民進党は2日、7月22、23日に記録的な大雨に見舞われた秋田県の災害被害に対応するため、党本部で豪雨等災害対策本部(本部長・野田佳彦幹事長)第3回会議を開催。被災地の豪雨災害の実態や対応等に関して内閣府、気象庁、国土交通省、観光庁、農林水産省の担当者からヒアリングするとともに、ウェブ会議システムを通じて党秋田県連からも現状について話を聞き、出席議員が県連の担当者と意見を交わした。

 冒頭あいさつに立った野田幹事長は「河川の氾濫(はんらん)による浸水被害、公共インフラの被害などがあるが、特に農業分野への影響が心配される。人的被害はなかったとは言いながらも被災された皆さまに心からお見舞いを申し上げる」と述べるとともに、当該自治体や関係省庁の取り組みに敬意を表した。党秋田県連で災害発生直後に対策本部を設置し、同県内選出の村岡敏英・寺田学両衆院議員を先頭に被害実態の把握と対策検討に努めてきたことを報告。同日付で村岡議員が同対策本部副本部長に就任したことも紹介し、「被災者の皆さんからさまざまなご要請をいただいているので、党として政府に対する要請を取りまとめていく」旨を語った。

 報告事項として、同日午後、党青年局を中心に災害ボランティアチーム34人が福岡県朝倉市での住居の泥かき作業などの活動を実施していることを報告した。

 村岡議員は、道路事情がいくぶん回復した26日に大仙・横手・由利本荘の3市で市長・副市長らとともに行った現地視察等に基づき被害実態を説明、「秋田県は枝豆日本一の生産量で夏が出荷時期なので大きな被害を受けている。水稲等もこれから被害が拡大するのではないかと心配している。床上浸水も胸の高さまで及んだところもあり深刻な状況だ」「人的被害が出なかったのは市町村の迅速な避難指示が功を奏したもの」などと説明し、早急な激甚災害の指定を政府に求めたいとした。

 ウェブ会議システムを通じて県連幹事長の小原正晃県議が聞き取り調査に基づき現状について報告。大仙市は被災者再建支援法での支援対象として適用されたが、横手市は全壊戸数が同法の支援対象規定数に達しないため(指定は全壊戸数が全体の80%だが横手市は75%程度)指定を受けられない状況にあると語り、この点の改善を議論し、国に要請してほしいと求めた。

 寺田議員は「土木や農業への被害対応も重要だが、あわせて床上・床下浸水した方々の生活支援が重要」との考えを示し、被災者再建支援法の適用が大仙市しか行われていない状況について、「横手市も秋田市も非常に大きな被害があった。算定の基準が数値化されて公平・客観性はあると思うが、この法律が地震を基準としている部分が強すぎて、大雨被害の床上・床下浸水等への算定が辛い形になっている」と指摘。被災者の実態に寄り添う形での適用の工夫を求めた。

 河川氾濫の危険性が高まるたびに堤防設置が検討されてきて、ようやく堤防工事が進み、該当集落に3年以内に移住するようにとの求めが出された矢先、当該河川が氾濫し床上浸水となり住居の崩壊に至ったことも説明。災害発生後に河川事務所に住居の査定基準の確認を求めたところ、「浸水後、避難して住んでいないので非居住という形での査定となる」などと回答したことを寺田議員は問題視。「被災された方々の現状、移住を依頼した相手であったこと等を踏まえて個別に対応できるところは検討してほしい」と求めた。これに対し内閣府の担当者は、豪雨災害前の状況で査定が行われることになると回答した。

 村岡議員は、秋田県で650軒の床上浸水、1200軒の床下浸水ということになっているが、調査途中でありさらに増加する可能性もあること、また、空き家が多いことから浸水して崩壊する危険性も高いとの認識を示し、徹底調査の必要性を指摘。また、中小企業支援も検討を求めた。

 会議には大串博志本部長代理、福山哲郎・玉木雄一郎両副本部長、松原仁事務局長、小宮山泰子事務局次長、重徳和彦・川合孝典両事務局次長、浜口誠・大島九州男両幹事が参加した。

秋田県豪雨災害に関して首相官邸で緊急申し入れ行う村岡、小宮山泰子、松原仁議員

秋田県豪雨災害に関して首相官邸で緊急申し入れ行う村岡、小宮山泰子、松原仁議員

 対策本部会議終了後、被災地の現状に即し求められる対応をまとめ、菅官房長官宛に「秋田県豪雨災害に関する緊急申し入れ」、磯崎農林水産副大臣宛に「秋田県豪雨による農林水産業被害に関する緊急申し入れ」を提出し、政府の迅速な対応を求めた。

PDF「秋田県豪雨災害に関する緊急申し入れ」秋田県豪雨災害に関する緊急申し入れ

PDF「秋田県豪雨による農林水産業被害に関する緊急申し入れ」秋田県豪雨による農林水産業被害に関する緊急申し入れ