大串博志政務調査会長記者会見

2017年5月23日(火)11時32分~11時47分
編集・発行/民進党政務調査会

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
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■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○英国コンサート会場での爆発事件について

【政調会長】
 イギリスにおいて、テロと思われる重大な事件が起こされました。被害を受けられた方にはお悔やみを申し上げたいと思います。これが本当にテロかどうかというのは事案の解明をする必要がありますが、きちんと見つめていきたいと思います。

○「共謀罪」法案審議・国連特別報告者の懸念表明について

【政調会長】
 国会では、いよいよ「共謀罪」法案を、(衆議院)本会議で通していこうという与党の動きになっていますが、いかがなものかと思います。
 私達はこの「共謀罪」に関しては、国際組織犯罪防止条約を締結するために包括的な国内法は要らないとずっと言ってまいりました。ところが政府は、この法案は国連で採択された条約を締結するために必要なのだと言い続けてきました。そして、その国連のほうから、国連特別報告者のケナタッチ氏が日本国に対して、安倍総理に対して、書簡を送っていたと。その中で、「もし法案が法律として採択された場合、法律の広範な適用によって、プライバシーに関する権利と表現の自由への過度の制限につながる可能性がある」という懸念を、国連の特別報告者自身が日本政府に伝えてきているという状況にあります。
 こういった状況の中で、十分審議も尽くされない中で、まさにここにあるように、「広範な適用によって、プライバシーに関する権利と表現の自由への過度の制限につながる」おそれが払拭されない中で強行採決し、かつ本会議でも強硬にゴリ押しして通していこうという政府の態度はあってはならないものだと思います。
 これに対して菅官房長官は即座に、昨日、抗議をしたということでありますが、極めて本末転倒だと思っています。もともとこの「共謀罪」に関して政府の説明は、国連での議論を通じて採択された国際組織犯罪防止条約を締結するためということでした。国連の活動と日本政府の活動を整合させていくべきであって、そのためにやっているのだと言いながら、逆に、国連からプライバシーや表現の自由を過度に制限してしまうではないかと異論を突きつけられている状況にあります。
 いかに今回の「共謀罪」に関する政府の説明が怪しげなものであるかということを、明らかに表しているものだと思いますので、私達はこの辺は声を大にして言っていかなければならないと思います。もともとの私達のスタンスでありました「共謀罪」という一般法の成立なくして国際組織犯罪防止条約を締結できるという、私達の説明のほうがより正しいということを繰り返し言っていきたいと思います。

○森友学園問題・加計学園問題について

【政調会長】
 森友学園問題の真相解明や、加計学園に関する特区認定の真相解明、これらは道半ばだと思っています。
 加計学園に関しても、先週金曜日に文科大臣は、わずか数名(のみ対象)の省内調査をもってして、文書は見つからなかったと発言しています。極めてお粗末な調査をもってしてふたをしようという雰囲気がありありと見えます。
 この問題は、総理に近い人間に対する忖度(そんたく)が働いて、一般人より有利に取り扱われていたのではないか、という国民の疑念を払拭するところにその重要性があると思っています。この辺は政府に対して説明責任を果たすよう求めていきたいと思います。

○天皇の退位等に関する皇室典範特例法案について

【政調会長】
 きょうのNC(次の内閣)では、(天皇の)退位の問題を取り扱うことになります。
 平場(の議論)を2回行いました。法律案が閣議決定されて、私達のNCでもこれを取り扱っていきたいと思いますが、先般の平場の中でいろいろな意見が出ました。「女性宮家の問題に関してきちんとした附帯決議の確定をしていくべきだ」、あるいは趣旨のところで「これが先例となり得ることをきちんと確認していかなければならない」、あるいは施行時期に関して、「(公布から)3年以内となっているが、あまりに長過ぎないか」、あるいは「あまりに行政・政治側の都合のいい時期に決められてしまう内容になっていないか。もう少し明確化していくべきではないか」、こういった声がありました。
 これから審議が行われていく中で、附帯決議や答弁のあり方も含めて、その辺をきちんと確認していくという前提で党内の意見を取りまとめていきたいと思っているところです。
 これに関して、きょうNCを行いますので、NCが終わった後、こういう問題でありますので、私のほうからブリーフィングをしたいと思っています。


■質疑

○「共謀罪」法案審議・国連特別報告者の懸念表明について

【朝日新聞・中崎記者】
 国連の特別報告者からの書簡について伺いたい。菅長官はこの書簡について、国連を代表するものではない、という説明で、強く抗議をしたと会見で発言されていた。特別報告者は、個別の国ごとにその人権状況を調査している担当者だということだが、この方の書簡が(国連を)代表するものではないという政府の言いぶりについてはどのようにお感じになるか。

【政調会長】
 外務省として政府見解を出しています。5月18日付(「『プライバシーの権利』特別報告者に対する日本政府見解」)。これによると、この特別報告者に関して、「貴特別報告者が国連の立場からこのような懸念を表明することは差し控えて頂きたかった」とあります。このように「国連の立場から」ということを政府も認めたかのような文書になっています。このような書き方になっていますので、この辺はしっかりと確認を求めていきたいと思っています。
 さらには、過去、日本政府はこの国連特別報告者の方々に対してどういう対応をとってきたのか。例えば、北朝鮮の人権状況に関して調査をしてきた特別報告者の方々に対して、岸信夫外務副大臣は、表敬訪問を受けた時に、これを極めて高く評価するというような態度を示しています。これまで国連特別報告者に対して、政府として一定の評価なりをしてきているわけです。それは国連だからやってきているのだと私は思うのです。それに対して、今回、国連ではないから違うと言うのは、極めて場当たり的で都合のいい解釈だと思います。  あくまでもこの方は国連の特別報告者としての立場からこういったことを言われているわけですから、重く受け止めるべきだと思います。

【朝日新聞・中崎記者】
 国対のマターかもしれないが、(共謀罪法案について)与党側は本日の衆院本会議で採決して、可能であればあしたの参院本会議で(審議入り)という意向を持っている。こういう新たな事態も出てきて、今言った、政府の立場をただすということを衆院としてもやっていきたいところだと思うが、ご対応としてはいかがか。

【政調会長】
 委員会の審議は終わりましたが、本会議の審議は残っていますから、衆議院の審議は終わっていません。衆議院の審議が終わっていない中で、このような新しい状況も出てきた。これは一つ一つ、私達のほうから国会審議の中でぶつけていかなければなりません。
 議運の話し合いも行われている中でしょうから、それが現在、この時点でどうなっているか、同時並行的ですから私も了知しませんが、当然、私達のほうからはこういった問題提起はしていっていると思いますし、こうしたことも加味して、「まだ議論は尽くされていないではないか」と言っていかなければならないと思います。

○衆議院区割り改定法案について①

【産経新聞・笠原記者】
 今国会で衆議院の区割り法案(公職選挙法改正案)が提出されているが、民進党としての取り扱いをどうされるのか。それと、もしスケジュール感が大体決まっているのだったら教えていただきたい。

【政調会長】
 この区割り法案に関しては、閣議決定されて出てきた後、政治改革推進本部とうちの部門との合同会議でヒアリングをし、意見交換もしてきました。その結果も踏まえて、きょうのNCで取り扱いをしたいと思っています。
 そこで賛否についても取り扱いをした上で、いつ国会での審議に入るのか、まだここはよく見えてきませんが、そこに臨めるようなタイミングで準備をしていきたいと思っています。

○天皇の退位等に関する皇室典範特例法案について

【時事通信・大塚記者】
 女性宮家の関係で、女性天皇・女系天皇の議論について、党内で今後どう進めるか伺いたい。

【政調会長】
 まずは、私達フォーカスしなければならないと思っているのは、婚姻等々を経て皇族数が減少することが現実化している中で、皇族の活動を継続していくためにも、女性宮家のあり方の検討も含めて期限を区切って結論を出していくべきであるという、衆参正副議長のもとで議論した時の私達の一定の結論です。だから、まずこの方向に向けて議論していきたいと思います。その中で、女系天皇といったことも含めた議論になろうかと思いますが、その具体的な内容は何ら予断しているわけではありません。
 ただ、皇族数の減少といった状況に向けて向き合っていく際には、女性宮家の問題も避けて通れないという態度で議論に臨んでいきたいと思います。

【時事通信・大塚記者】
 女性宮家の話と、女性・女系天皇の話を絡めて議論していくのか、そこは切り離してやるのか。

【政調会長】
 野田内閣の時の議論においては、そういったことも視野に置きながら議論してきました。さはさりながら、今回の場合は、皇族の減少というのが第一の問題であります。それに向けて、各党いろいろな意見の違いがある中で、どこまで踏み込んで議論するかはやってみないとわからないところがあると思いますが、その状況を見ながら考えていきます。

【テレビ朝日・村上記者】
 関連して伺いたいが、民進党は、女性宮家について、最終的には創設すべきという結論を目指しているのか。創設の検討ではなく、創設という形を終着点と考えていらっしゃるか。

【政調会長】
 私達は検討を求めて、期限を切って結論を出していってくださいと言っている立場です。かつ、皇族数の減少に対応していかなければならないという観点からこれをお願いしているので、当然、創設を是として私達は考えているということです。

【共同通信・野見山記者】
 退位に関して、きょうのNCでは、正式な了承などの確認をするのか。それとも、先ほど言われた女性宮家や、先例になるかどうかなど、今後の審議入りをする上での確認事項などの方向性を確認するのか。どういったNCでの扱いになるのか。

【政調会長】
 これは、きょうNCでやってみないとわかりません。2回の平場でもいろいろな意見がありました。いろいろな条件的な意見もありましたので、きょうNCを経てみた上で、どうなっているか判断してみたいと思います。

○衆議院区割り改定法案について②

【読売新聞・工藤記者】
 前回の政治改革推進本部との合同会議では、町名を加えるといった修正の話も出ていたが、きょうのNCで賛否まで決める予定なのか。

【政調会長】
 区割り法案なので議員の一人ひとりの立場に絡むことです。ですので、いきなり部門というわけではなくて、政治改革推進本部という本部形式と、法案になっているので部門という形でのつながりの中でやりました。実は非常に慎重にやらなければならないと思っています。だから、きょうのNCに今おっしゃったような部門の結論も含めて上げてもらって、最終的にどうなるかはきょうのNCの中で判断してみたいと思います。