大串博志政務調査会長記者会見

2017年6月13日(火)11時22分~11時38分
編集・発行/民進党政務調査会

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=b0QtRvLoEEc


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○「共謀罪」法案の審議について

【政調会長】
 国会での審議、「共謀罪」に関しては、到底採決に至れるような議論の深まりぐあいではないと思われるにもかかわらず、「(強行)採決しないと確約してくれ」という、こちらからのある意味当然の要請に対して、言葉を濁す。まさかきょう強行採決をしてくるのではないかという参議院法務委員会の状況、(委員長)職権によってきょうの午後の審議が立てられているというのは極めて遺憾な状況でございます。ぎりぎりまで与党の出方を見ながら、私達としてもこの「共謀罪」法案の成立阻止に向けて頑張ってまいりたいと思います。
 この「共謀罪」に関しては、ご案内のように国連特別報告者のケナタッチ氏が、プライバシーや表現の自由を大きく制限するおそれがあると言って、日本(政府)に書簡を送ったと。これに対して日本政府からは抗議の内容が発表されている。しかしながら、よく見ていただくと、ケナタッチ氏から送られた書簡の中には、詳細にこういった点を教えてもらえませんかという質問事項が並んでいます。これに対して日本政府は全く答えていません。抗議をするだけであって、法案の内容が心配するものではありませんよというような具体的な説明を全くしないで、抗議だけしている。これは、国会でまともな答弁もしないで、とにかく採決に突き進もうとしている、このあり方とうり二つだなと思います。
 もともと国連の場においてつくられた国際組織犯罪防止条約を締結するために、国連人権理事会の特別報告者から、あまりにやり過ぎではないかと警告されるような法案を、強硬的な運営のもとで通すというのは極めて問題だと私は思いますので、しっかり議論を私達は求めていきたいと思います。

○「表現の自由」に関する国連特別報告者の懸念表明について

【政調会長】
 一方で国連の特別報告者との関係では、デービッド・ケイ特別報告者、この人はいわゆる表現の自由に関する特別報告者ですが、この方から、これも特定秘密保護法等を含め、表現の自由に関して現政権は極めて抑圧的であるというような報告を出されていて、これに対しても日本は抗議をしているという状況。私は、日本として極めて恥ずかしい、国として恥ずかしい状況ではないかと思います。
 安倍総理はよく、他国との関係において、共通の価値を共有できる国と協同していきたいということを言いますが、その日本が、表現の自由等々、民主主義の根幹にかかわるところで国際社会から「おかしいではないか」と言われてしまっているという事態は、先進国として、別に途上国でもそれがあっていいわけではないですが、極めて恥ずかしい状況ではないかと思います。
 これに対する菅官房長官の会見なども、木で鼻をくくったような答えのみであって、まともな回答にはなっていない。極めて抑圧的なにおいのする政権になっているのではないかという気がしてなりません。

○加計学園問題について

【政調会長】
 この流れで言うと、加計問題に関しても、文科省における追加調査は要らない、要らないと、(政府は)こう言い続けてきた。これが一転して追加調査を行うことになったわけですが、いつまでにこの追加調査の結果が出るのかは全く不明である。まさか国会が閉会するのを待って、問題が下火になることを期待して、逃げ切りを図っているのではないかと思われるのは極めて遺憾であると同時に、文科省に対して追加調査をするのであれば、本丸であるところの内閣府に対する調査もきちんと行わないとおかしいのではないかと私は思います。
 特に、今、8枚の文書が問題になっていますが、この8枚の文書、そのうちの一つの、淵源になっている藤原内閣府審議官と文科省の課長との打ち合わせのメモがあります。通常、役所では、文科省においてああいうメモをつくられていれば、内閣府においても同じようなメモをつくられているはずなのです。内閣府に今治市からいろいろなコンタクトがあったという事案も明らかになってきています。国家戦略特区を担っているのは内閣府ですので、内閣府の調査があらためて必要ではないかと思います。
 これに対して、山本幸三大臣も、理由も何も明かさずに、調査しないと言い切るのみ。菅官房長官に至っては、山本大臣が調査しないと言っているからいいんだ、と言うだけ。これではほとんど説明にならないですね。
 総理と近い、コネを持っていれば特別有利な取り計らいをされるのではないかと、国民の多くが「ちょっとおかしくないか」と思っていることに対して、説明を逃げるこの姿に関しては極めて違和感を覚えるところでありますので、この点も強く国会の中でも追及していきたいと思います。

○教育無償化法案・待機児童対策等についてNCで議論

【政調会長】
 きょう、NC(次の内閣)が行われます。(国会の)延長がなければ今回が最後になりますが、きょうのNCにおいては前原調査会(尊厳ある生活保障総合調査会)から中間報告をお受けしたいと思います。
 さらには、待機児童の問題に関して、安倍政権が「待機児童ゼロ」に向けた取り組みを(今年度末までに)やってしまうと言っていたにもかかわらず、達成できませんでしたと。3年間後ろ倒ししますと。単に目標を後ろ倒ししているだけなわけですね。それだけで、財源もへったくれも説明していないという中で、私達として、就学前の保育・教育、これを完全に実施してくれというような提言(「就学前の保育・教育の完全保障を目指す提言」)を、待機児童対策PTのほうから説明を受け、NCの中できょう議論することになります。
 さらに、包括的な教育の無償化。私達は「政策アップグレード」の中で教育の無償化を提言してきましたが、このたび、うちの文科部門のほうで、教育の無償化に関する法案の取りまとめが一定程度進みましたので、きょうのNCにかけてもらって、NCの場でこれが承認されれば、教育無償化法案(「教育を受ける者の経済的負担の軽減を図るための学校教育の無償化等の推進に関する法律案」)を出していける態勢が整うということで、頑張ってやっていきたいと思います。


■質疑

○「共謀罪」法案審議・国会会期について

【朝日新聞・中崎記者】
 冒頭発言であった「共謀罪」の審議に関して伺いたい。国対マターかもしれないが、午後にも採決するのではないかという話も聞こえてくる中で、金田法務大臣に対する問責決議案を出すのではないかという話も聞こえてくる。そういった場合に、民進党だけで対応されるのか、あるいは、先日4野党で党首会談もあったが、他野党と連携して対応すべきなのか。現時点でのお答えをいただきたい。

【政調会長】
 ちょっと2段階の仮定の質問でいらっしゃいましたが、まずは、今の段階で採決するなんていうことはないだろうな、というのが私達のスタンスなので、まさか採決をするなんていうことはないだろうなということを、きちんと政府・与党との間で確認していきたいと思います。まずはそれが最初だと思います。

【読売新聞・工藤記者】
 関連だが、政府・与党は短期の国会の延長も検討しているという話もあるが、国会延長についての考えを伺いたい。

【政調会長】
 基本的には会期の中で、自分達としてどういう法案を、どういうふうに対応していきたいのかというのを示すのが政府の責任だと思います。
 そういった中で今求められるのは、先ほど申し上げた加計学園の問題に関して、今国会会期中に調査の結果を明らかにすることも含めて、内閣府の調査も含めて、あるいは文科省の調査も含めて、しっかりし尽くしてしまう。疑念を払拭する。そのためには、予算委員会の集中審議や、あるいは私達が求めている証人喚問なども受け付けて、しっかり加計学園問題等々に関する疑念の払拭を行うことが大前提だと思います。
 「共謀罪」等々に関しては、私達のスタンスから言えば、短い審議時間で強行的に審議を打ち切って採決するなんていうのはあってはならない法案なので、諦めるべし、ということだと思います。
 その他、性犯罪の厳罰化法案等、重要な法案もあります。この辺も政府・与党は提出しているわけですから、視野に入れながら、会期中に彼らがやるべきことをしっかりやるべし、というのが私達のスタンスだと思います。

○待機児童対策PTの提言について

【読売新聞・工藤記者】
 冒頭お話のあった待機児童の提言書の取りまとめだが、先日PTでまとまって、きょうNCにかける予定と聞いているが、今後、例えば政府に提出するとか、パンフレットで周知を図っていくとか、どのように使っていくのか伺いたい。

【政調会長】
 これは教育の無償化法案とかなりリンクするところもありますので、教育の無償化法案等も出した後、この夏、仮に国会が閉会した後、いろいろな地方・都道府県連も含めて、周知徹底を図っていかなければならないと思っています。
 政府に提言するかどうかというのはその時の状況を見て考えますが、あくまで私達としてこういう対案があるということを知らしめていく活動は少なくともしっかりやっていきたいと思います。

○尊厳ある生活保障総合調査会の中間報告について

【時事通信・岸本記者】
 NCで前原調査会から受ける中間報告に関して伺いたい。蓮舫代表も衆院選の公約に掲げるという趣旨のこともおっしゃっていたが、今後どういうふうにそれを生かしていくのか、スケジュール感もあわせて伺いたい。

【政調会長】
 もともと、この尊厳ある生活保障総合調査会が去年の秋にスタートした時に、1年間をめどに一定の方向性を出していきたいということで始まったものであります。
 こういった当初のスケジュール感を頭に置きながら、今回、井手英作先生の提言を受け止めて、今後、具体的に内容を詰めていきます、という意味での中間報告をきょう受けるわけです。その言葉のとおり、これから井手先生の提言も受けながら、党内の各部門にも影響しますので、連関性がありますので、そういったところとの整合性もとりながら、全体的な理念と具体的な政策という形で、秋に向けて、どこまで取りまとめられるか、精力的な議論をしていきたいと思います。
 その結果、どこで選挙があるかは私達わかりませんから、選挙があった時に、議論のそこまでの集大成をきちんと政権公約なりに落とし込んでいけるようには準備していきたいと思います。

【共同通信・中西記者】
 前原調査会の中間報告の中の今後の検討項目とされている事項が、教育無償化法案の具体的な内容、無償化に関する部分ではだいぶ重なる部分がある。今後ここの連関性はどういうふうにとっていかれるか。

【政調会長】
 前原調査会の中間提言の中に、例として幾つかの項目を挙げていますが、これはあくまでも例で、これまでの部門での議論と、今言ったようにピタッとオーバーラップするものもあれば、これから議論ですね、というようなものもあります。これはそういう段階のものであっていいと、私は今の段階では思っています。議論が深まっているものもあれば、これから深めていくものもあるという状況なので、全体的にどこまで包括的な議論ができるか、夏から秋に向けてしっかり議論していきたいと思います。

○フランス国民議会選挙について

【日本経済新聞・林記者】
 フランスの国民議会選について伺いたい。最年少の大統領となったマクロン大統領を支持する陣営が過半数を大幅に上回る見込みだ。日本では長期政権が続いていて、なかなか新しい人が出てきて大躍進を遂げるというのが難しいのかもしれないが、この選挙の結果の受け止めと、日本政治に投影させて何か政調会長の考えがあれば伺いたい。

【政調会長】
 私が見て思ったのは、フランスにおける中道左派と、一方で極右というのがあって、それに対して国民の中での判断は、やはり中道というものを訴えた人物及び政党に対しての支持が大きく集まったということだと思うのですね。世の中が右と左に分断されるのではないかというような懸念が多くある中で、やはり穏当な中道の政策が必要ではないかという判断、フランスの国民の皆さんの判断だと思うのです。
 これは、私は日本でもあり得ることではないかと思うのです。それを訴えているのは私達であり、思想的に大きく右・左に極端に偏るのではなく、多くの皆様が求めていらっしゃるのではないかと思われる、いわゆる中道的な、偏らない政治を行っていくというのは求められているのではないかなという気がします。