大串博志政務調査会長記者会見

2017年5月16日(火)11時33分〜11時58分
編集・発行/民進党政務調査会

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=J3_JXk3Gibk


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○北海道での陸上自衛隊機行方不明事案について

【政調会長】
 まず、北海道において自衛隊機が消息不明となっていることに対して、私たちも非常に心配しています。機体の一部が見つかったという情報もありますが、隊員の皆さんの安否も含めて、今、必死の捜索活動が続いていますが、隊員の皆さんの安全を祈りたいと思います。まずは状況を見守っていきたいと思います。

○籠池氏出席の森友PTへの政府側同席拒否は極めて遺憾

【政調会長】
 それから冒頭にちょっと申し上げておきたいのですが、森友学園PTで、今日の15時半から、籠池氏に来ていただいて、かつその場で、私たちの元々の思いとしては、各役所にもちゃんと来てもらって、双方の言い分が違いますから、やはり一番物事をはっきりさせるためには、双方にその場に来てもらってきちんとやり取りをしてもらって、国民の皆さんの目の前で事実を明らかにする。今日をもって森友問題を終わらせると。そういった思いで私たちは今日の場をセットしました。

 例えば財務省でいうと前の近畿財務局長の武内国際局長や、あるいは理財局の田村国有財産審理室長、さらには近畿財務局の池田統括国有財産管理官、あともちろん国土交通省であり内閣官房、こういった方々に来てもらって、その場で話をきちんとしてもらって、先ほど言ったように、今日をもってして森友学園の真相解明は終わりというふうにしようと思っていたわけですが、なぜか昨夜になって政府側から、来られませんと。一人たりとも来られませんということでした。どうも理由ははっきりしないのですが、私が聞いたところでは、例えば、国会の方で証人喚問を籠池氏はされていて、それが決着がついていない中で相対峙するのはいかがなものかと、理由にもならない理由を述べて役所全体が来ないというのは、ちょっと私は理解に苦しみます。

 この森友学園問題に関しては、国有財産の売却価格が適当であったかという、国民の財産にかかわる極めて重要な問題を明らかにするという責務が、これは誰にもあると思います。政府にももちろんあると思います。それを、こんな形で完全に放棄するというのは、何か本当に忖度し、隠していることがあるのではないか、という疑念をより強く抱かざるを得ない行動だと思います。

 アレンジとして、籠池氏とは別の場で政府からのヒアリングを行うという方向性になっているようですが、籠池氏と政府が同席した場で、きちんとした説明を一気にしてもらって問題解消をしようと。私たちとしては今日、森友学園問題はこれできちんと説明がつくという思いでやったつもりなのですが、むしろ真相解明をさせない方向で政府が動いているというのは、極めて遺憾なことだと私は思います。

○北朝鮮の弾道ミサイル発射とサイバー攻撃への対応を

【政調会長】
 北朝鮮のミサイル発射に関しては、日曜日に岡田克也安全保障調査会長が談話を出しましたが、言語道断、累次の安保理決議違反であり極めて許せない挑発行為だと思いますので、国際社会の大きな輪の中で、しっかりとした対話と圧力の中での対応を求めていかなければならないと思っています。

 これを非常に重要視しているのと同時に、私たちとしてはさらにもう一つ、サイバー攻撃が世界各国で相当な規模で同時期に起こっているという状況があります。日本においても影響が及んでいる。安全保障上の危機ということであれば、ミサイルはもちろんあります。北朝鮮の核もある。一方で、このサイバーに関しても、現代においては大変大きな安全保障上の懸念材料だというのは周知の事実です。これに関しては、政府の取り組みが、どのぐらい本気度が高いのかというのを疑わせるような状況ではないかと思います。北朝鮮のミサイル、あるいは核、これも非常に懸念される状況。一方でこのサイバー攻撃に関する取り組みも政府として本当にきちっとしたものがあるのか、私は政府の対応も追及していかなければならないと思っています。

○憲法問題、自衛隊の位置づけもそう簡単な議論ではない

【政調会長】
 憲法の問題が取り沙汰されていますが、安倍総理のあの発言は与党に向けた、自民党の中で案を作ってくれということの発言だったそうですから、自民党側の検討のあり方を見ていきたいと思います。各種報道機関の世論調査が出ていますが、色々な調査での質問の聞き方によっても、世論の反応は違ってきているのかなと思います。

 ただ、私はこの問題は具体的にこの憲法9条をどう変えるのかという議論になればなるほど、憲法9条1項・2項を維持したまま、新たに自衛隊を位置づけるだけならば国民の理解は割と幅広いのではないかと。こういう印象論で語られているほど簡単な議論ではないのではないかと思っています。

 憲法9条1項・2項がそのままだと、平和主義の理念は変わらない。その中で自衛隊を新たに加憲で位置づけるだけだと言っても、ではその憲法9条1項・2項に語られている専守防衛なり平和主義の内容は何なんなのかと。それは当然問われなければいけないわけです。その前提で、ではその任務を負う自衛隊が位置づけられるという議論に当然なるわけで、当然のことながら、例えば憲法9条1項・2項を前提としてということであれば、集団的自衛権を行使する自衛隊が位置づけられることなのか、ということは問わざるを得ません。そういった議論にも、具体的な議論が始まると及ばざるを得ません。

 そうなってくると、単純に自衛隊だけ位置づければいいという話ではないというのが段々見えてくると思いますので、簡単な議論ではないと私は思いますし、まさに憲法審査会で、色々な議論の中で粛々と議論をしていくのが必要だろうと思います。

○共謀罪法案は時間が来たら採決という話では絶対にない

【政調会長】
 最後に、今週、共謀罪に関して大きな山を迎えるのか、迎えないのか、よく分かりません。どうも政府・与党側は非常に強硬な運営をこれまでも繰り返してきましたので、私たちとしては緊迫した面持ちで、与党側の出方を見守っています。
 ただ、今日も参考人質疑が行われていますが、今回の共謀罪は、時間が来たら採決するというような話では絶対にないと思いますので、熟議たる審議をしっかりしてもらうよう改めて与党に求めながら対応していきたいと思います。


■質疑

○籠池氏と同席拒否、政府が説明義務を断るのはあり得ない

【テレビ朝日・村上記者】
 森友PTに関して伺いたい。今日は事実上、籠池氏と省庁の二部構成で行われるということだが、直接対決がかなわない中で、今後はどのような形で政権を追及していくお考えか。

【政調会長】
 まず今日、籠池氏と政府の皆さんが直接言葉を交わしながら事実関係を解明していこうということが成らなかった。これはしかも政府が突然、一切同席することを断ってきたという中で成らなかったのは極めて残念です。さはさりながら、今日、時間をずらした形になりますが、新たなヒアリングを行います。そういった中でどのような説明がなされるのかを受けた上で、一つ一つ事実の解明をしていきたいと思います。ただ、本当に当人から聞くということが一番の事実解明だと思いますので、今後もできるだけ分かりやすい場をつくってやっていきたいと思います。

【朝日新聞・中崎記者】
 政府側から、籠池氏と政府職員の方々と同席する場でというのは拒否されたということだが、本来行政としては国会議員の調査に協力する必要があると思うが、それに対してどういう説明の仕方だったか。

【政調会長】
 私が聞いているところでは、国会で籠池氏は証人喚問をされている。そういった問題もある中で、問題が解決されていない中で同席するのは避けさせていただきたいと。こういうことだったと聞いております。もっと他にも色々なことをあれこれと政府側が担当に言ってきているかもしれませんが、いずれにせよ、事実を明らかにするというのは政府の責務だと思います。これだけ国民の皆さんの注目を集めている国有財産の払い下げの問題ですから、それが適切になされているということをきちんと説明するというのは、政府の義務だと思います。だから、よほどのことがない限り、その説明義務を断るというのはあり得ない。あってはならないことだと私は思いますので、非常に遺憾に思います。

【東京新聞・我那覇記者】
 例えば時間をずらしてやるということであれば、籠池氏から話を聞いて、その後にそれを元に質問することは可能で、そういう意味では正確に言えば、説明をしていないということにはならないかと思うが、同席するということの意味はどういうことなのか。例えば、全然次元の違う話だが、待機児童の話では待機児童の当事者と政府の担当者が来て、疑問や不満をぶつけて答えるということが当然一般的にあり得ると思うが、そういう意味ではその場で直接リアルなライブなやりとりができるという良さがあるかと思うが、同席することにどういう意味があるのかお聞きしたい。

【政調会長】
 例えば、籠池氏から、こういう経緯でしたという説明が今日ありましたと。そこに政府の人間がいれば、籠池氏はこう言っていますがどうですか、と政府の人間に問えます。政府がそれに対してある答えをしたら、それがちょっと籠池氏の説明と違っていたら、籠池さん、それ違っていますけれどもどうですか、と。こういうふうに往復で説明を聞けるわけです。

 ところが、その場にお互いがいないと、籠池氏から一方の説明を聞き、時間を違えて政府の人間に、籠池氏はこう言っていましたがどうですか、と政府に聞く。政府から違った説明が出てきた時に、その場でまた、籠池さん、どうですか、と聞けないではないですか。だから、その場に二人いらっしゃれば、色々なやり取りの中で真相解明をより早くできるというのは、もう明らかだと思います。それを国民の皆さんも望んでいると思いますし、政府はそのように説明責任をより的確に早く果たす義務があると思います。それを、説明責任を果たさない方向で、出席を拒否したというのは、ちょっと私は信じられない思いです。

【テレビ朝日・村上記者】
 民進党側に、籠池氏と省庁が同席するまでは開催しないという選択肢はなかったのか。

【政調会長】
 籠池氏も今日来てもらうことになっているので、今日の場は今日の場で持っていきたいと思います。とにかく、私たちとしては真相解明をしていきたいということが一番の思いなので、できることは一日一日積み重ねていきたいと思います。そういう意味で今日の場は開いた上で、また次の取り組みを、今日の結果を踏まえた上で考えていきたいと思います。

○ギャンブル依存症対策、言えることは今から言っていく

【日本経済新聞・林記者】
 カジノについて、民進党内でギャンブル依存症対策の法案を議論していると思うが、昨年成立したカジノ法案に対しては反対の立場だった党内で、どういった議論が進んでいるのか伺いたい。

【政調会長】
 今、与党側でギャンブル依存性に対する議論が進んでいるやに聞いております。項目だけが明らかになっているので、詳しい内容は私たちも分かりません。ただ、どうも聞いていると、カジノ推進法によるカジノ実施法を前提としての形になっているかのような話を聞きます。私たちはもちろんカジノ推進法に反対しましたので、実施法がどういうものになるかは分かりませんが、慎重な立場で私たちは臨んでいます。そういった中で、現在既にあると言われているギャンブル依存症にどう対応するかということを考えること自体、私たちとして独自に考えるということ自体は、否定されるものではないと思いますので、その面も含めて、今言えることは言っていこうという立場で案をまとめていると、こういう状況です。

【日本経済新聞・林記者】
 超党派のIR議連は、与野党超えてギャンブル依存症対策の法案を出していこうと。これに対して、民進党が対案をもし出す場合、民進党としては超党派の法案について反対の立場で出すという理解でよろしいか。

【政調会長】
 超党派の内容がどういうものになるか全く存じ上げないので、今何とも申し上げようがないのですが、私たちは私たちとして、いわゆる世の中で言われている、現在あるギャンブル依存症に対する対策をどうつくるか、というのをまず考えているという状況です。

○区割り法案、政治改革推進本部で受け止め、NCで賛否決定

【共同通信・野見山記者】
 今日、衆院の区割り法案が閣議決定された。今後の党内手続だが、明日には政治改革推進本部も予定されているが、どう進めていくのかということと、野党間の候補者調整など、そうした方面への影響についてはどのようにお考えか。

【政調会長】
 これは法案が出てきましたので、私たちとしてはまず政治改革推進本部で一旦受け止めた上で、法案の賛否になりますので、最終的にはNCで法案の賛否を決めていかなければならないということになります。その際に、今回の区割り法ですが、元々のいわゆる区割り法を決める法律がありましたが、その考え方に関しては私たちは色々な意見を申し述べました。例えば、どの国勢調査をベースに区割りを見直すのか、というのが一番大きな論点で、与党の考え方と私たちの考え方の違いがありました。こういったことなども、今回の議論の中できちんと確認していかなければなりません。論点は多いと私は思います。アダムズ方式を、本来であれば本格国勢調査の場でやっていくということなので、もう既に本格国勢調査は行われていますから、これを前提にアダムズ方式で直していくべきだというのが私たちの態度でした。今後きちんとアダムズ方式も含めた上で、きちんと与党側で、あるいは政府側で、区割りが決められていくのかといったあたりは確認事項としてあると思います。こういったことは、まず政治改革推進本部で受け止めた上で、法案の賛否も含めてNCで議論して、法案審議に臨んでいきたいと思います。

【共同通信・野見山記者】
 野党連携への影響については。

【政調会長】
 まず、選挙に向けて私たちの候補をきちんと立てていくというのが大前提だと思います。これは選対委員長のマターなので、私があまり口を差し挟むことではないのですが、政策もそうですが、野党との関係に関しては、まず私たちの旗を立て、その上で安倍一強体制と戦うという意味でどうシンプルな態勢をつくっていくかという、そういった流れの中で考えていくことだと思います。

○憲法について期限を決め打ちしての議論は、本末転倒

【産経新聞・松本記者】
 憲法改正について伺いたい。冒頭述べられたご見解だが、これは3項以降を加筆することも含めて9条には手をつけるべきではないというご見解ということか。

【政調会長】
 我が党として、憲法9条に関しては、専守防衛のこれまでの考え方、憲法に書かれていることも含め、あるいはこれまでの解釈も含め、専守防衛が大事だということはもう一貫して党内まとまっていると思います。こういった考え方から、先の安保法案における、現在の憲法9条1項・2項を前提としながらも集団的自衛権は可とするという憲法解釈の変更には反対しました。この基本的な立場がありますので、安倍さんはああいうふうに言って、どういうことを考えているのか私は全く分かりませんが、ただ聞いていると、1項・2項はそのままにしているので、自衛隊を新たに位置づけるだけだからそんなに難しいことを言っているわけではありませんと。だから皆さん幅広い支援があるのではないですかと。わりと軽く言われているような感じがしますが、私が言いたかったのは、憲法9条1項・2項をそのままにすると言っても、2年前の安保法制の中で憲法9条1項・2項の専守防衛に関する読み方が、憲法解釈の変更の中で大きく変えられてしまったという事実があるので、新たに自衛隊を位置づけると言っても、その新しい任務たる集団的自衛権は負うという形になっているのですかということは問わざるを得ない。だから簡単な議論ではない、ということは申し上げたかったところです。

【朝日新聞・中崎記者】
 2020年憲法改正を目指すという5月3日の安倍総理の発言に関連して、憲法発議から国民投票について、衆院の総選挙と同日でやるという案などいろいろ取り沙汰されているが、政調会長としては憲法改正の国民投票と衆議院の総選挙を同日にやることについて、その考え方についてはどのようにお考えになるか。

【政調会長】
 まず第一に、2020年とか言われていますが、いつまでに施行するとか、或いはいつの段階で国民投票をするとか、期限を決め打ちして議論に入るというのは全くの本末転倒だと私は思っています。私たちの考え方は、未来志向の憲法を国民とともに構想する、つまり国民の皆さんの熟議の中で、合意ができるところがあるかを、発議を担当する国会としてきちんとした議論の中で探していく、というのが私たちの責務だと思っていますので、まずは憲法審査会、両院の中できちんとした熟議を尽くすことが大切であって、期限を切るというのは本末転倒だと思っています。

【朝日新聞・中崎記者】
 一方で一般論として、憲法改正は国民投票が必要と憲法に書かれていて、国民投票を政権選択の場である選挙と同日に行うと、選挙の争点と憲法改正の論議と少しごちゃごちゃになる恐れもあるという指摘もあると思う。その点について、一般論としてはいかがか。

【政調会長】
 憲法改正というのは国民にとって非常に大きな論点なので、国民の皆さんが心静かに内容を受け止め、考えて投票できる。そういった環境であることが望ましいと私は思います。それがどういう場であるかは、その場その場での流れになってくると思いますが、あくまでも、この憲法改正を政争の具に供するようなことはふさわしくないのではないと私は思います。

【日本経済新聞・林記者】
 憲法改正についての議論の進め方として、今の状態だと3分の2を持っている自公と日本維新が勝手に進めることも可能だが、野党第一党としては、民進党もきちんと議論に参画した方が良いと思われるか。

【政調会長】
 私たちは憲法審査会の議論にはずっと参加してきています。だから私たちが憲法の議論に参加していないか、というと全くそういうことはありません。今までも、蓮舫新代表の体制になってからも、参政権のあり方や緊急事態条項のあり方、あるいは地方自治のあり方等々も含めて、参考人質疑も含めて、これまで憲法審査会の議論には少なくとも衆議院では臨んできています。参議院は何か別の事情で開かれていないという状況になっていますが。そういった意味で、私たちは議論にきちんと参加してきている状況にあります。その中でどのような意見が生まれていくのかというのをきちんと探していくことが大切であって、憲法審査会というのは、前の憲法調査会のときの流れからしても、他の委員会もそうですが、より強行採決とか強行運営とか、こういったことがあってはならない審査会だと思いますし、これまでもそういう運用がなされてきたと思います。だから、3分の2があるから野党第一党である民進党はもういい。外して議論すべきだということを言っている党もあるようですが、その考え方は、権力者が権力を背景に、数の力を背景に、憲法を強引に変えようという、立憲主義とは相反する考え方だと思いますので、少なくともそういう考え方、進め方の下で憲法の議論が進むのは非常に良くないことだと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、憲法審査会の議論には私たちもきちんと臨んでいます。