衆院法務委員会で28日、共謀罪法案(組織犯罪処罰法改正案)の質疑が行われ、階猛議員が質問に立った。

 階議員は冒頭、政府参考人を招致するにあたっては質疑通告の時点で質問者が予め要請するという本来の原則に反し、21日の同委員会の冒頭に鈴木委員長が「本案審査中、政府参考人として法務省刑事局長林眞勲の出席を求め、説明を聴取したい」と採決を強行したことにを衆院規則違反だとあらめて問題視した。

 加えて、自民党の土屋議員が階議員に発したやじにも言及。やじは、階議員が「共謀罪の捜査は実行準備行為の後に行われるのか、それとも前に行われるのか」という質問について、本質的な質問であることから取り締まる側の刑事局長ではなく国民の代表としての法務大臣に答弁を求めたにもかかわらず、刑事局長が答弁したため、正当な国会議論を妨げる規則違反だと抗議したことに対して「テロ準備行為じゃないか」などとやゆしたもの。階議員は「正当な理由に基づく抗議を『テロ準備行為』だとレッテル貼りをし、権力にものを言うのは犯罪行為であるかのような空気をつくるのは極めて問題だ。土屋議員の不規則発言は、国民の不安、懸念を広めうるものだ」と述べ、謝罪と発言の撤回を要請。この件に関し鈴木委員長は、「後刻理事会で協議する」とした。

 その上で、階議員は「共謀罪の捜査は実行準備行為の後に行われるのか、それとも前に行われるのか」と再質問。金田法務大臣は「実行準備行為が行われていない段階でも、個別具体的な事実関係のもとで犯罪の嫌疑があり、捜査の必要性があると認められる場合には、手段の相当性が認められる範囲において任意捜査が行うことが許される」と、犯罪が成立する前の段階でも任意捜査は可能だとの認識を示した。階議員は、「司法警察職員は、犯罪があると思料するときは、犯人及び証拠を捜査するものとする」と定める刑事訴訟法第189条第2項に反しているのではないかと指摘した。

 階議員は、共謀罪法案によって新設される組織的犯罪処罰法第6条の2にただし書きで「実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する」とあることについて、「政府の答弁では共謀罪で共謀を認定する際は、一方が『やった』と言えばもう一方がやっていなくてもやったという事実認定がされる可能性がある。共犯者の1人が自分の罪を軽くしようと相手方を罪に陥れる『引っ張り込みの危険』がもとよりあるなかで、その危険を増すような自首減免規定がある」と指摘。昨年の刑事訴訟法改正で導入されることになった刑事裁判上の刑事免責の手続きもあいまって、共謀の認定のために「引っ張り込みの危険」、冤罪の危険が増えると考えられることに強く懸念を表明した。

「冤罪の危険が増える」と指摘する階猛議員

「冤罪の危険が増える」と指摘する階猛議員