参院決算委員会で5日午後、2015年度決算の締めくくり総括質疑が行われ、質問に立った平山佐知子議員は国家戦略特区での加計学園の獣医学部新設について取り上げ、安倍総理の見解をただした。

 平山議員は、加計学園の獣医学部新設が認められた経緯について、「総理が指示をした、関与したことは明らかになっているかと思う」と述べた上で、「総理のご意向はあったのか」とあらためて質問。「まったく関与していない。関与できない仕組みになっている」などと否定する安倍総理に対し、「関与していないのなら、立証する責任は総理にある」と迫った。

 また、前川前文部科学事務次官が、和泉総理補佐官から「総理は自分の口から言えないから私が言う」と開学手続きを急ぐように求められたと発言していることから、この点についても確認。安倍総理は「和泉補佐官に指示したことはない。私が官邸のスタッフに指示を与え、文科省に伝えに行くことはあり得ない。政治レベルで私が指示する場合は大臣に指示をする」と答えたが、平山議員は「政治レベルの指示はなくても忖度(そんたく)ということはあるかもしれない」と指摘した。

 また、閣議決定事項である、日本再興戦略改訂2015で示された4条件(1)既存の獣医師養成でない構想が具体化(2)ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき具体的需要が明らかになること(3)既存の大学・学部では対応が困難な場合(4)近年の獣医師需要動向も考慮しつつ、全国的見地から検討を行う――が満たされているのかを尋ねると、安倍総理は「4条件については、私が判断するのではなく一義的には特区申請の分科会で議論する。獣医学部の教授が2人出席しているなかで審議をし、そこで決める。私が入っていく余地はない」などと明確な説明を拒否。今治市は獣医学部新設に当たってその経費として96億円の交付を決定していることから、平山議員は同じく加計学園系列の大学を92億円かけて誘致したことで千葉県銚子市の財政が極端に悪化していることにも言及し、「市民にとって大切な市立病院が一時休止に追い込まれるなど、市民生活にも大きな影響が出ている。規制緩和自体には反対しないが、最低限のルールを守った上でなければ規制緩和をすべきではない」「多くの国民が一生懸命働き、日々必死に暮らしている。安倍総理の友達だけが利益を得られるような政治はおかしい」と強く訴え、質問を終えた。

平山議員