野田佳彦幹事長は8日、定例の記者会見を国会内で開いた。

 冒頭、野田幹事長は、同日の衆院予算委員会で明らかになったこととして(1)安倍総理から3月の東日本大震災追悼式で原発事故の文言を使わなかったことについて、配慮に欠けたと発言があったこと(2)森友学園の籠池前理事長と財務省の田村国有財産審理室長との協議とされる録音を本物であると政府が認めたこと――の2点を挙げた。

 籠池氏と田村氏との録音の件について野田幹事長は、「財務省の本省の幹部が一民間人と直接会って交渉するということは通常考えられない異例の対応」と指摘し、「この問題については明日の参院予算委の集中審議があるが、引き続きしっかりと事実の解明を行っていく」と引き続き追及する考えを示した。

 連休中に安倍総理が憲法9条改正の考えを示したことにも触れ、「自民党内でどれくらい議論されたのかよく分からない」と述べ、「憲法審査会で丁寧に議論を積み上げているときに、行政府の長がオリンピックを開く2020年までにとか、国会議論の活性化のためにとか、立法府の審議のありように非常に強く介入される形でこういう発言をされたことについては極めて違和感を感じざるをえない」と疑問を呈した。

 共謀罪法案(組織犯罪処罰法改正案)の対案を近く提出すると報道されていることについて、法案提出の狙いを記者団から問われると野田幹事長は、「共謀罪は廃案を目指しているので対案でなくて、独自のテロ対策法案という位置づけで明日の『次の内閣』で議論になる」と説明。「われわれも組織的な犯罪を撲滅するための条約は賛成しているが、今の閣法でなくてもその条約は締結できる立場。一方でテロ対策が必要であるのは言うまでもないので、われわれがテロ対策と現時点で考えるものは法案として提出をする」と法案提出の目的を明かした。