民進党は25日、党立て直しの方策について地方組織幹部と意見交換するブロック広聴会の一環で、増子輝彦幹事長が出席して東北ブロック(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)広聴会を仙台市内で開いた。

増子輝彦幹事長

増子輝彦幹事長

 増子幹事長は冒頭のあいさつで、先の総選挙に民進党として候補者を立てることができず、無所属、希望、立憲に3分裂した中での選挙戦を強いる結果となったことについて「地方組織の皆さんには本当にご迷惑をおかけしたことをあらためて心からおわび申し上げる」と述べたうえで、「民主党時代から約20年間、しっかりと地域活動をやってきて、一時は政権も獲得したという誇りと歴史がある。『なんとか地方でも党再生のために努力していきたい』という声もたくさんいただいている。総支部と県連に残っていただいて、それぞれの立場で党再生のために力を発揮していただきたい」と呼びかけた。

 出席した各県連から出された意見の概略は次の通り。

  • 党本部の方針が出揃ってから県連としてもこれからの県連のあり方、運営の仕方について議論する。これからも一緒にやっていきたい。
  • 参院選、衆院選の一部の選挙区でいい形の野党連携ができたので、今後も可能ならばまとまってやれる上手な方策を示してほしい。
  • ここ数年こつこつと党員サポーターを過去最多まで増やし、これならば野党連携で勝てると思っていたところ、希望に移る流れになり、地方の声は聞かずに国会議員のトップダウンで決めてしまう悪いところが出た。
  • 憲法や安全保障政策で希望には違和感があり、一枚岩にはなれなかった。他の2党との接着剤役だけでは党の存在意義はない。党本部には地方の声をよく聞いてほしい。
  • 希望からの出馬で民進党出身者同士の身内の争いがあり、問題を残した。自治体議員が総支部長を務めるにしても、自治体議員がいない総支部もある。いま民進党でゼロから選挙をやるという人はまずいないので、暫定でもいいので、元自治体議員で次を目指すという人でもよいことにしてほしい。
  • 総支部の財政が総支部長個人の財布のようになっていて、自治体議員には資金が回ってこないのに、会計を締めたあと、責任だけこちらに回ってくるのは困る。ゼロから総支部を作る方があぶない橋を渡らなくて済む。
  • それぞれの候補者は苦渋の決断で希望に移ったが、「排除」のひとことで一気に冷めてしまった。候補者を見つけるのは至難の業だ。希望の落選者はいまどういう状態に置かれているのか。今後の対応を知りたい。
  • 「民進党の名前ではもう戦えない」という声が多いというが、われわれは民進党でいい。
  • ドタバタの中で離党して希望に公認申請しろという方針で、相手の党首に会ったこともないまま出て負けた。落選者の復党を認めてもいいのではないか。今のままでは活動費がないのが最大の問題だ。
  • 希望で当選した元民進議員とは良好な関係だが、今後県連にどれくらい資金が来るのかはっきりしないと職員を維持できるかも分からない。人材流出を食い止めてほしい。
  • 喫緊の課題として、雪が深くなる前に新代表の政党ポスターを貼れるようにしてほしい。
  • 県連組織はこのまま維持してこぼれることなくやっていこうと確認しているが、立憲で当選した新人に加えて無所属で落選した元職も立憲に行くと表明している。県連として精一杯応援してきたし、今後も2人と争う気はないが、統一自治体選、参院選を民進党で戦うとなるとどうなるか。党本部間で調整してほしい。

増子幹事長ぶらさがり記者会見

 会議を終えて記者団の取材に応じた増子幹事長は、会議でのやりとりの概略について「具体的に東北6県の現状をお聞きして、今後に対するご要望をお聞きした。さらに総選挙に対する総括的なお話もいただいた。そういうことに対して私の方としては、ぜひこの民進党が新たな再生を行って、イノベーションをして、次の統一自治体選、そして参院選、将来的には衆院選まで戦う政党にしっかりと作り変えたいと説明した」などと報告した。

 今後の3党間の協力の進め方について問われると、「将来的には選挙協力もしっかりやっていくということを考えているが、今はこの党の再生をどうするかということが最大のポイントなので、来年の1月か2月初めに予定されている党大会にはこういう姿でもう一回政権を取るために皆さんがんばろうと言えるようにしたいと説明し、皆さん、それには大変賛同していただいた」と答えた。

 党所属自治体議員の一部に新党に移る動きがあることについては、「残念ながらこの時点で離党を決めている人は、止めてもたぶん止まらないと思うので、あえてそういうことについて直接引き止め策をやるつもりはない」と答えた。

県連の状況を報告する出席者

県連の状況を報告する出席者

総支部再建の方策などを意見交換する出席者

総支部再建の方策などを意見交換する出席者