民進党の東北議員団は26日午後、今村復興大臣の25日の東日本大震災をめぐる暴言を受け、国会内で緊急記者会見を開催。青森、岩手、宮城、福島の被災4県選出の議員がそれぞれ発言し、今村大臣の暴言に抗議をし、議員辞職を求めていくとともに、安倍総理の任命責任を厳しく追及していく考えを表明した。

 今村大臣の発言は、東日本大震災の被害に関し「まだ東北で、あっちの方だったから良かった。首都圏に近かったりすると、莫大(ばくだい)な、甚大な額になった」などというもの。今村大臣は26日に大臣を辞任、議員辞職は否定している。

 司会を務めた近藤洋介衆院議員は、「大臣の発言は東北に住む人々に限らずすべての国民の心を踏みにじる許されない暴言だ。到底許すことはできず、民進党東北議員団として強く抗議する」と記者会見の趣旨を説明。

 冒頭、東北ブロック常任幹事の階猛衆院議員が、「震災から6年2カ月が経つなか、これほどひどい思いをしたことはない。東北地方はあれだけの災害があったにもかかわらず必死で頑張り、ここまで復興の道を歩んできた。この歩みを踏みにじるような、東北を蔑視するような発言は断じて許せない。復興大臣以前に人として許せないと思っている。被災地に寄り添うべき復興大臣が逆に切り捨てる言葉をしたことに憤りを覚えた」と厳しく非難。復興大臣のこうした暴言を逆手に、被災地では「東北で生まれて良かった」という声が広がっているとして、「東北の人たちはどんな逆境にあっても、どんなひどい目にあってもみんなで前を向いて頑張る気持ちであることもぜひ知っていただきたい」と述べた。

 玄葉光一郎衆院議員は、「今村大臣の発言を聞き耳を疑った。明治新政府の発言と一緒だなというのが率直な思い。あのとき『白河以北一山百文』と東北全体を軽んじた言葉があったが、今回の発言はそれを彷彿されるものだったのではないか。被災された方のみならず東北に関わるすべての方々に対しての心ない発言だ」と批判。「大臣辞任は当然だが、それ以上の対応を求めご本人にはよく考えてもらいたい」と求めた。加えて、「復興大臣という立場が軽んじられているのではないか。安倍内閣の下で復興大臣のポジションがどのように考えられ人選されてきたのかということにも言及せざるを得ない事態になっていると思う」と指摘。東日本大震災発災当時は閣僚であり政策調査会長だった立場から復興庁設置の経緯に言及、「あのときの発想は、復興庁は他の省庁よりも上であって各省庁を統率して力強く復興を進めるための省庁として作り上げたが、残念ながらそうなっていないのは人選にも大きく左右されていると思っている。復興大臣が復興庁、全省庁を仕切れなかったからこういう事態になっているという意味では、安倍内閣全体あるいは安倍総理の問題でもあると指摘をしたい」と述べた。

 郡和子衆院議員は、「宮城県でも今なお沿岸地域は行方不明の方が大勢いらっしゃり、仮設住宅で厳しい暮らしをされている。東北は海の幸も山の幸も、人々も豊かな地域であったと自負している。それがあの震災で大変な被害を受けた。今村大臣は(前回の)発言の後も被災地で直接被災者の方々に謝罪をされなかったなかでの昨日の発言だ。怒り心頭だ。大臣を辞めて済む話ではない。議員辞職を強く求め、安倍総理の任命責任を厳しく問うていく。それが被災者に応える唯一の道だと思っている」と述べた。

 黄川田徹衆院議員は、「今の安倍政権の震災復興に対する姿勢が如実に表れている」と指摘。高木前復興大臣や務台前復興大臣政務官の問題にも触れ、「あまりにもひど過ぎて被災地は言葉も出ない」と嘆いた。「集中復興期間は安倍総理の演説にあった『東北の復興なくして日本の再生なし』という言葉を最近聞いていない」などと述べ、「熊本大地震もありもっと緊張感を持つべきところ、大臣を代えて済む話ではない」批判。「これを機会に『東北は一つだ。東北から日本を変えていく。それがわれわれだ』という思いで取り組んでいく」と力を込めた。

 升田世喜男衆院議員は、今村大臣の『あっちの方』という発言に「東北はものではない。東北は人間だ。東北も日本だ。東北は戦後の日本を支え、食料もエネルギーも供給している。被災地にはまだ12万人もの人が避難生活をしている。こうしたことを考えれば大臣であろうとなかろうとこんな話はできないはずだ。東北の人の気持ちを考えれば、議員辞職を求めていかなければいけない」と表明。「今村さんには、東北地方全部回って頭下げてわびを入れてもらわなければ納得できない」と憤慨した。

 記者会見には、安住淳、寺田学、村岡敏英、金子恵美、小熊慎司各衆院議員、田名部匡代、舟山康江両参院議員も出席した

 会見終了後には、そろって今村前復興大臣に抗議を申し入れた。

2017年4月26日 今村前復興大臣に対する抗議文