき時にはきちんと出していきたいと思っています。

【日本経済新聞・林記者】
 この原子力協定に賛成するべきだという声は、どんな意見があったか。

【政調会長】
 原子力発電所を海外に対して、成長戦略の一つとして位置づけるという考え方から、インドが一定のこの考え方の中に同意をしているのであれば、成長戦略の一つとしての原子力協定を結んだ上で執り行うべきではないかと、そういう基本的なラインからの発言だったと思います。

○沖縄県うるま市長選挙に関する自民党・古屋選対委員長の投稿について

【東京新聞・我那覇記者】
 沖縄県のうるま市長選の出陣式に関連して、自民党の古屋圭司選対委員長がフェイスブックに書き込みをした。何と書いてあるかというと、これは民進党も推薦になるのか、推している候補に対して、揶揄(やゆ)するような発言で、「何でも反対、全く財源の裏づけのない無責任な公約や、空虚なキャッチで市民への詐欺行為にも等しい沖縄特有のいつもの戦術」だと書いている。この言葉に対する受け止め、どうお感じになるか伺いたい。

【政調会長】
 「沖縄特有の」というふうに、書いているのですか。

【東京新聞・我那覇記者】
 はい。

【政調会長】
 今初めて聞きましたが、沖縄の気持ちに寄り添わない形で基地問題を次から次へと処理していこうという、極めて独善的な政府・与党の考え方がもろに表れている言葉ではないかと思います。言語道断な言葉ではないかなと思います。

【東京新聞・我那覇記者】
 今後、例えば委員会なり何らかの形でその真意をただすとか、そういうようなお考えはあるか。

【政調会長】
 常に私達は、政府に対し、沖縄の皆様の気持ちに寄り添った形での基地負担軽減のあり方はどうあるべきか、という議論をしてきたつもりであります。古屋さんは政府の人ではないので、国会の場でどう議論するかというのはありますが、ただ、やはり政府・与党の心根の中にどういうものがあるかというのは、やはりきちっと議論していかなければならないと思いますので、場面に応じて議論していきたいと思います。

【東京新聞・我那覇記者】
 「何でも反対、全く財源の裏づけのない無責任な公約や、空虚なキャッチで市民への詐欺行為にも等しい」という、その前段階としては「相手は共産、社民が主導する候補」と前についているが、民進党もかかわっていると思うので、こういう指摘に対して何か反論があればお聞かせいただきたい。

【政調会長】
 そこの中に民進党が含まれているかどうかはわかりませんが、野党として政策提言をする時には、もちろん財源の裏づけもきちんとやってきているし、「何でも反対」ではありません。ご案内のように前国会などで私達が出している法案は、議員立法の数でいうと政府提案よりも多かったのですね。逆に、政府が提案してきた法案で成立したものに対して約8割は賛成しているという事実もあります。そういったことを全く知らないで発言していること自体、国会議員としての資質を欠く人ではないかなという感じすらあります。

○ギャンブル依存症対策の議論について

【日本経済新聞・林記者】
 ギャンブル依存症対策について伺いたい。自民党は法制化への議論を始めていて、民進党もカジノ検証プロジェクトチームで議論されていると思うが、現段階での党としての考えをお聞きしたい。

【政調会長】
 与党のほうでギャンブル依存症対策の議論を始めていらっしゃる話は聞きます。
 非常に不思議だなと思うのは、「カジノ実施法」が、推進法の成立から1年を目途に出てくるわけですね。その段においては、今の世の中に比べて、いわゆるギャンブルというものに関しては、全然違った世界が出てくるのだと私は思います。すなわち、今は公営ギャンブル等々が行われているわけですが、民間の、いわゆるMICE施設でのいわゆるカジノといわれるものが日本に初めて登場するということを実施法として出していこうとなるわけで、全然違った状況になると思うのです。それを、その前に、今の状況だけでギャンブル依存症対策をして、それはそれで大切なことだと思いますが、では「カジノ実施法」とかみ合わせた時にはどうなるのかということに対する答えは与党の議論では全く無いのではないかと思うのです。ですから、一体どういう位置づけのものなのかというのが不思議でなりません。これが一つ。
 もう一つ。「カジノ実施法」は政府がつくってくるものです。なぜギャンブル依存症対策を党のほうで議員立法としてやっていく必要があるのかなと。これは何か政治的に“見た目”をつくらなければいけない、そういった思惑があるのではないかという感じすらします。非常に意図不明だなと私は思っています。
 もちろんギャンブル依存症対策を考えること自体は悪くありませんよ。ただ、今国会中にも出してこようというような動きが聞こえるものですから、ちょっと意図がよく読めない動きだなとは思っています。

○「共謀罪」法案 対象犯罪数の数え方に関する大臣答弁について

【共同通信・野見山記者】
 「共謀罪」について、対象犯罪の数の数え方について金田法務大臣が、「数え方に一定のルールはない」ということで、これまでの277という説明との食い違いが見えてくるが、これについての受け止めを伺いたい。

【政調会長】
 そもそも私達は、対象犯罪を600から300を下回るものにすればよいという考えでは、もとよりありません。TOC条約を締結するためには包括的な「共謀罪」は不必要であって、もしテロ対策ということで何がしかのことが必要なのであれば個別に法律を是正していけばいいという考え方なので、「数の問題ではない」という立場です。昨日の答弁でも明らかになったように、法律(対象犯罪)の数を数える時に「一定のルールはない」ということであれば、政府は非常にごまかし的に数を数えている可能性すらあるわけです。名前だけ「共謀罪」から「テロ等準備罪」と“見せかけ”を変えて国民の理解を得ようとしていることと全く同じことが、数字を小さく見せて“見せかけ”で法律の理解を得ようとしている。極めて不誠実な態度だと思います。