大串博志政務調査会長記者会見

2017年6月6日(火)11時31分~11時46分
編集・発行/民進党政務調査会

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=D_Mr3cA6670


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○加計学園問題・「国家戦略特区法停止・見直し法案」の取りまとめについて

【政調会長】
 加計学園問題に関して、昨日の衆参両院での決算に係る議論がありましたが、とにかく政府の隠蔽の態度はひどい、そして答弁のあり方もひどいという一語に尽きると思います。
 あの8枚の文書が存在するということの状況証拠がここまで出てきている。特に、それに至る経緯のメールも、私達、先週金曜日に出しましたが、(送受信欄にある)個人の名前もきのうは申し上げて、かつ文科省からは「同姓同名の人間がいる」ということまで明らかにしておきながら、追加的な調査はしないというのはちょっとあり得ない態度だと思います。総理の答弁の態度も極めてひどいということですので、断固としてこれは調査をすべきだし、前川前文科次官や、あるいは和泉首相補佐官の証人喚問、呼んで事の真相を明らかにするべきだと思います。
 なぜなら、この問題は、総理との人間関係が近ければ行政上有利な取り扱いをされるのかという、非常に不公平な行政になっているのではないか、ゆがめられた行政になっているのではないかということ、これを政府は払拭したいのであれば説明責任をしっかり果たさなければならんということでありまして、この点を政府が説明する姿勢を示さないというのは、まさにそういった人間関係が近ければ、加計学園に関してゆがめられた行政が行われたということを証明するのではないかと私は思います。
 ましていわんや、民主党政権の時に「検討する」に格上げされたと、こういうふうに言われていますが、言語道断な話でありまして、野田佳彦幹事長も言いましたが、構造改革特区の時の話ですね。構造改革特区というのは、何度も言いましたが、ボトムアップ。国家戦略特区はトップダウンで、まさに総理が決める。こういった大きな違いがありますし、さらに構造改革特区の際に私達が検討したというのは、新成長戦略の中で全国的な見地から検討する、としています。すなわち、申請が上がってきたのは確かに今治市だけですが、そこに対してのことだけではなくて、新たに全国的な見地から検討するということになっているので、本質的に、総理が加計学園に決めるというのとは全く違う。何より、当時の私達の総理が加計学園の幹部と「腹心の友」であるというような人間関係は持っていなかったわけですから、疑惑の湧きようもない。そういう意味で、全く違う話を持ち出して払拭に努めようというのは全く変な話だと思います。
 さらに、菅官房長官あるいは総理も含めて、前川さんを個人攻撃して、彼の話の信用をおとしめようというような言葉に関しては極めて強い違和感を私は覚えます。わざわざ出会い系バーに行っていたということを述べたり、あるいはきのう菅官房長官が、前川さんに関して人事情報を漏洩していました。前川さんが12月に報告に来た時には辞意を述べなかったとか、あるいは3月末まで定年を延長してくれという希望を述べていたとか、これは人事にかかわる個人の情報です。これをテレビの前で全国民に対して述べるというのは、菅長官がきのう国会の中で述べた言葉は国家公務員法上の守秘義務違反に当たるような内容だと思います。
 皆さんもよく考えてみていただければわかると思うのですが、人事の希望を上司に述べていたら、上司がそれを外に向けてペラペラしゃべり出したら、どうですか。私は、あり得ないと思うのです。あんなことまで国会で言って前川さんをおとしめようというのは非常に違和感を覚えましたし、繰り返しになりますが、菅長官が述べたあの言葉は国家公務員法上の守秘義務違反ではないかと私は思います。
 こういった点も含めて、加計学園の問題についてはしっかり追及していきたいと思いますし、この関連で、きょうNC(『次の内閣』)に、総務及び内閣部門のほうから「国家戦略特区法停止・見直し法案」が上がってきます。これは部門では了解を得ています。きょうNCで議論してみて、NCで了解が得られるという状況になったら、これを提出していくという方向にしていきたいと思います。
 内容に関しては、今、国家戦略特区自体を私達は否定しているわけでは全くありません。国家戦略特区というものを使っていろいろな規制への改革を進めていくことによって、成長力のある日本をつくっていくという考え方自体は全く否定するものではありません。
 ただ、国家戦略特区は非常に注意して運用しなければならないものだと思うのです。というのは、一部に対して規制を緩和することになるわけですね。そのやり方を間違えると、その規制を緩和された相手方を過度に守ることになりかねません。例えば、「広域的に獣医学部のないところに限る」とか「1校に限る」とかいうことがあると、その結果として、その特区認定を受けたところだけが、他のところにはない特別的な取り扱いを受けることになるわけです。
 こういった裏腹の関係がありますから、国家戦略特区というものを扱うときには極めて高度な注意の必要性があると私は思います。こういったことが担保される制度になっているのかどうかという観点から、制度の見直しを図っていくというような内容を部門のほうから提案されておりますので、NCの中で議論していきたいと思っています。


■質疑

○加計学園問題について

【時事通信・岸本記者】
 冒頭ご発言のあった、長官の国家公務員法上の守秘義務違反、これに対して何か具体的なアクションを考えておられるか。

【政調会長】
 ちょっと確認しようと思っています、政府も呼んで。ああいう発言はあっていいのか、つまり、菅長官の発言が本当であれば、真実を表しているのであれば、法律上言ってはいけないことを国会の場で言ってしまわれたのではないかなと思いますので、政府を呼んで確認しようと思っています。
 もし菅長官が言っていたことがうそであると、つまり、前川さんは否定していらっしゃいますね。だからうそであるということであれば、国会で虚偽の答弁をしたということになります。これはこれで問題になりますね。
 そういう論点を明らかにしていきたいと思います。

【朝日新聞・中崎記者】
 民進党のPTの中で公表された文科省内でのメールについてだが、政府側は昨日の国会答弁の中で、送受信欄に出てくる名前について同姓同名の人がいることは認めながらも、再調査をする考えはない、「出所不明だ」という姿勢をあらためて強調していた。これについてあらためて伺いたい。

【政調会長】
 都合が悪くなってきたから調べない、ということが明らかになったと思います。
 というのは、例の8枚の紙の時は、あれも出所不明ですよね。出所不明だけれども、調べました。あそこには、総理とか、いろいろな名前が出ていたので調べたということですが、今回の紙も、「官邸の最高レベル」とか、あの8枚の中のコアの情報がその中に入っています。ですから、あの8枚を調べたのであれば、今回のメールをベースに調べないという理由は全くないわけであって、これを調べないというのは、調べてしまったら真実であったことがわかっちゃうから、前川さんが言っていたことが真実であることがわかっちゃうから調べないと、隠蔽しているということにすぎないと思います。
 大体、あれだけ大人数の人が、同姓同名の人がその部局にいて、真実じゃないわけないじゃないですか。

【読売新聞・工藤記者】
 関連してだが、会期末も迫る中で、国対とも関連すると思うが、加計問題に今後、不信任決議案とか、どういった追及方針でやっていくのかお聞きしたい。

【政調会長】
 引き続き、国民からしてみると、総理に近ければ有利な取り扱いを受けるのかと、受けたのかと、(政府に)はっきりさせてくれという声が強いと思いますので、関連する各委員会での審議において明らかにする努力をし、かつ、予算委員会での集中審議を求め、確定していきたい。
 そういった中で、繰り返しになりますが、これを明らかにするとなると、当人、前川さんや和泉さんの証人喚問を実現して、うそを言えない状況下で証言をしてもらえれば、もうその場で明らかになると思いますので、これを強く要求していきたいと思います。その中で、政府には調査も求めていきたいと思います。
 これだけ国民の皆さんが、一体どうなっているのだと、総理に近い人間であれば得するのかと、こういった疑念を持っていらっしゃるにもかかわらず、それを調査もしない、国会審議も受け付けない、答弁もきのうのような極めて不誠実な答弁に終止するということで終わるのであれば、この内閣総理大臣を初め内閣自体が国民の信任に値するものかと疑念を抱く声も出てくるのではないかなと思います。これは、政府がどのような説明責任を果たすかを見きわめながら考えていきたいと思います。

【NHK・関口記者】
 現時点では、内閣不信任案の提出とかいうところまで具体的に考えているわけではないということか。

【政調会長】
 山井和則国対委員長もきょうの記者会見で言われていたと思います。まず私達としては、しっかり政府が説明するということを強く求めていきたいと思います。何せあと2週間ありますからね、説明しようと思ったらできないはずはないのです。調査すればできることだし、証人喚問を実現すれば、その瞬間にこれは氷解すると私は思うのです。そういう努力をするかどうか、まず見きわめていきたいと思います。
 これだけ国民の皆さんの声が強くある中で、白黒はっきりしてくれという声がある中で、全くそれをしないとなると、その内閣は本当に国民に対して真正面から取り組んでいる内閣と言えるのかという疑念は、湧いてくる向きはあるかもしれないなと思うのです。

○民進党のエネルギー政策について

【朝日新聞・中崎記者】
 エネルギー政策について伺いたい。エネルギー環境調査会で週何回かヒアリングを続けているが、議員先生が国会にいるということで、今国会中にある程度まとめたいとおっしゃっていた。原発ゼロ基本法案を目指すと党大会でも掲げていたが、現時点での調整状況などを伺いたい。

【政調会長】
 3月7日にまとめた「民進党のエネルギー政策(当面の論点メモ)」においては、「2030年代・原発ゼロ」に向けた道筋が前倒しできるよう総選挙に向けて検討していく。その検討を踏まえ原発ゼロ基本法案をまとめていく、ということを書きました。それに向けた検討を今していまして、ご案内のように9本の省エネ・再エネに関する法案は(議員立法)登録され、今、鋭意その内容を詰めているところです。
 そのほか、当時、原発ゼロ政策に関して検討しなければならない論点もあると言われました。例えば、バックエンドの問題をどうするかとか、あるいはエネルギー安全保障をどうするのかとか、電力料金をどうするのかとか、あるいは地域の雇用、地域の経済に関する影響はどうするのかと。こういったことのヒアリング等々を通じた検討も、平場及び役員会、両方を通じて今行っています。
 今国会、あと2週間ありますので、精力的にやれるところまでやり切りたいと思います。今のところはそこまでです。