大串博志政務調査会長記者会見

2017年5月9日(火)12時03分~12時18分
編集・発行/民進党政務調査会

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=SSzuibHNuEI


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○予算委集中審議 憲法改正をめぐる総理発言について

【政調会長】
 いよいよ終盤国会に入りまして、非常に重要な法案が残っている中なので、昨日ときょうの予算委員会のあり方を見据えながら、しっかりとした論戦に臨んでいきたいと思います。
 まず第一に、5月3日の総理の憲法に関する発言ですが、きのうも取り上げ、きょうも取り上げていくことになると思いますが、総理が自民党総裁としてかなり具体的に突っ込んだ話をし、けれども国会では総理としては発言できないと。かつ、(知りたければ)新聞を読んでくれというような発言は言語道断でありまして、あれがまかり通れば各大臣は、「あの発言は、私は違う立場で発言している。知りたければ、新聞に報道されているからそれを読んでくれ」と、議事録にも全く残らない形で、いかような答弁も許されてしまう、二枚舌のあり得ない答弁になりますので、これは厳しく抗議し、かつ撤回してもらわなければいかんと思っています。
 こういう状況で、当然、憲法審査会の議論が正常に進むとは思えませんし、そういう意味での影響も出てくると思いますので、発言の撤回を求めていきたいと思っています。
 そもそも、総裁としては発言するけれども、総理として国会で答弁を求められたら何も答弁しないということ。そもそも論からいうと、安倍総理だろうが安倍総裁だろうが、憲法というのは、基本的に立憲主義が大前提であって、国民が憲法のあり方を決めていくというのが大前提だと私達は思っています。であるがゆえに、「未来志向の憲法を国民とともに構想」していくということが私達のスタンスになっているわけです。それを、権力の頂点にいる安倍総理・総裁があれだけ具体的に突っ込んで旗を振っていくこと自体が、立憲主義を理解していないことの表れだなと私は思いますし、そういった進め方自体、非常におかしいと私は思います。
 基本的には憲法審査会で、国民の代表たる場で、きちんと、粛々と、丁寧に国民の広い理解が得られていけるかどうかを議論するのが憲法に関する議論のあり方だと思いますので、今回の安倍総理の動きは大変おかしな動きだな、言語道断な動きだなと思います。

○予算委集中審議 森友学園問題について

【政調会長】
 それから昨日、森友問題も取り上げてまいりました。この問題は、一スキャンダルの問題のみならず、国有財産が不適切に払い下げられたのではないかという、国民の税金の使い道にも関わる問題なので、これは政策論としてもしっかり議論していかなければならんと思っています。
 政調の中にも森友学園プロジェクトチームがありますが、連休前に開かせていただき、必要に応じて今後も開いていきたいと思います。そういった中で、売却価格の値引きに至った経緯、これはきちっと洗っていきたいと思いますし、必要な制度に関するものも言っていきたいと思います。

○予算委集中審議 「共謀罪」法案について

【政調会長】
 それから「共謀罪」。昨日も議論されましたが、一般人が捜査対象になるのかどうかと。これが極めて発言が揺れている点が気になります。
 「一般人は捜査対象とならない」と(政府は)言いますが、一般人とは誰かと聞くと、「組織的犯罪集団に関わりのない人」と。この辺は、議論として詰めていかなければならない点があると思っていて、「組織的犯罪集団に関わりのない人」とは、じゃあ誰なのかといったところですね。誰がそれを判断するのか。捜査機関が、「組織的犯罪集団に関わりがあるな」と思ったら、一般の人でも捜査対象になってしまうのではないかという危惧等々が出てきます。この辺もきょうの予算委員会でも議論になるかもしれませんし、法務委員会が動き出した時にはさらに論点として詰めていかなければならない点だなと思います。
 それにしても、昨日の法務大臣の答弁は一体何なのだろうと。一回の答弁の中で同じことを3回も4回も言っている。内容がほとんどわかっていないのではないかなというような、驚くべき答弁だったなと思いますので、法務大臣の答弁能力のみならず、こういった重要な法案を抱えるに足る資質を持っているのかという点も含めて議論していきたいと思っています。

○ギャンブル依存症対策基本法案の議員立法登録について

【政調会長】
 きょうのNC(次の内閣)で議員立法登録していこうと思っているのが一つありまして、ギャンブル依存症対策ですね。
 これは与党のほうもいろいろ議論しているようでありますが、私達のほうとしても、現下のいわゆる解禁されている賭博も含めて、世の中に言われている一般的な意味でのギャンブル依存症、こういったものに対する対策を我が党としても打ち出していけるものは打ち出していきたいと思っていますので、きょう登録をしていく方向に、NCで承認されればなるのではないかと思います。


■質疑

○憲法をめぐる議論について(1)

【朝日新聞・中崎記者】
 憲法改正について伺いたい。冒頭でもあったが、総理が3日にああいった形で発表され、昨日は予算委員会、長妻昭さんなど民進党の議員の方々の質問には前向きには答えないという感じだったが、今後、民進党としても、総理がああいうふうに言ったことで憲法をめぐる状況が少し変わってきているし、先ほども審査会の話などもあったが、党内での議論と、あと衆参での審査会の進め方についてお考えがあれば伺いたい。

【政調会長】
 党内の議論の前に、まず安倍総理の、総理・総裁としてのあの態度はいかがなものかという問題を取り上げざるを得ないと思います。何せあれだけ具体的に発言されて、でも国会では何も語らず、新聞を見てくれればいいじゃないかと、この手の発言ですから。ちょっと常軌を逸した発言だと私は思うのですね、総理の答弁としては。ですので、この問題は撤回を求めてきちんとやっていくことをまずやらなければならんと思っています。
 その上で、憲法審査会できちんとした議論をしていくということ自体は私達も応じてきているわけです。今いろいろな、ブロックごとに議論をするということは応じてきているわけです。こういった議論を、国民の代表たる国会の場できちんとやっていくことが、憲法に対するスタンス、態度、取り組み方として正しいものだと私は思うので、これに関してはきちんと私達もやっていこうと思います。  ただ、安倍総理のあの発言が前提となる中では、その憲法審査会の議論もなかなか難しかろうなと思います。

【NHK・関口記者】
 確認だが、先ほど会長がおっしゃった「撤回してもらいたい」というのは、新聞を読んでくれという箇所か。

【政調会長】
 そうです。読売新聞を読んでくれというあの答弁は、国会での答弁として私達は受け入れるわけにはいかないので、撤回していただかなければならんと思います。

○ギャンブル依存症対策基本法案について

【NHK・関口記者】
 ギャンブル依存症対策の話が今あったが、まずIRについての法案がしっかり出てこないうちはギャンブル依存症対策という議論には行けない、ということでこれまではお話しされていた部分があったと思う。今回、きょう登録の方針になった経緯について、もう少し伺いたい。

【政調会長】
 与党側でギャンブル依存症対策の議論をされているやに聞いています。それに関して私達、もし持ちかけられたらどうするのですか、という問いがありましたので、どうもそのとき情報として聞いていた内容では、カジノも含めたギャンブル依存症対策を与党側として作ろうとしているのではないかというような流れであったので、であるとすると「カジノ実施法」が(推進法の施行から)1年を目途に出てきていない中で、それがどういう形になるのかわからない中で、それも含めたギャンブル依存症対策というのは組めないはずであって、そういう議論に乗るつもりはないということを申し上げました。
 一方で、私達はその「カジノ実施法」を認めていない立場に今のところありますので、それ以前にある、現下に、厚生労働省の調査によっては500万人を超えるとも言われている依存症、予備軍も含めた方々に対しての何らかの対応はしていかなければならないという、この論点はありますので、これは昨年12月の中でもギャンブル依存症対策に関して私達は考えているということは申し上げたところですし、一定の取りまとめもあるので、登録していこうという流れになっているということです。
 ただ、これはあくまでもカジノを含まない、現下のものとしてやるべきはやると、こういうことです。

○憲法をめぐる議論について(2)

【時事通信・大塚記者】
 憲法改正に関する総理のビデオメッセージでは、9条に関して具体的な提案をしているわけだが、これに対する評価はいかがか。

【政調会長】
 9条に関してもしっかりと、先ほど申しました、ベースは国民の代表である憲法審査会できちんと議論をしていくということだと思います。
 まさに憲法9条というのは国民の皆さんの関心の集まるところでもあるので、まさに権力者が旗を振って「こうしよう!」と言えば物事が進むというものではないと私は思いますし、安倍総理の記者会見を聞いていると、自衛隊の皆さんの今の活動・活躍を背景に、3項に位置づけるというだけであれば理解は得られやすいのではないか、というような雰囲気も見てとれました。確かに自衛隊の皆様の現下の活動・活躍に関しては私達も非常に大きく感謝するところもあり、その意義を認めるところでもあります。よって、例えば与党が提案もしない自衛隊員救急救命法案なども私達はあえて提案したりしているわけですね。
 それがありながらも、1項・2項を前提としながら3項に自衛隊を位置づけるだけだと国民の広い理解は得られやすいのではないかと、もし安倍総理が考えているとすると、その場合の議論はそんなに簡単ではないのだろうと私は思うのです。というのは、1項・2項を維持した上でも、じゃあその時に3項に位置づける自衛隊とは何かといったときに、当然2年前の安保法案のことがまだ生々しくありますから、その場合は集団的自衛権を行う自衛隊になるのですかと、当然そういう問いは出てきます。それが安倍総理のスタンスであると想像すると、当然、1項・2項を前提とするから、安倍さんの理解では集団的自衛権をやる自衛隊を3項に位置づけるという説明になるのではないかと想像しますが、そういった推測を踏まえると、仮に安倍総理が言ったような内容であっても、議論は簡単ではないだろうなと思います。
 よって、やはり憲法審査会できちんと、国民の代表たる国会の中で丁寧に議論することが何より大切だと思います。

○天皇陛下の退位に関する特例法案について

【共同通信・野見山記者】
 天皇陛下の退位について、今後要綱や法案が示された時に、党内議論は政調を含めどういう場で進めていくことになるか。

【政調会長】
 これまでは皇位検討委員会を中心に、平場を開いたり、あるいは役員会を開いたりしてやってもらってきました。かつ、その場を中心に、他党との調整も行ってきました。
 これは、この間「骨子」が出たので、今度は要綱と法案という形になっていくと思います。基本的に、それが出ていく時にはきちんと各党間で合意を得た形で出していく形になるところが、他の法案とは違うのだろうなと思いますが、今後とも基本的には我が党の皇位検討委員会が主体的に議論していくことになると思います。ただ、法案なので、NCで受け止めなければならないので、私、政調会長としても法案としてなっていく過程においては、NCとしてどこかで受け止めるようなタイミングが出てくるだろうなと思っています。
 その場づくりをどうしていくかということに関しては、まだ予断を持って考えているわけではありません。というのは、国会でどう取り扱うかというのも、特別委員会になるのか、どこか他の委員会になるのか、よくわかりませんので、そこもちょっと見据えたいとは思っていますが、いずれにしても何がしかの形で皇位検討委員会と、あとNCの場でもきちんとエンドースするような場をどこかで持っていかなければならないと思っています。