衆院法務委員会で21日、山尾志桜里議員が共謀罪法案(組織犯罪処罰法改正案)について、金田法務大臣らに質問した。

 山尾議員は審議の冒頭、「丁寧な審議を作っていくことに最大限の努力をするという痕跡もないまま、昨日に続いて今日も政府参考人招致を数の力で強行した」と指摘し強く抗議した。

 組織的犯罪集団に当たるかどうかの要件について「そもそも(最初から)組織的犯罪集団であるのかどうかは、(ある団体に所属する)自分が犯罪集団になるのかどうかを決める大事な点だ」と述べた上で、「『そもそも組織的犯罪集団』と、『一変すれば組織的犯罪集団』の答弁を両立させることは、一般市民の常識から考えて極めて困難だ。自分がやっていることが犯罪になるのかどうかは分からなければいけない。罰法規は明確でなければならず、一般人が(法文を)普通に読んで分からなければいけない」と説いた。

 最初は正当な目的の団体でも、犯罪を目的とする団体に変わっていく場合に、目的が並列することがあると指摘し、「この場合は、個別具体的にその他の事情も踏まえて組織的犯罪集団に当たるかどうかを判断するのか、それとも並列している場合は組織的犯罪集団に当たらないのかどちらか」と質問。法務省の林刑事局長は、「目的が並列している場合は、その団体が正当な活動の目的を持っている以上、結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪実行にあるという認定はできないと考える」と答えたが、山尾議員は、「実際は並列した場合でも正当業務がどの程度あるのかなども含めて個別具体的に判断することになる。並列しても組織的犯罪集団には当たらないとの雑な答弁ではなく、構成要件の話をしている時にミスリードするような答弁をしないでもらいたい」と批判した。

 山尾議員は、「はっきりしたことは、もともと普通の団体が途中で目的が変わって普通の活動と並列していても、それは組織的犯罪集団に当たる。そしてその目的を判断する主体は捜査機関であって、合法か違法かではなく正当かどうかで判断される。その正当性の判断をする物差しは出てこなかった。捜査機関が仮に違法な行為に当たったと考えた時に正当性を判断するということは、これは目に見えない目的、内心を処罰することになるのではないか」と迫った。金田大臣は、「共同の目的が重大な犯罪の実行にあるのかを判断するのであって、ある団体の目的が正当かどうかを判断するのではない」と答えたが、山尾議員は、「本会議での答弁とまた変わった。このような議論の仕方はダメだ。いくら充実した議論をしようとしても、できない最大の原因は政府側にある」と述べて質問を終えた。