大串博志政務調査会長記者会見

2017年7月26日(水)11時47分~12時06分
編集・発行/民進党政務調査会

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
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■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○加計学園問題について

【政調会長】
 まず加計学園問題ですが、この一両日の国会の答弁において、1月20日に初めて、加計学園が申請したというのを、決定の段階で知ったということの(首相の)答弁がありました。私も当時質疑をして大変驚きましたが、これまでの答弁からしてあり得ない答弁でもあって、当時のいきさつというか、当時の答弁を修正する形での答弁がきのうあったわけであります。そんなにコロコロ答弁が変わるようだと、一体国会質疑って何なんだということになりますし、今までの国会答弁の中でも明らかにそごがあると思います。
 加計学園が特区申請をしているということをもし本当に1月20日に初めて知ったのであれば、これまで国会の中で総理に対して私達から何度も、加計学園に関して政府に指示をしていないのかという問いをしてきたことに対して、安倍総理は、「加計さんから頼まれたこともないし、私から具体的に指示をしたこともない」、こういう(旨の)答弁をしてきたわけですが、そもそものこれに対する答えが、知らなかったのであれば、「そもそも知らなかった」という答弁が最初から出てきておかしくなかったと思うのです。「知らなかった」という総理の説明が一番強いわけですから。それが全くここまでなくて、きのうに至って初めて「1月20日に初めて知った」なんて言うのは、これまでの総理の答弁からしても全然整合しないし、さらに疑惑を深める結果になったのではないかと私は思います。
 総理が知らなかったのであれば、最初から「知らなかった」と言っていたはずですよ、これだけ国会で問題になっているわけですから。「知らないものは、私が政府の中に指示を降ろしようがないではないですか」と、こういうふうに言っていたはずですよ。それを言ってこなかったというのは、明らかに、やはり知っていたということではないかと思います。
 それからきのう・おとといの質問の中でもなかなか細かいところまで行きませんでしたが、山本地方創生大臣の獣医師会との話し合いに関する説明も非常に不透明さが残っていると思います。山本大臣は、獣医師会との面会において、自分は「加計ありき」あるいは「今治ありき」ということは言っていないと。かつ、「京都もあり得る」ということも言ったのだと、こういうふうに言いますが、あたかも山本さんは、「今治“ではなくて”京都もあり得る」と、そういうことを言ったかのごとく発言していますが、ただ彼自身が先週木曜と金曜の記者会見の中で言っていることで馬脚をあらわしていることがあると思います。
 例えば金曜日の記者会見で山本さんは、「京都だって追加であり得る」ということを言ったのだということも発言しています。この辺に実は、「今治があるけれども京都も“追加で”ある」というラインでしゃべっていたということをうかがわせると思います。その後、山本さんは、京都もあるのだというような言い方に変えていますが、一度でも「京都だって追加であり得る」ということを言ったということは、馬脚をあらわしているな、そこが真実だったのだなということをうかがわせます。
 さらにもう一つ踏み込んで言うと、木曜日の記者会見で山本さんはこういうことを言っています。獣医師会に対して、「京都もあり得る」ということを言ったら、獣医師会の皆さんが、「いやいや、それでは困るので今治だけにしてください」と言ったと、山本さんが説明していらっしゃいます。これは理屈自体が、既に今治が先にあって、今治に対して(追加で)京都もあるんだよという、そういう説明を山本さんが獣医師会にしているからこそ、獣医師会は、「いやいや、それは困るので今治だけにしてください」と、こういうふうに言っているわけです。そうではなくて、もし山本さんが言うように、今治もあるかもしれんし京都もあるかもしれんよと、こういう言い方を仮に本当にしていたならば、獣医師会の皆さんが「いやいや、それは困るので今治だけにしてください」なんて言うわけはないです。
 山本さんもいろいろ考えながら、理屈に理屈を重ねてやっているのだと思いますが、やはり説明の端々に、既に今治が前提としてあったことを大きくうかがわせるものがあると思います。
 こういったこともしっかり説明しないで国会をしのぐというのはあり得ないと思いますし、やはり「1月20日」の問題は総理の虚偽答弁と言うしかないと私は思います。加計学園の問題を糊塗するための虚偽答弁と言わざるを得ないと思います。

○南スーダンPKO日報問題・特別防衛監察について

【政調会長】
 それから非常に気になっている問題が、稲田防衛大臣の日報の問題でありまして、これは稲田大臣の問題のみならず、防衛省の特別防衛監察、あるいは防衛監察本部というもののあり方自体を今や揺るがすところまで来ているのではないかと思います。
 私は、即刻罷免するべきだと国会でも申し上げましたが、報道各社の皆さんの中で、稲田氏が2月半ばの段階で陸自に日報が残っていたことを知っていたという報道がここまで出ていること、これはもう真実として捉えざるを得ないと思います。これをそうではなかったと言い繕おうとするから、特別防衛監察に大臣がヒアリングを受けると。これは制度上そういうことはないわけでありまして、制度上できないものを無理に大臣にヒアリングを受けさせてやろうとしているところが、まず特別防衛監察のその仕組み自体に疑問を抱かせるようにしていると思います。
 さらに、これから特別防衛監察の結果が出てくると思います。これが、稲田氏の関与がなかった、稲田氏は知らなかったというような方向が仮に出てくると、やはりこれまでの報道の流れから見ても、本当に特別防衛監察あるいは防衛監察本部というものは信頼に足るものなのかという、制度そのものへの信頼を揺るがせてしまうと思います。安倍政権がそれをやるとすると、政権としてもうあってはならないような失態になるのではないかと思います。
 なぜなら、この防衛監察本部というものは、たび重なる、防衛施設庁も含めた調達における談合等々の問題も含めて、絶対にこういうことがあってはならないということで、第三者的な立場から防衛省の中で監察を行うということで立ち上がった制度です。2年前、防衛装備品に関する長期調達、これを可能とする法律改正をした時も、監察本部のガバナンスを強化するといった形でいろいろなことをやってきている。これは防衛省の活動の公平性の根幹のようなところです。これを、一政権の失態で制度そのものの信頼を揺るがせるようなことはあってはならないと私は思います。
 そういう意味からすると、この稲田さんの問題に関しては総理自身がきちんと事実関係を聴取して、判断をして、陸自に情報があったということを知っていてそれを隠蔽しているのであれば、きちんと罷免する。その上で特別防衛監察に関しては引き続き第三者性の高い中できちんとした報告を出すということでないと、おかしな結果になるのではないかと私は思います。
 これは稲田大臣の問題だけのような議論になってきているので、私は非常に気にしています、防衛省の防衛監察本部のあり方、制度自体のあり方を揺るがそうとしています。これは一度信頼が揺らいでしまうと取り返すことができません。そういう意味で、極めて大きな過ちを安倍政権は犯そうとしていることに関して、警鐘をぜひ鳴らさせていただきたいと思います。


■質疑

○南スーダンPKO日報問題・特別防衛監察について

【TBS・牧野記者】
 先ほど稲田大臣の問題で、総理自身が調査をして、隠蔽しているのであれば罷免するべきだというお話があったが、蓮舫代表は、特別防衛監察自体ではなくても、第三者の調査に切りかえるべきだという話をされている。その点、大串さんと同じ考えか。

【政調会長】
 はい、それでもいいです。私は、安倍総理自身が聴取するというのは、その仕組みとして第三者組織を安倍総理がつくってやるというのもあり得ると思います。
 私達は、ことしの冬の段階から、この調査に関しては第三者組織をつくってやるべきだということをずっと与党に対しても申し上げてきました。まさに総理がイニシアティブをとってやるべきだと、私はそう思います。

【朝日新聞・斉藤記者】
 ちょっと整理していただければと思うが、今の稲田大臣の関係で、監察(結果)が出るのが(内閣)改造直前とかになると、国会で説明するのは誰に求めていくのかということと、早期罷免を求めているのと国会で説明せよと、その辺の整理を。

【政調会長】
 即刻罷免すべきだというのは、私達は確固たる信念としてそういうふうに申し上げたいと思います。しかし、もし辞めないと。辞めない中で特別防衛監察の報告が出されたならば、私はそれに関して非常に疑念を持っていますが、最低でもそれに対して国会の中できちんと説明をしてもらわなければならないと思います。
 というのは、これまで政府にいろいろな質問を私達は投げかけてきました。きょうの部門会議でも投げかけてきましたが、「特別防衛監察をやっているから、答えられません」という答えばかりです。であれば、特別防衛監察が出た時にはきちんと説明してもらわなければならないという責務は最低限残ると思います。そういった意味です。

【朝日新聞・斉藤記者】
 それは改造した後でも、稲田氏にあると。

【政調会長】
 改造した後でも、疑念が残るのであれば、いろいろなことをやってもらわなければならないと思います。

○「残業代ゼロ」法案について

【時事通信・大塚記者】
 「残業代ゼロ」法案だが、修正を求めてきた連合の中の了承がとられないということで、政労使の合意が見送られる公算だが、受け止めをお願いしたい。

【政調会長】
 連合の中でこの問題がどういうふうに議論されるかというのは、これは労働組合として連合の皆さんが内部的にきちんと話をされるということだと思いますので、私達が容喙(ようかい)することではないと思っています。
 一方で、労働組合は労働組合の立場としてこの問題に向き合ってきた。それとは違う立場として、私達は政党としてこの問題に向き合ってきました。この「残業代ゼロ」法案は、本当にこの10年間、ホワイトカラーエグゼンプションから始まって、長時間労働規制の例外をつくる、際限ない長時間労働を呼び起こすものだということで、私達は大反対。廃案、絶対に成立させてはいけないということでやってきました。これは「残業代ゼロ」法案の本質が変わらない限り、政党としてのこの態度は変わらないと思っています。

○党執行部体制について

【毎日新聞・眞野記者】
 きのう、野田幹事長が辞任を表明された。受け止めをお願いしたい。

【政調会長】
 総括の議論をする中で、今回の都議選における結果、あるいはそれにも表れるような、党勢がなかなか回復しないこと、その中でガバナンスのあり方に対する意見がヒアリングの中でも多かった等々を踏まえて、その中心たる責任を負うということで辞するということを発表されました。大変重い決断だと思います。
 これを踏まえて新しい体制をどうつくっていくか。これは蓮舫代表のもとで考えていかれるのだろうと思っています。

【共同通信・中西記者】
 今の質問に関連するが、きのうの両院議員懇談会の中で蓮舫代表は、「新世代の民進党」を目指すということをおっしゃっていた。「新世代の民進党」というものをどういうふうに大串政調会長が考えていらっしゃるかということと、「新世代の民進党」と言った場合にはまず幹事長人事が注目されると思うが、大串政調会長の名前も取り沙汰されている。そのことについてはどういうふうに受け止められているか。

【政調会長】
 「新世代の民進党」をつくっていくというのは代表選の時の蓮舫さんのキャッチコピーでもあり、これは私も少なからず関与してつくった時のキャッチでありました。
 やはり自民党・与党に相対峙していく中で、新しい世代で刷新感を出しながら、期待感を持ってもらえるような体制をつくっていこう、あるいは仕事をしていこう、政策を打ち出していこうというのが、当時の思いとしてありました。これは、蓮舫代表のもとでの体制の中でも一貫した考えなので、今回の総括に当たってもそういった考えは述べられたところだし、蓮舫代表も頭に置いていると思います。
 人事について、私は一切しゃべらないことにしていますので、ご了承ください。

○都議選総括・政策の軸の再強化について

【共同通信・中西記者】
 昨日の両院議員懇談会の総括の中で、エネルギーと憲法と社会保障について、民進党としての具体像を明確に提示すると出ていたと思うが、その時期はどのように考えているか。

【政調会長】
 総括の議論は、きのうは懇談会ですからいろいろな意見をいただきました。最終的には一任をいただいた上で、これは常任幹事会での報告・了承事項となりますので、そこに至るまでこれは確定しているわけではない。
 ただ、憲法のあり方、あるいは社会保障、「生活保障」のあり方、それからエネルギー政策のあり方、これは我が党の政策として詰めていく余地が残っている論点であって、かつ、これをきちんと詰めていけば一定の方向性を出し得る、それによって我が党がどの方向を向いているのか示し得る大きな原動力になり得る論点だと思っています。
 それは、かなり議論が詰まってきているところもあるので、きちんと議論をして、できるだけ早い段階で精力的に議論を進めて、結果を出せるように党として頑張っていくべしという声は多かったです。私もそう受け止めています。

○「残業代ゼロ」法案について

【読売新聞・重松記者】
 高度プロフェッショナルの件だが、修正をめぐっては、一部コミュニケーション不足だということで謝罪が連合さんからあるなど混乱もあったが、現状についてはどのような報告を受けているか。

【政調会長】
 この間の記者会見でも申しましたが、連合の皆さんとは常日頃から連絡をとり合っています。神津会長からは先日も、この件の動きに関してはちょっと連絡が遅くなって申しわけありませんでしたという話はありました。日頃からの連合との意思疎通は、私達はずっとやってきた経緯がありますので、相当綿密にやってきているところです。
 現状に関しては、いろいろな意見交換をしていますが、連合の中でもいろいろな意見があるので、今これを連合の中としてどう取りまとめていくかということを議論されているものと承知しています。

○党執行部体制について

【朝日新聞・斉藤記者】
 人事の、中身のほうではなくて、幹事長が辞意を表明してしまったわけだが、次の体制はいつくらいまでに決めるべきだとお考えか。

【政調会長】
 人事の空白はあっていいものではないので、きのう蓮舫代表も「早急に」と言われていましたが、早急に作業が行われるだろうと思っています。