参院法務委員会で30日、共謀罪法案の審議が行われ、民進党のトップバッターとして小川敏夫議員が質疑に立ち、共謀罪法案を成立させ国際組織犯罪防止条約(TOC条約)に加盟しなければ東京五輪を開催できないなどとする安倍総理の主張について「共謀罪法案を成立させたいがための国民への印象操作だ」と問題視し、その理由を閣議決定文書をもとに追及した。

共謀罪もTOC条約もテロ対策に入っていなかった

 2013年9月の東京へのオリンピック招致決定後の12月10日に安倍政権が閣議決定した「世界一安全な日本創造戦略について」を取り上げた小川議員は、その中の「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会等を見据えたテロに強い社会の構築」「国際連携を通じたテロの脅威への対処」のいずれの項目にも、テロ対策として共謀罪法案もTOC条約加盟も記載されていないことを示し、安倍総理に対して「テロ対策にも、オリンピックのテロ防止対策にも、TOC条約の加盟、そのための共謀罪の成立を全く念頭になかったのではないか」と追及した。

 これに対して総理は「サミット、オリンピックを見据えたテロ対策、カウンターインテリジェンス等の中には国際的組織犯罪対策は入っていない」とあっさり認めたが、その後、質問と関係のないことを長々と釈明し、共謀罪がテロ対策でなかった事実を薄めるよう印象操作に終始した。

TOC条約に加盟しなければ東京五輪を開催できないなどとする安倍総理の主張を「共謀罪法案を成立させたいがための国民への印象操作だ」と問題視

TOC条約に加盟しなければ東京五輪を開催できないなどとする安倍総理の主張を
「共謀罪法案を成立させたいがための国民への印象操作だ」と問題視する小川議員

2人で計画すれば団体要件を満たすことが明らかに

 共謀罪法案の構成要件に関して、2人以上で計画となっている一方で、団体の活動を対象としていることから小川議員は、「構成要件的には2人の者が共謀すればいいとなっているが、2人以上であれば団体の要件を満たすのか」と金田法務大臣の見解をただしたところ、「ご指摘の通り満たす」と答えた。その答弁を受けて小川議員は「組織的犯罪と言いながら、2人でも団体の要件を満たす。2人が共謀すれば団体の要件が成立する。大きな人数を抱えた組織的犯罪集団、いわゆる反社会的な集団だけを念頭に置いた法案ではなくて、非常に広範囲、緩い組成で、投網をかけるような危ない法案ではないか」と法案の抱える危険性を指摘した。

安倍総理、加計学園の役員だったことを認める

 学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題をめぐって、前川・前文部科学事務次官が存在を認めたいわゆる「総理のご意向」とされる内部文書について、「徹底調査するよう総理から指示を出す考えはないか」と再調査への姿勢を確認した。文部科学省の「確認できない」との調査結果を盾にして、安倍総理は疑惑隠しに終始した。また、「加計学園の役員を務めたことはあるか」との質問については、「初当選した当初、数年間ではあるが、監査か何かを務めたことがある。1年間に14万円の報酬を受けていた」と答弁し、加計学園との関係の深さをあらためて印象付けた。