衆院予算委員会で8日、安倍内閣の基本姿勢に関する集中審議が行われ、民進党・無所属クラブの2番手として質問に立った福島伸享議員は、国有地を近隣国有地の約1割の価格で学校法人森友学園に売却した問題などを取り上げた。

 質疑の冒頭、2、3日に行われたカナダのトロントで開かれたTPP首席交渉官会合を踏まえ、米国を除いた11カ国で早期発効をさせる方針であるかを確認した。安倍総理は「各国と緊密に連携し、あらゆる選択肢を排除せず、何がベストか議論していく必要がある」と答弁した。

 続いて森友学園の問題について、最近の世論調査でも政府が十分に説明していないとの結果が出ていると指摘した上で質問した。

 まず、籠池前理事長が公表した昨年3月に財務省理財局国有財産審理室長の田村氏と面談した際の音声データの声が田村氏本人か確認した。佐川理財局長は「当日のやりとりを記録したもの」と認めた。

 また、森友学園から近畿財務局に提出した「未利用国有地等の取得等要望」について、全面黒塗りで開示されたことについて取り上げた。

 この要望書にある設置趣意書のタイトルが黒塗り(非開示)であることについて法的根拠を求めたが、佐川理財局長は「学校法人のノウハウ等に関する情報が公になる。(文中に)学校としての今後の経営方針等が書いてあるため、タイトルを含め一体として学校の経営方針ということで非開示情報にした」と答弁した。

 福島議員は、タイトルが籠池氏によると「安倍晋三記念小学院設立設置趣意書」であったと述べ、佐川理財局長の答弁が「まさに安倍晋三という名前が特例を得るためのノウハウになっているから示せない」と指摘し、「国民の財産を守る立場である人が、そこまで惨めな答弁をしなければならないのは、かわいそうだ」と述べた。

 さらに国有財産の取得を巡り、財務省とやりとりをしている最中に安倍昭恵夫人が名誉校長に就任するのは不適切ではないかと質問。安倍総理は「この問題の本質は、8億円減価したかということについてしっかり議論していき、そして政府として説明をしていくことが大切」と述べた上で「籠池氏の証言に基づき、それを信用し一方的に発言をしている」と福島議員の質問を批判し、名誉校長就任についての言及はなかった。

 これに対し福島議員は「一方的な籠池さんの言い分だけが通るのは良くない。安倍昭恵夫人が一番密接に関わっている。そうではないと否定するのであれば、安倍昭恵夫人が出てきて、この場で説明すればいい」と述べた。安倍総理は「すでに、私は何回も答弁している。誠実に答弁させていただいているにも関わらず、一方的に籠池さんに成り代わって、ここで非難をしているのは、いかがなものか」と反論した。

 福島議員は「国民の7、8割が説明が不十分だというからこう言っている。国民のそうした思いに応えるのが国会の役割だ」と述べ、安倍昭恵夫人、籠池前理事長、その他関係者の証人喚問と、全ての資料の提出を受けた段階で集中審議を行うことを求め質問を終えた。

PDF「衆院予算委員会福島伸享議員配布資料」衆院予算委員会福島伸享議員配布資料

森友学園問題等を追及する福島伸享議員

森友学園問題等を追及する福島伸享議員