民進党は3日午前、党の今後の在り方に関する地方組織幹部との意見交換の一環で北関東ブロック(茨城、栃木、群馬、群馬第2、埼玉)広聴会をさいたま市内で開いた。党本部から増子輝彦幹事長、桜井充組織委員長、篠原孝選挙対策委員長が、ブロック内議員として藤田幸久茨城県連副会長・参院議員、大野元裕埼玉県連代表・参院議員が出席した。

 増子幹事長は冒頭のあいさつで「トップダウンではなく地方の声をしっかりと受け止めてボトムアップでの意思決定を」ということで全国11ブロックに出向いて意見交換を重ね、この日の会合が10ブロック目となった旨を報告。また、先の衆院選挙で民進党として候補者を擁立できず、地方組織の関係者に迷惑と心労をかける選挙となったことを陳謝した。そのうえで、大塚耕平代表のもとでの新執行部としては、統一自治体選、参院選や総選挙に候補者を擁立して戦う体制を確立していく方向であると表明。党の戦略・組織・運営に関する改革本部(中川正春座長)から1日に中間報告が示され、4日に開く臨時の常任幹事会での承認を経て地方組織等に提示し、ウェブ会議で意見を交わしてもらうことになる旨を報告した。「民進党を旗印にして戦わなかった衆院選挙の弊害が大きいことは紛れもない事実だが、ここでひるんで立ち止まっているわけにはいかない。政権奪取のための新たな体制をどのように構築すればいいかについて、通常国会の前に方向性を明確に示していくことによって進んでいく」との考えを示し、党本部に何かを要求するだけでなく、具体的なビジョンで提案してほしいと求め、党の未来に向けた有意義で生産的な議論を呼びかけた。

 広聴会で出された主な意見は次の通り。

  • 連合地方組織との在り方を考えるうえで、党本部と連合との関係についても聞かせてほしい。
  • 12月15日までに総支部の会計を整理するという具体的な内容を聞かせてほしい。
  • 党員・サポーターの在り方はどうしていくか。
  • これまでも全国幹事会などで地方の声を聞いてほしいと要請してきただけに、今回こうして手間をかけて声を聞いてくれていることに感謝する。
  • 民進・立憲・希望が乱立している印象ばかりが強いが、地方組織は全く何も変わっていない。国政に地方が巻き込まれたという認識でいる。民進党を支持してくれる支援者の方々からは民進党は何をやっているのかと期待感の混じったお叱りがある。原点回帰ではないがボトムアップで何が足りなかったのかについて、県連常任幹事会で衆院選挙を総括し、そこで得たものを統一選や参院選につなげていきたいと考えている。
  • 党大会後に2月ぐらいに県連大会を行い、その後に党員・サポーターをしっかり集めて夏場に政治資金パーティをやる予定でいる。
  • 希望の党から立候補して落選した候補者について、希望の党との調整が済んで先方の了解を得た段階で、民進党側が支援できる場合は支援してほしい。
  • 党員・サポーターを集めていくということは運動論でもある。私は500人集める自身の手法も持っている。公認内定者が党員・サポーターを集められなくなったら組織は弱体化する。そういう意味でも現行制度を残してほしい。一方、目標を上回ったときは地方議員にメリットが付くなどのインセンティブも必要。
  • 自分で行動も活動もせずに何でも変えろというようなことを言う議員もいるが、何でも変えればいいということではない。党綱領も守るべき方向性だ。
  • 自公政権が突き進むTPPの危うさなどを指摘した政策的な指摘をポスター化して掲示したところ地域で非常に受け入れられた。党としてそうした政策的なアピールがほしい。
  • 立憲と希望の対立的な状況に巻き込まれて民進の姿が埋没してしまうことのないようにしてほしい。
  • 党の方針が確定するまでまとまって行動しようということで県連の常任幹事会で了解しているが、衆院選で民進党として候補者を出さなかったことのつけは大きい。主要産別は候補者を決めているので所属政党を明らかにしろという流れになる。党本部が連合本部とどう調整するのかが重要になる。立憲の方も県組織を作れという声が来ているのでそことも協力をせざるを得ない。
  • 民進・立憲・希望と三つが存続する中でどこに入るのか、統一自治体選まで1年半を切っているので少なくとも来年の3月、4月に方向を決めざるを得ない。通常国会前に方向性を早く決めてほしい。
  • 責任をもって党員・サポーター募集を呼びかける状況にはない。
  • 統一自治体選は1人区が多い。民進・立憲・希望が連携しないと自民党を勝たせるだけ。非自民としての結束を。
  • 財政的な支援の具体的な方向を示してほしい。

■増子幹事長ぶらさがり記者会見

 広聴会終了後に増子幹事長は記者の質問に答えた。

 「皆さん危機感を持ちつつも、しっかりと皆でがんばっていきたいという声があった」「統一自治体選以前にも茨城県議選はじめさまざまな自治体議員選挙があり、民進党の今の母体を中心として自信を持ってやっていける体制をつくってほしいという声も多かった。基本的にはできるだけ早く党の方向性を示してほしいということで、党大会を2月あるいは1月下旬に予定しているので、それまでにはこの党の在り方について明快な方向性をしっかり打ち出していく」などと発言。4日に臨時に開く常任幹事会で党の戦略・組織・運営に関する改革本部(中川正春座長)中間報告の承認を得た後、地方組織に提示して意見を聞く段取りであることにも触れ、「これまでは地方重視が欠けていた。地方の皆さんの率直なご意見・ご要望をいただきながら、いい党の再生・改革につなげていく」と語った。