大串博志政務調査会長記者会見

2017年6月20日(火)11時31分~11時51分
編集・発行/民進党政務調査会

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=jGncT9UebkA


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○首相記者会見・加計学園問題について

【政調会長】
 国会も終わって、昨日、安倍総理が記者会見をしたわけでありますが、大変自分勝手な記者会見だったと思います。国会が終わって会見で自分の言いたいことだけ一方的にしゃべるのであれば、国会を開いて、その中で十分質疑に応じる形で説明すべきではないかと思いました。しかも、国民に丁寧な説明を行っていきたいということを彼は言いましたが、本当に丁寧な説明を行うのであれば、最もそれを行うべき方法は、国会を開く。具体的にはそういうことをやるということだと思います。国会を開いて証人喚問、必要な委員会を開く。予算委員会の集中審議、文科委員会、こういった必要な委員会を開いて、証人喚問も受けてやる。こういうことだと思います。それをやらないで、まさか口だけ「丁寧に説明をする」と言っているのではないだろうなという疑念を抱かざるを得なかったと思います。
 と言いますのは、2年前の安保法制の時も、あの時、私も(特別委員会の)委員として、(党安全保障総合調査会の)役員として担当していましたが、国会での審議が終わった後、彼は記者会見をやって、まだまだ国民の皆さんの理解が得られていないので「これからも丁寧に説明する」と、全く同じ言葉で当時語ったのです。その後、安保法制に関して丁寧な説明をしたかというと、例えば国民との対話集会みたいなものも開かない、タウンミーティングみたいなものも開かない、何もやらなかったのです。その後、国会で、安保法制に対して「丁寧に説明する」と言ったけれども何かやったのかと問われて、何もやっていませんと答えざるを得なかった。そんな、かつて口だけ「丁寧に説明する」と言って何もしなかった過去がありますので、まさか今回もそういうふうになるのではないだろうなという危惧を大変強く覚えます。
 特に今回、加計学園問題に関しては文科省と内閣府が言っている内容が全く異なっているという閣内の不一致の問題が明らかに存在しています。きのうのNHKの報道でも、萩生田官房副長官が文科省の幹部を呼んで官邸からの圧力をかける内容の話をしている、といった発言概要のメモが示されました。この中で萩生田官房副長官は、「官邸は絶対やると言っている」とか、あるいは「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」とか、その上で「渡邊加計学園事務局長を(文科省の)浅野課長のところに行かせる」とか、極めて具体的な話を萩生田官房副長官みずからしていたという文書が出てきて、これを先ほどの松野文科大臣の閣議後記者会見では、文科省の中にあった文書として文科省が認めているという経緯があります。一方、萩生田さんは、このような文書にある内容はなかったと文書で(NHKに)回答していますが、全く文科省が言っていることと萩生田官房副長官の言っていることが相反する状況になっているわけです。
 こんな状況で、とても丁寧な説明を行っているとは言えない状況になっているので、具体的に、「丁寧に説明をする」というのであれば国会を開いてやるべきだと、あらためて申し上げたいと思います。

○「民進党の経済政策」に抱きつく政府方針「人材への投資」について

【政調会長】
 それから、この加計学園問題に関して、国民の目線をそらすかのごとく、きのう突然、「人材への投資」(「人づくり革命」)ということを言い出しました。これは今回、「骨太の方針」に書かれたことでありますが、夏に会議体をつくって議論を進めていくというようなことを言っています。「人材への投資」担当大臣なども置くというようなことも報道されたりしていますが、もう明らかに加計問題等々に関して、あるいは「共謀罪」の強行採決に関して国民の皆さんの厳しい目線があることをそらそうというような意図が見て取れてなりません。
 安保法案の時も、これまたそうでした。安保法案の時も、これから経済だと言って、「1億総活躍」だと、こういうふうに言い出して、結局「1億総活躍」って何なのか、全く今でもよくわからない。今回「人材への投資」と言いましたが、「人材への投資」と「1億総活躍」とはどう違うのかというのを、声を大にして言いたいと思います。
 さらには、「1億総活躍」の中に上がった内容も、民主党・民進党の政策をある意味追認、パクったような内容が多かった。抱きつき戦略だと言われましたが、「人材への投資」というと、まさに私達が政策的に言ってきているようなことをまた抱きついてくるのではないかなという気がします。  きょう、お手元に私達民進党が(昨年)12月に決めた「民進党の経済政策」の紙をあらためて届けていると思いますが、私達の政策に抱きつこうとしているのだと思います。おそらく、これから就学前教育の無償化とか、あるいは大学を含めた高等教育の学費軽減等々の話、あるいは社会人になっての学び直しみたいなものも議論されていくのではないかなと想像しますが、それらは、見ていただくと、私達がこれまで民主党・民進党の政策としてずっと言ってきたもの、ほとんどそのものなのですね。それを私達、12月の「民進党の経済政策」の中にまとめました。それがそこにあります。
 そういう意味で、また抱きつき戦略なのですが、全く違う面もあります。それは、安倍総理の話を聞いていると、「人材への投資」ということで、どうも安倍政権は人をモノ扱いして、経済のコマとして使おうというような思想がそこにあるような気がしてなりません。
 私達は「人への投資」ということを訴えて、そこにも書きましたが、人々の暮らしの不安を取り除き、そして教育・社会保障等々、充実したものを受けてもらうことで、不安が取り除かれることによって消費が進む。これが結果として経済にもプラスになる。あるいは、人としていろいろな教育を望むだけ受けてもらえるようにする。それがその方の技量・ノウハウの向上につながり、それが結果として経済にプラスに働く。こういったことをそこにしたためました。
 どうも安倍総理は、直接に人をモノとして扱って経済に使っていこうと。こういう思想が見えてなりません。きのうも、これからは経済だというようなことを言った中で、「人材への投資」と、こういうふうに言っていますので。抱きつこうとしている点は非常に遺憾にも思うし、抱きつこうとしているのだけれども、私達とは全く違う、人をモノ扱いしたものだということはあらためて申し上げておきたいと思います。

○森友学園問題・強制捜査について

【政調会長】
 どうも安倍総理の最近の行動を見ていると、私の感想としては、「消えた年金」の時に似てきたなという感じがしています。初動を誤り、物事の重大さを見誤り、非常に手を抜いた対応、国民を小ばかにしたような対応を当初とり続けていたがゆえに、この問題の深刻さに気づいた時には既に時遅し、後手、後手に回って泥沼にはまっていく。国民への説明責任は果たせない。こういった非常に焦りにも似た、「消えた年金」の時も参議院選挙前でしたが、選挙前に慌てて状況を糊塗しようというような雰囲気と非常に似通っているという感じがしてなりません。加計学園の問題だけにとどまらず、森友学園の問題に関しても。
 きのう、籠池さんのところに強制捜査が入りました。この補助金の不正受給ということに関しては事実解明が図られていくことになると思いますが、一方で、なぜ8億円が国有地の売却価格として値引きされたかということに関しては、これも告発状が出ておりますので、捜査の中で、なぜ8億円値引きされたのかということの真相解明が同時に進むものと期待したいと思います。
 まさか補助金の不正受給のところだけ捜査が進んで、8億円の値引きのところに関する告発に関しては何ら捜査が行われなかったということにならないようにと願いつつ、全体の真相解明につながってくれることを祈念したいと思います。

○「193国会における民進党の法案への態度」を公表

【政調会長】
 最後に、お手元に、先週金曜日に配りました「平成29年通常国会(193国会)における民進党の法案への態度」ということを、最終的に資料をきれいにしましたので、お届けしておきました。
 (金曜日の版から)変わった大きな点は、1枚目の紙の「成立した法案の数」。前回は確かにちょっとわかりにくかったのですね。「成立・一院通過した法案の数」ということで「67」と書いていましたが、確かに一院だけ通過したものをここに掲げてもしょうがないので、「成立した法案の数」ということですっきりまとめて、「66」としました。
 66本の中で、民進党が賛成した法案の数・52本、賛成の割合は79%、ほぼ8割ということで、こういった国会での結果だったということをご報告させていただきたいと思います。
 二つ目、三つ目の資料に関しても、継続審議になったとか、そういったところをきちんと最終的に確定してそこに書いていますので、ご活用いただけたらと思います。


■質疑

○エネルギー環境調査会での議論について

【朝日新聞・中崎記者】
 本日も開かれたが、エネルギー環境調査会について伺いたい。国会閉会中も断続的に開いていくということだが、国会開会中、議員が東京にいるうちに一定のところまで、とおっしゃっていた。スケジュール感を含めて進捗状況を伺いたい。

【政調会長】
 特に国会閉会するまでも非常に精力的に、週に複数回総会を開いて、いろいろなヒアリングを行ったり議論を行ったりして、特に省エネ・再エネに関しては具体的な立法を9本行っていく等々の話の詰めをかなり精力的に行ってもらいました。相当程度、議論の高まりはあると思っています。
 加えて、詰めの議論を閉会中も、特に役員会を中心に行っていくことになると思っています。これらを経た上で、相当なまとまりが出てきますので、この閉会中もしっかりした議論をした上で、秋に臨時国会がもし開かれるとすると、秋の臨時国会の時間を生かしてさらに議論を詰めて、もし取りまとめに近いところまで至れば、それはあっていいことではないかなと思っています。

【朝日新聞・中崎記者】
 原発ゼロ法案についてはいかがか。

【政調会長】
 これは3月7日にまとめた「民進党のエネルギー政策(当面の論点メモ)」の中で、「2030年代・原発ゼロ」を目指すという考え方が前倒しで実現可能となるよう、総選挙に向けて検討を進め、検討がまとまったところで「原発ゼロ基本法案」としてまとめていくと書いていますので、あくまでもこの流れの中で議論をしっかり進めていただきたいと思います。
 時期をいつとか予断するわけではありませんが、もし秋に国会が開かれるのであれば、そこでも精力的な議論を行って、どこまでまとまるか、しっかり見きわめてほしいと思います。

○「民進党の経済政策」に抱きつく「人材への投資」について

【毎日新聞・樋口記者】
 先ほど「人材への投資」のところで、抱きつこうとしている点は遺憾とおっしゃっていたが、提案型の政党を目指す上では抱きつかれることも一つの成果ととらえることもできると思う。このあたり、どういうふうに提案を活用してもらいたいとお考えか。

【政調会長】
 そうですね。長時間労働規制についても、あるいは同一労働同一賃金についても、あるいは教育の無償化についても、私達、先んじていろいろな提案をしてきているつもりであります。それに対して抱きつき戦略が行われているように見えるわけですが、抱きつくのであれば完全に抱きついてほしいと思います。
 例えば長時間労働等々に関して言うと、一方で「残業代ゼロ」法案の労基法改正案を政府は撤回していないですね。片方で、長時間労働を規制しよう、強めようとしている、これは私達も考え方、方向性は同じものを持っています。ところが一方で、「残業代ゼロ」法案ということで、長時間労働規制の穴を広げようとする、例外を広げようとする。これは全く論理矛盾ですね。これらも含めて、抱きつくのだったら完全に抱きつくべしと、あらためて主張したいと思います。
 その他の「人材への投資」と言っていることに関しても、私達も「人への投資」という考え方の中で教育の無償化等々やっています。政府は極めて小規模な給付型奨学金を今回導入しました。今年度の予算70億円、平年度になっても200億円強ですね。これで本当に「人材への投資」と胸を張って言えるようなものになっているのかというと、なっていないと思うのです。教育の無償化を憲法に書くというようなことで、私に言わせると「お茶を濁す」のではなくて、ちゃんと予算を確保し、法律をつくって、教育の無償化を実際に実現できるように、これも抱きつくのであればきちんと抱きついてほしいと思います。

○加計学園問題 萩生田官房副長官発言メモについて

【日本経済新聞・林記者】
 冒頭でも会長が発言された萩生田副長官の問題だが、NHKで示された加計問題の新しい文書について、萩生田氏本人は否定している一方で、松野文科大臣はきょうの会見で認めている。この相反する状況は一体なぜ生まれているのか。矛盾しているように思えるが、政府の答弁についてどう思われるか。

【政調会長】
 なぜ、文科省のこの文書があったということと、萩生田副長官の、いやいや、そこに書かれているようなことはなかったということとが相反する、そういう答弁になっているかというと、どちらかがうそをついているのだと思います。よって、総理が「丁寧に説明をする」と言ったところで、どちらかがうそをついている状況では、到底国民が納得できるような丁寧な説明にはならないと思います。
 よって、方法はただ一つ。国会を開いて、しかるべき人々に国会の場に来ていただいて、予算委員会の集中審議や、あるいは文部科学委員会等々をきちんと開いた上で、証人喚問も実施した上で真実をはっきりさせる。これをきちんと行えば、総理が言った「丁寧に説明をする」といったことは一遍に解決すると思います。

○閉会中審査の要求について

【時事通信・岸本記者】
 臨時国会の召集要求に関して伺いたい。先ほど、秋の臨時国会というお話もされていたり、国会を開いて真実をはっきりさせるべきとおっしゃったが、憲法53条の規定(衆参いずれかの4分の1以上の議員の求めによる臨時国会の召集)に基づく臨時国会の召集に関してどうお考えか。

【政調会長】
 これは先ほど野党国対委員長会談が開かれて、まず目の前として予算委の集中審議、そして文科委員会の開催、それらに前川さんと安倍昭恵夫人を証人喚問していこうと、こういったことでまず政府として目の前で大がかりなことをやらなくてもできることをやってくれという要求・要望をしています。この(臨時)国会を開催する等々の大がかりなことをしなくても、まず目の前の予算委集中、あるいは文部科学委員会の開催、そこに証人喚問もあわせてやっていくといったことをやれば、真実の解明はできると思うのです。政府には、まずできることをとにかく目の前でやってほしいと思います。

【時事通信・岸本記者】
 現在、竹下委員長(自民党)に山井和則国対委員長が申し入れて、回答は保留という状況だが、このままずっと保留という状況が続けば、選択肢として浮上してくる、検討されていくことになるか。

【政調会長】
 そこに関して何か予断を持っているわけではありません。あくまでも、ハードルも、私達の目から見るとそんなに高くないのですね。(臨時)国会を開くとなると、いろいろな準備も必要です。そこまで行かなくとも、まず目の前で、そんなに高くないハードルのもとでできる予算委集中審議の開催、文部科学委員会の開催等々、まずこれをやればいいんじゃないかと思いますし、これすら拒むということであれば、いかにも安倍総理が言った「丁寧に説明をする」と言ったことがうそっぱちだったかということが明らかになると私は思います。