参院本会議で16日午後、「国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案」(国家戦略特区法改正案)の採決が行われ、与党などの賛成多数で可決・成立した。採決に先立ち民進党・新緑風会を代表して矢田わか子議員が反対の立場から討論を行った。

 同改正案は、産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成に関する施策の総合的かつ集中的な推進を図り、農業分野の外国専門人材の受け入れや子育てに係る環境の整備、テレワークの推進などを行うとするもの。

 国家戦略特区制度について矢田議員は、「様々な規制改革メニューの活用を通じて、成長力のある日本をつくる、あるいは国際競争力を強化するという国家戦略特別区域制度の考え方自体を否定するわけではない」との基本認識を示したうえで、「強力なトップダウン方式で進められる国家戦略特別区域制度は、運用によっては、一部の者を過度に優遇することになりかねない構造的問題をはらんでいる」と指摘。安倍総理と加計学園、諮問会議の竹中平蔵氏と人材派遣会社との関係等を事例として挙げ、結び付きの強い者の事業が認定されるという深刻な事態を問題視し、本改正案に反対の理由を説明した。

 その一方、このように恣意的な運用の懸念がある現行制度に対して、民進党・新緑風会が、国家戦略特別区域法の適用を停止するとともに、国家戦略特別区域に関する制度の見直しについて定める法律案を参院に提出していると表明。その法案は、今後認定される事業について、その適用を一旦停止し、これまでに特区に指定された事業に関して、その効果や決定プロセス再評価しようというものと説明し、「今後、この考え方に立ち区域計画の作成や規制改革メニューを検討し、本来の理念に沿っているのかという検証、あるいは経済的波及効果についての検証をすべきだ」と説いた。

PDF「国家戦略特区法案反対討論(予定稿)」国家戦略特区法案反対討論(予定稿)